【陸上競技】第95回東京箱根間往復大学駅伝競走 往路 アオキ劇場再び!5区7人抜きの快走で目標圏内の5位折り返し!!
第95回東京箱根間往復大学駅伝競走
2019年1月2日(水)
東京都・大手町 ー 神奈川県・芦ノ湖
歴代でも指折りの戦力が整いながらも、それ以上の他校の層の厚さに苦戦し4区終了時で12位に位置していた法大。だが、往路最終区間の5区で、前回区間賞の青木涼真が再び魅せてくれた。
区間3位と、その走りにこそ本人は納得はしていないが、7人を抜いて法大を目標圏内の5位にまで押し上げる快走。学生界屈指のゲームチェンジャーが、総合5位に向けて弾みをつける結果をもたらした。
試合結果
往路成績
順位 | 大学名 | 記録 |
---|---|---|
1位 | 東洋大 | 5時間26分31秒 |
2位 | 東海大 | 5時間27分45秒 |
3位 | 國學大 | 5時間29分15秒 |
4位 | 駒大 | 5時間29分59秒 |
5位 | 法大 | 5時間31分36秒 |
6位 | 青学大 | 5時間32分01秒 |
7位 | 順大 | 5時間32分05秒 |
8位 | 拓大 | 5時間32分08秒 |
9位 | 帝大 | 5時間33分30秒 |
10位 | 中学大 | 5時間33分32秒 |
11位 | 明大 | 5時間34分14秒 |
※10位までがシード権を獲得
往路個人成績
区間 | 選手名 | 記録 | 区間順位 | 通過順位 |
---|---|---|---|---|
1区(21.3㎞) | 佐藤敏也(社3) | 1時間02分43秒 | 5位 | 5位 |
2区(23.1㎞) | 坂東悠汰(スポ4) | 1時間09分01秒 | 12位 | 11位 |
3区(21.4㎞) | 岡原仁志(経3) | 1時間04分24秒 | 14位 | 13位 |
4区(20.9㎞) | 狩野琢巳(社4) | 1時間03分59秒 | 10位 | 12位 |
5区(20.8㎞) | 青木涼真(生命3) | 1時間11分29秒 | 3位 | 5位 |
戦評
出場校がオープン参加の関東学連を含む23チームとなり迎えた平成最後の箱根駅伝が、2日・午前8時に一斉に東京・大手町をスタートした。
1区を任されたのは前回2年連続で6区3位と活躍した佐藤敏也。各校のスピードスターが起用され例年稀に見るハイレベルな区間賞争いが予想された1区は、序盤こそスローな入りとなったが、距離を重ねるごとにスピードが上がっていく。佐藤も負けじと最後まで粘りの走りを見せ先頭集団に食らいつき、先頭の西山和弥 (東洋大)から8秒差の区間5位で終えた。自身も「やるべきことはやった」と語ったように、初めての1区で見事な走りを見せ、素晴らしい流れを作ってエースに襷を繋いだ。
『花の2区』と称されるこの区間に、今年もエース坂東悠汰が挑んだ。坂東は区間序盤、6人の4位集団を形成。その集団の先頭に立ちながら、仕掛けるタイミングを見計らっていた。しかし、15㌔を過ぎたあたりから、梶谷瑠哉(青学大)らについていくことができず、集団から脱落。後続の選手にも抜かれてしまい、総合11位で3区・岡原仁志(経3)に襷リレー。しかし、坂東は「出せる力は出し切れたのでよかった」と、順位を落とす結果になってしまったが、悔いのない走りを披露した。
法大ラストランとなった坂東
3区。戸塚中継所でエース坂東から襷を受けたのは前回7区を走った岡原。序盤は安定したペースで走り、5.5㌔地点の遊行寺坂地点を11位で通過する。しかし、「前半に少し突っ込みすぎた」とレース後に岡原が語ったように後半になるにつれ徐々にペースが落ちていく。その後、2人に抜かれ順位を落とすも、粘り強い走りで前の選手との差を離されることなく総合13位、区間14位で4区の狩野琢巳(社4)へ襷を繋いだ。
4区。平塚中継所で岡原から襷を受けたのは箱根駅伝初出場の狩野。「気負わずに自分のペースで走ろう」と挑んだ初めての箱根駅伝では、落ち着きのある走りを披露した。「序盤はペースを抑えすぎた」と8.9㌔地点の二宮では区間19位で走る。しかし、「沿道の応援の声が力になった」と徐々にペースアップ。10㌔から15㌔のラップを10秒以上上げると、最後は苦しい表情を浮かべながらも、11位の順大と並走し小田原中継所では区間10位、総合12位で襷リレー。順位を一つ上げた。「64分から64分30秒くらいが目標」と坪田監督に言われていた狩野は、目標を上回る1時間3分59秒(63分59秒)で走りきり、青木涼真(生命3)に襷を繋いだ。青木までいかに良い流れを作れるかが往路の鍵だったが、「青木も『前を抜く選手を残して欲しい』と言っていたので、ちょうどいいところで渡せたかなと思う」と狩野はレースを振り返った。狩野には12歳離れた妹がいる。妹が幼い頃、狩野が走れなかったとき「本当は速いけど、けがで走れない」という狩野の嘘を信じてくれた。しかし、妹の年齢が上がるにつれ、「本当は走れないんでしょ」とその嘘が通用しなくなった。「走っていることを見せられた。楽しかったです」。最後の箱根で、20.9㌔を走りきるカッコいい『お兄ちゃん』の雄姿を見せつけた。
去年5区区間賞を獲得した青木は、今年も5区に登場。昨年に引き続く区間賞獲得に期待がかかった。総合5位以上を目標としている法大にとっては少し出遅れた12位での襷リレー。だが「抜く相手が前にいてほしい」と語る青木にとっては、絶好の舞台が整った。前半から突っ込むことを意識したという今大会では、前を走る大学を軽々と抜き去り、7人抜きという神ががった走りをみせつけ、5位でゴール。惜しくも区間賞とはならなかったが、昨年自身が樹立した区間記録を上回る走りを見せた。レース後「順位を上げるという仕事はできたが、僕より速く走っている選手がいるので、悔しさを忘れずトラックシーズンも臨んで行きたい」と悔しさと今後の意気込みを語る姿勢からは、エースとしての責任感が伺えた。青木の昨年を越える更なる成長に期待だ。
(髙橋尚輝、須藤大樹、草野慧、藤原陸人、近藤のぞみ)
5区3位の青木
監督・選手インタビュー
坪田智夫駅伝監督
―往路を振り返られていかがですか
往路5位ということで終えることができたのですが、前と少しタイム差があり難しい順位だと思います。
―佐藤選手を平地に起用した意図とは
総合5位以上という目標を掲げていて、佐藤と青木が5.6区で並べば例年通りシードに持って行けたと思います。しかし高い目標を掲げているからにはやはり、前半流れにのせて勝負に出る必要があります。なので佐藤を前半に置いて流れに乗って山に向かうという戦略でした。
―佐藤選手が平地に起用できた要因としては、坪井選手が好調だったということでしょうか
ある程度目処が立ったというところです。佐藤よりかは若干劣る計算をしているのですが、その分青木が状態がよかったので、5.6区の合算タイムで考えた時に補えると思います。また佐藤が平地に回ることのメリットの方が大きいと考えたのでこういったエントリーにしました。
―坂東選手が本調子でないように感じました。いかがですか
決して悪い状態ではなかったと思います。しかし周りが強かったということが正直なところで、我々が設定したタイムより良かったです。準備をしっかりとさせてあげられなかったところも関係していると思います。
―狩野選手、岡原選手の走りはいかがでしたか
今日のポイントとしては、岡原が内容が非常に良くなかったです。設定タイムが1分悪かったので、4.5区に影響してしまったと思います。なので3区が正直厳しかったです。狩野に関しては冷静に4年生らしい走りをしてくれました。復路も4年生がポイントとなってくるので、彼の走りが刺激になったと思います。
―復路のキーマンは
4年生ですね。往路では坂東と狩野がしっかりとやってくれて刺激になったので、明日もやってくれると思います。復路では7区の土井、9.10区にも4年生を配置すると思うので彼らにしっかり走ってもらいたいです。
―復路の意気込みをお願いします
シードはもちろん、その上の5番をとらせてあげたいのでチーム一丸となって5番以内を目指していきたいです。
佐藤敏也(1区)
ーレースを終えての率直な感想は
監督からは区間賞じゃなくていいからしっかりと前に近い位置で襷を渡すようにということを言われていました。最後危なかったですが、なんとか仕事をできたかなと思います。
ー当日のメンバー変更に関して
前もって平地のことは言われていました。緊急事態などあれば下りも走るということだったのですが、自分は平地で走るつもりだったので特に不安はなかったです。
ー1区を走ることは前もって決まっていたということですか
1区か2区でした。下りに関しては2回走っているので、急遽走れと言われても問題なかったです。
ー1区を走る上で意識したことは
無駄に体力を使うのではなく自分の走りやすいリズムの選手と合わせて付いていくことをずっと意識していました。全日本1区を走った青木から「1区は1番最初に飛び出た選手が負け」と言われていたので、それが良いアドバイスでした。
ー監督からの指示は
余計な力を使わず前の選手にリズムを合わせて誰かが仕掛けたときに一気に行くのではなく徐々に詰めていくように、あとはお前に任せると言われていました。
ー走る前のコンディションは
寒すぎず暑すぎずでした。
ー走る前に意識していた選手は
1区は見るからにレベルの高い選手が集まっていて全員が敵だと思っていたので特にはいなかったです。
ー高校時代の先輩山藤篤司選手(神奈川大4年)と同じ1区でしたが何かお話されましたか
直前に頑張りましょうと話しました。山藤先輩は高校時代から勝ったことがなく勝てる気がしないほどの上の存在だったので、今回やっと肩を並べることができたのかなと思います。
ー復路の選手に向けて
チーム全員の調子が非常に良いので、全員が力通りのことを発揮してくれれば絶対に目標を達成できると思います。この後は安心して見て応援します。
坂東悠汰(2区)
-走り終えて今の率直な感想をお願いします
1区の佐藤が本当に良い位置で僕につないでくれて、5区には青木が控えているので、自分も良い位置でつなげようという気持ちで走りました。
-中盤から苦しい走りになりましたが最後は粘りが見られました。今日の走りを振り返っていかがですか
目の前に青学大の梶谷(瑠哉)がいたので、しっかりついていこうという気持ちで走りました。15㌔過ぎから離れてしまい、苦しい走りになってしまいましたが、自分が持っている力は全て出せたので、悔いはない走りができたと思います。
-駅伝シーズン全体を振り返っていかがですか
出雲は本当に苦しい走りになってしまいましたが、全日本では復調してきて良い兆しが見えてきたので、箱根は自信を持って望むことができました。結果的に目標の順位とはなりませんでしたが、しっかりと出し切れたので良かったと思います。
-これまでエースとして第一線で活躍されてきました。4年間を振り返っていかがですか
様々なことがありましたが、ファンの方々や友達、家族、色々な方々に支えてもらい、やってこれた4年間でした。本当に良い4年間でしたし、エースと言ってもらえるまでに成長でき、坪田監督をはじめ、スタッフの方々には感謝しています。
-支えてくれた家族に伝えたいことは
地元は兵庫ですが、4年間箱根に足を運んでくれて、沿道ですごく大きな声で応援してくれました。本当に力になりましたし感謝しています。
-坪田監督に伝えたいことは
前回と今回の2回、2区を走らせていただいて、坪田さんの記録を目標にしていました。それには敵わなかったのですが、坪田さんはすごいなと改めて感じたと同時に、坪田さんの元で4年間やれて本当に良かったと思います。
-後輩に期待することは
青木や佐藤をはじめ、頼りになる後輩がたくさんいるので、これからも期待したいと思います。
-この後に控える選手に一言お願いします
今年は、10人と言わず16人の力のあるメンバーがそろっているので、自分は最後までしっかりと応援をして、大手町で全員笑顔で喜び合えるようにしたいと思います。
-最後に応援してくださった方々にメッセージをお願いします
今日だけでなく、4年間色々な場面で応援していただき本当に力になりました。自分はこの箱根駅伝で引退となりますが、これからも競技を続けていくので、自分の応援と法政大学の応援をよろしくお願いします。
岡原仁志(3区)
ー今日のレースを振り返って
最初の10kmは調子よく良いペースで走ることができましたが、少し突っ込みすぎてしまって後半ペースが落ちてしまいました。結果的にチームに迷惑をかけてしまって申し訳ないです。
ーエースの坂東選手からタスキを受け取りました
坂東さんとは日頃から仲良くさせて頂いて、また坂東さんにとって最後の箱根だったのでその思いを背負って走ろうと思いました。
ーレース前のコンディションは
悪くはなかったです。
ー3区を走るうえで意識したことは
スピード区間なのでペース配分を丁寧に考えるとかよりもいけるところまで頑張ることを意識しました。
ー監督からかけられた言葉は
昨年の3区が細川さんだったのでその時のタイムよりはいいタイムで平塚中継所に来るように言われました。
狩野琢巳(4区)
ー今日のレースを振り返って
初めての箱根駅伝で色んな人に応援してもらって、力になりました。楽しかったです。
ー4区のレースプランは
前半がアップダウンが激しくて、後半は上りなので、後半になるべくペースを上げられるレースプランを立てていましたが、最初は抑えすぎたかなと思いました。ただ、「64分から64分30秒くらいが目標タイムだ」と(坪田)監督から事前に伝えられたので、ペース通りに走れたと思います。
ー一つ順位を上げて12位で襷を渡し、区間順位は10位でしたが
出来れば最後はちゃんと抜かして襷を渡したかったなと思います。「拓大と一緒にゴールするのが仕事」と監督に声をかけられましたが、達成出来ず悔しかったです。
ー岡原選手から13位で襷を渡されましたが、渡された時を振り返って
事前に色んな記録を見たときにそんなに気張って頑張らなくても、3分ペースでしっかり走れれば目標としてるタイムや区間順位を達成できると思っていました。なので、貰ったときは気負わずに自分のペースで走ろうと考えていました。
ー最初で最後の箱根でした。他の三大駅伝と比べて感想は
人の多さに驚きました(笑)。やっぱり、すごかったです。全然雰囲気が違いました(笑)。
ー青木選手に襷を渡すときは何を言いましたか
「ファイト」と。結構きつくてまともなことを言えなくて(笑)。前回は坂東に「ファイト」と言うつもりが間違って「ありがとう!」と言ってしまって、坂東も笑っていました。僕も「ありがとうって何だよ」と思っていました。今回は「ファイト」だけは言おうと思ってて、ちゃんと言えました(笑)。
ー沿道の応援の声は聞こえましたか
同期がどこにいるかは教えてもらっていて、あまり有名な選手ではないので、「狩野」と言ってもらえて気づきました。
ーツイッターで、「12歳離れた妹さんにはちゃんと走らないと喜んでもらえない」という情報を知ったのですが、妹さんに良い報告は出来そうですか
走ったので、多分大丈夫だと思います(笑)。今までは「速いんだけど、けがして俺走れないんだぞ」みたいなこと言ったら、「そうなんだ」とか言ってくれましたが、小学校5年、6年生になると嘘は通じないですね(笑)。「本当は走れないんでしょ」みたいな感じで…(苦笑)。
ーでも、今回はちゃんと走りました
そうですね(笑)。走っていることは見せられました。
ー5区に青木選手にいかに良い形で渡すかが、往路の鍵だったと思います。良い形で渡せましたか
青木も「前を抜く選手を残して欲しい」と言ってたので、そういう意味ではちょうど良いところで渡せたのかなと思います。
ーこれからの法大に頑張って欲しいことは
この後10区の鈴木亮平(経4)の給水があるので、今度はしっかりサポートして、後は四年生に頑張ってもらいたいです。
ーファンに一言お願いします
沿道の応援の声が大きくて、力になりました。10㌔から15㌔のラップが10秒以上上がったのですが、大きな声援を頂けたおかげです。そこが一番法政を応援する沿道の方が多かったです。本当にありがとうございました。
青木涼真(5区)
―今回のレースを振り返ってみていかがでしたか
前半は突っ込んでタイムを伸ばそうと思っていたのですが、気負いすぎてしまって中盤以降全然動かなかったです。課題が多く残るレースでした。
―どういったレースプランで走られましたか
前回の箱根では走り終わった後も余力が残ってしまっていました。なので、今年は前半から頑張り、そのまま粘って前回より良いタイムで走ろうと考えていました。
―12位で襷が渡った時の心境は
しっかり前との差も詰めてきてくれていて、前も見える位置だったので走りやすかったです。1から4区の人がしっかり走ってくれたおかげです。
―1区での佐藤さんの快走は刺激になりましたか
僕は宿で佐藤が走り終わるまで見ていて、付き添いの人と部屋で騒いでました。
―プレッシャーなどはありましたか
沿道などの声も、前回と比べてもすごかったです。色々と期待してくださる方が多いので、プレッシャーももちろんあったのですが力になりました。
―区間賞は獲得できませんでした。しかし区間新記録ということでいかがでしょうか
前回よりは力がついていたので、前回を超えることができるのかなとは思っていました。順位を上げるという仕事はできたのですが、僕より速く走っている選手がいるのでここから1年間トラックレースでも悔しさを忘れずに挑んでいきたいです。
―区間3位ということについて
今回負けたことについて、実はホッとしています。来年は今年と比べると期待度が下がると思うので、僕は期待されずに無視されるくらいの方が走りやすいので来年はうまく走れるのではないかと思います。
―復路のメンバーに一言お願いします
総合5位以上の望みは繋がっていると思います。復路は今までの中で一番良いメンバーが揃っているので、明日は安心して応援しようかなと思います。
フォトギャラリー
- 5区青木
- 1区佐藤
- 2区坂東
- 3区岡原
- 4区狩野