#atarimaeni CUP 決勝 法大ー東海大
2021年1月23日(土)味の素フィールド西が丘
『奪冠』のスローガンの下、戦いを続けてきた法大サッカー部の今シーズン最終戦。4年連続で全国大会の決勝へと駒を進め、今回相対するのは、ここまで明大や順大といった格上を撃破し勝ち進むなど勢いの止まらない東海大だ。20年前の全国大会の決勝と同じカードとなったこの試合も、これまでと同様に法大が主導権を握る。相手陣へ攻め込む時間が長く続くが、得点を奪うことはできないでいると、スコアレスで迎えた後半、セットプレーの流れから一瞬の隙を突かれ失点。同点にすべく反撃に繰り出すものの、最後までゴールネットは揺らせず。準優勝という結果でシーズンを締めくくった。
試合結果
トータル試合結果
0 法政大学 |
0 | 前半 | 0 | 1 東海大学 |
---|---|---|---|---|
0 | 後半 | 1 |
試合スタッツ
時間 | 経過 | 大学 | 選手名 | 得点経過 |
---|---|---|---|---|
62分 | 交代 | 法大 | 田中→佐藤大 | |
72分 | 得点 | 東海大 | 水越陽也 | 0-1 |
72分 | 交代 | 法大 | 竹本→服部 | |
80分 | 交代 | 法大 | 平山→飯島 | |
88分 | 交代 | 法大 | 田部井→佐野陸 |
スターティングメンバー
背番号 | ポジション | 選手名 | 学部・出身校 |
1 | GK | 中野小次郎 | 経済4・徳島ヴォルティスY |
3 | DF | 高木友也 | 経済4・法政二高 |
13 | DF | 城和隼颯 | 社会4・柏レイソルU18 |
2 | DF | 森岡陸 | 現福4・ジュビロ磐田U18 |
23 | DF | 関口正大 | 現福4・新潟明訓高 |
14 | MF | 田部井涼 | 経済3・前橋育英高 |
6 | MF | 松井蓮之 | スポ3・矢板中央高 |
10 | MF | 長谷川元希 | 現福4・大宮アルディージャY |
7 | MF | 竹本大輝 | 経済4・成立学園高 |
9 | MF | 平山駿 | 経済4・三菱養和SC Y |
17 | FW | 田中和樹 | 社会3・浦和学院高 |
サブメンバー | |||
---|---|---|---|
12 | GK | 大塚紀人 | 経済3・三菱養和SC Y |
5 | DF | 宮部大己 | 経済4・法政二高 |
16 | DF | 陶山勇磨 | 現福3・帝京長岡高 |
4 | DF | 鳥居俊 | 理工4・東京ヴェルディY |
8 | MF | 今泉富 | 現福4・浜松開誠館高 |
28 | MF | 佐野陸人 | 現福2・清水エスパルスY |
11 | MF | 服部剛大 | 社会4・横浜FCY |
15 | FW | 飯島陸 | 経済3・前橋育英高 |
20 | FW | 佐藤大樹 | 経済3・北海道コンサドーレ札幌U18 |
マッチレポート
2020年度シーズンもついに大詰め。特別開催の#atarimaeni CUP決勝戦に乗り込んだ法大は、神奈川県リーグ所属ながら明大、順大などの強敵を打ち破ってきた東海大と顔を合わせた。4年連続で全国大会決勝に進出している前者と、20年ぶりの全国制覇をもくろむ後者といった対照的な構図の最終決戦だ。
序盤はいつも通り法大がボールをにぎり、試合を進めていった。センターバックの城和隼颯(社4)、中盤センターの松井蓮之(スポ3)、田部井涼(経3)らで相手のプレスの矢印を外し、前線の選手に当て、落としのボールを回収していく。少しでもライン間にスペースができれば、テクニカルな平山駿(経4)、長谷川元希(現4)、竹本大輝(経4)らが顔を出し、大外からは関口正大(現4)主将が斜めのボールやクロスを供給する。パワーとスピードを兼ね備えた田中和樹(社3)がこの日は最前線で出場し、執拗に裏のスペースへのアタックや、競り合いで東海大のディフェンスにダメージを与えた。3分には関口のクロスの折り返しを松井がエリア内でシュート。チームファーストシュートはゴール上へ外れる。12分にはエリア内でこぼれ球に長谷川が詰め、シュートを放つもゴールわずか右に外れる。何度かカウンターを受ける場面やセットプレーからゴールを脅かされるものの、激しい球際の守備でゴールは割らせない。このまま前半はスコアレスで終了。命運は後半へゆだねられる。
迎えた後半。6分にクロスから長谷川がゴール正面でジャンピングボレーを放つも、これはゴール上へ外れる。その後もゴール前までは侵入するも、これまで幾多の強豪を跳ね返し続けてきた東海大のディフェンスはそう簡単に破れない。61分には馬力のあるFW佐藤大樹(経3)を投入。攻撃に厚みを加える。しかし、決めきれない流れからカウンターを受ける場面がだんだんと増え、セットプレーを連続で受け、流れが東海大へ傾き始める。
試合が動いたのは72分。コーナーキックを一度は跳ね返すものの、再度拾った東海大の選手がペナルティエリア右角から低いシュートを放つと、中野が一度セーブする。しかしゴール正面へこぼれたボールに東海大の選手が詰め、痛すぎる先制点を許してしまう。なんとしても追いつきたい法大は再開後すぐさま佐藤大が裏へ抜けシュートを放つも、ポストに嫌われる。73分に服部剛大(社4)を投入。80分には1回戦、3回戦でゴールを決めている飯島陸(経3)をピッチへ。タイプの違うアタッカーを次々に投入していく。85分にはロングボールで抜け出した飯島がエリア内に折り返し佐藤大がシュートを放つも、ゴールわずか右へ外れる。決定機を迎えるもなかなかゴールをとらえきれない。少しずつ残り時間はなくなっていく。終了間際にはセットプレーでGK中野をゴール前まであげるも実らず、0-1で長い笛。優勝を逃す結果となった。
惜しくもつかみきれなかった決勝戦。『奪冠』のスローガンは実現できず、選手たちにとっては悔しい結果となってしまったことは間違いないだろう。しかし、新型コロナウイルスによる活動休止を経てリーグ戦へ復帰し、破竹の連勝で全国大会出場権を勝ち取り、戦うごとに自信をつけていく法大には夢があった。90分間球際で手を抜かない闘いぶりに勇気づけられた。「後輩たちになにを残せるか」とコメントした関口主将や、難しい世の中の現状を受け、自分たちになにができるかを考えプレーしている選手たちの空気感は、学生アスリートとして理想的な姿だった。まずは2020シーズンを戦い抜いた選手たちをたたえよう。この歴史をこれからの選手たちが受け継ぎ、法大サッカー部の血となり肉となるはずだ。また新たなタイトルの道のりへ、再度立ち上がる法大のこれからに最大の期待を贈りたい。
(記事/撮影・磯田健太郎/宮川昇)
選手コメント
長山一也監督
ー今日の試合を振り返って
まずはこうした状況の中でサッカーをさせていただけて、大学サッカー連盟の方をはじめ、この大会を運営していただいた方々に感謝しております。そういった中で、最後優勝して終わりたかったというのはあるのですが、まあ負けるとしたらセットプレーでやられて負けるのかなというところはあったので、予想通りといったら変かもしれないですけど、そこの対策や準備もしてきた中で、それを上回った東海大学さんの方が優勝にふさわしかったのかなと思います。ただ、クオリティというところで、しっかりと相手を見て、プレッシャーを外してゴール前まで運んでいくサッカーは見せることができたので、そういった法政のサッカーは、今日結果はでなかったですけど、見せることができたというところで、選手はよく頑張ってくれたなと思っています。
ークラスターによる活動自粛明けからここまでわずか2敗という結果になりました
大学をはじめ、多くの方に迷惑や心配をおかけした中で、自分たちに今できることってなんだと考えて、今回の大会名じゃないですけど、サッカーができることが当たり前じゃないということを、クラスターになって経験させていただきました。すごく難しい状況ではあったんですけど、サッカーができることに感謝して、喜びを感じてプレーするっていうところを、学生がプラスに持っていってくれたというか、人間的にもひとつ大人になっていったところが見えました。そういった意味では人生において、すごく重要な時間を過ごしたことによって、その自粛明けの成績に繋がったかなと思います。2敗というのは大したものだなと思いましたし、サッカーの質も、基本的にどのチームに対しても圧倒できる内容ができたので、最後結果には結びつかなかったですけど、すごく学生を褒めたいと思います。優勝できたら一番の恩返しかなと思ったんですけど、大学関係者、大学サッカー連盟の方々、あとは支えていただいた家族を含めて、そういった方に最低限のことは、チームとして見せることができたのかなと思っています。
ー選手が自信をもってプレーできるようになったと感じますが
トレーニングのところから集中力はすごく上がりましたし、上手くいかない状況でも我慢できるようになったっていうところは、すごく成長したと思います。あとはやっぱりサッカーを楽しんでできるようになったというところが、今年の成長に欠かせない、一番のところなのかなと思いますね。
ー攻撃面で圧倒した中でサイドからなかなか攻めきれなかったように見えたが
そこ(サイド)のところは準決勝の後半に修正できたところでもあったんですけど、今日はちょっと足が止まってしまったところがありました。後半にパワーをもっていけるかなと思ったんですけど、そこは連戦の疲れなのか、足が止まって、相手の流れになってセットプレーになってしまったので、サイドが無難に回しすぎたなというところは、もうちょっと工夫してパスを入れて関わりをもってできたんじゃないかなと思います。
ー田中選手を先発で起用した意図は
中1日で佐藤(大樹)と飯島と田中と選択肢があった中で、まあ飯島は足を怪我していたこともあったり、田中も怪我明けっていうのはあったんですけど、相手も守備をしながらラインがバラバラになるところはあったので、彼のスピードを上手く使いながら背後を狙って攻めていきたいという狙いをもって起用しました。
ー今年の4年生の評価
1年生の時から毎年全国大会の決勝に行くということはなかなかできないことだと思います。先輩の支えだとか、いろんなタイミングがあるとは思いますが、法政が強くなっていく段階で、下級生の時から大きく戦力になってくれた代だったので、最後優勝できればよかったですけど、Jリーグに進む選手が多いので、またこの悔しさを発揮してもらって、チームを勝たせられる選手になってほしいと思います。
ー来シーズンのチーム作りについて
3年生も今年すごく成長して出てきた選手もいるので、今後も彼らの特徴を生かしながら、チーム作りをしていきたいなと思っています。
ー長谷川選手への評価と今後への期待を教えてください
もともと技術的には長けた選手だったんですけど、すごくこの4年間で運動量も増えてきましたし、あとはフィニッシュのところ、もうちょっと点を取れる選手になっていくと、怖い選手になっていくと思います。そこの意識も徐々に出てきてはいるんですけど、あとは数字を残せる選手になっていくと、ドリブルで試合の中でリズムを変えられる選手だと思いますし、独特のドリブルもサッカーを見ている人を楽しませることができる選手だと思うので、そういったところは成長してくれば、J2からまた上のカテゴリ―にいける選手だと思うので、今後もすごく期待しています。
高木友也
ー今日の試合を振り返って
後半の最初の5分から10分くらいセットプレーのピンチが続いた中で流れを断ち切れなかったことで失点という形だったので、本当にもったいない試合でした。
ー相手の東海大学は3部相当の神奈川県リーグからの出場から格上を倒してきた勢いのあるチームだったが、試合前チームとして狙ったものはなにか、また実際に対戦をしてみて何を感じた
明大、順大といったチームを倒してきたチームということもあって、自分たちには格下という考えはなかったですし、スカウティングをする上でもセットプレーとロングスローということを最も注意するべきものとしていたのですが、実際にそこから失点してしまったので自分たちの弱い部分が出てしまったのかなと感じています。
ー今大会に限らず、左サイドから前に上がっていってクロスを上げるといったように攻撃の起点として活躍されたが、4年間を振り返って成長した感じる面はどこか
一対一の場面のドリブル突破であったり、パスの部分も成長を感じるところはあるのですが、特に流れを変える力というものをこの4年間で身につけられたかなと感じています。
―12月の八連戦、そこからの1月の『atarimaeni CUP』と駆け抜けてきたが、ここまでの成績を残せた要因とは
やっぱり大きかったのはコロナによってサッカーができることが当たり前ではないという期間の中で、自分含めチーム全体で最後の大会である『atarimaeni CUP』を勝ち抜くにはなにが足りないかを考えられたことでここまで来れたのだと感じています。
ー今季の4年生は法大を強くできた代と感じるがそのことについてはどう思うか
自分には上田綺世(鹿島アントラーズ)という日本代表の自分たちの代のトップという存在がいたことで、そこに近づけるように日々取り組むことができましたし、また関口や森岡も常に自分を高めあえる存在として切磋琢磨できたことがチームで8人プロ内定ということにつながったと思うので、本当に仲間には感謝しています。
ー横浜FCに入ってプロ生活のスタートとなるが、抱負やどのような選手になりたいか
まずは開幕スタメンをとりたいと思っています。開幕スタメンをとれた後は、横浜FCの柱となる選手になりたいです。ゲームを作る部分で引っ張っていく存在になれるように一年目からやっていきたいと思っています。