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【サッカー】第26回東京都サッカートーナメント決勝 対駒大 中川敦のゴールで勝ち越しも土壇場でまさかの失点。PK戦の末に敗れ天皇杯出場権を逃す。

2021年05月09日(日)
第26回東京都サッカートーナメント決勝 法大-駒大
味の素フィールド西が丘

準決勝で東京武蔵野ユナイテッドFCを下した法大は、天皇杯出場権を懸け駒大との決勝戦に臨んだ。中井崇仁の得点で先制するものの、一瞬の隙を突かれ同点とされ試合は延長戦へ突入する。延長前半に途中出場の中川敦瑛が大学での公式戦初ゴールを挙げ、勝ち越しに成功。そのまま試合終了かと思われたが、ラストプレーでまさかの失点を喫し、準決勝と同様に勝負はPK戦へ。5人目まで勝負が決まらず迎えた最後のキッカー、高嶋修也の放ったボールはわずかに枠をとらえることできず決着。昨季のリベンジを、と息巻いて臨んだ一戦もあと一歩及ばず、今季初黒星を喫し天皇杯出場権を逃した。

勝ち越しのゴールを決めた中川敦瑛

試合結果

トータル試合結果

 

2
法政大学



1 前半  

2
駒澤大学



後半 1
1 延長前半 0
0 延長後半 1
3 PK戦 4

試合スタッツ ※交代は法大のみ記載

時間 経過 大学 選手名 得点経過
14分 得点 法大 中井崇仁 1-0
51分 得点 駒大 荒木駿太 1-1
71分 交代 法大 中井崇仁→佐野陸人
交代 法大 佐藤大樹→飯島陸
74分 交代 法大 宮本優→市川侑生
85分 交代 法大 田中和樹→中川敦瑛
90分 交代 法大 萩野滉大→高嶋修也
交代 法大 今野息吹→久保征一郎
94分 得点 法大 中川敦瑛 2-1
112分 得点 駒大 中村一貫 2-2

スターティングメンバー

ポジション 背番号  選手名 学部・出身校
GK 21 近藤壱成 経済3・ジュビロ磐田U18
DF 2 陶山勇磨 現福4・帝京長岡高
DF 16 萩野滉大 現福3・名古屋グランパスU18
DF 5 落合毅人 経済3・新潟明訓高
DF 3 宮本優 現福4・清水エスパルスユース
MF 6 松井蓮之 スポ4・矢板中央高
MF 14 田部井涼 経済4・前橋育英高
MF 11 田中和樹 社会4・浦和学院高
MF 29 今野息吹 経済2・三菱養和SCユース
MF 4 中井崇仁 スポ4・尚志高
FW 20 佐藤大樹 経済4・コンサドーレ札幌U18
サブメンバー
GK 1 大塚紀人 経済4・三菱養和ユース
DF 23 市川侑生 現福3・浜松開誠館高
DF 26 高嶋修也 経済3・明秀学園日立高
MF 28 佐野陸人 現福3・清水エスパルスユース
MF 30 中川敦瑛 経済1・横浜FCユース
FW 10 飯島陸 経済4・前橋育英高
FW 9 久保征一郎 経済2・FC東京U18

マッチレポート

今季公式戦無敗と好調を維持する法大は、天皇杯出場権を懸けた東京都サッカートーナメント決勝戦に臨んだ。相手はリーグ開幕戦で対戦した駒大。ともに準決勝で社会人チームを撃破した両チームによるリーグ開幕戦以来今季2度目の顔合わせとなった。法大のスタメンに大きな変更はなし、けがで戦列を離れていた飯島陸(経4=前橋育英)がベンチ入りを果たした。

これまでは2ボランチを採用していた法大が、この試合では松井蓮之(スポ4=矢板中央・川崎フロンターレ内定)をアンカーに置くシステムを採用。両サイドの田中和樹(経4=浦和学院)や今野息吹(経2=三菱養和SCユース)の推進力を生かしてゴールへ迫りたいところであったが、ラストパスがなかなか合わず、チャンスを作ることができない。駒大に押し込まれる展開が続いていたが、先に試合を動かしたのは法大だった。14分、ペナルティエリアに放り込まれたボールに佐藤大樹(経4=コンサドーレ札幌U18・FC町田ゼルビア内定)が競り合い、こぼれたボールに中井崇仁(スポ4=尚志)が反応。ダイレクトで合わせた強烈なシュートがネットに突き刺さり先制点をあげる。数少ないチャンスを決めきった法大が1点をリードし前半を終えた。

後半に入ると駒大のベースに。効果的にボールを保持することができず、ピンチを迎えるシーンが増える。GK近藤壱成(経3=ジュビロ磐田U18)の好セーブもあり凌いでいたものの、51分にドリブル突破からシュートまで持ち込まれ失点、同点に追いつかれる。その後は、背番号10を背負う飯島や先日リーグ戦デビューを果たした中川敦瑛(経1=横浜FCユース)を立て続けに投入し、巻き返しを図るものの、ネットを揺らすことはできず。試合は延長戦へと突入する。

延長前半4分、中盤でボールを受けた中川敦がドリブルで仕掛けシュートを放つ。左足から放たれたボールは美しい弧を描きサイドネットへ。途中出場の期待に応える勝ち越し弾を決めた。このまま逃げ切りたい法大であったが、試合終了間際の延長後半12分、相手のロングボールのこぼれ球を拾われると、そのままシュートまで持ち込まれボールはゴールネットへと吸い込まれた。ラストプレーで同点に追いつかれ、つかみかけた勝利がするりと手からこぼれ落ちた。これにより、試合の決着は準決勝同様PK戦へ。

後攻の法大は田部井涼(経4=前橋育英・横浜FC内定)、松井と続けて成功。駒大の3人目が失敗し、チャンスを迎えるが直後の陶山勇磨(現福4=帝京長岡)の蹴ったボールはポストに直撃。リードを奪うことができない。4人目は両チームともに成功し、迎えた5人目、駒大が成功しプレッシャーがかかる場面で法大のキッカーは高嶋修也(経3=明秀日立)。時間をかけて放たれたボールは無情にも枠の左へ。駒大イレブンの歓喜の声が無観客の西が丘に響き渡った。

昨季のリベンジを、と息巻いて臨んだ一戦もあと一歩及ばず、今季初黒星を喫し天皇杯出場権を逃した法大。キャプテンの田部井も「悔しさ以外ない」と言葉を絞り出した。駒大の圧を前に試合の主導権をにぎることができない苦しい展開の中でも、粘り強い守備から勝ち越し点を挙げることができたのは今季の法大の強さを象徴する場面であった。一方で、ラストプレーでの失点など、試合運びの部分で課題も露呈した。「練習から集中力を欠いているかもしれない。そこを修正しないとこのゲームに負けた意味がなくなってしまう。来週からリーグ戦に向けて改善していきたい」。田部井が語るように、下を向いている暇はない。今週末にはすぐに、三つ巴の首位争いを繰り広げているリーグ戦がやってくる。この悔しさを糧に、さらに強くなった法大を見せてほしいと願う。

(取材・宮川昇/二瓶堅太)


けがからの復帰を果たした飯島

選手コメント

長山一也監督

―試合を振り返って
まずは、緊急事態宣言がある中で東京都サッカー協会の方々をはじめとした運営に携わる方々にご尽力いただいて、東京都の決勝を最後まで行うことができて感謝しています。
今日は駒澤さんと決勝ということで、関東大学リーグの開幕戦で試合してその時は勝ったんですけど、その後駒澤さんもすごく力を付けてきていて、いい状態で試合になるということで、すごく警戒していた部分もありました。そういった中でも今日はシステムを変えて戦って、ある程度は先手を取りながら戦うことは出来たんですけど、駒澤さんのパワフルなサッカーを最後まで、延長のラストプレーだったと思うんですけど、粘り強さを見せられて追いつかれて、PKでも駒澤さんが先に外した状況はあったんですけど、そこでうちが仕留めきれなくて勝ちきれなかったというのは残念です。粘り強く戦うというところは今年法政の中でもできていたんですけど、最後PKで負けて悔しいですけど、今持っている力を出したかなと思っています。

―システムはどのあたりを変更しましたか、またその狙いは
いつもは2ボランチでやっているんですけど、今日は松井をアンカーにおいてワイドのところでシャドーとサイドハーフに田中と今野をはらして、そのスピードを生かしながらというところが狙いとしてあったんですけど、最初の一点目とかは押し込みながら駒澤さんがクリアしきれない状況を作ってそれをワンタッチで中井が決めてというところで、あのシステムが効果的にでるような状況をつくれたと思います。その後は、はっきりと中盤のところを超すようなフィードをされる中で、アンカーが一人なので、その脇のところで拾われる状況が出てきてしまいました。延長入って2ボランチに戻して安定して、2点目を取ることができたんですけど、そこでもっとクリアの質だとか、相手の前線の強さっていうところが出てきたので押し込まれるシーンが増えて、うまくこぼしたりせったりっていうそこの技術は駒澤さん素晴らしいので、そこをどううちがマイボールにするかというところが勝負所だったと思います。そこをもうちょっとうまくルーズボールを拾いながらマイボールの時間を増やして、ワイドの選手を使いながら、シャドーの選手が絡んでいってくれれば効果的なサッカーができたかなと思います。

―試合後選手にはどういった声を掛けましたか
粘り強く戦っていたのは間違いないですし、そこは今年のストロングなところですけど、まだまだ質を上げなきゃいけない所があると思います。マイボールの時間をもうちょっと作って相手を圧倒するような状況が今年のチームなかなかないので、そういった技術的なところ、後は球際で違いを生み出すところも含めてもうちょっと作れればよかったかなと思います。ただ飯島が復帰したり、中川が単独で、すごく期待されて入ってきた選手ですけどこうやって結果を残したというのは彼の今後の活躍に繋がるかなと思います。逆にこういうゲームで彼をヒーローにしてあげれなかったところはチームとして残念なところです。今後活躍が楽しみになるようなプレーをしてくれましたし、もっともっとチームの中で競争を増やして、下からまた(選手が)出てくるような状況もあると思うので、そういう選手と切磋琢磨してチーム力を上げていければなと思います。

田部井涼

―試合を振り返って
悔しい以外ないですね。去年この舞台で負けてるリベンジを果たすということを掲げて今週やってきたので、その中でも結果として隙があったなということをチームとして実感しています。

―その隙はどのあたりに感じたか
失点の時間帯であったりとか、入りのところや延長の最後、勝つべくチームというのは絶対にそういう時間に気を抜かないですし、もしかしたら練習の初めと最後に集中力を欠いているかもしれないので、そこを修正しないとこのゲームに負けた意味がなくなってしまうので、そこは来週からリーグ戦に向けて改善していきたいです。

―システムを変更して臨んだ試合でしたが
システムを変えてやろうとしていた形はなかなか出なかったですけど、そのなかでも今年は粘り強く戦って勝ち切れていたことが特徴だったので。コミュニケーションもきつくない時間帯は取れていたんですけど、延長になったりとかこうなった時に徐々に口数が減っていったというのは事実だったので、そこで1歩2歩どうすればいいかわからないという選手が出てきていて、後手を踏んだというのもありました。そこはやっぱりチームの真ん中でプレーしている自分がもっともっとやらなくてはいけないなと思います。

―相手のプレッシャーがきつかったというのはありましたか
個人的にはそんなにきついとは思わなかったんですけど、逆に自分がもっともっとボールを呼び込んでというプレーができたらよかったなと思います。後はチャンスがなかったわけではなかったのでそこをしっかりと決めきるというところと最初に言った通り一番最後の失点と言うのはもろに差が出たところだと思うので、そこはもう練習からしっかりやっていきたいなと思います。

―駒大とリーグ戦の開幕戦で当たったことでプラスになったこと、マイナスになったことは
開幕戦の時はうちも4-2-3-1でやっていて、うまくセカンドボールも拾えていましたし、そこでリズムをつくりながらやれていたというのもありました。今日の試合の駒澤さんは開幕戦とは比にならないくらい圧力がありましたし、セカンドに対する反応というのがすごく早くて、かつターゲットの選手がものすごく強いというのもあったので、そこでまずは競り勝つというところをもっともっとやっていかなければならないなと感じています。自分たち中盤の選手もセカンドボールの反応を早くしてというのもあるんですけど、チーム全体としてもうちょいやった方がいいかなと感じていて、そこをポジションで分けるのではなくて、FWも中盤もDFもGKも全員が相手のサッカーのどこが穴でどこをつけばいいかというのを理解するという作業がまだまだ足りてなかったかなと思います。

―後半、高校時代のチームメイトの宮崎選手(駒大)が入ってきてリズムが変わったと思うのですがプレーしていてどうでしたか
本当にリズムが変わったという印象が強かったですね。競り合いはほぼ負けていましたし、落合も萩野もヘディングは強い方なんですけど、そこでもほぼ勝てなくて、蓮之と挟んでやっとという感じだったので。その対応は改善してやれてたとは思うんですけど、そこで人を割かなくてはいけなくなってしまったというところで、個の存在が大きかったなと思います。

フォトギャラリー

試合の写真は、スポーツ法政新聞会の公式ツイッター、また公式インスタグラムに掲載いたします。

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