【バドミントン】第70回全日本総合選手権 男子 予選突破も本戦での勝利には届かず
第70回全日本総合選手権
2016年11月28日(月)〜12月4日(日)
代々木第二体育館
インカレから約一か月半、日本一のバドミントンプレイヤーを決める大会が開催された。男子は藤野琢人(経4)・西川裕次郎(社3)ペアと河崎駿輔(経4)・野村拓海(社1)ペアが予選から出場。両ペアとも予選を突破し本戦に臨むも、それぞれ格上選手を相手に力及ばず敗戦。健闘をみせたがどちらも一回戦敗退という結果に終わった。
試合結果
男子ダブルス
選手名 | 結果 |
---|---|
藤野琢人・西川裕次郎 | ベスト32 |
河崎駿輔・野村拓海 | ベスト32 |
戦評
全日本選手権の予戦、藤野・西川ペアは山下恭平・井上健太(水島工業高校)ペアと対峙。19-21と接戦の末、第1ゲームを奪われてしまう。しかし、その後は粘り強さを見せ、第2ゲームを22-20、第3ゲームを21-19と勝利を奪取。本戦出場を果たした。
1つでも駒を進めるべく臨んだ本戦。そんな2人の前に、先月のインカレで3位に入賞した高野将斗・宮嶋航太郎(明大)ペアが立ちはだかった。 立ち上がりはミスが目立つも、攻めの姿勢を崩さず9-11と接戦に。インターバル後も1、2点を追いかける好戦を演じるも、徐々にその差を広げられてしまう。その後も相手の揺さぶりに対応しきれず、ゲームポイントで見事なスマッシュを決められ、16-21で第1ゲームを落とした。
立て直したい第2ゲーム。序盤から5連続ポイントを奪われてしまう。それでも相手の素早いショットを打ち返すなど、果敢な攻めにも対応して見せ、5-5の同点に。このまま流れを引き寄せたいところだったが、ここから相手の勢いが止まらない。気づけば点差は大きく広がり、11-21でストレート負け。本戦1回戦で今大会を後にすることとなった。(大平佳奈)
一方の河崎・野村ペアは予選で堀川善生・鈴木大裕(東北マークス)との対戦。社会人相手にも巧みなコンビネーションで試合を優位に進め、第1ゲームを21-13、第2ゲームを21-17で制し、順調に本戦への出場を決めた。
本戦1回戦の相手は、去年の全日本総合で男子ダブルス準優勝を果たした保木卓郎・小林優吾(トナミ運輸)ペア。強敵相手にどこまで自分たちのプレーができるかが勝負の分かれ目となった。序盤から素早いフットワークから生まれる力強いショットに苦戦するものの、ロブでなんとか対応し、4-5と競り合う。しかし徐々にそのパワーに押され一挙7連続得点を挙げられると、流れは完全に相手側に。長いラリーで生まれた浮いた球を確実にたたき込むなど、どうにか食らいつくものの、じりじりと開いた点差を最後まで詰められず、9-21で第1ゲームを落とす。
第2ゲームも引き続き強烈なショットが襲いかかる。低く速いスマッシュに粘り強いレシーブで応戦するも、防戦一方の展開を強いられ、またもや徐々に点差が開いていく。普段なら決まっているような球も返され、気づけば第1ゲームと同じ9-21というスコアで第2ゲームが終了。同時に敗戦が決まり、河崎・野村ペアも本戦1回戦で姿を消すこととなった。
またこの結果、藤野と河崎、2人の大学バドミントン界での戦いに幕が下ろされた。藤野は学生最後の試合を悔しさの言葉とともに振り返り、同じく4年生の河崎は敗れはしたものの「楽しくできた」と口にした。今大会で4年生は完全に引退。しかし彼らのバドミントンにかけた熱い思いはこれからも後輩に引き継がれていくに違いない。(本間美来)
選手コメント
藤野琢人
―今日の試合を振り返って
正直もう少しできるかなと思っていました。けど、技量が足りないというか、ただがむしゃらにやっている感じで、今まで大学4年間練習をやってきた中で、誰よりも努力してきたっていう思いはあるのですが、ただそのひとつひとつの質が低かったと感じました。体力向上であったり、ひとつ強い球を打つために頑張ってきただけであって、連動性も全然ないな感じました。
―どのような気持ちで今日を迎えましたか
相手ペアは大学生とはいえ自分は対戦したことがなかったので思いっきりやろうと思っていました。けど、どんな相手かはわかっていたので、もっと対策を練ってやっていくべきだったのかなと。ただ単に思いっきりと漠然とした考えだったので、準備が足りなかったのかなと思いました。
―今大会で学生最後の試合となりました
全日本総合出るのも初めてで、大学入ったときには全日本総合出るなんて想像もつかなかったのですが、大学4年間で少なからず成長できたのかなと思いますし、バドミントン以外でも生活面でも人として成長できたのかなと。
―大学4年間を振り返って
良い思い出でした。チームの主軸として出させてもらったことはすごく感謝していますし、誇りに思います。社会人になって実業団に入るということで、そこも評価してもらったので、そこはポジティブに考えて。社会人になったからには、もう一段階上の意識でやっていかなければいけないと思うので、もう一度1から考え直してやっていきたいと思います。
―主軸として戦うようになる転機というのは何かありましたか
3年生春のリーグ戦のときに5戦出る予定でした。結局メンバーチェンジもあって4回戦ったのですが、全て勝つことができて。2年生まで自分はあまり出ていなかったので、3年生になったときにリーグ戦で突然任され、それで連勝を挙げることができたのは、もちろん自分の自信になったし、それが周りにも影響したのかなと思います。
―話は変わりますが、法政に入ろうと思った理由は
中高と福島の富岡高校に行っていた時期があったのですが、震災をきっかけに辞めることになって。それで神奈川に戻ってきたのですが、練習環境がありませんでした。そうしたらたまたま実家から一番近い法政大学から声をかけてもらって、練習環境ないなら来ていいよと言っていただきました。それで高校2年生のころからずっとお世話になっていて。それが一番大きいですね。練習していく中で、口ではちゃんと結果残してから入るように言われたのですが、須賀さんは結果残さなくても取ってあげるよって言ってくださっていて。結果的にインターハイベスト8に入って気持ち良く入れたのは良かったのですが。それ以上にそういう縁がなければ法政大学に入っていなかったし、その感謝の気持ちで4年間頑張ってきたというのがあります。
―これからは実業団でプレーしていくことになりますが
こういう試合を見ていて、この人かっこいいな、きれいなラリーするなとかそれが理想かもしれないですが、そうではなくて。こいつ頑張ってるな、こいつだったら応援してあげたいなと思われるような選手になりたいです。そして、やっぱりバドミントンができているのも、自分の力だけではないので。支えてくださった家族だったり、監督だったり。もちろんチームメイトみんなにも感謝しなきゃいけないと思うし。それを恩返しするためにはやっぱり自分のプレーで返すしかないと思うので、そこは結果で返せたらいいですけど。何よりもやっぱりさっき言ったように、自分が頑張っている姿をしっかりコートで表現できていれば一番かなと思います。
河崎駿輔
ー今日の試合を振り返って
相手がトップレベルの選手なので、とりあえずラリーになるようにしようと野村と話していたのですが、やっぱり力の差が大きすぎたのもあるし、挑んできたことのない球筋などが色々あったのですごく勉強になったなと思いました。
ー相手は昨年準優勝ペアということでしたが、組み合わせが決まったときはどのようなお気持ちでしたか
誰と当たっても自分より強い人しかいないと思うし、どうせ当たるならそういうトップの人とやりたいなと思っていたので、楽しみだなというのはありました。
ー今大会全体を振り返って
初めて出たのですが、やっぱり普通の試合とは雰囲気が違って。自分はいつも通り楽しくできたのですが、やっぱり独特な雰囲気があったなと思いました。
ー学生最後の大会でした
自分は来年からまた実業団でやらせてもらうのですが、インカレ終わってからすぐ日本リーグがあって、また総合があってって感じだったので。あんまり最後というよりかはやっと終わったなっていうのがやっぱり最初はありましたね。
ーこの1年はどんな年になりましたか
1番上の代になって野村と組むってなって。やっぱり1年生だから、自分が最初は引っ張ってやろうという立場だったのですが、やっぱり最終的には、勝ちたいから同じ目線でやっていけたと思います。野村と組んで関東選手権も優勝させてもらったし、それでインカレもベスト8といういい成績を残せて、総合にも連れていってくれて。だから、今は本当に野村に対しては感謝の気持ちしかないし、ありがとうございました、お疲れ様でしたって言いたいですね。チームとしては自分はキャプテン、副キャプテンに頼りっぱなしで、練習の中でもあんまり引っ張っていくことはなかったのですが。でも、こうやって結果残すことで少しでもチームの士気が上がればいいなと思っていて。言えない分、自分は結果を残していければいいかなと思ってやっていました。
ー大学4年間を振り返って
色んなことがありました。誰かのために戦うというのが大学入るまではなかったのですが、大学に入ってからは、チームのために監督のためにっていうのをずっとやってきて。そういうことを教えてくれたのも須賀さんだったし、須賀さんが今年最後だったので、自分なりの恩返しはできたかなと思うし、またこれからも自分が違う実業団に入ってはしまうけど、実業団で結果を残していくことで、また須賀さんに恩返しができたらいいなと思います。一言じゃまとめられないけど、ただただ楽しかったし、今考えれば全部が良いものになりました。
ー法政を選んだ理由は
法政は自分で考えてやるというのが多くて。今まで自分は中高と人に頼りっぱなしで、監督のアドバイスに頼ってばかりでした。それじゃあダメだなと自分でも思っていたので、少しでも自分で考える力を身につけたいということで法政を選びました。あとは比叡山の先輩の三浦さんだったり、堀田さんがいて。そういう人たちがいたというのも一つの要因だったかなと思います。結果的にここに入って、自分で考えてバドミントンをやる、相手の嫌なところ嫌なところっていうのを色々と考えられるようになったし、視野が広げられたなと思いました。
ー先ほどお話しにもありましたが、先日実際に日本リーグに出てみていかがでしたか
自分の中では、今年はインカレに全てを懸けていたというのがあったので、モチベーションを考えるのがすごく難しくて。たぶん一緒に出ていた日光もそうだったと思うのですが。けど、出るからには勝たないといけない、会社を背負っているという責任がやっぱり大学とは違うので、大学よりも責任が重いなというのは感じました。雰囲気があまりわからない状態で、自分は自分なりに楽しめましたが、来年以降は責任が違ってくると思うので、今まで以上に自覚しないといけないなと思わせてもらえた大会だったと思います。
ーこれから、どんな選手を目指していきたいですか
先輩の堀内(研人=日立情報通信エンジニアリング)さんが言っていた言葉で、人に応援される選手になれって言っていたので。人に応援されるような選手になりたいです。
ー最後に、今までそしてこれから応援してくださる方々に向けて
やっぱりチームメイト、家族、監督、コーチ、OBの方々など全ての人に対して、本当に感謝しかないです。自分がバドミントンをここまでやってこれたというのはその人たちがいたから今の自分がいるし、だから一言じゃ表せないけど。本当にありがとうございましたって思います。それで、これからはさっきも言いましたけど、人に応援されるような選手になってまたいい報告ができるように頑張ります。
野村拓海
ー試合を振り返って
社会人相手に普通に負けてしまったんですけど、これを自分の経験としてしっかりこれからの練習に生かしていきたいです。また来年も総合に出て、次は1回戦も勝てるようにこれから頑張りたいと思います。
ー相手は去年の準優勝のペアでしたが戦ってみて
基本的なコート内の動きの速さとかタッチの速さとか全体的に一歩上にいかれていました。
ー試合に臨む前に河崎選手と話されたことなど
須賀さんにも、(相手が)強いっていうことは分かっているから自分たちらしくやれ、とは言われていました。自分もそう心がけていて、多分河崎さんもそういうふうにやっていたので、自分たちらしくっていうことは心がけてできたと思います。
ー去年も全日本総合に出場されていましたが、今年と去年で何か違う点はありますか
去年は初めての舞台で緊張して、自分からミスをしたり自分のプレーを出せないまま負けて終わったという感じでした。それに比べると今年は去年出場した分、緊張もあまりしなかったので、少しでも自分たちらしいプレーは出せたのかなとは思っています。予選で1試合やっていたということもあるんですけど、予選もしっかり勝てたので。全く緊張していなかったというわけではないんですが、去年より気持ちは楽にできたのかなと思います。
ー今大会を通して得られた課題点や逆に自信となった点は
そんなに「これがよかった」というところはなかったんですけど、去年の準優勝の相手とやらせてもらって、コート内のスピードとかサーブレシーブの間合いとか本当に全部がまだまだ足りていないと感じました。自分は1年生で、あと大学3年間まだまだ練習できるので、まずしっかりトレーニングを積み重ねて体を鍛えたいです。そしてインカレでベスト4や優勝を目指してしっかり頑張って、また総合の権利を獲得して、その時に自分がどれだけ成長できたのかを確かめられればいいのかなと思います。
ーこの冬には具体的にどのようなトレーニングに取り組みますか
基本的にはキャプテンが決めるトレーニングをしっかりやるのは当然なんですけど、ウエイトやランニングのような自分でできることを精一杯やって、できるだけ自分を追い込んで基礎レベルを上げられたらいいなと思います。
ー4年生が引退し、新体制となります
まだ自分は誰と組むかもわからないのですが、誰と組んでも自分が今回総合に出場したという経験を生かして自分が引っ張っていけるように強くなりたいと思います。誰と組んでもしっかりインカレ団体で優勝を狙えるように。個人戦でもしっかり上位にいけるようにまず自分自身がレベルを上げられたらと思います。
ーペアを組んできた河崎選手に向けて
4年生と1年生で組むことはあまりないと聞いたんですけど、河崎さんが自分と組みたいと言ってくれて、そんな感じで組ませてもらいました。関東選手権で優勝して、リーグ戦も出させてもらって、インカレベスト8で総合出場まで…河崎さんのおかげでここまでこられたと思うので本当に感謝しかないです。1年間しか組めなかったというのは残念なんですけど、今度はこれから自分が引っ張る側になるので、自分がさせてもらった経験を後輩や全日本総合を経験していない人に自分がさせてあげられるくらい強くなって引っ張ってあげられるように頑張りたいと思うので、また次でも頑張ってくださいと伝えたいです。
ー4年生に向けて
自分は1年目で法政のことは全然わからなかったんですけど、そういう時に4年生や上級生に優しくしてもらって、法政というチームに馴染めたのかなと思います。なんて言えばいいかわからないんですけど、河崎さんだけじゃなく、4年生やいろんな人の力のおかけでここまで来られたと思うので、本当にありがとうございました、という感じです。
ー最後に来季への意気込みを
自分自身が強くなるということと、その上で結果を残すということが一番大事だと思います。まずは一つでも優勝を多くできるように頑張っていきます。
フォトギャラリー
- 河崎(写真右)・野村ペアは、強敵相手に奮闘するも敗れた
- 予選では社会人選手を相手に快勝した
- 常にコミュニケーションをとることを欠かさない
- 1回戦敗退となったものの、力を出し切りすっきりとした表情をのぞかせる
- スマッシュの応酬になんとか応戦するも敗れた藤野(写真左)・西川ペア
- 予選では手に汗握る接戦を制し本戦出場を決めた
- スマッシュを打つ藤野(写真奥)と相手の攻撃に備える西川
- 2人の安定感あるプレーは今季何度もチームを救ってきた