【硬式野球】4年生特集『結束』第5回 ~伊藤寛士、内沢航大、新井悠太朗~
東京六大学野球秋季リーグ戦
2019年10月27日(日)
神宮球場
青木久典監督が不在となり、5位に終わった春。そこから課題を一つずつ潰し、快進撃を見せた秋。ここまでチームが立ち直り、『結束』することができた理由には、最後のシーズンで『覚悟』を持って戦った4年生の力があった。
弊会では「4年生特集」として引退にあたってのインタビュー、記事を掲載。第5回となる今回は伊藤寛士選手、内沢航大選手、新井悠太朗選手のインタビューをお届けする。(※取材は東大2回戦後に行ったものを掲載しております。)
選手インタビュー
伊藤寛士 捕手
—入学した当初を振り返っていただいて
入学した時は試合に出られるようなチャンスを何回ももらっていて、自分の中でも手応えというのが正直ありました。
—リーグ初出場を1年生で果たし、そのオフの気持ち
1年生でリーグ戦の雰囲気を経験することができて、自分の中でもすごい自信になったし、これから大学野球でもしっかりやっていけるのかなというのはありました。
—ただ、2、3年生になるとリーグ戦に出場できない日々が続きました
自分自身の長所を活かせなかったり、監督にアピールをしきれなかったりだとか、気持ち的にもすごく落ちていたところはありますね。それが2年生、3年生で(リーグ戦に)出られなかった原因かなと思います。
—その時は焦りもあった
そうですね。やっぱり、このまま出ないまま終わるのかなという焦りもあったんですけれど、ある意味開き直って、ゼロからやろうと思えたので良かったかなと思います。
—不調時に取り組んでいたこと
とにかくバッティングもあまりタイミングが取れていなかったりして、打って目立つのが一番早いと思ったので、バッティングをどんどん良くしていこうかなというふうに思っていました。
—そのような中で昨秋、捕手責任者に任命されました
捕手責任者というポジションを与えられたのはやっぱり期待をしてもらっているということなので、身が引き締まる思いでした。
—その時に考えていたビジョン
法政は投手が良くないと言われていたので、バッテリーから勝てるように、盛り上げられるようにやっていけるようにということをしっかり考えていました。
—捕手責任者として1年間戦ってきて
春は捕手をやっていないですけれど、とにかく投手ひとりひとりに良いところはあるので、それをどうやって生かしていけるかというのを考えさせられました。
—春は一塁手を経験しましたが、それが生きた場面は
春のリーグ戦で何で打たれたのかというのは、ファーストを守りながら感じることが多かったので、悪かった時のバッテリーを客観的に見られたのはすごく良かったかなと思います。
—客観的に見られたことが今季の投手陣の活躍につながった
そうですね。やっぱり、春に良くなかった形をもう1回、一から変えられることができたので良かったと思います。
—お世話になった先輩は
一つ上の中京(大中京)の先輩の小林満平(平31年度卒=現東邦ガス)さんにはいろいろな声をかけてもらって、お世話になっていました。
—エピソードは
気持ち的な面のことも言ってもらったり、厳しいことも言ってもらったり、いろいろとあるので、すごく自分の心に刺さることをいっぱい言ってもらえましたね。
—同期はいかがですか
難しいな(笑)。みんな結構、誰というのはあまりないですけれど、みんなでいろいろと声をかけながらやっていたので、みんなうまくやっていましたね。
—期待している後輩は
佐藤勇基(法3)。今シーズン、あいつ自身も悔しい思いをしていると思うので、来年こそは期待しています。
—進路はJR東海
はい。
—そこでの目標は
同級生がプロに行くというのを見てて、プロのあこがれというのがあるので、2年後を目標に社会人でも頑張っていけたらなと思います。
—社会人野球でなりたい選手像は
どこを守るのか分からないので、難しいなというところがあるんですけれど、バッティングを鍛えてもっと打てるようにしていきたいと思います。
—4年間で成長した部分
精神的には強くなれたかなと思います。こういう秋の競った試合の中でも焦らず冷静にできたことは自分の中での成長かなと思います。
—青木久典監督に言葉をかけるとしたら
キャッチャーで使っていただいてありがとうございますということを言いたいですね。
—ファンの方に向けて
しっかり出られたシーズンは4年生の2シーズンだけなんですけれど、結構スタンドからもいろいろな声をかけてもらって、本当にありがたかったです。
内沢航大 投手
—青森県から入学してリーグ戦初登板を果たした1年次、周囲からの期待も大きかった
1年生の頃から出させてもらっていた割には全く結果が出せずに悔しい気持ちが本当に大きくて、3年生を終えた時に(自分が)試合に出ていないという状況にあったので、最後のラストシーズンにかける思いというのが大きかったです。そんな中で、1年間使ってもらって結果が出せなかった時もあったんですけれど、しっかり期待に応えられた部分はあったのかなと思います。
—1、2年と順調にステップアップをしましたが、3年次は登板無しに終わりました
春先にけがをしてしまって、調整がうまくいかなくて、そのまま1年間が過ぎてしまったということで、悔しい思いが本当に強かったです。
—けがが癒えた時期は
春のリーグ戦が終わって少し経った頃、夏休みぐらいには癒えたんですけれど、そこからうまく調整ができずに、銀二(三浦、キャ2)も入学してきてその時すごく良かったので、自分が入るところがなかったというのがありましたね。
—その時に苦しんだこと
やっぱり、腐っていた部分も正直ありましたし、その時に朝山(広憲、法4)がメンバーに入ったりして、「一緒にがんばろう」というふうには言ってくれていて、周りの声が力になってラストシーズンに気持ちが向けられるようになったのかなと思います。
—昨秋、チームは優勝を果たしましたがスタンドからの応援となってしまいました
優勝をしたということはすごくうれしかったんですけれど、やっぱり自分が出てない、チームに貢献できていないということに関しては素直に喜べなかったという部分もありました。でも、パレードとかを見て「自分たちの代で優勝したいな」という気持ちはより一層高まりました。
—昨年11月には青木監督から投手責任者に任命されました
3年生の時は自分自身、活躍をできずにいたので、チームの投手陣を引っ張るという点では不安な部分もあったのですが、朝山も本当に責任感が強くて、副将としてがんばるということも話していて、一緒になってがんばろうという気持ちもあったので、1年間乗り越えられたのかなと思います。
—朝山選手とは1年間通して引っ張ってきた
そうですね。2人でという感じですね。
—昨季は1年半ぶりの登板、振り返ってみていかがですか
春は負けている場面での登板とかが多かったので、プレッシャーはあまり感じないで登板することができました。そこまで緊張はせずに投げられたのかなと思います。
—マウンドに上がった時の気持ちは
しっかり抑えて、仕事をしようという気持ちだけでしたね。
—朝山選手、仲島大雅学生コーチ(人4)と夏にさまざまな話をされたと伺っています
やっぱり、メンバーに入る選手が中心となって取り組んでいく必要があるなということで、下の底上げというよりかは、しっかりと自分たちがやるんだということで、個人で問題を解決したりなどしてという感じですね。
—今季は継投策が多かったが、それは投手陣全体が良かったからなのか、作戦だったのか
まず、先発の銀二に任せきりな部分があることも問題のひとつでした。良い投手がいる中で一人しか投げないというのはすごくもったいない、オープン戦でも継投をやるんですけれど、そこで抑えてうまくいくということが多かったので、監督と仲島が最終的には決めたとは思うんですけれど、ひとりひとり仕事が割り振られるというように自分の仕事としてやれた結果が、今につながっているのではないかなと思います。
—今季の好投を投手責任者から見て
力はあると思っていたので、リーグ戦になって打たれるということが春もそうでしたし、ずっと何年間かオープン戦ではいいのにということがありました。しっかりやれば当然かなとは思います。
—プロ志望届を出した経緯
大学に入学した時からずっとプロ野球選手にはなりたいと思っていたので、そのまま学年が上がって、出せる状況になったので出しました。
—前日までの気持ち
前日まではそこまで、なるようになるだろうとは思っていました。
—しかし、当日に名前を呼ばれることはありませんでした
でも、結果もそこまで出したわけではなかったので、当然の結果かなとは思うんですけれど、チャレンジをさせていただいた監督さんや周りの人には本当に感謝したいなと思います。
—進路は
社会人野球でプレーします。
—社会人野球での目標
所属チームは都市対抗に出られたり出られなかったりするギリギリのところなので、しっかり勝って、都市対抗に出たいなと思います。
—磨きたい武器は
もうちょっとコントロールを良くしたいなとは思いますね(笑)。フォアボールが多く、無駄な部分があったりするので。
—なりたい選手像
ずっと憧れの選手は、岸孝之(東北楽天イーグルス)なので、近づけていけるようにがんばりたいです。
—やっぱり身長とか、真っすぐとかですか
真っすぐがすごくキレのある球を投げるので、そういうところですね。
—お世話になった先輩
菅野秀哉(平31年度卒=現東京ガス)さんが一番面倒も見てくれたりだとか、部屋でも一緒だったりしたので、かなりお世話をしてもらったかなとは思います。
—エピソードは
今でも連絡が来たりしますし、気にかけてはもらっているのかなとは思います。そんなにエピソードはないですね(笑)。
—言葉をかけたい同期は
朝山ですかねやっぱり。一生懸命がんばってきたので、とりあえず全カードは終わったのでお疲れさまというのはありますね。
—朝山選手とのエピソードはありますか
よく自分の部屋にというか、部屋がとなりなので自分と朝山、新井悠太朗(営4)が毎日自分のところに集まってぐうたらしているんですけれど、そういうなんでもない日常というのが輪になれた部分なのかなと思うので2人には感謝してます。
—それは試合になっても
そうですね、いろいろ声をかけたりというのがあったので、個々じゃなくてチームとして戦えた要因かなと思います。
—期待している後輩は
今日、高田(孝一、法3)が先発をして打たれてしまったんですけれど、期待しているからこそ先発を任されているわけなので、ここでめげずにがんばってほしいなと思います。
—4年間で成長した点
冷静に物事を考えられるようになったのかなと思います。1年生の時とかはがむしゃらに、無我夢中にやっていた部分があったんですけれど、今は投手責任者という立場にもなれたので、周りを見ることが大事なのかなと考えられて、成長できたのかなと思います。
—投手責任者を1年間やってきて
それらしい仕事はしていなかったと思うんですけれど、最終的に投手のおかげで勝てたというふうに福田8光輝、人4)からも言ってもらったりしたので、良かったのかなとは思います。
—内沢投手から見た法大は
そうですね、個性が強い(笑)。そんなチームだなと思います。
—思い出に残った試合は
(今季の)慶応戦ですかね。この前の試合で同じ東北出身の小原和樹に打たれて優勝の可能性というのが、だいぶ狭まったところなので、悔いが残る試合ではありました。でもそれを糧に成長していければなと思います。
—監督に向けての言葉
春はいなくて、自分たちも戸惑っていた部分もあったんですけれど、秋に帰ってきてからは思いきり野球ができるようになりました。進路のこともそうですし、いろいろな面でお世話になったので、とても感謝しています。
—ファンの方に向けて
法政大学は強い大学であり続けなけれはいけなくて、しっかりと部員がそれに応えると思うので、応援よろしくお願いします!
—最後に一言
神宮球場でプレーができたことは本当に素晴らしいことだったと思います。楽しかったです!
新井悠太朗 投手
—4年間を振り返って
最初、上から投げていて上手くいかなくてサイドに変えて、やっと4年生になって結果が出て良かったです。
—印象深い出来事は
この前の明治戦の3連打打たれて、満塁になって銀二に交代したことですね。
—4年次には日本代表候補に選ばれました
正直自分の中ではびっくりしました。合宿に行って自分よりも全然レベルが高くて、今までの自分だったら諦めていましたが、春のリーグ戦の経験生かしてもっと自分が頑張らなくてはいけないなとは思いました。
—候補合宿で学んだこと
ピッチャー陣のレベルの高さや、他のピッチャーの意識、変化球どう投げるのかや、このカウントではどういう意識で投げるのかなどをいろいろな人と話して学びました。
—4年間で成長したところは
1番はメンタル面ですね。今までの自分は打たれたらどうしようというようなネガティブなことばかり考えてたのですが、この4年間でメンタルの面で成長できて、良い意味で上から目線で投げられるようになりました。
—4年間で最も辛かったことは
サイドスローに変える前の上から投げていたときに、オープン戦でも紅白戦でも結構打たれていたので、その時が一番辛かったですね。
—思い出に残っている試合は
自分は試合に出てないのですが、去年の慶応戦のあの試合(秋季慶大3回戦)ですね。
—その理由は
あの試合がなければ優勝もなかったと思いますし、直接関係はないのですが、あの試合を見て頑張ろうと思えるような試合でした。
—大学野球について
高校野球とは全然レベルが違いますし、高校野球やプロ野球に比べてあまり興味を持っている方は少ないと思いますが、神宮や地方リーグに足を運んでいただければうれしいです。
—4年生のメンバーと戦った1年を振り返って
今まで全部厳しい試合で、それでも僕たち4年生が踏ん張れたというのは大きなことですね。
—同期へ
ありがとうと伝えたいです。
—期待する後輩は
僕は三浦銀二ですね。後輩の中で一番仲が良いので、頑張ってほしいです。
—どこに注目していますか
あいつはメンタルが強いので、いかなる状況でも投げてくれるのかなと思います。
—後輩へ
僕たちはこういう形でプレーオフになるかもしれないですが、来年は全勝優勝目指して頑張ってほしいと思います。
—4年間の感謝の想いを一番に伝えたい人は
それは両親ですね。今までたくさんのサポートをしてくれたので。
—今後について
明治安田生命で野球をします。
—社会人での目標は
自分の役割は左のワンポイントリリーフなので、そこでしっかり結果を残して頑張りたいと思います。
—4年間応援してくれたファンの方々にメッセージをお願いします
4年間ありがとうございました。まだ優勝の可能性は残っているので、プレーオフに出れるように、出たら活躍できるように頑張りたいと思います。
プレイバック
伊藤寛士 捕手
昨季から全ての試合で4番に座り、今季は正捕手として法大を支えた扇の要・伊藤寛士(文4)。「精神的には強くなれたかな」と自身の大学野球生活を振り返る。
中京大中京高では甲子園に出場。U-18日本代表にも選ばれ、のちにチームメイトとなる宇草孔基(営4)や舩曳海(キャ4)と同じユニホームを身にまとって世界に挑んだ。満を持して法大の門を叩くと、1年秋には持ち前の打撃を生かしリーグ戦7試合に出場。順調にステップアップを果たしていく、”はずだった”。
「気持ち的にも落ちていた」と2年間にも及んだ不調の原因を振り返った伊藤。スタメンはおろか、出場すらできない苦悩の日々を過ごし、このまま終わるのかなと考えた事もあったという。
しかし、伊藤は『努力』を怠らなかった。自分の長所である打撃をさらに磨いてアピール。昨秋には捕手責任者に任命されるなど、青木久典監督から期待をかけられる存在となった。すると、打棒を生かすために春のオープン戦から一塁手に挑戦。そのままリーグ戦でも起用されると、初本塁打を放つなど打率.341の成績を残し、キャリアハイの活躍を果たす。「春のリーグ戦ではなんで打たれたのかというのはファーストを守りながら感じることが多かった」と一塁上で考えていたという伊藤。青木久典監督が復帰した今季はマスクをかぶり、チーム防御率1位の投手陣を支えた。
来年からは地元である愛知県に戻り、社会人で野球を続ける。宇草や福田光輝(人4)がドラフトで指名され、プロへの『あこがれ』がより一層、強くなった。これからも逆境を不断の『努力』で乗り越え、新たな舞台でも夢に向かってまい進する。
(加瀬航大)
伊藤寛士(いとう・かんじ)
文学部4年
1997年6月27日生まれ
愛知県出身・中京大中京
173cm90kg・右投右打
通算成績:30試合 114打席95打数 26安打 2本塁打 8打点 15四死球 24三振 打率.274
内沢航大 投手
「神宮球場でプレーできたことは本当に素晴らしかった」。最終戦が終わり、内沢航大(キャ4)は晴れやかな目と共に六大学で戦った4年間をそう評した。
昨季、東大2回戦のマウンドに上がると実に903日ぶりとなる白星を手にした。威力のある直球に磨きをかけ、夏のオープン戦で好投をみせると今季中盤からはセットアッパーとして躍動。また、投手責任者としても粒ぞろいの法大投手陣を引っ張り、時には冷静に周りを見て、サポートに回った。
ラストイヤーでの活躍。だが、光があれば必ず影もある。1、2年次には12試合に登板。将来のエース候補として期待をかけられていたが、けがとそこからのコンディション不足がたたり、昨年1年間は公式戦のマウンドに上がることができなかった。「やっぱり、腐っていた部分もあった」と悪夢のような3年次を内沢は振り返る。
そんな右腕を支えたのは心強い同期の存在。「朝山(広憲、法4)が『一緒にがんばろう』というふうに言ってくれて、周りの声が力になった」とプライベートでも仲の良い副将・朝山が頻繁に声をかけてくれたという。そこから仲島大雅学生コーチ(人4)とも意見を交わし、チームに必要なものはなにかというのを日々考えるようになった。「1年生の時はがむしゃらにやっていたけれど、投手責任者という立場になって周りを見ることが大事だなと思いました」。内沢は昔を懐かしみ、少し照れながら自身の成長を語ってくれた。
今後は社会人野球でプレーをすることが決まっている。 先日のプロ野球ドラフト会議ではプロ志望届を出したものの、最後まで名前を呼ばれることはなかった。だが、「チャレンジをさせていただいた監督さんや周りの人には本当に感謝したいです」と前を向き、感謝の言葉を述べた。195㌢から投げ下ろす直球はさることながら、どこまでもひたむきで素直な性格も彼の『持ち味』だろう。法大の『18』を背負った男は新たなステージへの一歩を踏み出そうとしている。
(加瀬航大)
内沢航大(うちさわ・こうた)
キャリアデザイン学部4年
1997年9月19日生まれ
青森県出身・八戸工大一
195cm92kg・右投左打
通算成績:25試合 43 1/3回 2勝3敗 被安打43 与四死球17 奪三振40 自責点19 防御率3.92
新井悠太朗 投手
新井悠太郎(営4)は気持ちを前面に出した投球で、とにかく吠える。六大学で最も投げっぷりの良い、見ていて楽しい投手だ。
そんな新井だが、高校時代はこのようなスタイルではなかった。投げ方すらも今とは大きく違うものだった。精神的にも技術的にも大学4年間でで大きく成長した。特に精神面に関しては、「この4年間でかなり成長できて、良い意味で上から目線で投げられるようになった」と新井は言う。この成長した姿勢こそが現在の強気の投球を生んでいると言って間違いないだろう。
新井にとって、大学4年間で忘れることのできない試合がある。それは普段から可愛がっている後輩・三浦銀二(キャ2)に救われた今季の明大1回戦だ。2点リードで迎えた8回に登板。しかし、まさかの3連打を浴び、一打同点、長打で逆転という絶体絶命の状況に陥る。そして、新井は顔面蒼白になりながら三浦にマウンドを託す。ここで、三浦はこれまでの新井への『感謝』を込めた魂の投球を披露する。見事に無死満塁のピンチを切り抜け、ベンチで固唾を飲んで見ていた新井はベンチから走って三浦の元へ。熱く抱き合い、お互いに喜びあった。
大学では指導者や仲間に恵まれ、4年次には日本代表候補に選ばれるなど多くの貴重な経験を積むことができた新井。今後は社会人野球、明治安田生命に進み、野球を続ける予定だ。左のワンポイントリリーフとして躍動する小さな体と大きな態度の融合による強気の投球に今後も注目したい。
(髙橋尚輝)
新井悠太郎(あらい・ゆうたろう)
経営学部4年
1997年5月23日生まれ
福岡県出身・折尾愛真
167cm67kg・左投左打
通算成績:16試合 13 2/3回 0勝1敗 被安打15 与四死球2 奪三振15 自責点3 防御率1.98