2020年10月14日(水)
オンライン取材
いよいよ2日後に迫った箱根駅伝予選会。法大は昨年度の箱根で15位となり、2016年以来の予選会へ挑む。今年度は、陸上自衛隊立川駐屯地内周回コースでレースが行われ、各大学上位10人の合計タイムの上位10校が本戦への出場権を獲得する。今回は直前特集として、坪田監督、糟谷主将に加え3名の選手のインタビューを行った。予選会に向けての選手たちの意気込みをお届けする。
エントリー選手一覧
選手名 | 学年 | 出身高校 | 種目 | 自己最高記録 |
---|---|---|---|---|
奥山 智広 | 4 | 酒田南 | 10000m | 30分38秒09 |
鎌田 航生 | 3 | 法大二 | 10000m | 28分53秒97 |
河野 祥哉 | 3 | 小林 | 10000m | 30分44秒30 |
清家 陸 | 3 | 八幡浜 | 10000m | 29分34秒09 |
内田 隼太 | 2 | 法大二 | 10000m | 30分23秒91 |
川上 有生 | 2 | 東北 | 10000m | 29分52秒62 |
河田 太一平 | 2 | 韮山 | 10000m | 29分06秒76 |
徳永 裕樹 | 2 | 自由ヶ丘 | 5000m | 14分31秒80 |
中園 慎太朗 | 2 | 八千代松陰 | 10000m | 29分56秒96 |
松本 康汰 | 2 | 愛知 | 10000m | 29分45秒81 |
山本 恭澄 | 2 | 伊賀白鳳 | 5000m | 14分28秒31 |
稲毛 崇斗 | 1 | 東北 | 5000m | 14分31秒18 |
細迫 海気 | 1 | 世羅 | 5000m | 14分30秒63 |
宗像 直輝 | 1 | 東農大二 | 10000m | 30分11秒84 |
監督、主将インタビュー
坪田智夫 駅伝監督
—今のチーム状況はいかがですか
状態は上がってきていますので、力を発揮してくれれば十分10番に入れるという手ごたえはあります。
—今年はコロナの影響もありましたが、その中での練習は
コロナの影響でずっと試合がなく、自粛期間は実家に帰った選手もいましたので、全体でそろって練習ができるようになったのが6月ぐらいでした。なかなか足並みがそろわなかった状況で大きな試合から小さな試合まで全部なくなってしまったので、選手のモチベーションをキープするのが難しいシーズンでしたね。また、夏の合宿もできなかったので、強化の面では非常に難しい1年でした。
—個人練習がメインだった時期の連絡はどのようにしていましたか
選手が50人いますので、なかなか毎日電話でやり取りはできなかったのですが、一日一回朝練習のスタートのところでzoomで集まって、朝6時ぐらいに軽いミーティングや体操を各自やってから練習に入っていました。一日一回は顔を合わせていました。
—夏合宿が行えない中、夏場はどのような練習をしていましたか
ここ何年かシードを獲った時も予選会からだった時も、多少なりともバージョンアップはしていましたが大体同じような流れで練習を組んでいました。しかし、今年は暑い環境の中で今までの練習と比較ができなかったので難しかったですね。通常、夏の期間は朝練習、午前練習、午後練習と一日3回やっていたのですが、午前中は暑くて全く練習できない状況でしたので、メインの練習は朝練習と夕方の午後練習でした。私も初めての経験でしたが、夕方になるとかなり気温が下がってきますので、通常とは違いますが、元々あった計画と大きくずれることはなくできました。
—夏明けにかけての練習は
8月の後半から山梨の西湖という陸上の合宿地としては有名なところで、標高1000mくらいのかなり涼しい環境で練習ができました。ここから車で1時間くらいで行けるので、昼食を食べてから出発をして午後練習をしていました。大体7日〜10日間くらいやっていました。
—夏以降、重点的に行った点やチームとして自信をつけられた点は
正直、夏の間はですね、選手たちはあまり強化をしている感覚はなかったと思うんですね。通常は試合をして調整をしながら練習を落としたりもしますが、今年に関しては、春先からトラックのレースがなく、みんなバラバラの練習をしていたので、4月から8月の4か月間は長い強化期間のような形でかなり距離を踏んできました。その流れの中で8月に入り、ペースの速い練習はしていなかったので、あまり力がついたという実感はなかったのではないかなと思います。その分、体力ベースでは上げてこれて、9月の中旬くらいからペースを上げる練習ができるようになり、選手たちも実感が湧いてきたかなと思います。私もそうですし、選手たちも今までやってきたことの自信がついてきたと思います。
—その中で特に調子を上げている選手は
今年エースの鎌田(航生)は、自粛期間からもずっとかなり良い練習ができていました。タイムが飛び抜けて良いというのではないですが、良い形で練習が継続できていたので、力は昨年と比べ物にならないぐらいついていると思いますし、十分他校のエースと互角にやれる力はあると思います。本人はどこまで実感があるか分かりませんけれども、こちらの練習で過去の選手と比べてもかなり質の高い練習ができていますね。
—先日、国士舘大学競技会に出場された意図としては
その前の週に強い練習を入れていて、通常2週間前のあのタイミングで試合はやらせないんですけれども、今回5000mを2本走りました。今年は試合の緊張感や会場の雰囲気を忘れている選手が多かったので、「試合の空気を吸う」と言っているんですけれども、やはり練習の一環ではありましたがユニフォームを着てゼッケンをつけて、練習とは違った雰囲気で走るという狙いがありました。法政大学の関係者以外の人の目に触れながら他校の選手と一緒に走るところの緊張感は多少なりとも味わえたのかなと思います。当然、予選会は負けたら終わりという緊張感もあってそれとは全く違いますが、一つそこで試合の環境に慣れることやスタートラインに立つまでのウォーミングアップなど、雰囲気を味わうという目的で国士舘には出場しました。
—予選会エントリーメンバーの采配に関しては
本当は4年生をもう少し入れたかったなというところではあるんですけれども、それ以上に下級生、特に2年生が非常に元気です。(エントリーした2年生の)7人、ずっといい練習ができていた訳ではなく、半分くらいが年間を通して練習ができていて、もう半分は夏の中旬くらいからグッと調子を上げてきました。もともと力のある学年でしたが、ようやくここにきて非常に多い人数がエントリーされたという感じですね。
—今回1年生からも3名エントリーされています
稲毛(崇斗)は年間を通して良い練習ができていました。細迫(海気)は春先はよくてそのあと抜けたりもしましたがようやく戻してきてくれましたし、宗像(直輝)もここにきて一気に調子を上げています。かつ、この3人に関しては、ロングの20㌔の試合に向くようなタイプなので、走らせても非常に面白いかなと思います。なので1年生だから走らせないということでは決してなくて、あと数日にはなりますが、この14人の中から12人を選ばないといけないというところでは良い意味で非常に頭を痛めています。
—予選会は例年とコースも異なりますが、その影響や対策に関しては
そこが怖くてですね、過去のデータが比較にならないですし、近年スピードが上がってきているので非常に設定が難しいです。ただトップ通過というのは考えていなくて、予選会に関しては10番以内を、11番との差は1秒でもいいのでとにかく10番に入ることが大事だなと思っていますので、通る設定でしっかりやっていきたいと思います。
—チームとしてのレースの進め方やポイントとなる点は
コースがフラットでペースが速いといってもやはり学生が走る20㌔ですので、あまり無理な突っ込み方はできないかなと思います。気象条件が良くなるとはいえ、ある程度一定のペースで押し切るという感覚ではいます。鎌田、河田(太一平)、清家(陸)あたりは稼げるかなと思いますが、そうはいっても予選会は10人目が帰ってこないと落ちますので、誰もミスができないという緊張感はあります。キーとなる選手は全員です。鎌田はエースとして日本人トップを狙ってほしいですが、鎌田がいくら稼いでも9番目、10番目が帰ってこないと負けますので、全員がキーとなって戦っていくレースになると思っています。
—最後に意気込みをお願いします
予選会に関してはまずは通ることが大事だと思います。そこをクリアして本選に向けてチームを作っていくためにも、絶対に外せないので。コロナの影響もありながら練習ができる環境を整えてくれる大学関係者の皆様や、応援してくれている皆様の期待に応えられるように、まずは予選会をクリアして本選でシードを奪還したいと思います。
糟谷勇輝 駅伝主将
—今年はさまざまな面で異例の年となりましたが、振り返っていかがですか
今年はコロナがあったので、数々の大会がなくなってしまってモチベーションが保ちづらかった点が一番難しかったかなと思います。ですがやっぱり、新チームになって最初に『箱根駅伝総合8位』という目標を立てたので、それに向けてコロナ禍でもしっかりやれることはやってきたかなと思います。
—自粛期間の練習は
学校の施設が使えなかったので、大学に残って練習する組と実家に帰って練習する組で分かれた状況の中で、基本は与えられた練習をやっていました。
—今年のチームの印象やカラーは
そうですね、今年は昨年と違って絶対的エースがいないということで、総合力で戦うというイメージではあります。カラーとしては、虹色とかですかね(笑) 個性が強いです。
—特に個性が光っている選手は
今エースと言われている3年生の鎌田ですかね。個性が強いといいますか、印象が強いです。普段の私生活でも、人との接し方とか3年生の同期からのいじられ方とかが個性的ですね。
—予選会に向けてのチームの状況は
予選会にエントリーされたメンバーは下級生中心なんですけど、全体的に勢いがあって調子が良いというのが今のチームの現状です。
—チームの雰囲気は
まずは予選会を通過することが目標なので、予選会が近づくにつれて意識も高まってきています。また、予選会のメンバーだけがやらなければいけないというのではなくて、逆に予選会メンバー外の人たちがどういった雰囲気を予選会メンバーに与えられるかということを意識しながら練習を行えているので、良い雰囲気でここまで来ることができているのかなと思います。
—その中で糟谷選手自身はどのようなことを意識していますか
自分自身は今回予選会のメンバーにはエントリーされなかったんですけど、自分が3年間やってきてハーフも沢山走らせてもらっているので、その経験をなるべく下級生に伝えたり、予選会のメンバーだけと会話するのではなくて、チーム全員、特に1年生に声を掛けたりしてなるべく多くの人と会話するようにしています。
—ファンの方々に向けて一言お願いします
コロナ禍の中で、私たちが気づかされたことが沢山あって、その中でも陰ながら応援してくださる人たちが沢山いるということに気づかされました。私たち自身も箱根駅伝8位以内という目標を達成するべく予選会に向けて全力で戦ってまいりますので、法政大学陸上競技部・長距離ブロックの応援よろしくお願いいたします。
糟谷勇輝(かすや・ゆうき)
経済学部4年
出身校:八千代松陰(千葉)
(取材・守本咲希)