入れ替え戦を回避するには絶対にこの最終戦を勝たなくてはならない。選手の表情にも一層気合が入り緊張の中試合の合図が鳴る。立大がボールを持って前半戦はスタート。先に得点したのは立大。法大の1点目は素早い動きを活かして石田季里(経4)が決める。次にゴール目の前でボールをバウンドさせ得点したのは岩﨑琢未(スポ3)、今季大活躍の竹中柊翔(社2)も1点。さらに得点してからの速攻で相手の攻撃を一旦止め、ペースは法大が握っている。主将布田航(経4)もフェイントをかけてシュート。開始6分3点のリード。しかしその後失点、さらにキャッチミスを重ねてしまいすぐに同点に。ここから前半戦は一進一退の攻防が続く。そんな中竹中が相手GKの顔に当ててしまい一旦退場。何度もトライしゴールを目掛けるも得点とはならず少し空気が落ち込み気味な時にいつも助けるのがGKの山口隼和(社4)。開始10分、相手に一歩先に進まれてしまいDFも思うようにいかなかった時、山口は確実に守り切った。その後今松祐也(経4)が相手のミスを逃さず走り込み得点。このテンポで得点したいものの相手のDFに振り回され気味の法大。タイムアウト23分時には3点差をつけられ8-11(法大-立大)。25分、素早い速攻からの岩﨑が素早いパスを林優我(経2)に、相手に抑えられながらもしゃがみ込みそのままゴール。士気も上がり先程よりゲームのスピードが速く感じる。タイムアウト後から切り替え前半戦は同点(11-11)で終えた。
後半戦。ここから30分、再度気合をいれ試合に臨む。先手を取ったのは法大。高い位置でのロングシュートで渡邊桂也(経3)が得点。法大はこの勢いを手にする。相手に速攻で来られた時には布田がボールをカットし一旦相手の動きを止める。だが立大も負けてはいられず鋭いボールで攻めてきて得点される。もちろん法大も得点の機会を逃さない。石田が前半同様素早い動きで切り込んでいき確実に得点。そして竹中も渡邊にパスを渡すと見せかけそのままボールをGKの足の下を潜らせゴール。さらにDFの際にミスをしてしまい走り込みの一対一の際にもGK山口は防ぎきる。相まって法大のDF陣もさらに強化されていく。後半開始13分ごろには岩﨑の得点により17-12の5点差に。一度弾かれたボールを逃さずキャッチし横から西村佳起(経3)がゴールで6点差。だが7mスローで失点してから勢いが抑えられ後半開始20分法大から少し焦りが見られる。じわじわと攻められ試合が続いていく。ここまで点差を稼いでいるため焦らず戦っていく。残り3分を切ったところで小柏魁(社3)が、そして2分を切ったところで渡邊も得点(23-18)。その後失点してしまうも3点差をつけて執念で勝ちを掴み取った。
選手インタビュー
主将 布田航 選手(経済・4年)
―今日の試合を振り返って
やはり最終戦なので、勝敗よりもまずは自分たちが春リーグでやってきたオフェンス、ディフェンスをしっかりと出し切ろう、というところでやっていました。それが60分間出せたというのが1番の収穫かなと思います。
―今回、立教大学と戦う上で特に意識した点はどういったところでしょうか
立教に対してというのはあまりないかなと思います。やはり最後の1試合、自分たちのハンドボールをしっかりとやりきろうということで試合に臨んで、今回はそれがうまくはまったので良かったかなと思います。
―リーグ戦全体を振り返っていただいていかがでしたか
今年のリーグはいつもと違って、毎試合を勝ちに行って、うまくいかなかったり、うまくいったり、ということの繰り返しだったので、 本当に精神的な部分でみんな相当疲労も溜まっていると思います。最終戦はこういった形で、自分たちのハンドボールで終わったというのは、この半年くらいの成果が出たかなと思います。
―リーグ戦を通じて、チームに変化はありましたか
まずは毎試合勝ちに行く姿勢はついたかなと思います。あとは選手層が厚くなって、チームの中での競争心も芽生え、いい状態になったんじゃないかなと思います。
―今後に向けての課題や、今のチームに必要なことはどういったところでしょうか
同点が1個と僅差で負けた試合が何個もあって、他の大学からは「あと1歩だったね」とか「何か1つ足りない」と言われるんですけど、まだまだ足りないことだらけですし、その1歩というのがどれだけ大きいかというのを去年から感じています。勝負に向かう姿勢は秋リーグに向けてしっかりと立て直して、練習していきたいなと思います。
―最後に、今後に向けての意気込みをお願いします
春から秋リーグ、そしてインカレにかけて伸びていくチームというのを目指してこのチームは始まっているので、ここで満足せず、課題とできたところを反省して、秋リーグに向けてもう1回アクセルをかけていきたいと思います。
副将 渡邊桂也 選手(経済・3年)
―今日の試合を振り返って
入れ替え戦がかかった一戦だったので気持ち的にも準備してきました。勝ちきれて良かったです。
―立大との試合でしたが特徴などは掴んでいましたか
定期戦もやっていて割とお互い知っていました。それでも向こうは新入生を出しているチームだったので見えない部分もありましたが最終試合ということもあってそれまでに色んな試合を見れたので他のチームほど対策という対策はしていないですが割と分かっていたから守れた部分はあったなと思います。
―後半のDFはよく守れていたと思うのですがOFはどうでしたか
自分らはいつも両面テープでやっている(指に巻く)のですが今日はマツヤニで、筑波戦ぶりにマツヤニを使って環境が結構変わって最初の方は滑ってしまったりとミスが多くて。そんな点差が開いているわけではなかったので攻め急ぐ必要はなくてボールに慣れながらゆっくり攻めて、相手のDFがそこまで強くなかったというのもあって点を取っていったという感じですね。
ー個人的に良かったところ
シュートは割と外したのですがステップシュートは入ったのとミスを本当に意識しながらやっていたので、そこで点喰らわれるのが1番嫌だったので、ミスは少なかったかなと思います。ミスをしないことをすごい意識していました。
―それはチームとしての意識でもありましたか
毎回データが出るのですが、他のチームと比べてすごくミスが多いチームなのでシュートミスはそんなにないのですがパスミスとかキャッチミスというやらなくていいミスっていう他のチームとかはしないようなミスをうちのチームはやっていて、今日もしたし、リーグを通してもすごい量やったのでそれが今後の課題にもなると思いますし、自分としてもOFメインなので1番意識しなきゃなと思います。
ー春リーグを通して成長したこと、達成したこと
チームのことで言えばDFがすごく成長していて今日もすごくロースコアで。最後まで19点とかしかとられてなくて、DFの部分で1番成長したかなと。自分としては一年生の時とかに比べてシュート本数が相当減っていて、センタープレーヤーとしても周りが見れてきているのかなと自分では思っているのですけど。やっぱり自分がシュート決めるのも大事なんですけど実際去年それではチームは勝てなかったのでそこを意識して周りを生かしながら自分も決めるみたいなのを達成できたかとなるとそうでもないですが伸び代はあるなと思います。
―秋リーグに向けて
国体がまたあってチームを離れることもあると思いますが課題はチームとして色々明確になっていて自分達でもわかっている所もあると思うんですけどOFもDFも。自分は戻りですね。OFメインだけど戻ることは忘れたら行けないので、それにいつも戻れってキャプテンに怒られるので…:)。そこをもっと意識していきたいのとOFでもっと点を取るのとアシスト。うちにはたくみ(岩﨑琢未選手)がいるのでそれを活かせるようなセンタープレーヤーになりつつ秋は自分ももっと点を決められるプレーヤーになれるように頑張りたいと思います。
GK 山口隼和 選手(社会・4年)
ー今日の試合を振り返って
前半が同点で、自分もあまり調子が良くなくて一瞬負けがよぎったのですが、後半はしっかり自分たちがやるべきことを明確にできたかなと思います。
―立教大学と戦う上で、特に意識した点はどういったところでしょうか
立教大学のオフェンスは1対1に対応してくるチームなので、やはり1対1を負けないこと、1対1で来た時にしっかり2人でいることを意識しました。あとはうまい選手よりあまりシュートが打てていない選手を生かすというところを徹底できたかなと思います。
―ここまでのリーグ戦全体を振り返っていただいて、いかがでしたか
自分は最初の方は調子が良かったのですが途中で落ちてしまいました。そこから意識を変えて、調子を上げていけたと思うんですけど、まだ課題が多いので、秋リーグでしっかり臨めるようにしたいと思います。
―リーグ戦を通じてチームに変化はありましたか
新チームが始まった時に、このチームだったらいけるだろうというのは感じていました。実際に試合が始まって負けが続いてしまったり、勝利をもぎ取れない部分はあったのですが、その負けムードを自分たちで調整しながら払拭していけたんじゃないかなというのはすごく思っています。今まではズルズル負けが続いてしまったんですけど、悪い状況から打破する能力というのは上がっていると思います。
−今後の課題はどういったところですか
自分は前半の時にあまり止められないというところがあったり、試合に入っていける時と入っていけない時の差がすごく激しいと思います。あとは1対1で自分が早く動いてしまうところがあるので、その2つをまず課題としてこれから練習していこうと思っています。
―今後に向けての意気込みをお願いします
春リーグは3勝1分けで負けが多くなってしまって、最初に掲げていた4勝という部分が達成できていないので、秋リーグでは負けてしまったチームにリベンジできるように力をつけていきたいと思います。
ネメシュ・ローランド 監督
―今日を振り返って
先週の試合で簡単に残留が決められるところでちょっとミスがあってチームがかなり落ち込んでいましたので非常に苦しい試合になるかなと思っていました。今日必死の中ではどこまで戦えるかなというところがいちばん辛かったです。でもおかげさまで今日は簡単にいうと素晴らしい戦いができました。ハンドボール的には悪かったのですがただ、心的な構えが非常に良かったのでこれが次に繋がっていくと思います。ハンドボール的なことは新チームになってからディフェンスが徐々に良くなってきて今日もそれが崩れずに60分間できたのでそこはかなり評価できます。全体としてこのチームはここから色々課題を持ちながら1位になったチームとも良い試合ができましたしどことの試合でも勝てる試合でしたので次に向けてモチベーションになると思います。
―その中でOFはどうでしたか。
一つはエースである岩﨑選手はシューターなのですが最後の3、4試合では徐々に調子が悪くなっていって今日もミスから完全にシュート外れるというのもあったから今日のオフェンスの課題は彼が抜けたところでチームがどう戦っていくかというのが今日の課題でした。そして相手のDFの身長がそんなに高くなかったのでかなり下がったところでどのようにボール回しをするかというような課題はありましたがまあ中途半端でしたね、良くはなかったです。
―後半のタイムアウトの時に相手の流れの押されて焦りが見えていた際でかけた言葉ありますか?
我々いつも自分たちでゲームを崩すからそこで声をかけたのは一つ、ディフェンスに集中しよう、そして攻撃でのプレーを徹底しましょう。その徹底したプレーが繋がらなかったら焦らずそのままの流れで行くのではなく一旦止めておいてやっていこうという。おかげさまで何とか、向こうもかなりミスしていたので。もちろんGKもすごく良かったです。
―秋リーグではどのようなところを深めていきたいですか
この夏は課題的に見えてくるのは当然のように今のDFは精度の高さをさらに上げておいて、そしてあんまり試合に出られていないメンバーたちもできるようになるっていうのが一つ、それからチーム全体として苦しい場面の練習が必要です。その場面でどういう選択があるとかどのようにペースを自分たちで作るとかいうのが大きな課題です。
ギャラリー
一進一退で拮抗した試合が多い中、思うように終われず悔しい状況で進んできた春季リーグ。その中でも試行錯誤を行って試合いに臨んでいく選手達の前向きな姿を見ることができた。結果8位と入れ替え戦は回避したものの目標順位の6位には届かなかった。だが主将が語るように最終戦でこのリーグ戦を経て得たDF、OFを出し切り“勝ち”を掴み取ったことはこれから進んでいく過程の中で大きいポイントとなるだろう。これから法大の色をたくさん見せて欲しい。
(取材・記事 松岡茉満子)
※掲載が大幅に遅れてしまい申し訳ありません。