【バドミントン】第72回全日本総合選手権 藤原が世界ランク18位の選手から1ゲーム奪う大健闘を見せ、躍進の1年締めくくる!
第72回全日本総合選手権
2018年11月26日(月)~12月2日(日)
駒沢オリンピック公園総合運動場体育館
オリンピック金メダリスト高橋礼華・松友美佐紀ペア(日本ユニシス)や、今年の世界選手権で世界王者に輝いた桃田賢斗(NTT東日本)など、日本のトッププレイヤーが集う今大会。法大からは6選手が出場権を獲得し、日本最高峰の大舞台に挑んだ。中でも予選から出場した藤原圭祐(経2)は、初出場ながら実業団相手に快勝し、本選でも日本A代表の常山幹太(トナミ運輸)から1ゲームを奪うという大健闘を見せた。
試合結果
男子シングルス
選手名 | 結果 | スコア |
---|---|---|
藤原圭祐(経2) | 本選1回戦敗退 | 予選1回戦 ○2-1古屋(旭工芸)(21-17、12-21、21-19) 予選2回戦○2-1福田(トリッキーパンダース)(21-18、19-21、21-8) 本選1回戦●1-2常山(トナミ運輸)(21-16、14-21、10-21) |
山澤直貴(経2) | 本選1回戦敗退 | 予選2回戦○2-0清水(豊田通商)(21-17、21-15) 本選1回戦●0-2田中(日大)(18-21、18-21) |
嶺岸洸(社1) | 予選2回戦敗退 | 予選1回戦○2-1東野(JR北海道)(21-6、16-21、21-12) 予選2回戦●0-2古財(龍谷大職員)(11-21、11-21) |
混合ダブルス
選手名 | 結果 | スコア |
---|---|---|
桐田和樹(経4)・勝俣莉里香(営4) | 本選1回戦敗退 | 予選1回戦○2-0小林(Smash Split)・関根(北翔大)(21-12、21-15)予選2回戦○2-1石川(丸杉)・亀田(広島ガス)(21-19、19-21、21-12)予選3回戦○2-1本田(大同特殊鋼)・松田(ウイルソン)(19-21、21-14、21-14)本選1回戦●0-2井上・岩永(日本ユニシス)(15-21、14-21) |
清水一希(人3)・三上楓(日体大) | 予選2回戦敗退 | 予選2回戦○2-0具志堅(トヨタ自動車九州)・井上(西日本シティ銀行)(21-16、21-15)予選3回戦●1-2渡邊・小野(再春館製薬所)(19-21、21-17、18-21) |
戦評
男子シングルス
予選の1、2回戦とも実業団の選手との対戦となった藤原圭祐(経2)。予選1回戦のファイナルゲームでは、ゲームポイントを奪われ絶体絶命に。しかし、ここから粘り強く相手の配球に食らいついていき、劣勢を覆して逆転勝利。予選2回戦でも格上相手に勝利を収め、初出場にして本選へと駒を進めた。
本選1回戦の相手は日本A代表で、世界ランキング18位の常山幹太(トナミ運輸)となった。序盤は常山の配球に飜弄されながらも、必死にシャトルを追いかけていく。長いラリーに持ち込み、隙を見てスマッシュを叩き込んでいくと21-16で第1ゲームを先取。続く第2、3ゲームは常山のペースに飲まれて敗戦したものの、世界を相手に戦うトッププレイヤーから1ゲームを奪ってみせた。
今年は団体戦ではダブルスとしてチームの勝利に貢献し、個人戦シングルスでもインカレベスト8、新人戦第3位と好成績を収めている藤原。夢の舞台と評した今大会も、実業団相手に善戦し実りの多いものとなった。来年からは単複を支える主戦力として、新チームに欠かせない存在となりそうだ。(大平佳奈)
藤原圭祐選手
昨年も全日本選手権に出場し、ベスト16となった山澤直貴(経2)。今年も好成績を収めることが期待されたが、予選を通過したものの、本選では日大の田中湧士を相手に苦戦し、1回戦敗退となった。
試合は序盤、山澤がリードした状態で進む。ネット際に落とし上がってきたところをスマッシュで決めるという流れで点を重ね、11-10でインターバルを迎える。しかし後半は相手が驚異のリターン力を見せ、得意の強打で決めきることができない。焦りからかラインオーバーやネットにかけるミスが増え、点差は徐々に開いていった。山澤はけがの影響を伺わせない動きで粘り強くプレーするが、18-21で惜しくも先取されてしまった。
なんとか食らいつきたい第2ゲーム。序盤から相手のリードを許すが、ネットすれすれのヘアピンショットなど、巧みな攻撃で追い上げを見せる。相手も強打を打ち込もうとしてネットにかけるミスが多く、拮抗(きっこう)した試合展開となった。しかしインターバル明け直後の3連続失点を最後まで取り返すことができず、18-21でストレート負けとなった。
「大学生に負けて悔しい」と語る山澤。しかしその悔しさをバネに、来年は更なる成長を見せてくれることだろう。オフシーズン明けにどのような戦いを見せてくれるのか、まだまだ目が離せない。(村井美咲)
山澤直貴選手
予選1回戦に出場した嶺岸洸(社1)は、実業団相手に堂々たるプレーを見せる。持ち味の粘り強いレシーブで相手の攻撃を防ぎ、隙をついたスマッシュやプッシュで着実に得点を重ねていく。第2ゲームは奪われたものの、2-1で予選2回戦へ進出した。予選2回戦では、ラリー型の相手に思うようなプレーをさせてもらえず序盤から苦戦を強いられる。「何をすればいいのか分からなかった」と攻撃の糸口をつかめないまま、ストレートで敗れた。
春季リーグ戦に大学界の絶対王者古賀穂(早大)から勝利を挙げ、衝撃のデビューを飾った嶺岸。その後もルーキーながら関東選手権3位入賞、インカレベスト8などの成績を残し躍進の1年となった。今後の法大を担っていく逸材の、更なる進化に期待してならない。(大平)
嶺岸洸選手
混合ダブルス
今大会で今年度全ての試合が終了し、引退となる4年生の桐田和樹(経4)・勝俣莉里香(営4)ペア。特に勝俣にとっては、今大会は競技生活最後の試合となった。
普段試合自体が少ないミックスダブルスに出場となり、「ほとんど練習していなかった」と話したが予選から実業団相手にも順調に勝ち進んでいく。第3ゲームにもつれ込む試合でも、落ち着いたプレーで流れを引き寄せ本選に臨んだ。
迎えた本選1回戦。相手は日本A代表の井上拓斗(日本ユニシス)を擁するトップダブルス。序盤から隙をついたドロップや鋭いプッシュに対応しきれず苦戦。何とか点差を埋めようと模索するも、格の違いを見せつけられる形でストレート敗戦となった。
勝俣は本選1回戦を振り返り「レベルが全然違った」と苦笑いを浮かべながらも、「悔いはない」と晴れやかな顔で競技人生に幕を閉じた。実業団でバドミントンを続けいく桐田は、「この差を埋めていけるように頑張りたい」と新天地での決意を新たにした。主将、エースとして法大をけん引した2人は静かに4年間の戦いを終え、それぞれの道へ歩み始める。
桐田和樹(右)・勝俣莉里香ペア
全日本学生ミックスダブルス選手権でベスト8の成績を残し、初の全日本総合出場の切符をつかんだ清水一希(人3)。日体大の三上楓とペアを組み、予選1回戦は実業団相手に善戦しストレート勝利。予選2回戦でも、清水が前衛から攻撃し、三上も後衛からフォロー。第3ゲームまでもつれる接戦となるも、勝負所での相手の1本に泣き敗戦した。本選出場とはならなかったが、全日本総合の舞台に立ちトップレベルの選手と善戦。この経験を積めたことは、清水にとって大きな収穫となっただろう。(大平)
清水一希(右)・三上楓(日体大)ペア
選手インタビュー
勝俣莉里香 主将
ー今大会を振り返って
本選に出ることが目標だったので、それができてよかったかなと思います。
ー桐田選手との相性は
1回も練習していなくて、学生ミックス選手権ぶりに組んだのですがその時より上手くいったかなという感じです。
ー本選1回戦では、A代表の選手と対戦しましたが
本当にレベルが違うなと思いました。
ー勝俣選手にとって、今大会で競技生活終了となりますが
本当にこれで最後なんだなと思って、今大会に臨みました。(大学では)個人でインカレ優勝できたし、団体もリーグ優勝できて、こうやって総合にも出られて全体的に成績も良かったので楽しくできました。選手としてやるのは最後ですけど、もう悔いはないかなと思います。
ー残される後輩へ
私はインカレ団体ベスト8までしかいけなかったのですが、今回の新人戦の団体でも優勝していてみんな強いと思うので、ベスト8の壁を破って優勝してほしいなと思います!
桐田和樹 主将
ー今大会を振り返って
ミックスは全然練習できていなくて、ぶっつけ本番で出たのですが本選に出場することができてよかったかなと思います。
ー勝俣選手との相性は
どこのペアもミックスはあまり練習する時間がなかったと思うので、相性というよりは正直運というのが大きかったかなと思います。
ー本選1回戦では日本A代表と対戦しましたが
もう二度とやりたくないです(笑)。レベルが違いすぎて、悔しいというより恥ずかしくなるくらいでした。
ーどんなところで違いを感じましたか
凄く落ち着いているし、球出しも女子のことを考えて球出ししていて凄く余裕を感じました。
ー新人として出場したS/J2部リーグでは、全勝で新人賞を獲得されていましたが
全勝を目標にして2部リーグに臨んで、自分の中では勝って当然という気持ちだったので目標を達成できて良かったです。でも、今日の総合とかでA代表の人たちと戦うと全然まだだと思うので、これからこの差をもっと埋めていきたいなと思います。
ー後輩へ
今大会でも藤原が始めて総合に出て、あれだけA代表と競った戦いをしていたので、すごくいい経験になったと思います。多くの人が総合に出られるように頑張ってほしいと思います。
ー宇部興産での目標
まずは6月に全日本社会人があるので、そこでベスト8に入ってまた来年も総合に出られるように頑張りたいです。
清水一希
ー今大会を振り返って
(全日本総合に)初めて出場したのですが、相手が強すぎてあまり緊張しなかったです。ペアの三上(楓、日体大)くんのおかげで楽しくできました。
ー三上楓選手(日体大)とペアを組んだいきさつや、相性は
お互い余っていて、「組もうよ」と言ってくれたので組みました。三上くんとは今日で5日間くらい一緒にいるんですよ(笑)。なので、仲良くなれたし楽しかったです。
ー実業団相手に接戦を演じました
やっぱり実業団の選手は勝負所に強いなと思ったので、技術面でも気持ちの面でももっと成長したいなと思いました。
ーミックスダブルスに出場し、普段のプレースタイルと違った点など
全然違って、本当にあまり動かないので数球しかこない球をどれだけ確実に入れていくかという感じでした。
ー来年はどんな1年にしたい
1番上になるので、自分たちで引っ張って結果を残していきたいと思います。(今年は)大事な場面や大事な大会で負けることが多かったので、来年は1番上にもなるので大事なポイントは絶対取りたいと思います。1本1本集中して、自分がポイントを取れるように頑張ります。
藤原圭祐
山澤直貴
ー今大会を振り返って
嶺岸洸
ー今日の試合を振り返って
予選1回戦は結構名前が知れてる選手に勝てたので良かったのですが、予選2回戦はラリー型の選手ですごくやりづらかったです。何したらいいか分からないまま、負けてしまって食いが残りました。自己評価すると40点くらいですかね。
ー昨年に引き続き全日本総合に出場してみて
去年に比べたら、結構成長できたと思います。総合での戦い方も分かってきて予選1回戦目も勝てたと思うので。
ー今大会の目標としては
本選で結果を残したかったです。最低ベスト16くらいには入りたかったです。
ールーキーイヤーを振り返って
今年より来年の方が結果を残せるように頑張りたいと思います。
ー実業団の選手のプレーを見て感じたことなど
やっぱりフィジカルも技術ももっともっとつけていかないといけないと思いました。
フォトギャラリー
- 予選でも実業団選手を相手に、フルゲームの末勝利を挙げた藤原
- 今大会で引退となった桐田・勝俣ペア
- 嶺岸の2度目の総合の舞台は、予選2回戦敗退となった
- 本調子が出せず悔しさをにじませた山澤は、「身体づくり」を今後の課題に挙げた
- 初の総合出場に「楽しかった」と笑顔を見せた清水
- 桐田・勝俣ペアは、抜群のコンビネーションで予選1~3回戦を突破した
- 本選1回戦では、世界ランク18位の常山選手から1ゲーム奪った藤原
- 本選1回戦で日本A代表を擁するペアに敗戦し、学生最後の試合を終えた桐田・勝俣ペア