各カードのMVPを紹介する『クローズアップ』。慶大戦は𠮷安遼哉 主将（法4＝大阪桐蔭）を選出。3回戦までもつれる激闘の末惜しくも勝ち点を落としたが、3試合連続殊勲打の活躍で打線をけん引した。
慶大戦で活躍した𠮷安遼哉「諦めている人は誰一人いない」
「厳しい試合になるのは分かっていたが粘り負けた」と主将は慶大戦を振り返った。延長12回裏にサヨナラ本塁打を浴び惜しくも勝ち点を献上。負けた瞬間の選手たちの落胆ぶりからこの1試合に懸ける思いの強さをひしひしと感じた。
慶大は昨秋に4回戦までもつれる激戦の末勝ち点を落としているまさに因縁の相手。緊迫した3試合で意地をみせたのが主将の𠮷安遼哉（法4＝大阪桐蔭）。慶大戦前までは打率.100と不振に喘いでいたが、3試合連続殊勲打（1回戦：逆転打、2回戦：同点打、3回戦：同点打）の活躍をみせ打線をけん引した。
特に3回戦では相手エース・外丸東眞に8回まで散発4安打無得点と打線が沈黙し迎えた土壇場9回。1死走者なしから4番・武川廉（人4＝滋賀学園）が二塁打と相手の失策で三塁まで到達し、𠮷安に打席が回ってきた。「内野も前進してくれて、ヒットゾーンも広かったので積極的にいった」と語るように初球を逆方向のレフト前に運ぶ値千金の同点打を放った。
しかしその後のチャンスであと一本が出ず、引き分け目前の延長12回裏1死でリーグ戦初打席の1年生に打った瞬間それと分かる悪夢のサヨナラ本塁打を浴び力尽きた。
捕手として目の前でこの悪夢をみた𠮷安は「こうしておけば良かったなと思いたくはないけど、思っちゃうことはいっぱいある。（打たれた）宇山（翼、人3＝日大三）も前の回3人で抑えてくれてたんで、打たれたことというよりかは、その前に点を取ってやれなかった自分達（野手陣）の責任」と悔しさを口にした。
前半戦は3勝3敗の勝ち点1で折り返した法大。優勝の可能性も大いに残されている中、勝負の後半戦は東大、早大、明大と過酷な3週連続の戦いが待ち受けている。
ここまでの戦いぶりについては「粘り強いと言われたら粘り強いかもしれないですけど、競り勝てていないんで」と負けた3試合はすべて1点差ゲームの現状を冷静に振り返った。
後半戦の意気込みについては「あと3カード優勝を諦めている人は誰一人いないので、もう1回練習から緊張感もってやっていく。全カード総力戦になってくると思うのでスタメンはもちろんですし、全員で誰がヒーローになってもいいんで、みんなで勝ち切りたい。」とスローガン『結』に込められた意味の1つである『結束』を胸に戦いぬく覚悟だ。
（取材・記事、矢吹大輔）
