【硬式野球】「秋季リーグ開幕直前特集~奪還」第3回 川名、皆川、蔵桝、田中
2015年9月4日(金)・8日(火)
法政大学野球部寮
春季リーグ戦を2位で終えた法大。創部100周年の秋、狙うは王座奪還のみだ。秋季リーグ戦開幕を目前に控えた監督、選手たちに今季の決意を伺った。第3回は川名健太郎、皆川普、蔵桝孝宏、田中彪の4選手。ラストシーズンを迎え、人一倍の闘志を燃やす彼らに今季の意気込みを語っていただいた。
川名健太郎
―春季リーグ戦の収穫、反省は
去年の秋より投げさせていただく機会が多かったことは収穫というか、成果だと思います。その中で結果を出さなければいけないのがリーグ戦。チームの勝利につながる投球ができなかったのが反省点です。
―リリーフの難しさをどのようなところで感じますか
後ろで投げる投手はいつどんな場面で投げるのか分からないので、そういった心の部分で大変な役職だなと考えています。
―その役職をこなしていくためのメンタルの保ち方は
日ごろの練習でいろんな場面を想定して投げるべきだと思います。それを、この春から秋にかけて取り組んできたつもりです。
―それ以外で、春から秋にかけて取り組まれたことは
トレーニングは増えましたね。その中でブルペンに入った時は打者を立たせたり、ケースを想定したりして投げていました。ランニングの量もかなり増えました。投手は走ることが大切です。ただ走るのではなく「走った分は自分に返ってくる」と思って走りました。春のあの結果もあり、「また神宮のマウンドに戻るぞ」という気持ちでやっていました。
―気持ちの変化が大きかったのですね
やはりラストシーズンなので。
―この夏のキャンプはいかがでしたか
きつかったです(笑)。武蔵小杉よりずっと涼しい北海道でやらせてもらったのですが、違った環境で生活する難しさがありました。また人数が絞られているので、自分で集中して長時間の練習をすることも大変でした。主に投げ込みやランニングなどをしていましたね。
―北海道では何試合に登板されましたか
3試合です。課題もありましたが「投げた分だけ結果につながるかな。練習した分だけ返ってきているのかな」という感じはしました。
―休みの日は
何やってたっけな(笑)。札幌で後輩の嘉藤(龍太郎=経3)を連れてラーメンを食べに行った…だけかな(笑)。休みは1日あったのですが半日は移動でつぶれてしまったので、午後から夜の間に。でも体が疲れていましたし、翌日から試合があったので試合に向けて体を休めていました。
―嘉藤学生コーチとはどのようなお話をされましたか
野球のことだったり、ふざけた話だったり。ほとんどふざけた話でしたね(笑)。
―キャンプの宿泊先の部屋は
帯広は3人で、札幌は1人でした。帯広の部屋は楽しかったです。いつも僕が最初に寝ていました(笑)。
―充実したキャンプだったようですが、その成果は今現れていますか
キャンプで投げ込んだ分だけフォームが安定してきたと思います。ただ投げ込むのではなく、一球一球確かめながら投げていたので、時間は結構使いましたね。
―今のご自身の調子は絶好調時と比べてどのくらいでしょうか
上がってきての80%ですね。
―残りの20%は
ストレートの精度や細かいコントロールです。打者と勝負するポジションなので、勝負できるよう準備したいですね。
―現在のチームの状態は
リーグ戦に向けて仕上がってきていると思います。9月に入ってからは特にリーグ戦を意識している感じがします。
―その中で「頑張っているな」と感じる選手は
やっぱり4年生ですかね。あぜ(畔上翔=キャ4)だったり、若林(晃弘=営4)だったり。
―この夏、成長を感じた1年生は
大西(千洋=営1)と上條(将希=キャ1)ですかね。大西は元々持っているものがすごかったです。安打も打ちますし、足も速いです。チームが勝ちにつながるような活躍をしてくれるのではないかなと思います。上條はノックやランニングといった、日々の練習一つ一つに対しての意識が変わったと思います。
―誰とバッテリーを組むことが多いですか
森川(大樹=営3)と組むことが多いです。
―森川捕手とはどんなお話をされますか
配球のことや、「この球が良かったかな」といった話です。
―キャンプでは一球一球確認をしながら投げ込みをされていたとのことですが、その時も森川捕手だったのですか
そうでしたね。森川は気づいたらすぐに言ってくれますし。
―1年生捕手の印象は
中村(浩人=営1)はリーグ戦を多く経験して、打者をどう抑えるのかが分かってきたと思います。リーグ戦では中村が受けることが多くなってくると思うので、勝ちにつながるリードをしてほしいです。鎌倉(航=法1)は、冷静ですね。…冷静しか出てこない(笑)。
―部屋子は
森田(駿哉=営1)です。普段は一緒にテレビを観たり、ゲームをしたり。森田をちょっといじって遊んだりもしています(笑)。野球の話はしませんね。練習は練習、プライベートはプライベートでやりたいので。
―春季リーグ戦にご家族はいらっしゃいましたか
はい。両親は来ていましたね。自分がどういうところを見てほしいのかも分かってくれていると思います。今まで学生野球をやらせてもらっていたので、結果で恩返しをしたいです。それにふさわしいのは優勝だと思うので、「ありがとう」という気持ちを優勝で伝えたいです。
―3年半の間で野球がつらくなった時期は
1、2年生のときは出場できていなかったので、きつかったですね。
―そのつらい時期を今まさに過ごしている選手たちへのアドバイスをお願いします
練習は嘘をつかないと思っています。今苦しくてもしっかりと練習をしていれば、いつか成果は表れてくるから。下を向かずに前を向いて、先を見て練習をしてほしいです。
―では改めて、秋季リーグ戦のご自身の目標をお願いします
リーグ戦では投げたいと思いますし、勝ちにつながればそれが一番です。優勝につながる投球をしていきたいと思います。
(取材:伊藤華子)
皆川普
―春季リーグ戦を振り返って
春は優勝争いの大事な天王山を落としたことが課題になりました。粘り強く勝てた試合もあったのでそこは収穫もあり、課題もあったシーズンだったと思います。
―青木久典監督に変わり、1シーズンを終えてみて
前監督の神長(英一)さんの野球と青木さんの野球は全然違いました。神長さんは自主性というか選手に任せる自分たちがやらなくてはいけない野球だったんですけど、青木さんは自主性を重んじる中でも協調性とかチームとして戦う方針だということを感じます。そういう意味ではチーム一丸となった野球ができてきたかなと思います。
―ご自身は勝利を決定づけるような活躍が多かったように思います
やっぱり最上級なので結果を残したいという気持ちが強いですし、後輩に任せてばかりはいられないという気持ちもありました。少しでも結果を残したいという気持ちは秋も継続して保っていきたいです。
―ご自身の中で何か変わったと思うところはありますか
プレースタイルで脱力することを心掛けました。今までは結果を意識しすぎて硬くなっていましたが、脱力することで気持ちに大きな変化ができました。
―昨季の自分に点数をつけるなら
65点くらいです。自分が打った試合は勝つ、エラーをした試合は負けるというのを自分で感じました。自分で言うのもなんですが、自分のプレーがチームに与える影響があるかなと感じてきたので。学校の成績の評定平均でいうなら4くらいです、5まで持っていきたいです。
―リーグ戦を通して見つけた課題、収穫は
チームとして終盤のイニングで勝ち越したり、先に点を取られてもピンチをしのだりと去年とは違ってズルズルいかないので、チームとしての雰囲気が成り立ってきたかなと思います。課題は天王山の早大戦のように優勝に絡んできている中で、いつも通りのプレーができるかですね。緊張した場面で結果を残さなくてはならないので、優勝するためにはそこが課題になると思います。六大学は大竹(耕太郎・早大)や上原(健太・明大)とか左投手が多いのでその左投手をどう打ち崩していくのかがチームとしても課題だと思います。
―この夏重点的に取り組んでいることは
やっぱり脱力することです。取る瞬間、打つ瞬間は大事なのでそれを意識するために、無駄な力を入れないようにする大きな要素になっています。
―堅実な守備が印象的ですが、何か特化した練習は
人一倍ノックは受けるようにしています。実打とかフリー打撃の中で、打球に対して人一倍反応するようにしています。
―自主練習はどのようなことに取り組んでいますか
基本が大事だと思っているので、理想の形を作るためにゴロ捕球だったり学生コーチに打ってもらったりしています。
―夏季キャンプが行われた北海道はいかがでしたか
涼しかったです。
―キャンプならではの練習は
グラウンドが土でイレギュラーとか不規則なバウンドが多いので、その分下半身を使った基本に忠実な練習が多かったかなと思います。
―キャンプを終えて成長を実感している所は
力が入らなくなったことです。脱力は守備でも打撃でもなんでもいけます(笑)。
―それを踏まえてオープン戦での手応えは
最近の3試合は全部勝っていて負けない野球ができているので、リーグ戦でもこの調子でやっていきたいです。
―チームの雰囲気はどう感じていますか
4年生が主体になってやれていると思うので、そういった点を継続していきたいです。
―チーム内で注目の選手は
中山(翔太=人1)です。右で本塁打を打てる打者というのはチームに必要な存在だと思います。
―ご自身のプレーで注目してほしいところは
気持ちが入ってる中でも脱力してプレーするところです。
―ラストシーズンの意気込みをお願いします
リーグ戦は8シーズン目になるんですけど、1年生の秋に優勝した感動を下級生にも味わってもらいたいので、優勝していない世代を作らないためにも4年生の力で勝ち星をつけられるような試合をやっていきたいです。
(取材:望月千草)
蔵桝孝宏
―春季リーグ戦の収穫、反省は
初めて全試合でスタメン出場できたことが収穫です。今まではリーグ戦を通してあまり結果が出ていなかったですし、試合に出られないこともあったので。反省は早大戦のここぞという時、左投手に対応できなかったことです。秋に向けての課題になりました。
―では、夏は対左投手の対策をなさったのでしょうか
はい。打撃投手を左投手多めにしてもらいました。あとは、インコースに投げてくる投手に苦戦していたので、インコースの練習もしました。
―その練習は今、オープン戦などで生きていますか
投手の左右に関係なく、インコースのさばきは春より上達した感覚があります。今後は春得意だったアウトコースをまた打てるようにしていきたいですね。
―北海道キャンプはいかがでしたか
振り込みなどをしたのですが、量より質を求めたキャンプになりましたね。限られた時間の中で1日1日目標を持って実践できたので、充実したキャンプになりました。
―「限られた時間」とは
朝8時~16時くらいなのですが、夜練習する環境がなかったのでそこは普段と違いましたね。
―休み時間は何をしていましたか
札幌では若林や佐藤竜といった4年生中心で、おいしいものを食べに行ったりしました。
―今のご自身の調子は絶好調時と比べて何%ですか
80%くらいですかね。
―残りの20%はアウトコースへの対応になってくるのでしょうか
それもありますが、「気持ち」ですかね。あとはフォームの調整です。
―青木監督に変わったことで、普段の練習に変化はありましたか
フォーメーションの練習を取り入れるようになりました。一つ一つのプレーに対して丁寧になったと思います。外野であっても中に入ってやっているような感じです。
―この夏、成長を感じた1年生は
大西千ですね。入ってきたときは「足が速い選手」というイメージでしたが、北海道では打撃でもアピールしていました。外野手がけがや不調に陥った時にすぐに出られるような選手ですね。
―その大西千選手にアドバイスはなさいますか
タイプ的にも違うので、特にはしていません。試合前に軽く声を掛けることくらいしかしていないですね。あまりプレッシャーを与えないように、ということは意識しています。
―「あまりプレッシャーを与えないように」と意識されているのは、ご自身が経験されたことからでしょうか
はい。先輩にはあまりプレッシャーのないやりやすい環境でやらせてもらいました。そういう経験も踏まえて「やりやすい環境を作ってあげた方がいいな」と思っています。
―チーム1の努力家は誰ですか
まあ畔上でしょうね。チームの誰もが「畔上」と言うと思います。まず、やっている(練習の)量が違います。主将としての自覚もありますし。
―部屋子は
中谷(幸介=文1)です。
―どのようなことを期待しますか
自分も1年生の時は(試合に)出られなくて焦っていた部分がありました。今の時期はしっかり先輩のプレーを見て勉強して、「自分に何が足りないか」を客観的に見られるようになってほしいです。それを課題にして、1日1日大切にやってほしいです。
―3年半の間で「野球を辞めたい」と思った時期はありましたか
いや、自分は「野球を辞めたい」とか思ったことはないです。何度かけがをして野球をしたくてもできない時期が長かったので、そういったことも影響していると思います。
―今季の目標をお願いします
個人的にはベストナインです。チームは、まずリーグ戦を優勝して、選手権で日本一になることです。春は東大にも負けているので一戦必勝で。しっかり相手を研究して、目の前の相手を倒していきたいです。優勝を意識せずに一戦一戦戦い、勝ち点を取ることができれば良いと思います。
(取材:伊藤華子)
田中彪
―4年生になって約半年がたちますが、最高学年になってこれまでとの意識の変化はありますか
先頭に立ってやらなきゃいけないということで、今までよりいっそう後輩に見せなければならないという意識はあります。
―青木監督の印象
僕たちと同じ気持ちでやってくださっていますし、そういった熱い部分がある人です。
―畔上選手はどんな主将ですか
高校で全国優勝した主将ですし、なるべくしてなった存在なので頼りになりますね。
―春季リーグ戦を振り返って
開幕から連続で勝ち点3を挙げましたが、大事な早大戦で2連敗して勝ち点を落としたのは痛かったですね。秋に向けては気を抜かずに、一戦一戦落とさず勝っていくつもりでやらなきゃいけないと思いました。
―打撃の収穫、課題
春は打率はあまり良くなかったですけど良い場面で打つことができていたので、そんな悪くなかったと思います。ですが、やっぱり優勝するには個々人の打率を上げていかないといけないのかなと思いますね。技術的な面では、フォームを一から自分で見直して改善しました。
―リーグ戦では主に中堅手でしたが、守備で心掛けていることは
やっぱりセンターラインになるので、左翼、右翼手への指示を出して自分が中心になって外野を動かすぐらいの気持ちを持って守ってました。
―優勝争いのプレッシャーは感じましたか
プレッシャーというよりは、優勝できるかもしれないという気持ちが緩みにつながったのかもしれないですね。去年まで3季連続5位、今年は創部100周年で絶対優勝するという気持ちで臨んで、そこで順調に勝ち点3を取って安心してしまったのかもしれません。
―1年生の活躍も目立ちましたが台頭をどう感じましたか
もちろん戦力になる選手が出てきてほしいですし、競争力も上がるのでそれはうれしいことです。
―春のリーグ戦で印象に残った試合は
明大戦ですね。ここのところ明大から勝ち点をとれてなかったですし、勝ち点を取らなきゃいけないというプレッシャーみたいなものもありました。そこで2連勝できて、悪い印象もだいぶ払拭できたので良かったですね。
―夏季キャンプではどのようなことを意識して練習しましたか
キャンプ中に肘のけがをしてしまって投げることができなかったので、打撃練習を中心にやれることをやっていました。今は肘の状態は大丈夫です。
―現地では激励会なども行われました
自分の身近な先輩が北海道にいて、その人にはよくしてもらいましたね。
―現在オープン戦を行っていますが自身の状態は
肘も治って体の動きも悪くないですし、打撃もそこそこ調子いいので、ここからの数試合でベストの状態に持っていきたいですね。
―オープン戦で心掛けていることは
主に1番を打たせてもらっているので、1球目から100%の力でスイングすることを心掛けています。
―夏季キャンプやオープン戦を通して、秋に活躍が期待できる選手はいらっしゃいますか
1年生の外野手の大西千洋ですね。寮の部屋が一緒で、かわいいやつなんですよ(笑)。ポジションが被っていて活躍されたら出番が減るので嫌じゃないと言ったら嘘ですけど、やっぱり頑張ってほしいですね。
―秋のリーグ戦の個人的な目標は
やっぱり打率は残したいですし、その延長線上にベストナインや首位打者とかは目指していきたいですけど、とりあえずはチームの勝ちにつながる打撃ができればいいかなと思います。
―チームの中でのご自身の役割は何だと思いますか
やっぱり1番を任せてもらっているので、核弾頭として法大打線に火を付けられるように心掛けています。
―秋は特に意識するチームはありますか
春は早大戦で勝ち点落としたことが優勝を逃した要因なので、早大は意識しますね。
―ラストシーズンになりますが、これまでの3年半で一番の思い出は
思い出っていう思い出はまだないので、秋にできたらいいなと思ってます。
―最後のシーズンをどう臨みますか
このメンバーでやるのも最後になってしまうので、そういうものもかみしめてやれたらと思います。
(取材:渡辺拓海)
プロフィール
川名健太郎(かわな・けんたろう)
経営学部4年
1993年12月11日生まれ
千葉県出身・安房
191cm94kg 右投右打
皆川普(みながわ・ひろし)
キャリアデザイン学部4年
1993年9月1日生まれ
千葉県出身・西武台千葉
176cm74kg 右投両打
蔵桝孝宏(くらます・たかひろ)
経営学部4年
1993年11月15日生まれ
岡山県出身・広陵
176cm81kg 右投左打
田中彪(たなか・ひょう)
法学部4年
1993年8月20日生まれ
三重県出身・愛工大名電
185cm80kg 左投左打
フォトギャラリー
”粘りの投球” 川名健太郎
ブルペンの柱を担う
”神宮に オレンジテープを 一杯に!!” 皆川普
柔らかなグラブさばきはチーム随一だ
”ベストナイン” 蔵桝孝宏
抜群のバットコントロールで今季も安打を量産する
”打つ 守る 走る” 田中彪
高い身体能力でチームの核弾頭を務める