【自転車】TRS第7(最終)戦・第2回寛仁親王記念ワールドグランプリ国際自転車競技大会 荒井がTRS年間チャンピオン!
2015年 全日本学生トラックレースシリーズ(TRS)
第7(最終)戦 伊豆ベロドローム2月ラウンド(ポイントレース&記録会)
JICF国際トラックカップ2016
第2回寛仁親王記念ワールドグランプリ国際自転車競技大会(ワールドグランプリ)
2016年2月7日(日)
静岡県伊豆市 日本サイクルスポーツセンター 伊豆ベロドローム(250m)
待ちに待ったTRS最終戦。年間チャンピオンの座を懸けた戦いがついに始まる。多くの期待を背に走る法大勢は、各々が好成績を収めることに成功。荒井は年間王者の名を手に入れた。
また同時開催されたワールドグランプリには、オムニアムに新村が出場した。2日目となる今日の種目ではすべてで一位を独占。他を寄せ付けぬ強さで優勝した。マディソンには新村と荒井が出場。初めて組んだとは思えぬチームワークで金星をつかみとった。この結果、この日荒井と新村はそれぞれ二冠に輝いた。
レース結果
TRS 1kmタイムトライアル(TT)
順位 | 名前(学部・学年) | タイム |
---|---|---|
4位 | 荒井佑太(営2) | 1’08″066 |
20位 | 北條顕登(法2) | 1’13″161 |
TRS ポイントレース クラス1
順位 | 名前 | ポイント |
---|---|---|
1位 | 荒井 | 20 |
TRS ポイントレース クラス3
順位 | 名前 | ポイント |
---|---|---|
1位 | 北條 | 33 |
TRS総合成績
順位 | 名前 | ポイント |
---|---|---|
1位 | 荒井佑太 | 116 |
2位 | 池邊聖(慶大) | 58 |
3位 | 渡邊翔太郎(朝日大) | 42 |
ワールドグランプリ オムニアム2日目
種目 | 順位 | ポイント |
---|---|---|
1kmTT | 1位 | 40 |
フライングラップ | 1位 | 40 |
ポイントレース | 1位 | 47 |
※上記はすべて新村が出場。
ワールドグランプリ オムニアム 総合成績
順位 | 名前(名前・学年) | ポイント |
---|---|---|
1位 | 新村穣(法4) | 243 |
ワールドグランプリ マディソン
順位 | 名前 | ポイント | ラップ |
---|---|---|---|
1位 | 法大(荒井・新村) | 16 | 2 |
TRS 戦評
TT
北條、荒井のうち先発したのは北條。高校時代のメイン種目ということもあり好タイムが期待されたが、1分13秒161で20位という結果に終わった。最終組で走行するのは荒井。スプリント力に定評のある佐伯亮輔(中大)とともにスタートし、4位となる1分08秒066を記録した。
ポイントレース
クラス1
TRS年間王者を懸けたポイントレースでは荒井が圧倒的なレースを魅せる。序盤にTRSポイント暫定2位の池邊聖(慶大)がアタック。そのまま池邊が逃げ切り、1回目のポイント周回を終える。だがその後集団は一つに。引き続き2回目のポイント周回を通過すると、20数周を超えたところで荒井がアタックを仕掛ける。それに反応した坂本紘規(日大)との逃げができると、その後のポイント周回を三度1位での通過。他を寄せ付けぬ走りでレースをコントロールしていく。ラスト1周は集団に追いつき、さらに集団内でもスプリントを制し優勝を手にした。実に、最後のゴールした時点でのメイン集団との差は約1周分であった。
アタックし、一人で逃げる荒井
クラス3
クラス3に出場したのは北條。「初めて出たレースだった」と語るが、レース開始早々に田淵春歩(関大)のアタックを見逃さず、それに後続。中野目椋(東洋大)も含めた3人の逃げができる。スプリントで制し、1回目のポイント周回を1位で通過する。その後北條と中野目の2人が逃げるという展開になり、続くポイント周回でも北條は2位。北條、中野目、長岡脳活(東大)が逃げ、その後ろに田淵が追いかけると残り15周を切ったところで三人がラップに成功する。そしてラスト1kmで集団が一つになると北條がここぞとばかりにアタック。中野目も意地の走りを見せたが、軍配は北條に上がった。
ワールドグランプリ 戦評
オムニアム
オムニアム1日目を1位で終えた新村。2日目の最初の種目はTT。1分05秒844と好タイムをたたき出す。その後のフライングラップでも1位の13秒441という記録で調子のよさを見せつける。オムニアム最終種目であるポイントレースは40km160周と長丁場だ。この時点で新村は暫定1位であったが、2位のChen Chien Liangとの点差は8点と気は抜けない。レースは逃げという逃げはできずに進んでいく。途中でラップする選手はいたものの、新村も負けじと遅れをとらない走りで得点に絡んでいく。レースが半分を過ぎたところで勝負は新村とChenの一騎打ち状態に。しかし、レースも100周を経過し、残り60周を過ぎ、要所でメリハリのある走りを見せたChenが暫定1位となってしまう。なんとかして逆転を狙いたい新村はアタックを仕掛け、ラストのポイント周回5回中3回1位と圧倒的な脚力で勝利をたぐり寄せる。最終回もChenとのスプリント勝負に競り勝ち、優勝をつかみとった。
マディソン
20周ごとにポイントが与えられ、総合得点で争われるマディソン。このレースには、新村と荒井が出場した。1周目から落車が発生する波乱な幕開けであったが、法大チームは好スタートを切る。全日本チャンピオンに輝いたことがある新村(昨年度全日本選手権自転車競技大会トラック マディソン優勝)が、豊富な経験で荒井をサポート。荒井も、ポイントレースで見せている瞬発力を生かした走りをみせ、コンビ歴が浅い二人ながらも、息ぴったりの連携でポイントをもぎ取っていく。しかし、勝負は一筋縄ではいかず。イナーメ信濃山形Aとの一騎打ちにもつれ込む。点差的に不利な展開ながらも、終盤に法大チームは立て続けに周回遅れの選手をパスし、得点を稼ぐことに成功し、ついに首位に立った。最終週、イナーメ信濃山形Aとの首位攻防戦も新村が制し、熱戦に終止符を打った。苦しみながらも、法大チームとして新村・荒井ペアがマディソン優勝を飾った。
マディソン特有のバトンタッチの場面
法大自転車部は引退したものの、法大生として出場し、自らの実力を存分に発揮し優勝した新村。荒井は法大生として初のタイトルを圧倒的なレースとともに得た。北條も普段はロードを専門としているにも関わらず、好レースを見せた。たった一日であったが、彼らが得たことは無限大だろう。この功績とともに。新しいシーズンの幕開けだ。(宮下尚子・橋爪優典)
コメント
荒井佑太
-優勝おめでとうございます。
ありがとうございます。
-TRSのTTはなぜこの種目に出られようと思ったのですか
自分の課題が1km(TT)なので、その課題克服に少しでも近づければいいなと思って1kmに出ました。
-その課題というのはタイム関連のものですか
タイムもあるんですけど、やっぱり走りの中でのスピードの持久力っていうのがまだ足りないので、そこを1kmで養えると思ったので、そのために練習もしてきたので、それを試してみたかったので。
-ポイントレースでは事前に考えていた展開はありましたか
人数も少なくて、周回も少なかったので、スプリントで競り合うととりこぼしがあると思ったので、逃げに持ち込むようなかたちで勝負しようという風に思っていました。
-TRS年間チャンピオンはいつ頃から意識されていましたか
第4戦あたりから意識するようになって。ポイント(レース)が得意なので、それで(ポイントを)稼げたらと思っていたので、一年間TRSに出場してこういうかたちで終われて。すごく今は嬉しいです。
-TRSにはあまり法大からは選手が出場していないイメージがあります
そうですね、やはりバンク班の中で重要なポジションをしていくと思っているので、部の中にTRSチャンピオンがいるということが意識の向上になると思いますし、目標にしてもらえるような選手になりたいと思うので、そういう意味でTRSの称号をとるっていうのは大きな意味があると思います。
-今日のレース前や昨日は緊張はされていましたか
特に緊張はしていなくて。リラックスして試合に臨むことができました。
-TRSの年間チャンピオンになったことで国民体育大会に引き続いてのタイトルとなりますが
一年間会場に来るのも、先輩方に運転してきてもらって、いろんな方が携わっているTRSチャンピオンなので、監督はじめ、この会場に連れてきてくださった先輩方にも感謝したいと思います。このTRSチャンピオンという称号を持ったことで自分の自信にも繋がると思うので、これからも精進していきたいと思います。
-マディソンはどういった経緯で出場されることになったのですか
新村先輩のパートナーがいないということだったので、新村先輩と走れるチャンスも数少ないので、これはいい機会だと思って参加しました。
-練習は
練習は部の中で何回かは新村先輩としたことはあるんですけど、現地に入って一回、今日のレース前にちょっと話し合ったくらいでした。
-これも考えていた展開はありましたか
実業団の方が1チームいたので、そこのチームが結構スプリント力があるので、スプリント力で勝負してもとりこぼしがあるなという風に思ったので、最後ラップしていいかたちで終わろうという風にはレース中に新村先輩と相談しながら走っていました。
-今後の目標
4月には全日本(全日本選手権自転車競技大会トラック)があるので、まずはそこで法政のチーム、団抜き(チームパーシュート)をインカレ(文部科学大臣杯 第71回 全日本大学対抗選手権自転車競技大会)に引き続いてビックタイトル狙いたいと思います。
-団抜きのメンバーは
まだ部の中でも争いが激しく起こっているので、今のところまだ決まっていないです。
-新入生は
まだ入寮はしていないです。3月のあたまに入寮する予定です。
-新入生が入り4月からは3年生となって部員を引っ張っていく立場になると思いますが
この1、2年間法政で過ごしてきて、やっと生活にも慣れてきましたし、今後は目標にされる選手になっていきたいと思います。
-次に出場される大会は
2月にRCSの行田(2月21日・RCS第13戦 行田第4ラウンド)に出場する予定です。
-今日は室内バンクで、次の大会は屋外クリテリウムとレース形式が違いますが
レースの内容は試合まで考えて、ただ一つ、積極的に攻めるということは自分のポリシーなのでそこは守って走りたいと思います。
北條顕登
-まず、TTを振り返っていかがでしたか
高校生の時は、(1分)10秒台とかが出ていたので、かなりタイムが落ちているなと感じました。やっぱり、大学に入ってからバンクに乗る機会が少なかったので、あまり良くない結果だったと思います。
-ポイントレースの方は
高校時代を含めても完全に初めて出たレースだったので、スタートでみんなが落車して怖くなったんですけど(笑)。何とか走り切れてよかったです。
-普段はロードを専門とされていますが、トラックでは何か違うところはありますか
ポイントレースの方はロードよりも人数が減るので、周りの動きが見やすくなって動きやすいなと思いました。
-TTの戦略はどうしましたか
ベロドロームを走ったことがなかったので、荒井の意見などを参考にしてギアを考えました。
-ポイントレースの方は
後輩とか周りの選手に走り方とかを聞きましたね。でも、最終的には「北条なら頑張ったらできるんじゃない」みたいな答えばっかりだったので、無我夢中で走っていました。
-ポイントレースを走り切って得たものはありますか
自分の立ち位置がおかしいところばかりで、スプリントを掛けたときも周りが付いてこれてしまう仕掛け方だったり、全然自分の持ち味を生かせないなと思ったので、これからポイントレースをする上で課題が見つかったと思います。
-全体を通しての課題とは
相手の心情を理解してどういうふうに動いたら(相手にとって)一番しんどいのかっていうのがまだまだ出来ていないなと思いました。
-次に出場するレースは
行田のクリテリウム(2月21日・RCS第13戦 行田第4ラウンド)です。
-それに向けて意気込みを
前回はクラス1でボロボロだったので、もう少し調整して体の調子を整えてから頑張りたいと思います。
新村穣
-昨日(オムニアム1日目)の試合を振り返っていかがでしたか
オムニアムは自分自身あまり得意な種目ではなくて、いつもレース系の種目で順位を落としてしまうので、今回はそこに気を付けていった結果、アドバンテージが少しある状態で今日のポイントレースに入れたので良かったと思います。
-それをふまえて、今日のポイントレースの戦略は何かありましたか
2位の選手と10点差以上あったので、その選手と3位の選手の点差を気にしながらマークして走れたと思います。自分の目標としているようなレースにはなったんですけど、タイム系の種目で順位自体は1位だったんですけど、自分の思った通りのタイムが出なかったので、そこについてまだ改善していく必要があるなと思いました。
-荒井選手と出場されたマディソンを振り返って
序盤は日本でマディソンが行われるレース自体が少なくて、参加チームでまとまって走りたいなと思ったので自らペースメイクをしていきました。でも、中盤以降思ったよりも(1位のチームと)点差があって、これをひっくり返すには最後ラップアップをするしかないと思ったので荒井君と行けそうなときに仕掛けた結果、何とか追いつくことが出来て優勝することが出来ました。
-荒井選手とは試合中どのような話をしましたか
マディソンの経験は荒井君の方がすこし少ないので、自分の方がなるべくリードしてあげるようにしていました。あと、交代の時に少しだけ話すタイミングがあるので、そこで落ち着いて指示を出して、それ通り荒井君も走ってくれたので勝つことが出来ました。
-2日間厳しい競技日程だったと思いますが、それについて
先週、アジア選手権(第36回アジア自転車競技選手権大会)がここ(伊豆ベロドローム)であったんですけど、その時に感じたのがアジアとの差が自分にはまだあって、そこで体力的な問題がかなり大きく壁となっていたので、今回オムニアムで2日間6種目とマディソンを走ることで普段身につけられない体力面のトレーニングがいい意味で出来たのかなと思います。
-2日間を総括するといかがでしたか
2日間で得られたものは、ギアの選択であったり、フォームの改善であったり、走り方であったりいろいろ自分なりに前より変えてみてチャレンジすることで、それについて良いことも悪いこともフィードバックすることが出来たので、まだ満足はしていないんですけど、これを糧にしてまた次の段階にステップアップできればいいですね。
-次の段階にステップアップするために必要なものとは
今回のオムニアムを走ってみて自分の得意な場所っていうのが明確に分かってきたところがあるのでそこを伸ばしていって、なおかつ苦手なレース系をクリア出来るようにまたトレーニングしていきたいです。
フォトギャラリー
- 荒井はTT4位だった
- 北條も健闘
- フライングラップ走行中の新村
- ポイントレースは激戦を制した
- オムニアム表彰式で笑顔を見せる新村
- 荒井はマディソンでも好レースを見せた
- マディソンは白熱したレースであった(写真左:荒井、右:新村)
- マディソン後互いをたたえ合う法大チーム(写真手前:新村、奥:荒井)
- 北條もポイントレースで1位
- 表彰台の頂点に立つ(写真左:新村、右:荒井)
- 荒井、新村はこの日それぞれ二冠を達成(写真左:荒井、右:新村)