【硬式野球】進化を続けた“二高の星”赤間梢吾は防御率0.00と有終の美を飾りラストイヤーを締めくくった(秋季リーグ戦振り返りインタビュー②)
赤間 梢吾 投手
――率直に今シーズンのチーム、個人の成績を振り返って
チームとしては、ピッチャーの失点数というのが春からの課題だったんですけど、そこがなかなか治りきらずっていうのはあって。ただ、丸山(陽太、スポ4=成東)がしっかり先発として復帰してからは、丸山、野崎(慎裕、営4=県岐阜商業)で先発を組み立てて、試合を作っていくっていうのはできたのかなと思っていて。特に、慶應戦の最初であったり、立教戦の一戦目という、落としてはいけないところを落としたのが後半に響いて、後半は優勝が狙えない位置になってしまったのかなって思っていたんですけど、法政らしい試合はできたのかなと思っていて、そこまで後悔はない感じですね。個人としては、試合途中であったり試合の後半であったりといった場面で登板して、フォアボールというのは少し出してしまったんですけど、要所要所でしっかりと真っすぐを中心として使うことができて。自分の役割というのはある程度全うできたのかなと思っています。
――オープン戦の最終盤はBチームでの登板で、リーグ戦が始まってからの慶大戦まではベンチ外だった。その時期はコンディション面を含めてどうだったのか
春のリーグ戦が終わってから、自分の中でコンディションを落としてしまって、なかなかAチームとかでも投げる機会はなかったのですけど、リーグ戦に近づくにつれて、B戦だったり紅白戦だったりで自分の中の投げる感覚がでてきて、それをしっかりと見ていただいて、立教戦からベンチに入ることもできたので。ただ、しっかりと慶應戦の最初から合わせられればよかったなとは思っています。
――立大1回戦からベンチ入り。1回戦ではビハインドの展開で2死二塁から打者一人への投球だった。今シーズン初登板時の心境は
神宮の(今季初)登板で、しっかりと抑えて帰ってこれたというのが、(シーズン)後半のピッチングにも勢いをつけることができたのかなと思っています。
――翌日の2回戦では走者を背負いながらも1回を無失点。連投になったがあの試合を振り返って
ロースコアの試合(登板時は0-4)で、点を入れられるのが許されない状況で。ランナーが出た時は緊張したのですが、小林隼翔(2年=広陵)の打球が自分のグラブの辺りに当たって。そこで1回試合が止まった時にしっかりと自分の中でまた落ち着くことができたのが良かったのかなと思います。
――早大2回戦は両者合わせて25得点と乱打戦。法大の投手陣は赤間投手以外が全員失点。あの試合はどのような意識でマウンドに上がったのか
もちろんゼロで抑えたいというのはそうなんですけど。三振とかできれいに打ち取るというよりは、良いテンポ感で短い守備の時間でなんとか後ろにつなげて、攻撃につなげることができたらなという思いで投げていました。
――明大戦は1、2回戦ともにビハインドのピンチでの登板だったが、いずれも無失点に切り抜けた。明大戦を振り返って
立教、早稲田と春は登板の機会がなくて、自分の好きなように投げることができたのですけど、明治は一度、春に先発して、戦ったことのあるメンバーがたくさんでしたので。もう一度自分の中で気を引き締めて。春はスライダーであったりカーブといった変化球を主に使っていたので、その時、調子の良かった真っすぐをどんどん使って、何とか押し切ろうという思いで投げていました。(春に対戦したことでやりづらさや難しさはあったのか)逆に春は4回1失点で、自分の中では満足のいく結果だったので、変に気負わずに自分のピッチングに集中することができたのかなと思っています。
――東大3回戦はラストゲームだったが、どのようなことを考えてマウンドへ向かったのか
野球人生最後のピッチングになるというのを思いながらやっていたので、後悔がないようにしたいなって思っていたんですけど。丸山から引き継がれたところで押し出し(四球)てしまったのがちょっと後悔なんですけど、最後は何とかゼロで抑えられて本当に良かったなと思っています。
――今季通算成績は法大投手陣唯一の無失点で防御率0.00をマークした
失点しそうなタイミングは何度もあったんですけど、捉えられた打球が良いところに飛んでくれたり、守備がいつも自分のことを救ってくれたりといった形で、野手にとても助けられて、なんとか無失点に抑えることができたかなと思っています。
――今季は春季に比べて、より短いイニングでの出番が多かったが、意識していたことは
自分が投げるイニングというのはおそらく短いので、ブルペンであまりセーブしないといいますか、ブルペンでほぼ100%とか120%のところまで球数が少し多くはなるんですけど、そこまで持っていって、自分の体がしっかり温まっていたり、最高のコンディションの状態で、マウンドに登れるように準備するということは心がけていました。(短いイニングを投げる起用法に関して首脳陣から話はあったのか)そういう話とかは特にはなかったんですけど。試合を重ねるにつれて、自分の役割をなんとなく分かってきていたので、そこに合わせて調整していたという感じです。
――野手陣に比べ、投手陣は4年生が中心だったが、4年生はこれで卒業。来年以降期待する投手は
投手としては山床(志郎、文2=高鍋)であったり、山崎(隆之介、法2=横浜)という選手に期待していて、山床の本来の姿といいますか、やっぱり慶應1回戦の6回まで無安打で抑えていったという。あれが本来のピッチングスタイルだったり、テンポ感だと思うので。今は調子を少し落としているかもしれないんですけど、またしっかりこの冬、さらにレベルアップすれば、リーグ戦でも通じるようなエースになってくれるんじゃないかなと思っています。山崎はポテンシャルの部分をすごく感じていて、球速アップの部分はもちろん、変化系の幅の広さというものが日々上達しているのが伝わるので、これからの春に向けて、まだまだ体を大きくしたりしてレベルアップしてくれるのではないかなと期待しています。
――データが少ないとは言え、奪三振率は11.25と春(7.78)に比べて上昇。投球の組み立てなど意識した部分は
春はカットボールであったり、スライダーであったり、横に動く変化球っていうのを多めに使っていたんですけど。この春が終わってから秋にかけてはチェンジアップが自分の中ですごく感覚が良かったので、チェンジアップと真っすぐを中心にしたことで、縦と高さの違いを見せることで三振も増やすことができるのかなって思いで組み立てていたので、そういった結果になった部分は良かったかなと思います。(配球の組み立ては、今季主にマスクを被った井上和輝(法1=駿台甲府)選手と話して決めていたのか)配球の組み立ては、いつも野崎とキャッチボールをしていて、ちょっと立ち投げとかでチェンジアップとか変化球を投げる場面もあったので。そこで自分の強みとかそういった活きるところを野崎から、チェンジアップの落ち幅であったり、真っすぐの伸びっていうのが良いというのを教えてくれたので。それを使って井上と話し合いながら、組み立てていったという形ですね。
――東大3回戦では法政第二高校時代からの同期であり、高校時代からバッテリーも組んできた中岩隼一朗(経4=法政二)選手の神宮初打席はどのように見ていたのか
高校に入った当初から中岩とはずっと、大学で野球をやりたいっていうのを話していたので。 それがついに神宮で一緒に(同じグラウンドに)立つことができて、本当に涙も出るくらいうれしかったです。最後はスリーボールノーストライクになったので、フォアボールになってしまうのかなと思ったんですけど。ストライクゾーンに来て、しっかりと中岩の振る姿を見れて、頑張ってきた姿もずっと見てきたので、本当によかったです。(なにか本人と言葉などは交わされたのか)言葉とかはあまり覚えてないのですけど、最後の試合はありがとうと話したり、抱き合ったりすることが多かったので。この7年間一緒に頑張ってきてよかったなと思っています。
――4年間の試合で一番印象に残っているものは
特にリーグ戦で今年の春の慶応3回戦ですかね。自分に勝ちがついた試合で、ずっと同点の場面で後半の8、9回と任せてもらって。これ以上プレッシャーのない場面で投げさせてもらって、本当に一球一球が楽しかったと言いますか、一球一球にプレッシャーを感じながらも楽しむことができて。本当に後悔なく野球を終われるなと思っています。
――4年間を振り返って印象的だったことは
やっぱり最上級生になって先輩の偉大さであったりっていうのを非常に感じることが多くて。 自分たちが上級生になった時にピッチャー陣の力不足というのが最初から課題だったので。練習量もだいぶ増えたので、ランニングメニューであったり、トレーニングメニューであったりっていうのを一つ一つ同期であったり、後輩たちとやってきたのが、すごく自分の中で印象深いですね。
――法政第二高校から法大へ進学して良かったことは
そうですね。法政はやっぱりすごい選手がたくさんいるので、高校までの野球の意識と違って、大学で本当にトップレベルの意識というのを間近に見ることができて。本当に自分の良い刺激になりましたし、なかなか良い同期がいっぱいいる中での競争というのはこれまで体験したことがなかったので。やっぱりプロになる人はすごいなと改めて思いました。
――母校・法政二高の最近の活躍を見て
結果はずっとチェックするようにしていて、実際に神奈川県の決勝も見に行ったんですけど、もちろんピッチャーもレベルアップしている中で。特に違いを感じたのが野手のレベルアップというもので。自分が言うのもなんですけど、これまでは大学に入っても通用するのかなという選手が多かったんですけど、今年の決勝(秋季大会、対横浜)とか見に行って、この子なら大学でもやっていけるんだろうなと感じる選手がすごくたくさんいて。法政二高の活躍もすごく楽しみですし、その選手たちの活躍で法政大学が強くなっていくのも楽しみだなと思います。
――前任の加藤監督も含め、大島監督や高村助監督などの指導者陣への思いは
加藤さんにはすごく良くしていただいて。ずっと1、2年生の時は褒めていただいて、最後に辞めると聞いてから挨拶したときに「赤間なら絶対に先発とかできるような選手になれるから、今後も頑張ってくれ」というようなことを言っていただいたときに、自分がそこまで期待されているとは思っていなかったので。そこでより身が引き締まり、そこですごく良いお言葉をいただいたなと思っていて。大島さんは自分の法政二高の先輩でもあるので。特に1、2年生の頃からも少しずつチャンスをいただいて、それでやっとAチームに上がることができたので。多めにチャンスいただいたという部分では非常に感謝していて。高村さんは、ピッチャーのプロフェッショナルというのを非常に感じていて。配球であったり、守備の面であったり、特に技術的なことについての厳しさというのを非常に教わって。これから野球をしていく難しさであったり、ピッチャーの難しさだったりと言う面については教えていただきました。
――同期の4年生にかけたい言葉は
全体的には、すごく真面目な学年かなといえばそういうこともなくて、色々と問題というのはあったんですけど。やっぱり、それを松下だからこそなんとか形にすることができたので、こういうリーグ戦の結果を作ることができたのかなと思っているので。特に野手であったら松下であったり、学生コーチの鶴丸であったりというのは非常に大きな存在で、一緒の代で良かったなと感じていて。あとはピッチャーだったら、同期全員真面目で。1、2年生の頃からずっとトレーニングルームでウェイトであったり、誰かしらいるみたいな環境だったので。こんなに真面目な代はなかなかないなと自分の中でも感じていたので。本当にずっと4年間最後まで駆け抜けることができたのを誇りに思っています。
――仲の良い後輩は
片山(悠真、文3=八王子学園)だったり、康淳(藤森、営3=天理)だったり。ピッチャー陣の後輩は、基本仲が良いんですけど。あとは部屋子の只石(貫太、営1=広陵)っていうのもすごく可愛げのある後輩ですね。(そういった選手たちにかける言葉は)まだまだ大学野球で終わるような選手じゃないんですけど、やっぱり学生野球というのは終わりが明確なので。やっぱりそこに後悔のないように頑張ってほしいなと思っています。
――これでプレーヤーとしての野球人生は終わりになるが、これからのご自身の人生の展望や目標は
そうですね。特に明白な目標というのはないんですけど。10年後、20年後とかに同期とか後輩、先輩方に会ったときに、しっかりと胸を張って会えるような、一人前の社会人になりたいなと思っています。
――最後にファンの方に一言
これまでたくさんの熱い声援をありがとうございました。特に付属である自分に対してもすごく優しく接してくれたり、熱い声をかけてくれたりというのは非常に励みになりました。これからも自分に重なる法政二高の後輩たちであったり、もちろん法政大学に今後とも熱い応援を送っていただければ、うれしいなと思っています。
(インタビュー:篠﨑勇希)
赤間梢吾(あかま・しょうご)
キャリアデザイン学部4年・2003年10月15日生まれ
埼玉県出身・法政二
182cm75kg・左投左打
今季成績:6試合 0勝0敗 5奪三振 5四死球 自責0 防御率0.00
硬式野球部の写真はスポーツ法政新聞会の公式インスタグラムにも掲載しております。ぜひご覧ください。
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| 赤間梢吾(キャ4=法政二) | |
| 永野司(営4=倉敷商) | |
| 野崎慎裕(営4=県岐阜商) | |
| 丸山陽太(スポ4=成東) | |
| 助川太志(グロ3=茗渓学園) | |
| 山床志郎(文2=高鍋) | |
| 井上和輝(法1=駿台甲府) | |
| 今泉秀悟(キャ2=石見智翠館) | |
| 中村騎士(営2=東邦) | |
| 品川侑生(文4=三重) | |
| 浜岡陸(法4=花咲徳栄) | |
| 片山悠真(文3=八王子学園八王子) | |
| 藤森康淳(営3=天理) | |
| 境亮陽(営1=大阪桐蔭) | |
| 鶴丸紘 学生コーチ(スポ4=都城東) | |
| 平尾聡一郎 学生コーチ(文4=海星) | |
| 大島公一 監督 |


