2021年10月10日(日)
不定期連載の記者コラムとなる『暁の勇者』。紙面やウェブサイトに書ききれなかった出来事などを担当記者がお届けします。今回は10日に初登板を果たした篠木健太郎選手(営1=木更津総合)についての記事を掲載します。
『篠木健太郎の投球に法大の未来を見た』
未来の法大を担うエースになるーー。そう思わせる初登板だった。
7回裏、法大の3アウト目が告げられると、篠木健太郎(営1=木更津総合)は駆け足でマウンドへ。途中、一塁ベース付近で諸橋駿(法4=中京大中京)にポンと背中に手を押されてからマウンドに上がった。
木更津総合高の先輩でもある山下輝(営4=木更津総合)からのリレー、そして何よりも神宮初登板ということもあり「力みすぎてしまいました」と篠木。初球でいきなり2番・田中祥都に死球を与えると、バントの構えをしていた3番・宮﨑仁斗にはボールが3つ先行。しかし「ゆっくり時間をかけていいから、まず1つずつアウトを取っていこう」と加藤重雄監督に声をかけてもらうと、落ち着きを取り戻した。仕切り直しの4球目、143㌔の直球でこの試合初のストライク。続く5球目も直球を投じると、送りバントを試みた宮﨑の打球は投手前へ。篠木は素早く二塁へ送球し、二塁塁審はアウトを宣告。ピンチの芽を摘んだ。しかしその後は太田英毅に適時三塁打を浴び、2失点。1回2失点の内容で初登板を終え、無失点デビューとはならなかった。
厳しい結果とはなったが、随所にポテンシャルの高さを感じさせた。最速150㌔を計測した直球はスピンがよく効いており、まさに快速球。同じ腕の振りから投じられるスライダーも切れ味抜群だった。初登板の緊張から「(球が)高く浮いてしまった」と要所での制球は甘くなってしまったが、これも初登板ゆえの失敗だろう。先発した山下輝も「リーグ戦初登板であの球を投げられるのは凄いことです。ナイスピッチングでした!」と言うように、堂々の神宮デビューだった。
昨季は同級生らがフレッシュトーナメントで躍動する中、自身は未登板と出遅れた。しかし、「焦りなどはあまりありませんでした。出遅れてはしまいましたが、それをプラスにできるようにしたいなとは思っていました」。冷静に今季を見据えて10日の初登板につなげた。
篠木の背番号である26番は昨年まで主将の三浦銀二(キャ4=福岡大大濠)が背負っていたもの。そんなこともあり、かつてスーパールーキーとして活躍した三浦と篠木を重ねて見たファンの方も多かっただろう。実際、三浦自身も「自分のデビュー戦と重ねて見ていました」と話すなど、その投球は1年生とは思えないものだった。
次の登板に向けて「今日投げたことを生かして、チームの勝利に貢献できるような投球をできるように頑張ります!」と篠木。新たな『26番』のスーパールーキーとして法大を勝利へと導く。