【硬式野球】春季リーグ戦開幕直前特集 第1回 ~采配を振る首脳陣編~
2017年3月14日(火)
法政大学川崎総合グラウンド他
逆襲の春の訪れだ。長らく遠ざかる王座奪還へ闘志を燃やす法大ナイン。リーグ戦開幕を直前に控え、士気を高める彼らの現在の心境を伺った。第1回は法大野球部監督就任3年目を迎える青木久典監督と真木将樹投手コーチ。現在のチーム状況や今期の意気込みを語っていただいた。
監督・コーチインタビュー
青木久典 監督
ー現在のチーム状態は
率直に大分いい方向に固まりつつ、いい状態になってきていると思います。
ーオープン戦については
今まではいい形で勝ってきて、勝ち負けも大事ですけど、いい点の取り方だったり、いい抑え方だったりしたのでそういう意味では内容のある充実したオープン戦をこなしてきてると思います。
ーオープン戦では多くのオーダーが組まれています
選手層が大分厚くなってきましたので、特に野手は。いろんな選手を使える目処が立ってきたのかなと。自分なりにいろんな案をたてながら組んでるところですね。
ーオープン戦で目立ってる選手は
主軸にならなきゃいけない、4番候補である中山(翔太,人3)はしっかり回答を出してきてくれてるかなと思いますし、新戦力としたら毛利(元哉,法2)がね、非常に目立ってきてるとは思います。
ー昨春は明大戦での勝ち点逸が大きく響きました
まず出鼻がくじかれたのが大きく痛手かなと思いますし、どうしても優勝かかってくるところで勝ちきれないというところが課題だとは思いますね。
ー昨季は最大6連敗を喫しました
その時はきつかったと思います。そこは負けるべくして負けたのでね。そこはチームとしての課題なんだなと大きく実感したところではないですかね。
ー昨季の打線は淡白な印象がありました
やっぱりエースと4番が秋はいなくて、他の部員たちがなんとかしないといけないという思いが強すぎて、なんかそれが空回りしてるようなとこは見受けましたね。気持ちが焦ってしまったところはあると思います。
ー新主将に森(龍馬,キャ4)選手を指名した理由は
帝王学ではないんですけど、キャプテンというのはすぐできるものではないと思います。選手を育てるのと一緒でやっぱりリーダーシップを取れる人間も育成していかなければいかない。昨年度、彼は3年生で副キャプテンをやっていろんな側面からチーム状況を見ながらまた彼に対しても私から指導していきたした。3年で副キャプテンは重圧だったとは思いますが、見事にやりきったので、なるべくしてなったとは思いますね。間違いない人間ですから、何の迷いもなかったです。
ー森選手だからこそ、3年で副将に指名したのですか
そうですね。それだけ彼の人間力が高かったと思います。
ー高校の先輩の畔上(翔,平27年度卒=現Honda鈴鹿)選手と似た部分があったのですか
そうですね。常に畔上を見てきてますしね。でも畔上以上に評価できるとこもあるんですね。畔上という人間はプレーヤー的にも人間としても素晴らしいですよ。でも常に表舞台に出てる子なので。森というのは畔上と同じぐらい表舞台で活躍しているけど、でも大学に入ってけがに泣かされて順風満帆にはいっていない。そういう苦しみを味わってきた人間なんですね。そこは僕は人として大きいと思います。
ー副将に任命した清水(雄二,法4)選手について
彼に関しては名門校も出てますし、外野手としてもやっぱりプレーヤーの部分で人望が厚いし、選手に指導もできる。なので、そういう役職に据えました。役職があると、特にリーダーシップを発揮する人間で、そういうところも狙いで自覚を持たせる意味でもですね。
ー清水二選手は副将に就任してから積極的にチームを引っ張っている印象があります
そうですね、今までは結構控えめなところもありましたし。でも結構言うことは言うんですよ。なので、もう1つ自覚を持たせる意味でもう一歩踏み出してくれるので、そういう所を狙いにさせましたね。
ー俵積田(健人,人4)選手は大抜擢の副将就任でした
皆さん驚かれたと思います。言葉は悪いかもしれないですけど、ダークホース的な存在だとは思いますよ。でも彼も芯がしっかりしてて、森には彼がいなくてはいけないんですよ。つまり森の良き理解者なんですね。森のことを本当に良く分かっていて理解しながら動いてくれる。森と話していても1番に副将の名前を挙げたのが彼なんですよね。そういう意味では彼らの中でも繋がりが大きいと思います。
ーこれまでの幹部達の働きはいかがでしょうか
選んだのは間違いではなかったと思うし、彼らに任せて良かったなと思います。彼らだから、僕も心底ぶっちゃけて話もできるし、良かったと思いますね。
ー新たにチームを引っ張ることになった新4年については
今回の4年生って団結力があるんですよ。例えば森が言うんであれば俺らもやろうという控えであろうが、ベンチ外でも応援しますし、元気出してやってくれて、そういう所はすごいなと思うし、やっぱり下級生は見てると思うので、この結束力は今の4年生の強さだと思いますけどね。
ー今年、投手責任者に就任した熊谷(拓也,キャ4)選手について
現時点までは、順調にきてるんじゃないかなと思います。なんか責任者を作ることによって自覚ってできるんだなと思いますよね。行動とかね、言動とかは変わって来たと思いますよ。
ー菅野(秀哉,キャ3)選手は現時点ではオープン戦の先発がなくて心配されています
ちょっとコンディションが完璧ではなかったので、そういう意味では調整が遅れているのは事実ですね。どこかのタイミングでは投げてもらわないといけないと思うので、今投げさそうと思っています。
ー昨季新人戦で好投した内沢(航大,キャ2)選手にも期待が集まります
若手では彼は順調に来てると思いますね。球速もそうですけど、強さも出てきましたからね。彼も期待の1人ではありますね。
ー開幕マスクについては三つ巴の戦いが続いています
そうですね。中村(浩人,営3)か鎌倉(航,法3)か伊藤(寛士,文2)という部分でしょうか。後は新戦力がどこまで来るかでしょうかね。
ー中村選手、鎌倉選手と1年春から抜擢した選手が成長を見せています
本当に彼らの持ち味はありますからね。そこを充分引き出してほしいです。2人には競争だと言う話は今日もしましたけどね。
ー昨季新人戦では伊藤士選手ではなく、敢えてこの2人を出したのでしょうか
そうですね。リーグの最後の方は伊藤が出ていましたから、彼らの奮起を促す意味でも起用をしたとこですね。
ー昨春、小林(満平,法3)選手は打率リーグ2位を記録しました
オープン戦からしっかり結果も出してくれましたし、無駄がある構えをしてる訳でもないので、試合に慣れたらやるとは思ってました。
ー川口(凌,人2)選手は昨春は3割を記録しましたが昨季は打撃で苦しみました
練習は結構してたんですけどね。自分で結果出ないので、空回りしちゃってるなとは思ってましたね。
ー小林選手、川口選手は来年度の幹部の筆頭候補に挙がると思いますが
そうですね。いずれは彼がリーダーシップをとってくれないといけない逸材ですね。
ー向山(基生,営3)選手は去年1年を通して大きく成長を遂げたと思いますが
本学にとっては貴重な右打者でもありますし、勝負強さもあるので、評価はしております。
ー昨季新人戦では強打の1番打者として活躍しましたが、向山選手の起用法については
核弾頭という使い方もできるし、いろんな使い方ができますよね。どこが適正か見てますけどね。
ー相馬(優人,営2)選手も昨季後半、遊撃手として活躍しました
1年からでは、上出来じゃないでしょうか。走塁のセンスがいいし、今年も期待してますよ。
ー吉岡(郁哉,営3)選手、原田(寛樹,法3)選手もレギュラー争いに食らいついています
もう彼らは頑張りどころだと思いますよ。いかに左投手を苦にしないかというところと勝負強く打ってくれるかじゃないですか。
ー中山選手は昨季本塁打が3本でましたが
彼にはやっぱり4番としてね、やってくれなきゃいけないと思ってるのでそこをしっかり1年間やってほしいと思いますね。マークもきつくなると思いますけど、力を発揮してもらいたいと思いますね。
ー昨年、大学日本代表に選出された大西(千洋,営3)選手については
やはり、アメリカの力強くて速いボールに対して力負けしているので、それを改善するためにしてきたことが秋のリーグ戦で歯車が崩れてきて極度の打撃不振になってしまいましたけど、それを成長する糧にね、してくれるんじゃないかなと思いますけどね。
ー大西千選手の起用法については
なんか1番になると、出塁を気にして小さくなってるのでね、それであれば思い切って2番据えることで戦術も広がるので。なので、今は2番なのかなと思ってますけどね。
ー今年で監督3年目となりますが
私自身も勉強させていただきましたし、ここからが勝負どころだとは思ってます。
ー開幕戦は早大となりました
緻密にデータを取りながらやってくるとは思いますね。選手個々の力はそんなにとは思うけど、チームになって分析して戦ってくるところじゃないですかね。
ー早大の開幕投手が予想される小島(和哉)選手について
キャリアもありますし、投球術やボールのキレもあるのでそういう意味でしっかりしてる投手だとは思います。
ー日本一に向けてどういった野球で勝っていきたいですか
勝つ為にはしっかり守りを固めるのが大事だとは思います。
ー最後にファンへのメッセージをお願いします
大分優勝からは遠ざかっているので、そういう意味でも今年はチャンスだと思います、私自身も勝負の年だと思っています。応援していただき感謝してますし、たくさんの方が応援していただけばと思いますので、是非ともよろしくお願いします。
(取材:渡辺拓海)
青木久典(あおき・ひさのり)
1973年2月16日生まれ
三重県出身・三重高校→法政大学→たくぎん→本田技研鈴鹿→サンワード貿易
富士大学のコーチ、監督を経て14年1月より法政大学野球部の助監督に。15年1月から監督に就任。
真木将樹 投手コーチ
ー昨季を振り返って
就任1年目ということだったので、手探りではじまりました。去年のチームの前評判だとここ数年投手力が低くて、優勝からも遠ざかっていたと聞いていたので、なんとか投手力を、投手力をと思ってやったのですが、投手力が弱いというところが続いてしまい、優勝もできなかったので、投手力を底上げできなかったというのが感想です。
ー投手陣の課題は
投手としての自信ですね。野球において投手というのは勝つための大きな要素になってくるので、そこに投手がダメだと言われて、自信がない、勝ち方を知らないというのは勝負にならないので、経験はなくとも試合に勝つとか、チームを優勝に導くという自覚と自信を持たせることが一番重要なことかなと思います。
ー熊谷投手について
能力的には器用になんでもできるタイプですし、話を伝えればすぐにそれを実践できるよな器用なタイプですけど、その反面器用貧乏というか、なんでも良いものを取り入れようとする、貪欲なところは認めるんですけど、逆に芯がなかったりという部分があります。この数ヶ月自分の思うところを伝えてきて、それを彼なり解釈して自分の考え方の柱となるものをしっかりと作りなさいと話していますね。
ー学生指導の難しいところは
大人でもありますし、でもまだ学生なので、自覚と責任を半分半分持っているので、責任感がないというか。具体的に言うと、学生は4年間という期間がよくも悪くも決まっているので、その間に辞めなきゃいけないこともないし、適当にやっていてもいいし、その辺に関して危機管理がないので、ただ時間を過ごしていくだけではダメだよと伝えています。
ー学生指導のやりがいは
まだまだ可能性をすごく感じるので、小さくまとまる年齢ではないので、これからスケールアップして飛躍していけるので、高い意識を持てば可能性が広がっていく選手を指導できることです。
ー指導する上でのポリシーは
大学生なので、手取り足取りこういう風に投げろと形にはめることをしない訳ではないんですけど、そういうの指導をする年代ではないと思うので、常日頃から教えてもらえると思うなよと自分で考えて、感じて、努力した上でそこに手伝うのがコーチなので、そういうときに相談したり、使ってもらうのは構わないけど、なんでもかんでも教えられるのは違うよという思いはあります。
ー現役のときの神宮とコーチとしての神宮に違いは
約20年ぶりくらいに法政のユニフォームを着て、試合をしたのですが、違いはあまり感じずに懐かしさを感じました。応援とかも変わりないので懐かしさですね。唯一、大きく違うのは自分がプレーできないことですね。そこはもどかしさというか、あそこに行って投げられたらと思います。勝ったときの喜びや負けたときの悔しさは現役のときと全く変わらないですね。
ー今季のチームとしての目標は
優勝するしかないので投手陣には、一冬の間に一気に投手陣の評価を変えよう、投手が頑張ったから優勝できたと言われるようにしようと言っています。
ー今季キーマンとなる投手は
最年長となって、投手責任者という肩書きもついた熊谷ですね、どこまで踏ん張れるかが大きな鍵だと思います。
ーリーグ戦への意気込みを
誰がどう見ても投手陣が頑張ったねと言える優勝をしなければならないので、投手陣全員にそこは求めて優勝したいです。
(取材:石川大悟)
真木将樹(まき・まさき)
1976年2月13日生まれ
福岡県出身・東筑紫学園高→法政大学→近鉄バファローズ→巨人→カルガリー・アウトローズ (カナダ独立リーグ)
アルク有限会社を経て、16年3月から投手コーチに就任。