東京六大学野球2023秋季リーグ戦 明大2回戦
2023年10月22日(日)
神宮球場
昨日試合を落としてもう負けられないこの1戦。2回までに5点を失うも、4回に5連打で3点を返すと、さらに犠打を挟んで大沢翔一郎(法3=上尾)、武川廉(人3=滋賀学園)の連続適時打で試合をひっくり返す。その裏から登板した塙雄裕(法4=常総学院)は気迫の投球で1点のリードを守りぬく。すると、8回にも中津大和(営3=小松大谷)の適時打などで9-5とした法大が最後までこの4点差を守り抜いた。
試合結果
トータル試合結果
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
法 大 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 9 | 12 | 3 |
明 大 | 4 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 8 | 1 |
(法大)尾﨑、武冨、○塙—𠮷安
(明大)石原、●高須、久野、大川、浅利、村田―小島河、菅原
[本塁打]
法:
明:
打撃成績
打順 | 位置 | 選手 | 打 | 安 | 点 | 打率 | 出塁率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (5) | 武川 | 4 | 1 | 2 | .327 | .417 | 右飛 | 四球 | 中3➁ | 三振 | 三ゴ | |||||
2 | (8) | 中津 | 5 | 1 | 2 | .283 | .333 | 一ゴ | 三振 | 一直 | 三振 | 右2 | |||||
3 | (6) | 今泉 | 5 | 2 | 0 | .319 | .429 | 三振 | 中2 | 中飛 | 中安 | 三振 | |||||
4 | (3) | 浦 | 4 | 1 | 1 | .364 | .440 | 三ゴ | 中安① | 四球 | 三振 | 三振 | |||||
5 | (9) | 姫木 | 3 | 2 | 0 | .300 | .364 | 三安 | 右2 | 投ギ | 三飛 | ||||||
9 | 鈴木照 | 1 | 1 | 0 | .222 | .222 | 二安 | ||||||||||
6 | (4) | 松下 | 3 | 1 | 1 | .243 | .282 | 左飛 | 左安① | 四球 | 四球 | 三ゴ | |||||
4 | 高原 | – | – | – | .100 | .143 | |||||||||||
7 | (7) | 西村 | 4 | 1 | 1 | .282 | .317 | 三振 | 右安① | 遊ゴ | 捕ギ | 三振 | |||||
8 | (2) | 𠮷安 | 2 | 0 | 0 | .159 | .245 | 一ゴ | 投ギ | 三直 | 四球 | ||||||
9 | (1) | 尾﨑 | – | – | – | .000 | .200 | ||||||||||
1 | 武冨 | 1 | 0 | 0 | .000 | .000 | 左飛 | ||||||||||
H | 大沢 | 1 | 1 | 1 | .333 | .500 | 左安① | ||||||||||
R | 藤森康 | – | – | – | — | — | |||||||||||
1 | 塙 | 2 | 1 | 0 | .333 | .500 | 三振 | 三安 | |||||||||
計 | 32 | 5 | 1 | .246 | .323 |
投手成績
回 | 球数 | 打者 | 安 | 振 | 球 | 責 | 防御率 | |
尾﨑 | 1 | 45 | 9 | 3 | 1 | 3 | 4 | 6.43 |
武冨 | 2 | 26 | 8 | 2 | 2 | 0 | 1 | 3.18 |
塙 | 6 | 88 | 23 | 3 | 6 | 1 | 0 | 1.42 |
計 | 9 | 159 | 40 | 8 | 9 | 4 | 5 | 3.38 |
ベンチ入りメンバー
10 | 今泉颯太(法4=中京大中京) | 27 | 𠮷安遼哉(法3=大阪桐蔭) | 35 | 浜岡陸(法2=花咲徳栄) |
1 | 尾﨑完太(キャ4=滋賀学園) | 32 | 中西祐樹(法1=木更津総合) | 2 | 鈴木大照(文3=明徳義塾) |
13 | 塙雄裕(法4=常総学院) | 3 | 内海貴斗(人4=横浜) | 9 | 浦和博(キャ4=鳴門) |
15 | 丸山陽太(スポ2=成東) | 5 | 真鍋駿(文4=広島商) | 33 | 西村友哉(法3=中京大中京) |
17 | 武冨陸(営4=日大藤沢) | 6 | 高原侑希(法4=福井工大福井) | 34 | 姫木陸斗(人3=日大藤沢) |
18 | 篠木健太郎(営3=木更津総合) | 24 | 武川廉(人3=滋賀学園) | 36 | 中津大和(営3=小松大谷) |
21 | 吉鶴翔瑛(営3=木更津総合) | 26 | 藤森康淳(営1=天理) | 39 | 大沢翔一郎(法3=上尾) |
47 | 古川翼(キャ1=仙台育英) | 28 | 石黒和弥(法2=高岡商) | ||
22 | 田所宗大(キャ3=いなべ総合) | 29 | 松下歩叶(営2=桐蔭学園) |
戦評
昨日の1回戦は9回に反撃するも及ばず星を落とした。この日行われる2回戦、負けたらそこでシーズン終了となる。4年生の引退もかかった非常に大事な1戦が幕を開けた。
試合はいきなり動く。法大の先発・尾﨑完太(キャ4=滋賀学園)が1死から四球を与えると、続く打者にもカーブがすっぽ抜けて死球に。ここで対峙するのは4番・上田希由翔。一二塁間を破られると、長打もケアした守備位置の分、右翼手のチャージが遅れた。さらに返球も悪送球となって二塁走者の生還を許す。さらにその次の打者への初球は大きく逸れた。捕手の𠮷安遼哉(法3=大阪桐蔭)がジャンプしても取れないような投球となり、2点目が入る。さらにそこから2本の二塁打で4-0。
尾﨑は初回にいきなり打者9人に対して被安打3、3四死球で降板。2回から救援に入った武冨陸(営4=日大藤沢)も内野ゴロの間に失点を許して5点目を失う。
序盤からの大量失点で一気に崩れたかに思えた。しかし、「最後の試合にしたくない」。この思いが選手たちを突き動かす。
4回だった。先頭の今泉颯太(法4=中京大中京)が低めの球を捉えて二塁打とすると、さらに浦和博(キャ4=鳴門)の打球は高いバウンドで二遊間を真っ二つ。今泉は得意の走塁技術を生かして一気に生還。まず1点を返すことに成功する。
反撃の烽火を上げた今泉
5番・姫木陸斗(人3=日大藤沢)も低めの球をうまく拾って右翼手の前へ運ぶと、一気に二塁へと滑り込んだ。6番でスタメン復帰の松下歩叶(営2=桐蔭学園)も低めを捉えて安打とし5-2と点差を縮める。続く西村友哉(法3=中京大中京)は初球を捉えて一塁手の左を破った。3点目を入れたところで明大先発・石原勇輝をノックアウト。
3本目の適時打を放った西村。得点時の校歌も2番に突入し、応援席のボルテージは最高潮に!
投手の替わり腹、𠮷安が1球で犠打を決めると、武冨の打順で代打・大沢翔一郎(法3=上尾)がコールされた。無死二、三塁で明大内野陣が前進守備を敷く中、大沢の持ち味である逆らわない打撃が光った。三遊間を破る安打でさらに1点を返してこの回4点目。一気に1点差まで詰め寄った。
大沢には代走・藤森康淳(営1=天理)を起用。この場面で打順はトップに返った。「まずは積極的に行くこと、後手になると良くないので、割り切ってピッチャーと対戦することを考えてました」。武川廉(人3=滋賀学園)が高めの直球を振りぬくと、中堅手の頭上を破った。三塁から西村は悠々生還。さらに盗塁を決めて二塁に進塁していた藤森康も帰って逆転の本塁を踏んだ。これでこの回一挙6得点を奪った。
武川の三塁打で逆転に成功!
その直後からは3番手・塙雄裕(法4=常総学院)が登板。いきなりピンチを招くも、連続三振で切り抜けると、その後は依然1点差の状況にも動じず明大打線を封じた。
好救援の塙
再び試合が動いたのは8回。2つの四球で再び得点圏へ。9番・塙は犠打の構え。一塁手が猛チャージをかける中、塙はきっちり無人の三塁側へ転がした。するとこれが相手の悪送球を誘う。思わぬ形で待望の追加点を加えると、2番・中津大和(営3=小松大谷)の積極的なスイングが実を結んだ。実に10打席ぶりとなる安打は右中間のフェンスを直撃。塙に加えて一塁走者・武川も快速を飛ばして返ってきた。この終盤に大きな3点を追加する。
本人も「とても良かったです」と感触を振り返る一打で9-6!
直前の攻撃では鈴木大照(文3=明徳義塾)に左打席での安打が生まれるも得点に至らず、9-6のまま迎えた9回裏。この回も塙がマウンドに上がった。試合途中からマスクを被る菅原謙伸を真正面への中飛で打ち取ると、1番・堀内祐我も今泉のランニングスローで制して2死無塁。しかし、ここから安打と四球でピンチを背負う。すると三塁側ダグアウトからは加藤重雄監督がマウンドへ。塙に「4点差もあるから大丈夫。いつも通りいけ」と檄を飛ばすと、塙もその檄に応えた。最後はフルカウントから上田希を決め球・フォークで空振り三振に打ち取り試合終了。
マウンドでバッテリーに檄を飛ばす加藤監督
序盤で5点差をつけられるも、4回の爆発力で一気に試合をひっくり返した法大。なんとか3回戦へ望みをつないだ。この勢いをそのままに、明日の3回戦で有終の美を飾る。
(記事:皆川真輝、写真:高橋芽唯)
クローズアップ:塙雄裕『塙の88球!リリーフエース、圧巻の6回無失点!』
ここまでどんな場面でも動じずに淡々と仕事をこなす塙雄裕(法4=常総学院)。
この日は逆転直後の4回、マウンドに上がった。「(点を)とってくれた後だったので絶対に0で抑えよう」。リードは1点。すぐに同点に追いつかれれば掴んだ流れも失いかねないこの場面。1死一、三塁の場面でも3番・宗山塁、4番・上田希由翔の中軸から2者連続三振。大事な取った後の守りを無失点で切り抜ける。
5回を3人で片付けると、6回には2死からピンチを招くも無失点で1点のリードを守り切る。
7回、この回の先頭は宗山。鋭い当たりにも塙がとっさにグラブを出し、打球を収めた。投ゴロに打ち取ると、上田希からは再び三振を奪った。
8回にも代打・岸本一心が放った打球に反応した塙。投直とすると、飛び出した一塁走者を刺した。さらに8番・榊原七斗が放った打球にも好反応。
思えば慶大2回戦でも好反応で投直の併殺を奪った塙。好フィールディングには「投げた後は9人目の野手なのでそこのところは常に飛んできてもいいように準備はしてます」と語った。
「ここまできたら行きたい」。さらに加藤重雄監督からも「最後まで任せた」と送り出された塙。2死からピンチを招くも「4点差もあるから大丈夫。いつも通りいけ」と加藤監督からのアドバイスもあって上田希から3つ目となる三振を奪って試合を締めた。「逆転してくれた野手の期待に応えられてホッとしたのと嬉しさがありました」と喜びを口にした。
ここまで最前線で腕を振り続ける塙。明日の3回戦へも準備を整え、勝負がかかるだいじなマウンドに君臨する。
(皆川真輝)
選手インタビュー
今泉颯太 主将
―今日の試合を振り返って
序盤に先制されたにも関わらずチームの雰囲気は良く諦めない気持ちが勝利に結びついたかなと思います。
―序盤はかなり苦しい展開となりました
正直なところ序盤の大量失点はやばいなと思っていましたが最後の試合にしたくないと思って気持ちを切り替えました。
―4回の攻撃では6点を取りました。あの回が始まる際、チームではどういったことを意識された
ビッグイニングを作って一気に逆転しようと常に声掛けしていました。
―何よりご自身が先頭で二塁打を放ちました。あの打席へはどういったことを考えて
ホームランを狙って立ちました。
―7回にも安打を打ちましてご自身は今日2安打です
全部塁に出たかったです。
―明日の3回戦へ望みをつなぎました
最終戦を有終の美で終えます。
塙雄裕 投手
―2022年春以来に明大に勝利しました。本日の試合を振り返って
打者、投手が噛み合いいい試合ができました
―5点差を逆転した直後のマウンドでした。どのような気持ちでマウンドへ
とってくれた後だったので絶対に0で抑えようと言う気持ちでした
―自身リーグ戦最長の6回を投げきりました。最後まで投げるという想定はしていましたか
自分としても最後までと言うのは想定してなく、後ろには吉鶴(翔瑛、営3=木更津総合)もいたので、いけるところまでは行こうと考えてました。
―最後まで投げきるというのは志願、監督の判断どちら
自分自身もここまできたら行きたいという気持ちもあり、監督からも「最後まで任せた」と言われました。
―最終回、監督とはどういったお話を
「4点差もあるから大丈夫。いつも通りいけ」と言われました。
―何度も好反応がありました。フィールディングで意識されていることは
投げた後は9人目の野手なのでそこのところは常に飛んできてもいいように準備はしてます。
―最後抑えられた瞬間のご感想を
逆転してくれた野手の期待に応えられてホッとしたのと嬉しさがありました。
―明日への意気込み
明日も勝って勝ち点をとります
武川廉 選手
―負ければ終わりという中で試合前には何を意識された
新チームからやってきたこと、やるべきことを最後まで貫いて明日も試合しようとミーティングで話しました。
―4回は直前に4点を取り1点差となっていました。そのような中で入った第3打席では何を考えていた
まずは積極的に行くこと、後手になると良くないので、割り切ってピッチャーと対戦することを考えてました。
―フルカウントから三塁打を放ちました。
高めのストレートで芯で捉えれて感触は良かったので抜けてくれてよかったです。
―その三塁打の率直な感想を
勝負所で一本出せてよかったです。
―明日の試合の意気込み
明日が四年生と試合する最後の試合になると思うので、春明治に勝ち点を落とし、優勝を逃しているので、明治に勝って勝ち点を取りたいです
中津大和 選手
―本日の試合を振り返って
勝ちきれたので良かったです
―無安打となった昨日からどのように切り替えて今日の試合に臨まれた
今シーズンはじめての無安打で、チームも負けてしまったので、悔しかったですが、下を向いている暇はないので、すぐ切り替えました。
―8回の第5打席に入る前はどのようなことを考えて
チャンスを作ってくれたので、どんな形でも返そうという思いで打席に入りました。
―初球から高めの球を振って二塁打になりました。打席に立つ前から初球スイングをすることは決めていた
積極的に行こうと思い打席に入りました。
―二塁打を放ったときの感触は
とても良かったです。
―明日に向けての意気込み
必ず勝って、勝ち点取りたいです。