箱根直前インタビュー
2019年12月15日(日)
法大多摩キャンパス
東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根)まで残すところあと1日。箱根を2週間後に控える今月15日に、箱根への意気込みや想いを伺った。今回は坪田智夫駅伝監督、坪井慧駅伝主将、青木涼真選手のインタビューをお届けする。
インタビュー
坪田智夫駅伝監督
ーチーム状況は
エースの佐藤が欠場となってしまいましたが、ベストなメンバーで組めてます。また先日の合宿でも良い練習を積めたので、自信を持ってスタートラインに立てると思います。
ー佐藤選手の欠場について
怪我です。夏から引きずっていまして、ギリギリ間に合うかどうかでしたでした。チームとしては痛いですが、将来実業団で続けますので将来のある選手を箱根で終わらせるわけにはいけませんでした。
ー佐藤選手の穴はどのようにカバーされますか
春のトラックの結果を踏まえても大エースでしたので、1人で埋めるのは厳しいと思います。選手たちには全員でカバーしようといった話をしました。
ー坪井選手や岡原選手の調子は
確実に調子は上がってきているので、残りの時間でさらに調子は上がると思います。合宿でもチームの練習に合流できていますので、大丈夫だと思います。
ー2区を走られる選手は
おおよそは固めているのですがまだ選手にも話していないです。出雲全日本の結果や現段階の調子を見て選ぼうかなと思います。
ー青木選手の配置区間は
5区という形で考えています。あそこまで信頼感がある選手はいないですし、5区だと4-5分差をつけることができるので青木に任せようと考えています。今の青木の調子を見ても70分を切れるくらいには調子は上がってきています。
ー山のリザーブは
上りはリザーブを用意せず、青木一本でという感じです。下りに関しては坪井もしくは、須藤です。須藤は下の適性があるので、坪井の調子を見ながら考えようかと思います。
ー須藤選手の起用理由は
昨年から良い練習が詰めていました。練習だけ見ると青木ほどはいかないのですがAグループの中堅所と張り合う練習ができていました。しかし結果がでずくすぶっていたのですが、秋に結果が出れば合宿には連れて行くと伝えてありました。合宿でも良い練習が出来ていたので、平地で見ると16人に一歩及ばないのですが下りをみるとかなり良いタイムがでたのでエントリーしたかんじです。
ー坪井選手の出場は
彼も実業団に行きますし、将来的なことを含めて、去年ほどの走りではないとしても坪井を出す以上は結果を求めてはくるので、練習が止まっていた坪井か練習を平均的にこなしていた須藤かというところです。
ー1区に起用される選手は
流れに乗る大事な区間ではあるのですが、5区があるのでなんとか踏ん張りたいというところですかね。
ー青木選手は出雲全日本とチームを鼓舞しました
夏の練習を見ている限りではあれが妥当でした。どちらも本人は満足してなく、もらった順位が悪すぎるかたちでした。よく走ってくれたと評価しています。
ー河田選手の起用区間は
単独走もできますし、走力もついてきています。箱根を見据えて、出雲全日本と厳しい区間におきました。4区や裏のエース区間に起用しようかと思っています。
ー鍵をにぎる選手は
4年生がどういった走りができるかです。去年も一昨年も4年生がしっかり走ってくれれば、次の選手も自信を持って走れてます。4年生の6名がしっかりとした走りをしてほしいです。
ー今の法大の強みは
結束力です。チームで戦おうという意識をもっているところです。
ー意気込みをお願いします
出雲全日本で結果を出せていなかったので、箱根では総合4位を達成したいです。
坪田智夫(つぼた・ともお)
法政大学体育会陸上競技部駅伝監督
1977年6月16日生まれ
神戸甲北(兵庫)ー法大ーコニカミノルタ
2013年より本学駅伝監督を務める
坪井慧駅伝主将
―現在の個人のコンディションは
11月の中旬頃から復帰して、今は徐々に状態は上がってきているのかなという感じです。
―富津合宿を終えて
1次合宿は皆とは別メニューということで自分個人でロングジョグから、1次合宿の時は復帰したてだったので自分の身体をもっと箱根に向けて作っていくっていう感じでした。なので個人で練習させていただいて、2次合宿の方は全員の練習に混ざったという感じです。
―個人でやった時と混ざった時の違いは
個人でやった時は、ポイントというよりは距離走であったりジョグであったりというのを多めに入れて、皆とやる練習に混ざれなかったのでそこは各自でやったという感じです。
―チーム全体の調子は
全日本、出雲とあまりチーム的には良い順位ではありませんでしたが、そこから徐々にチームとして結構上がってきて、富津合宿では結構良い練習が積めて、メンバー16人は良い感じに上がってきているのかなと思います。
―昨年、箱根駅伝初出場でした。走ってみた感想は
初めての箱根駅伝ということで自分の中でも緊張しているのかなと思っていたんですけど、1、2年生の時に走れなかったというのがやはり自分の中で結構悔しかったので、緊張というよりは「やってやる」という気持ちの方が大きかったのかなというのは感じました。
―全日本を終えて4年生の中で話し合ったことなどは
年明けすぐ、4年生と全体のミーティングで『箱根4位』っていう目標をたてたんですけど、その目標に対して「このまま4位でいっていいのか」っていうのと、「目標を変えるか」っていう話が少し出ました。しかし、やはりそこは4年生としてしっかりまとまって『4位』っていう目標に取り組んでいきたいという思いがあったので、そこは4年生が負けたら後輩もついてこないのでっていう話は結構しました。
―現在の状態と昨年の今頃を比較して
今年に関しては出雲、全日本っていうのは出場できていなかったので、コンディショニングっていう意味では前回と比べたら少し劣るかなとは思うんですけど、4年生の最後の意地っていうのは昨年よりはあるかなと思っているのでその分感じは良いかなと思っています。
―けがで出場していなかった間の過ごし方
ほぼ補強のトレーニングとかで練習を行うっていうのがメインでした。ですが、チームとしてキャプテンとしても関わっていきたかったので、皆の練習状況を見て後輩に声をかけてあげたり、同期の皆に「後輩をこういう風に引っ張って欲しい」っていうのは常々言ってきました。
―希望区間が6区とのことですがその理由は
昨年6区1回走ってタイムとしての役割は果たせたかなという風には思いましたが、最後の最後で順位を落としてしまったっていう自分の悔しさがあったので、そこは今年しっかり払拭してやろうっていう気持ちで6区やりたいなと思っていたので6区にしました。
―そのことについて監督からお話などは
昨年の1月終わり、2、3月でロードの平坦のところで結構良いタイムとかで走れていて、「平坦の方でも用意しろ」ってのは言われていたので、自分の中では別に6区走っても平坦の方で走っても準備はできているのかなと思います。
―他大で意識している選手は
明治大学の河村一輝(4)っていう高校の時の同期のやつなんですけど、そいつは結構気になったりはします。
―その理由は
高校の時から結構ライバル心を持って2人で切磋琢磨してやってきた同期の子で、おそらくその子も6区で下ってくるのかなっていう話はしていたので、そこでもし同じ区間で走るのなら負けたくないなって気持ちが結構強いかなと思っています。
―チーム目標が総合4位とのことですが、それを実現するために
ここからもうあと3週間はやることと言えば風邪を引いたり小さなけがであったり不注意なミスっていうのをなくすことが大事かなという風に思っていて、ここから一気に成長したりっていうのはチーム的にも無いと思っているので、一人ひとりが、Bチームであれば次の法政の記録会があるのでそこへ向けてAチームを刺激して欲しいなっていう思いと、Aチーム、16人の人は(1月の)2日、3日で良い走りができるようにいかにコンディショニングを調整していくかっていうのが大事かと思っています。
―16人の中で期待する選手は
一個下の3年生の田辺だったり糟谷っていう2人の選手は結構自分の中でも注目して見ているのかなと思います。昨年は箱根駅伝その2人も走れずに、田辺はしっかり出雲、全日本と走ってきていて、糟谷であっても今年ハーフの数であったらチームの中でも一番走っているのかなと思っていて、その2人がしっかり盛り上がってくることで今年の箱根が終わってからも来年をその2人に任せられるかなと思っているので、その2人には頑張って欲しいです。
―色紙に書いていただきました『勝』の意図とは
元々結構負けず嫌いでひとつの練習であっても負けるっていうのが昔から嫌だったので、昨年の6区であっても最後の最後でひっくり返されて負けてしまったので『勝負』という意味での『勝』というのと、『勝ち』にこだわったっていう風で『勝』という文字を書きました。
―箱根駅伝へ向けての意気込み
箱根駅伝は自分たち4年生として最後の箱根駅伝となるので、総合目標の4位っていうのをしっかり達成して、出雲、全日本でお見せできなかった法政らしい走りができたらいいかなと思っています。
―ファンの皆さまへ一言
自分が全日本、出雲と走れずにチームの順位としても良い結果で収められなかったので、しっかり箱根駅伝は自分の良い走りをしてチーム目標である『総合4位』を達成したいと思います。
坪井慧(つぼい・けい)
経済学部4年
1997年6月22日生まれ
175センチ・64キロ
出身校:大垣日大(岐阜)
1万メートル自己記録:29分45秒08
青木涼真
ー富津合宿を終えて今の状態は
チームとしても個人としても過去最高の出来で練習ができました。個人としては、過去最高の中でも一番余裕を持ってできていて、走力、状態共に今までで一番良いんじゃないかなと思います。合宿を終えてからも、状態を落とすことなく練習ができているので、ここからしっかり調整をしていけば、かなり良い状態で箱根を迎えられると思います。
ー合宿ではどういった練習をされましたか
例年、10㌔プラス5㌔という練習を最後の仕上げで行いますが、それをかなり良い状態でできました。
ー好調の要因は
練習を1年間通してできたことが一番大きいと思います。今までは、ずっと練習をつなげられたことがなかったので、今年はけがなく練習できていることが一番の要因だと思います。
ー駅伝シーズンを振り返って
3年の頃までと比べるとだいぶ理想に近い走りができたと思いますが、それでもやはりチーム目標を達成できなかった点では、自分がもっとやれていればと駅伝の度に思っていたので、合格点ではないのかなと思います。その中でも成長は感じられました。
ー今季は4年生が万全ではない中で、青木選手がチームを引っ張るレースが続いたと思います
前回の箱根が終わった段階で、今年は自分がチームを引っ張るということをずっと考えていたので、自分が負けたらチームも負けるという思いでこの1年間やってきました。出雲、全日本では、できれば4年生が万全な状態で臨みたかったのですが、けがをしたくてしている訳ではないですし、4年生には焦らせたくなかったので、安心して復帰してもらいたいといいますか、自分が走ってチームを機能させ続けることが最重要だと思っていました。
ーこの1年で成長したと感じる部分は
正直3年生の頃までは陸上に対して本気で取り組んでいなかったというのを、今年になって1番感じました。切り詰めてやりたくないというか、楽にやりたいというイメージで陸上を続けていました。ですが、やはり勝つためには切り詰めなければいけないですし、来年から実業団に進むにあたって、自分から練習をすることができないとこれ以上強い選手にはなれないと思います。まずは、陸上にかける時間を増やしました。朝練習でもみんなはそのまま寮からトレセンに行きますが、自分は遠回りしてプラスでグラウンドを走ったりして、距離を稼いだりアップを入念にするようにしてきました。自分の中では初めて努力しているなという感じでした。
ーその3年生の頃までを振り返ると
これまでは、負けたくない気持ちはありましたが、周りも頑張ってるから自分も頑張ろうという感じで、ただ周りに引っ張られてやっている感じでした。今年は4年生なので、自分が頑張ることでチームを引っ張らないといけないということに気付いたといいますか、それまで1つ上の代が引っ張ってくれていた分、今年は自分がやらないといけないというのを感じ、少しずつ取り入れていきました。
ーきっかけとなった出来事や経験は
全日本が終わった時に、このままではいけないと思ったことですね。
ー海外のレースにも出場されました。そこでの経験で得たものはありますか
自信が一番大きいかなと思います。3000m障害でドーハ世界陸上の標準記録である8分29秒を狙っていましたが、3秒強くらい届かず悔しい思いもしました。ですが、今の取り組みでここまできているのなら、今後実業団で続けるにあたって自分はもっと伸びると実感しました。それも含めて箱根などの長い距離でも、まだ自分はどんどん強くなれると感じたので、この1年間でまたもうひと伸びすれば今までと比べ物にならない走りができるのではないかなという自信につながりました。
ー総合4位を目指す中で、青木選手の役割は
自分のところで区間新、区間賞は最低条件だと思っています。自分負けたらチームが負けると思っているので、他大学の選手も力をつけてきていますが、その上で勝ちきらないとチーム目標は達成できないと思います。自分は絶対負けてはいけないという役割だと思います。
ー山区間での好走に期待が寄せられていますが、プレッシャーは感じますか
やはりプレッシャーはありますが、今後の競技生活で日の丸を背負うことを目標にしているので、そういったことを考えるとこのプレッシャーはなんてことないと思うので、これもまた良い経験だと思ってやっていきたいと思います。
ー今後の調整は
あとは調整するだけだと思うので、余計なことは考えずに、集中して、モチベーションとコンディションを整えて本番を迎えたいです。そうすれば自ずと結果はついてくるのではないかなと思います。
ー走りやすいレース展開は
前の4人が頑張っていてくれれば、どの位置で来てもやってやろうという気持ちになると思います。自分の強みとしてはどの位置でも走れることだと思うので、1区から4区の選手たちの走っている姿や顔で自分はモチベーションを上げて行こうと思います。
ー具体的な目標は
1時間9分前半から8分台を目指しています。今年はそれぐらいを目指さないと区間賞は取れないレベルなのかなと思います。
ー前回5区の浦野選手(国学大)や西田選手(東海大)などは意識されますか
前回負けてしまったので、リベンジしたいという気持ちが強いです。ただやはり出雲や全日本を見ていても、彼ら2人も力をつけてきていると思います。ですが、自分がこの1年やってきたことも絶対に間違ってはいないと思うので、そういう気持ちで臨みたいと思います。
ーこれまでの箱根と比べて心境の違いはありますか
これまでは、チーム目標を達成することと個人のことぐらいしか考えていませんでした。しかし、今年は4年生なので、最後に後輩たちに何を残すかというのを意識しながらやっていきたいと思っています。来年も良いチームになってくれると思うので、自分たちが最後に残せるものは残してチームを去りたいと思います。
ー佐藤選手が今回エントリーを外れることとなりました
1年生の時からずっとライバルとしてやってきた選手なので、最後に箱根を一緒に走って終わりたいという気持ちはありましたが、彼も実業団に行って世界を目指す選手なので、実業団に行ってからも敏也とやっていきたいと思っていますし、ここで無理はしてほしくないと思いました。そこまで悲観することなく、今自分たちにやれることをやっていければと思います。
ー箱根への意気込みをお願いします
今までは一歩引いた考えで箱根を走っていましたが、最後は笑って終わりたいです。これまで大学での陸上で満足できたと言えたレースが1回もなかったので、最後の箱根は満足のいく結果を残し、後輩たちに託していきたいと思います。
ー最後にファンの方々へ一言お願いします
お正月は寒いので風邪をひかないように、応援よろしくお願いします。
青木涼真(あおき・りょうま)
生命科学部4年
1997年6月16日生まれ
167センチ・56キロ
出身校:春日部(埼玉)
1万メートル自己記録:28分59秒52