【硬式野球】他大学インタビュー 東京大学野球部①~浜田一志監督、辻居新平選手、小林大雅選手~
2019年3月14日(木)
東京大学野球部グラウンド
4月13日に初戦である東大戦を迎える法大野球部。着々と準備が進む中、弊会は対戦相手である東大野球部にインタビューを敢行した。今回は、チームの指揮を執る浜田一志監督、主将の辻居新平選手、副将の小林大雅選手に話を伺った。
監督・選手インタビュー
浜田 一志 監督
ー昨年を振り返って
昨シーズンは20連敗ということで、チーム打率も1割4分くらいでしたね。ただ、エラーはそんなに出ていなかったです。結局打てなかったという。投手に関してはビッグイニングを作られることが多かったと思います。1イニングに3点以上取られるケースというのが多くあって。前半に相手の調子に載せてしまって、そのまま自力の差がそのまま出てしまったという試合が多くなってしまったというのが、反省です。
ー今季のチームの特徴は
今年のチームの特徴は『2トン打線』です。ベンチ入り25人の体重が合計2トン。特徴はそれです。それから、ベンチプレス100kg打線です。100周年でもあるので(笑)。そういう形で、要するに去年よりも長打力をつけようという意識でやってきました。
ーその中で伸びている選手は
武隈光希という、ファーストをやる選手がいるのですが、彼は非常に伸びましたね。オープン戦でホームランも出てますし。
ーオープン戦の調子は
まだ全然試合ができていないんですよね。雨でずっと流れてしまっていて。
ーキャンプではどのような練習を
キャンプは福岡の方でしっかりやりましたね。優先的にやったのは守備力です。勝つための必要条件が2つあって、1つが自滅しないこと。もう1つが長打力なんです。キャンプではこの2つに絞ってやりました。ですので、特守、特打ちでは遠くに飛ばすことを意識してやりました。ですが、キャンプでも雨が多くて、室内で打つ方はできたのですが、特守があまりできませんでしたね。
ー守備の面で軸となる選手は
それはもう、セカンドの新堀(千隼)ですね。下級生の頃から軸でありますし、今年も守備の要ですね。守備面の課題といえば、キャッチャーです。新しいキャッチャーが欲しいというところです。去年は三鍋(秀吾、平30年度卒)がやっていて、東大のキャッチャーは、3年生、4年生という2年間で正捕手になるということが続いてるんですよね。今年がその切り替えの時期で、3年生になるのか、それとも2年生になるのか、まだ決めかねているところです。
ー具体的に候補は
新2年の大音(周平)、水越(健太)、それから新3年では加見(伊於理)です。その3人で今のところは考えていますね。
ー外野手では辻居新平選手がプロでも注目されています
今年の外野の軸となるのは間違いないですね。プロに行くレベルかどうかというのは、周りが評価しすぎかなという風に思っています。ただ、3割を2つのシーズンで打ってますし六大学の中でも良い選手だというのは間違いないと思っています。
ー法大の印象について
法政はU-18の代表が何人もいますよね。東大は高校代表と言ったら数学オリンピックしかいないですから(笑)。それで野球で試合しようということは、考えてみればおかしいですね(笑)。そういう印象です。
ー具体的に警戒する選手は
機動破壊の相馬(優人、営4)君ですね。投手だと朝山(広憲、法4)あたりが今年、化けるような気がして怖いですね。
ー法大と戦うにあたって意識することは
それはピッチャーと球が速いから1、2の3で山張って打ちにいきましょう、だとか、ピンチの場面では1点はしょうがないという風にして、謙虚な姿勢で臨むようにはしています。
ー今年の東大のスローガンについて
『旋風』です。スローガンには2種類あって、「結果」を設定するときと、「手段」を設定するときがあります。一昨年は『下克上』と書いていて、これは「結果」でした。この年は成功して、去年は『一丸』にしていました。これは「手段」の部類に入ります。それで、失敗してしまったので、今年は「結果」に戻しました。『旋風』というのは、旋風を巻き起こすぞ、という結果を表しています。『下克上』と内容が被らないように、良い言葉ないかなということで考えて、この言葉にしました。
ー今季のチーム目標は
最下位脱出です。そのためには勝ち点1つとあともう1つくらい勝たないと実現しないので、それを目指します。
ー最後に今季に向けた意気込みをお願いします
最下位脱出します!頑張ります!
(取材:山﨑有馬)
浜田 一志(はまだ・かずし)
1964年9月11日生まれ
高知県・土佐高→東大
『東大野球部では外野手としてプレーし、4年次は主将も務めた。その後大学院修士課程終了後、新日鉄に就職し、’94年には独立し「Ai 西武学院」を設立。’13年に東大野球部に就任し94連敗を止め、’17年にはチームを15年ぶりの勝ち点奪取へ導いた。』
辻居 新平 主将
—チームとして昨年を振り返って
昨年のチームは結果としては1勝もできなかったというのがあって、本当に非常に悔しい思いをしたので、そこに関しては新チームでは何とか早くまず1勝を確実にできるようにやっていきたいと思っています。
—個人として昨年を振り返って
春は最初良かったんですけど、ちょっと最後落ちてしまって、そこも悔しかったので、秋に関してはシーズン通して3割を超えていたので良かったかなと思っています。
—昨季は盗塁6つ(リーグ1位タイ)の成績を残しました
そもそも技術として上がったというのもあるし、打順が変わったので、だいぶ走りやすい状況でもあったのかなと思います。
—今季も盗塁は意識しますか
そんな簡単にはさせてくれないと思うんですけど、でも、やれる時には常に狙っていきたいなと思っています。
—シーズンオフの間、重点的に取り組んだことは
個人としては、送球を強くすること、あとはバッティングです。
—オープン戦での調子は
僕自身、ぼちぼちという感じではあります。
—チームとしては
チームとしては悪くはないんですけど、もうワンランク、ツーランク上がっていかないと、やっぱり他大学には及ばないかなというところではあるので、まだここから成長していかなければならないと思います。
—チームの現在の課題は
守備、攻撃どっちも課題はあるんですけど、まず、ピッチャーがしっかりそれぞれが出たイニングで仕事を全うするというところと、攻撃に関しても序盤からしっかり良い攻撃をして得点を入れるということになってくると思います。
—改めて、ご自身の持ち味、アピールポイントは
やっぱり、スピードが第一であるとは思っていて、足を活かしたプレーというのは必要だと思うんですけど、チームの状況だったり、今後の課題も踏まえるとやっぱり長打力というか、そういうところも春にはアピールしていきたいなと思っています。
—監督が外野の主軸に辻居選手を挙げられました
自分が一番出た経験が多いとは思いますし、チームを引っ張っていかないといけない立場ではあると思っているので、そこに関しては自分も自覚をして、積極的にやっていきたいなと思っています。
—今季から主将に就任しましたが、思い浮かべる『主将像』は
基本的にいろんな形があると思うんですけど、僕自身の選ばれた理由を踏まえた上で自分が目指していきたのは、自分が一番先頭で走っていくというか、自分が練習でも一番上手くなって、それを周りのチームメイトが負けじと追ってくる、その先頭に立っていたいなと思っているので、まずは自分が上手くなって、春も一番結果を出したいなと思っています。
—今年の法大の印象
ピッチャーは菅野(秀哉、現東京ガス)さんが抜けたと思うんですけど、でも、エースの三浦(銀二、キャ2)君だったりとか高田(孝一、法3)君だったりとかが残っているので、そこは戦力的にもあなどれないというか、やっぱり強いとは思います。バッターも主軸の中山(翔太、現東京ヤクルト)さんだったりとか向山(基生、現NTT東日本)さん、その他結構4年生が多く出ていたとは思うんですけど、でもその方たちが抜けても、やっぱり良い戦力がたくさんそろっているとは思っていて、本当に強いチームなので、なんとかその差を埋めると同時に良い試合ができたらなと思っています。
—今年の東大のキーマンは
自分がしっかりしないといけないのかなというところはあるので、それ以外にも活躍してほしい人はたくさんいるんですけど、まずは自分がしっかりする、そういう意味では自分がキーマンというか、この春一番成長していかないといけないのかなと思っています。
—今年のチームの目標は
チーム目標として、去年から新チーム発足以来挙げている4勝というのをまず一つの目標であることには変わりないので、まず確実に4勝というのを春に達成できたらなと思っています。
—今年の個人の目標は
まずしっかり3割打つというのがあって、それもなかなか難しいことではあるとは思うんですけど、まずはしっかり3割打った上で、去年やっぱり長打が少なかったので、複数本塁打を打っていきたいなと思っています。
(取材:安達拓馬)
辻居 新平(つじい・しんぺい)
法学部3年 1997年7月16日生まれ
神奈川県出身・栄光学園
177㎝75kg・右投右打
『三拍子そろったプルヒッター。昨秋リーグで自身2度目の打率3割越え、6盗塁の成績を残し、今季から主将に就任。チームをプレーで先導し、赤門旋風を巻き起こせるか。』
小林 大雅 副将
—昨季を振り返って
夏に台湾とかを経験した中で、秋はちょっと悔しい結果でした。いっぱいイニングは投げたんですけど、結局勝ちにはつながってないので悔しかったです。
—昨季は9試合中、1試合が完投でした
自分は長いイニング投げることが向いてるかなと思うので、しっかり完投する体力をつけていく中で完投できたことは良かったかなと思いました。エースとして投げるのであったら全試合投げるつもりで、と思っているので今後も長いイニングを投げれるようにすることを目標にしていきたいです。
—体力には自信がある
体力に自信があるというかは試合の中で修正できるというか、試合の中でコツをつかんでいくタイプかなと僕は思います。その意味で長いイニングを投げることが向いていると思いました。
—オフにはどのような取り組みを
自分の持ち味である緩急とかは良いとして、ストレートの球威だとかがまだまだ足りないので、そこはトレーニングで投げ込みました。それで六大学のストレートのレベルに少しでも近づければなと思っています。
—法大打線の印象は
爆発力があるというか、どのバッターにも下手したらホームランを打たれてしまうような勢いのあるバッターが多いので、すごくそこは気を抜くところがないです。
—オフの東大投手陣のでき栄えとしては
1人1人しっかり腕を振ることを意識しているので、それで結構球速が上がった投手もいますし、長いイニングを投げられる人がどれくらい出てくるかわからないですけど、ロングにせよショートにせよ腕をしっかり振るというのはできてきているかなと思います。
—安心できる捕手の存在というのは
結構今、試合で誰が正捕手になるのかあんまりかっちり決まってはいないんですけど、下級生みんな、技術ももちろん、それぞれ良いところもありますし、捕ったときに今のボールがどうだったか、そういう評価をしっかりしてくれるキャッチャーが結構多いです。誰がきても安心、信頼して投げることができるかなと思います。
—ユニフォームが一新されました
六大学って結構伝統あるイメージなんですけど、その中で東大もクラシカルなイメージでした。それはそれで良かったんですけど、東大も100周年を迎えて1番伝統ある野球部が新しいイメージを作っていくというのは、それはそれでおもしろいのかなと思います。
—ユニフォームが変わったことで気持ちの変化などは
100周年といった節目に「僕らが今まで負け込んできた状況を変えていくんだ」といったイメージを変えていく意識みたいなものがついたかなと思います。
—今年はラストイヤーです
あっという間といえばあっという間でした。でも振り返ってみるとやっぱりいろいろなことを経験したし、たくさん試合でも投げてきて、でも1回も勝ちはついてない状況を考えると、最後のシーズンはやっぱり勝ちたいなと。自分に白星をつけたいなと思いますし、チームの勝ちに貢献したいなと思います。
—今年のチームスローガンが『旋風』ということですが
昔、『赤門旋風』と言って東大が勝てた時期があって、それをまたもう一度巻き起こそうということでつけました。今年は下級生も元気があるし、勢いのあるチームだなと思うので、その勢いに乗って『旋風』を起こせたらないいなと思います。
—下級生に勢いがあるということですが、具体的には
いろいろいるので「誰だけ」とかではないんですけど、1個下であれば梅山遼太とか岡俊希です。2年生だと声をめっちゃ出す人もいるんですけど、例えば奥野雄介だとかなんかは野球に対する学習意欲というか、どんどん取り入れていく意識が強くて僕とかに結構質問をしにきてくれるので、そういう意味ですごく伸び代のある選手だと思います。
—『旋風』というスローガンを踏まえ、神宮でどのような旋風を起こしたいか
今までいっぱい投げてきた中で、僕に対するイメージは、球が遅い分変化球だとかゴロを打たせるとかいうようなイメージがついていると思います。それはそれで良いと思いますが、そういう中でもストレートが一段良くなったとか、そういう成長を見せることができたらなと思います。
—現在のチームの雰囲気は
特に下級生の元気があるとか、結構コミュニケーションがよく取れているチームなのではないかなと思います。そういう意味では、試合やって、そのあとの振り返りとかをしっかりやっているので、試合を重ねるごとにまだまだ成長を遂げていくチームだなと思います。
—シーズンを迎えるにあたって東大のキーマンは
野手であれば梅山が去年はそんなに出てなかったですけど、出てくると思います。そういう新しい選手が出てくることにも期待してほしいですし、、今までずっと頑張っていた辻井といった選手などが活躍するところにも期待してほしいと思います。
—自身のコンディションは
合宿でも実践的な練習を早い段階からすることができて、試合向きの練習というか、そういうものができているのかなと思います。コンディションも良くなっているし、試合に向かう感じというのもついてきているかなと思います。
—自身の目標としては
全試合投げるつもりで、チームとしての最下位脱出に勝ち星をあげるという形で貢献できればと思います。
—チームの目標は
『最下位脱出』ということですが、そこについては 今まで僕が入部した段階からずっと目標にしていて、できてこなかったことなので、自分が100周年という節目の年でもあるし、ラストイヤーでもあるのでなんとか達成したいなという思いが強いです。
—最後に六大学の他の大学の選手たちへ意気込みを お願いします
今までいっぱい投げてきて打たれちゃいましたけど、今年はまた新しくなった自分を見せて「こいつなかなかやるな」と思わせたいと思います!
(取材:須藤大樹)
小林 大雅(こばやし・ひろまさ)
経済学部4年 1998年3月5日生まれ
神奈川県出身・横浜翠嵐
167㎝70kg 左投左打
『ラストイヤーの今年は副将に就任。昨年秋とは違う東大を六大学で見せつける。目指すは初勝利、そして最下位脱出の立て役者だ。』