【テニス】関東大学テニスリーグ 対亜大 『4年生ありがとう』。王座進出の夢途絶えるも、最終戦勝利で昨年から順位を1つあげる3位フィニッシュで4年生は引退へ。
関東大学テニスリーグ
最終戦 対亜大
2018年9月16日(日)
早稲田大学東伏見テニスコート
関東大学テニスリーグ最終戦。早大、慶大の王座進出が決定し、今年も王座進出はならなかった。4年生はこの最終戦で引退となる。先だって行われたダブルスでは2勝1敗と快勝。シングルスではS6にリーグ戦初出場となる石澤祐輝(営3)が好プレーを見せるなど、次世代への希望が垣間見えた。法大は今年度リーグ戦を昨年から順位を一つ上げ、3位でフィニッシュした。
今年さらに最強のチームを作り上げた4年生
試合結果
トータル試合結果
5
法政大学
|
2
|
ダブルス |
1
|
4
亜細亜大学
|
3
|
シングルス |
3
|
ダブルス
|
勝敗 |
選手名 |
スコア |
対戦相手 |
D1 |
○ |
小見山僚(スポ4)・楠原悠介(経3) |
6-1,6-2 |
加藤彰馬・吉田慎 |
D2 |
○ |
鈴木保貴(スポ3)・藤井俊吾(社3) |
6-4,(7)6‐7,6‐3 |
堀内竜輔・清水奎吾 |
D3 |
● |
前崎直哉(経4)・柚木武(スポ2) |
4‐6,4-6 |
高見澤岳飛・呉岡拓弥 |
シングルス
|
勝敗 |
選手名 |
スコア |
対戦相手 |
S1 |
● |
柚木武(スポ2) |
※0‐6 |
加藤彰馬
|
S2 |
○ |
岡垣光祐(経2) |
6-4,6-1 |
高見澤岳飛 |
S3 |
● |
鈴木保貴(スポ3) |
6-1,2-6,2‐6 |
堀内竜輔 |
S4 |
● |
藪巧光(経3) |
6‐2,3-6,5‐7 |
熊坂拓哉 |
S5 |
○ |
前崎直哉(経4) |
7-6(4),6-2 |
吉田慎 |
S6 |
○ |
石澤祐輝(営3)
|
6-1,4-6,6‐4 |
工藤颯人 |
※S1は柚木の棄権により第1セットのみで試合が終了。
戦評
ダブルス
今リーグ不調に苦しんだ小見山僚(スポ4)・楠原悠介(経3)ペアに笑顔が返り咲いた。最終戦となる今日もD1として出場。試合は終始小見山・楠原ペアの展開となった。第1セット第4ゲームをブレイクすると6-1でこのセットを先取。小見山のストロークが際どいコースを突くと相手のミスが増えた。続く第2セットも第3ゲームをブレイク。難なく試合の流れを掌握し、最終戦で白星をあげた。小見山はこれがリーグ戦引退試合となった。
D2は第2戦の慶大戦以来3試合ぶりに鈴木保貴(スポ3)・藤井俊吾(社3)ペアが出場。今試合は互いの好プレーが目立った試合だった。立ち上がりの第1セット第3ゲームでブレイクに成功すると自身らのサービスゲームを丁寧にキープ。藤井のボレーが鋭い角度に決まると藤井の動きに合わせて鈴木がコートカバーリング力を見せセット先取に成功。第2セットではタイブレークに突入。1-5と連取を許すも諦めなかった。藤井のリターンエースがサイドラインに深く決まるといった好プレーが光るも、第2セットを(7)6-7で落とす。続くファイナルセットでは第3ゲームをブレイクすると辛坊強く自身らのサービスゲームをキープ。6-3で勝利をつかんだ。
D3は第1戦から全試合を単複ともに出場している前崎直哉(経4)・柚木武(スポ2)ペアが惜しくも最終戦で勝利を飾ることができなかった。第1セットはシーソーゲームだった。第1ゲームでブレイクを許すも、次ゲームでブレイクバック。第3ゲームでも同じようにブレイクされるとブレイクバック、というように相手のリードに食らいついて行く展開に。第7ゲームで痛恨のブレイクを許すとセット先取はならなかった。第2セットでは積極的に前へ出てボレー戦へと持ち込む。それまでサーブを得意としていた柚木が細かなプレーでも得点をする機会が増えるなど、最上級生である前崎と組んだからこそ、得点につながるプレーシーンも増えた。しかし、第7セットでブレイクを許すと、ブレイクバックすることは出来ず4-6で敗戦した。
シングルス
S1は前戦の明大戦で奮闘を見せた柚木武(スポ2)がコートイン。立ち上がりから得意のサーブが奮わず、第1セットを0-6で落とす。すると第2セット開始を目前に柚木がメディカルタイムアウトを取る。安田忍トレーニングアドバイザーとしばらくやり取りをした後、棄権という形で苦い敗戦となった。
S2は好調を維持する岡垣光祐(経2)が今日も粛々とブレイクを狙い、圧勝した。第1セット第3ゲームでブレイクに成功するとそこから終始岡垣のペースだった。第6ゲームでブレイクバックを許すも次ゲームですぐさまブレイクバック。自身のサービスゲームを丁寧にキープしていくと、このセットを先取。次セットも難なく第2ゲームからブレイクに成功すると6-1で勝利を飾った。岡垣は今リーグシングルスでは5試合に出場し、羽澤慎治(慶大)には敗れたものの4勝と圧倒的な安定感を誇る。法大一番の成長株として、今後の活躍に期待がかかる。
S3は鈴木保貴(スポ3)がシングルスでは2試合ぶりに登場。今リーグ不調に苦しんだ鈴木は、先立って行われたダブルスの1勝で何かを吹っ切ったような清々しい表情でコートイン。第1セットは落ち着いて立ち上がりからブレイクに成功すると6-1でセット先取に成功する。しかし、第2セットでは第3、7ゲームともにブレイクを許しこのセットを取れず。ここまでの連戦の疲労がたたり鈴木がメディカルタイムアウトを取る。その後行われたファイナルセットでは第3ゲームでブレイクを許すも足を止めることはなかった。左右に打ち分けて揺さぶる相手のストロークも追いかけた。しかし第5ゲームでもブレイクを許し、2-6で勝利はならなかった。
S4は藪巧光(経3)がいつものように粘りのプレーで奮闘した。第1セット第4ゲームでブレイクに成功すると丁寧に自身のサービスゲームをキープ。6-2でセット先取に成功する。しかし第2セットは第5ゲームでブレイクを許すとそのままブレイクバックすることができず試合はファイナルセットへもつれ込む。藪も今リーグ全試合に出場していたが連戦の疲れを見せることはなかった。相手のストロークにしっかりと対応し、得点の契機を狙ったものの、第12ゲームでブレイクを許し、5-7と最終戦を勝ちきることができなかった。
S5は前崎直哉(経4)が引退試合を有終の美で飾った。第1セット第6ゲームでブレイクに成功するも、次ゲームでブレイクバックを許し互角の戦いに。そのままタイブレークに突入する。ここで法大テニスを盛り上げ続けた前崎の気迫が勝る。相手のストロークに食らいつき、得意のスライスは今試合も鮮やかに決まった。タイブレークを制し7-6(4)でセット先取に成功。続く第2セットでは第1ゲームからブレイクすると第4ゲームが始まる前には前崎のメディカルタイムアウトで試合が中断。それでも立ち上がりにつかんだリードを守りきり、6-2で鮮やかな勝利を飾った。連戦を経て、前崎の身体は決して万全な状態では無かっただろう。それでも持ち前の明るさで、チームを鼓舞する副将前崎の『男気』は後輩たちに語り継がれることだろう。
S6は石澤祐輝(営3)がリーグ戦初出場を果たし、見事勝利を飾った。第1セット第1ゲームからブレイクに成功すると落ち着いたプレーで6-1とこのセットを先取。両校左利き対決となった今試合ではあったが力強い石澤のストロークが勝っていた。しかし第2セットでは第3ゲームにブレイクを許すと4-6でファイナルセットへともつれ込む。ファイナルセット前には、工藤颯人(亜大)だメディカルタイムアウトで一時試合が中断。再開後は石澤がフォアハンドでベースラインぎりぎりを攻め込み、第4ゲームをブレイク。苦しい場面にも観覧席からは以前まではS6として出場していた小見山僚(スポ4)が石澤を鼓舞した。リードを守りきり、6-4でファイナルセットを制した。新戦力として一番乗りに名を挙げたサウスポー石澤の今後の活躍に注目だ。 (記事:梅原早紀)
インタビュー
植村直己監督
―総評をお願いします
今年は王座に出るということを目標に、4年生が非常にいいチームを作ってくれた。個人戦でも新進、春関、インカレ、夏関の全てシングルス・ダブルス決勝まで行き、(新進と春関、夏関は)優勝も残している。このように個人戦で成績がでないと、王座に出ようとか王座で優勝しようとか本音で出てこない。だから今年このような成績を挙げられたというのはしっかり練習をした裏付けがあって自信を持ってやってきたからだ。結局、早稲田か慶應どちらかには勝たないといけない。だから、実際にダブルスで接戦はしたんだけど、1ポイントも取れなかったというのは敗因であり現実。シングルスでは1ポイント2ポイント取っていれば、互角の戦いをしていたので(よかった)。だけど結果的にそれで3位だった。 ー去年と比べてどうでしょうか 去年は中大に負けたりしていた。今年は中大にはインカレチャンピオンがいる。そして他のメンバーも強い。それを勝つ実力があると思って戦って思って結果的には7-2。それでも、慶大戦の時に少しダブルスでチャンスがありましたが、もう一つチャンス力、サーブ力、レシーブ力、あんな少しの思い切りが向こうが上回っていた。たしかに、今年の法大は去年よりもサーブ力が増していてよかった。個人戦ではそれがしっかり結果に出ている。けれどそれがリーグ戦になった時、結果を突き詰めていくとファーストサービスがあと数センチのところで入らなかったり、ストロークがアウトになったりとその差で負けてしまった。それは勝敗に換算すると非常に大きな敗因だった。選手は全力でやりましたけど、そこがあと少し届きませんでした。そして明大戦。去年は4位ということで第3戦までで強いチームとの試合が終わってしまって、そこから明大、亜大は競り合う試合というのはあまり展開されなかったんです。今年はそうではなくて、明大戦は少し受け身になってしまった。それでも明治の選手は全力でやってきますし、危ない試合ではありました。けれどそこで負けなかったというのはちょっと彼らの自信につながったのは大きかったです。最終戦の亜大戦もここまで戦ったきて疲労が見えました。
ー選手個々でみるといかがでしたか
例えば柚木もあれだけの大きな体でここまで戦い抜くということはそれなりに負担がかかっていました。それでもS1という枠で戦って各校の強い選手と戦えたということは彼自身の経験や自信にもつながると思います。あと4年生が勝つことで盛り上がりましたね。例えば前崎なんですけど彼はインカレでは個人戦で2回戦で負けているのですが早大戦ではインカレベスト4の選手に勝ちました。リーグ戦というのはわからないものがあって、彼がよく口にする『気持ち』というものがあります。でもその気持ちは日頃のトレーニングや練習にしっかりと取り組むことで出てくる言葉だと思います。彼は非常に取り組みがよくて、インカレでは負けたけれどリーグ戦では全勝しました。それは本当に法大にいい流れを作ってダブルスでは負けたけれど、シングルスであきらめない。そういった気持ちはやはり4年生から感じられました。
ー4年生が下級生をバックアップしていた印象が強かったですが
昨年の主将の太田悠介(平29年度卒)も取り組んでくれましたがやはり今年の4年生はよくやってくれていました。もうすこし風通しの良い部の雰囲気といいますか、もっとテニスのことを考える時間が増えました。そういった努力できる環境作りをやってくれたので、もっと試合に出ようだとか。それができたので新進でもしっかり結果が出た時に、これで良かったという言葉を主将小谷野から聞きました。やはり前からあった雰囲気を変えて新しいものを作っていくことに彼らなりに葛藤があったはずです。小谷野や前崎を中心に変えてくれて大変だったとは思いますけど結果に表れたことが彼らの功績だと思います。そういうことがあってコミュニケーションが取れたと思います。今年は何人かで意見を戦わせながらやってこれたことが大きな成長だと思います。そういった部活を良くしようという流れでやってきたのでここ数年間で1番いいチームだと思います。
ー具体的に今後新体制となりやるべきこと、行いたいことはありますか まずはトレーニングですね。これだけをやって3位まで上がってこれたので結果に表れていると思います。あとはもっと強いフィジカルとパワーですね。これほど強い球を打てるのであとは技術的な部分を上げていかなくてはならない。そして試合経験。テニスとはどれだけ技術があっても試合の経験がないと勝つことはできないため、試合経験を積んでいかなくてはならない。そして戦術面を工夫していかなくてはならない。僕らも大学で授業を持っているけれど週に2、3回しか行かないので彼らの自主運営が鍵となっている。彼らはさぼることもできるし頑張ることもできるのですが今年の4年生は大変良くやってくれて。あとはそういった経験値を積めば必ず結果は出てくると思います。本人たちの頑張り次第結果につながると思います。
安田忍トレーニングアドバイザー
―選手たちがリーグ戦を戦いぬくためにどのようなサポートを行っていましたか
最終的にここで結果を出せるために、十分な準備をしてきたのでよく戦い抜いてくれたと思っています。けれど連戦が続いて身体が辛くなってくることは仕方がないことなので、なるべくいい状態で戦えるように、とは思っています。ただ連戦が続くとどれだけ気持ちをいい方向に持って行くことができるのかということもあるので、本当に心・技・体全てをいい状態で持ってこれるように気をつけました。
―試合後も選手に声をかけていましたが
そうですね、僕はテニスに関しては述べることはないので、あくまでも身体のことと、次戦への準備はどのように行なっていくかという話を試合後はしています。
―選手の皆さんへメッセージをお願い致します
4年生とできたことが本当に楽しく、嬉しかったので4年生には『ありがとう』という言葉しかありません。そして3年生をはじめ来年もリーグ戦を迎える選手にはしっかり4年生が培ってきたものを引き継いで、来年はまた1個、あるいは2個と順位を上げて王座へ向かって欲しいです。そのためにまずはしっかりとした準備をしてリーグに臨んでいただきたいです。臨んでください!
星野武蔵コーチ
―今年度リーグ戦まで取り組んできたこととその成果について教えてください
(法大は)能力は高い選手たちの集まりですし、その中で戦える準備をしっかりと行ってきた結果が早慶に2敗と負けてしまったわけではありますが、実際見ていて(その2戦は)非常に厳しい試合でした。
―具体的にはどういった部分がまだチームに足りていないのでしょうか
テニスの技術的にはもちろん、これからも改善しなければならない部分が多かったです。そして勝つ為の執着といいますか、彼らは『勝ちたい』というよりは『負けてはいけない』と思いながら戦っている状態なので追い込まれた気持ちだったと思います。本当にちょっとした気の持ちようですがそういったところにおいては早稲田、慶應からは気迫を感じます。そういった部分が足りていなかったのではないかと思います。
―選手からも『勝ち切れない』というコメントを多く伺いましたが
おそらくテニスの技術的にはそれほどの差はないと思っています。今回ファイナルセットまで持ち込む試合が多かったのですが、もうその段階まで行くと考え方や気持ちの部分が大きく影響します。ですからそういった経験を積むことが大切だと思います。
―今後へ向けて取り組みたいことはありますか
法政の選手はアマチュアの試合はたくさん出場しているのですが、今大学テニスのトップで戦っている選手はもうひと段階上のレベルでプレーをしていることが多いので、もう一つ上のレベルでプレーができる契機を僕たちが作っていけたらと思っています。
―選手の皆さんへ向けてのメッセージをお願い致します