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【フィギュア】東京選手権2021②男子選手編 ついにシーズン開幕 日本スケート連盟の強化選手Bである門脇慧丞が活躍!男女計5名が東日本選手権出場を決めた。

東京選手権2021
2021年10月8日(金)~10日(日)
@ダイドードリンコアイスアリーナ(東伏見)

気温も下がり始め冬の気配が感じられる10月初頭。ついにフィギュアスケートのシーズンが幕を開けた。今大会には男女計7名が出場し、1年生の渡辺倫果(経1)と門脇慧丞(経1)が表彰台に上るなど大活躍を見せた。唯一の4年生である佐上黎(文4)も気持ちのこもった演技を見せ全体10位で東日本選手権出場を決めた。女子選手に続き今回は男子選手の結果とインタビューをお届けする。

※インタビューは後日オンラインにて実施いたしました。

試合結果

個人結果

クラス 選手名(学部・学年) 総合順位 SP順位・得点 FS順位・得点
Sr.男子 鈴木楽人(営1) 9位・120.16 10位・38.32 8位・81.84
齋藤翔(営3) 11位・106.75 9位・41.77 11位・64.98
Jr.男子 門脇慧丞(通経1) 3位・161.82 5位・52.13 3位・109.69
Sr.女子 渡辺倫果(通経1) 2位・182.67 3位・64.38 2位・118.29
佐上黎(文4) 10位・135.53 12位・47.59 10位・93.81
樋口瑞保(文3) 17位132.35 18位・43.28 15位・89.07
菊池彩子(通経2) 28位・32.44
※平金桐(営2)は棄権しました。

戦評

鈴木楽人(営1)

緊張した面持ちでリンクに駆け出す鈴木。冒頭は3トウループ+3トウループのコンビネーション。一つ目のジャンプで若干体勢を崩してしまい、二つ目のジャンプで転倒。持ち直したいところだが、次の3サルコウも着氷できず転倒。疲れが出始め失速してきたが、シットスピンではレベル3を獲得する。スピード感を持ち直し、演技後半。次の2アクセルこそは決めたいところ。しかし、これも体勢を崩してしまい転倒。肩を落とす場面もあったが、その後の演技にはより感情と思いが込められたように見える。それからは伸びやかさを取り戻し、ステップシークエンスとコンビネーションスピンを難なく滑りきりフィニッシュ。終わった後は悔しさを滲ませた。10位に沈むが、挽回を目標にFSに臨む。

悔しい演技に終わったSP。FSでは、序盤からスピード感を保ちつつ伸び伸びとしたスケーティングで演技をスタート。冒頭2つのジャンプは体勢を崩してしまったが転倒は防いだ。そして、次の3トウループ+2トウループのコンビネーションジャンプ。これは見事成功させた。ここから演技に自信がみなぎり、力強いスケーティングになった。演技後半、ジャンプは着氷に少々失敗することもあったものの、シットスピンではレベル4を獲得する。最後は、自分の演技に納得したように2回頷き演技を終えた。FSは8位に食い込み、最終9位。このFSも思うような演技ではなかったかもしれない。しかし、転倒続きだったSPとは一変。FSでは一度も転倒することはなく、鈴木の意地を感じられる演技だった。今後も、鈴木の伸びやかで力強いスケーティングに期待したい。(田中さや)

齋藤翔(営3)

タキシードのような衣装と笑顔と共に登場した齋藤。羽生結弦(ANA)の元コーチである阿部奈々美氏振り付け『Puttin’ On the Ritz』に合わせ軽やかなステップから演技が始まる。初めの3フリップは着氷の際にバランスを崩し大きく転んでしまう。続くコンビネーションジャンプも、一つ目の3トウループはふわりと跳べたものの二つ目のトウループは少しバランスを崩し2回転になってしまう。それでもスピンとステップは指先まで使い綺麗に滑っていく。最後のアクセルは2回転以上跳ぶことができず、規定により0点になってしまい悔しい結果となった。「リズミカルな曲を使うのはこれが初めてなのでみんなが楽しくなれるように滑りたい」と事前に語った齋藤。次の試合ではジャンプを全て成功させ笑顔で滑る姿が見れることだろう。巻き返しを誓い、翌日のFSに臨んだ。(佐々木みのり)

 

SPではジャンプでの転倒などによる減点が響き、9位と出遅れる形で今季をスタートした齋藤。その分を巻き返したいと挑んだFSのプログラムは昨シーズンも使用した齋藤にとってなじみのある『SWEDISH RHAPSODY』。「音をとるのが難しい」と話したが、流れるように滑り出すとすぐに会場中を引き込んだ。最初のジャンプとなった3フリップを持ち前のきれいな着氷で決める。これが加点付きのジャンプとなり勢いに乗ったと思われるも、その後のジャンプでミスが続いてしまう。気持ちを切り替えて得点を重ねたいところだったが、演技前半のミスによる空気を後半に引きずってしまいカバーすることができず。他にもスピンなどでの細かい減点によって点数が伸び悩み、SPからさらに2つ順位を落とす悔しい結果に。次なる舞台は『全日本出場』を目指す齋藤にとって重要な大会となる東日本選手権。今大会での悔しさを晴らし、満足のいく演技で笑顔を見せてくれることに期待したい。(山中麻祐子)

門脇慧丞(通経1)

門脇にとって大学1年目のシーズンが幕を開けた。「大学生になってスケート歴も長くなってきたので変わった一面をちゃんと出せるように」と話し、これまでとはあえて異なる選曲に。そんな挑戦の意味が込められた『Space Dementia』でSPの演技に挑んだ。滑り出しから持ち味である伸びのあるスケーティングで見ている人々を魅了。しかし最初のジャンプの3フリップが減点対象となってしまい、SPではジャンプに課題が残る結果となった。試合前に目標として話した『ノーミス』の演技とはならなかったものの、自身の魅力を生かしたステップやレベル3の評価を受けたシットスピン、キャメルスピンがそれぞれきれいに決まり新しい自分をアピールしたプログラムを滑り切った。しかしジャンプでのミスや思うように加点が伸びなかったことが影響し、自身の掲げた70点には及ばず。「ジャンプを1個失敗してしまって、結構悔しい思いが残りました」と振り返りつつ、表彰台が十分狙える5位という順位でFSでの演技に望みを託した。

目標としていた得点には届かなかったもののSPで5位につけ、終盤全体の12人目に登場した。FSで上位を狙いたい門脇が臨むプログラムは『Mi Mancherai』。滑らかなスケーティングという門脇の魅力を存分に生かしたプログラムで会場の視線を引き付け、冒頭の3トウループへ。加点の付く見事な着氷で演技をスタート。コンビネーションジャンプの抜けなどがありながらも、SPでの氷への違和感に対する修正力を見せ大きなミスなくまとめ上げた。さらに演技構成点は自身が事前に意識していた60点後半に迫る65.50点を記録。「正直そこまで(点が)出ると思っていなかった」と驚きを口にしながらも、今後の自信につながるスコアとなった。SPから2つ順位を上げ、大学デビュー戦を3位という好成績で飾ったルーキーは「(東日本選手権では)ショート・フリー両方最後まで安定した演技ができればなとは思っています」と振り返り、現状に満足していない。すでに次を見据え、自身の演技の質を求め続ける門脇のスケーティングから今後も目が離せない。(山中)

インタビュー

門脇慧丞

―SPの曲を選んだ背景は
自分は今まであまり強弱が激しくない曲を選んでました。なので正直に言うとあまり自分で表現をしなくても滑りで点を出すことができていました。大学生になってスケート歴も長くなってきたので変わった一面をちゃんと出せるようにしたいと思いこの曲を選びました。また全日本に出場した場合に、SPとFSでメリハリがつくような演技をできるような曲に今年は変えてみました。

―SPで予定していた3アクセルが2アクセルになっていましたが、アクセルについて振り返りをお願いします
現在、右足の靭帯をけがしていて3アクセルと4回転を回避しています。東日本選手権までは回避するつもりでいますが、全日本ジュニア選手権には入れられたらなと思っています。

―右足の靭帯の怪我について
スケート中でのけがですが、大技をやっていた訳でもなくいつも通りの練習中に急に痛くなりました。それで診断を受けたら靭帯の損傷ということだったので、その時に本当にけがには気をつけなければなと再確認しました。

―SPでの演技を受けて、FSに向けて気を付けたことは
SPは公式練習がなかったので、6分間練習だけでしか調整ができませんでした。その分動きづらいところがあり、ジャンプを1個失敗してしまい悔しい思いが残りました。FSは朝の公式練習からちゃんと体を動かして氷の大体の感じもつかめました。なのでSPよりは滑りやすかったですが、ジャンプの抜けはあったのでもう少し調整しなければと思いました。

―ルッツジャンプやコンビネーションジャンプの抜けについて、コーチなどと話したことは
言い訳にしかならないですが、今年は靴が合っていなくて調整で困っています。毎日合わないなりにこの靴でどれだけ跳びやすくするか考えています。ルッツとフリップは得意なジャンプなので去年まであまり考えずに跳べていました。しかし、靴が合わないことから(ジャンプを)結構考えながら演技中跳ばなくてはいけないです。それが後半になってくると、疲れもあるので(ジャンプの跳ぶ)タイミングがずれたりして苦戦しています。今一番気を付けているところは、体力をつけなるべく考え事が少なくなるようにすることです。

―65.5点という演技構成点については
正直そこまで(点が)出ると思っていませんでした。60点後半という目標を東京ブロックで出してしまったので、自分も目標が出ちゃったなと感じました(笑)しかし東インカレ(東日本学生選手権)では60点にもいっていませんでした。朝9時から6分間練習だけでというのもありましたが、何時でも東京ブロックのように最後まで滑り切り、常に体が動けるようにしておかないとなと思いました。

―東京選手権全体の振り返りと東日本選手権の目標をお願いします
東京ブロックは、SPは結構緊張しましたがFSの日にはその雰囲気にも慣れて集中しながら滑れました。東日本も同じリンクなので、だいぶ慣れてはいるとは思います。東日本選手権では構成も下げているので、SP・FS両方最後まで安定した演技がしたいと思っています。

―法大フィギュア部の雰囲気は
法政の合宿で初めて皆さんとお会いしました。それまではどういう人たちなのかというのもインスタの部員紹介でしか知らず、名前もうろ覚えで行きました。なのでやっぱり雰囲気もわからなかったですし不安でした。しかし、(合宿で)会った時に本当に優しくしてもらって、先輩後輩の上下関係もそこまで厳しくなく、みんなに平等に接してくれたのですごく練習しやすかったです。

―フィギュア以外の大学生活、勉強などについて
通信なので通学とかはあまりなく、高校を卒業してから大学生になったという自覚は今のところないです(笑)ですがパソコンでオンラインの授業を受けたり、単位のことを考えながら勉強したりというのは自分で考えて行動するということなので、それは高校と違って新しい力が付くかなと思っています。

―大学4年間の目標は
スケートは今も入っている強化選手にずっと入ることです。大学2年からはもうシニアになるので、シニアでも強化に入れるようにこの1年特に頑張ります。勉強では通信で4年で卒業することはみんなから難しいと言われています。実際に入って自分も今痛感しているので、オフシーズンにとにかく勉強を頑張ります。シーズン中にオフシーズンほど勉強することは難しいので、両立するための(スケートと勉強の)同時進行は今は難しいですが、スケートも勉強も両方地道にコツコツと取り組んでいきたいなと思っています。

(取材日:10月19日)

(撮影:佐々木)

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