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《新入生歓迎企画》 独占取材! 法大出身 鈴木奈穂子アナウンサーインタビュー

法大出身 現役NHKアナウンサー 鈴木奈穂子さんインタビュー

2023年3月3日(金)
法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎

新入生の皆さん、入学おめでとうございます!みなさんの入学を記念して、現役のNHKアナウンサーである、鈴木奈穂子さんへのインタビューを公開します。新入生の皆さんへのメッセージはもちろん、普段の生活やお仕事のお話もうかがいました。なお撮影時のみマスクを外しております。

ー社会学部を選んだ理由は

私はいわゆる「付属あがり」、法政女子高校からの進学だったので法政大学に進学しようというのは早々に決めていたのですが、学部選びの際に、「どうしよう…将来やりたいことが決まっていない」…と悩みました。そんな中で社会学部の案内を見た時、色々な授業があって世の中の事を広く学べそうだなと思ったんですね。「社会学部がマスコミに強いらしい」というのは聞いていたのですが、そのほかにも、コミュニケーションや社会学など、色々なことを学べるということだったので、社会学部に入って将来の夢や学びたいことを見つけようと思い、選びました。

ーどのような大学生だったと振り返りますか

いわゆる「THE 女子大学生」という感じだったと思います(笑)。大学に入学してからしばらくしても明確な目標や夢には出会っていなかったので、特に1年生の間は、友達とあちこち遊びに行ったり、サークルに入ったり、アルバイトをしたり「大学生になったからこそできることをしよう」と過ごしていました。全然特別なことはしていなくて、毎日を楽しんでいる学生でした。

ーサークルはどのようなサークルでしたか

これも「THE サークル」と言えるテニスサークルに所属していました(笑)。

ーテニスは昔からやっていたのですか

親の影響で高校時代からテニスのスクールに通うなど、もともとテニスをやっていたのですが、部活に所属するほど真剣にはやってこなかったし、新歓の時2つか3つ目くらいに行ったサークルの先輩たちと話していたら楽しくて。テニス以外にも色んなことができるよと言われたことで「楽しそう」と思って惹きつけられました。テニスもちゃんとする、みんなで楽しくも過ごす、というのをちょうど半々くらいできるサークルだったので入りました。

ー大学で印象に残っている授業はありますか

社会学部に入ってまず思い浮かぶのは、稲増先生の「マスコミュニケーション論」ですね。授業の内容は「今放送されているテレビはどんな風にできているのか」とか、「世の中でテレビ局や広告会社などマスコミ業界の立ち位置とは」、「マスコミの仕事はこういうことだ」というものを稲増先生がとても分かりやすく、楽しく、当時テレビで活躍されていたアイドルの名前などを具体的に挙げながら「テレビの世界で起こるムーブメント」についてとても興味深く教えてくださったので毎回授業に出るのが楽しみでした。教室は、いつもたくさんの学生で混雑していました。

あとはコミュニケーション論を学ぶゼミに入り、そこで世の中の幅広い事象を取り上げて色々な分析や調査を行いました。例えば、人気の漫画を一つ取り上げて、そこからコミュニケーションを分析していくとか、私が化粧に興味があったので「化粧が人とのコミュニケーションにどんな影響をもたらすのか」というテーマで卒業論文を書いたのを覚えています。

ー大学生活で最も楽しかった思い出は

4年間所属していたサークルはとても楽しかったですね。楽しかっただけでなく、1つのコミュニティに所属して色んな人と人間関係を築きながら、大学生なりにサークルの運営に関わったりイベントを企画したりというのは社会勉強にもなりました。仲間たちと支え合いながら過ごした4年間はかけがえのないものです。卒業から20年近く経った今でもメンバーと会っていますし、サークル時代にできた絆はとても大切なものです。

あとは「自主マスコミ講座」に入りました。私は3年生からアナウンサーコースに所属しましたが、そこで同じ目標を持って頑張る仲間と出会えたのは、大学生活を語るうえでかかせない思い出ですね。

アルバイトは、あまり続かなかったけれど(笑)人並みには経験していました。飲食店とか、テレビ局とか…。人と違う、とか、珍しい事をしていたわけではないけれど、自分なりに4年間色々な経験をして成長できたなと思っています。

ー自主マスに参加してみて

自主マスを受講したことで、自分の中でマスコミの世界がググっと近くなりました。マスコミ業界で活躍する現役の先輩の話しを聞けたり、例えばアナウンサーコースであれば、心構えの他に原稿の読み方やフリートークなど実践的なスキルも教えてくれたり。講師の皆さんも先輩も意欲的な人達ばかりで、カリキュラムもかなり拘っています。

ー自主マスの雰囲気は

皆ライバルではあるけれど、「一緒に頑張ろう」という仲間意識は強かったですね。私が所属していたアナウンサーコースのメンバーとは今でも集まる事がありますよ。

自主マスだけが、マスコミを目指す道の全てではありませんが、今何をしたらいいのか迷っているのであれば、選択肢の一つとしてぜひトライしてみたら良いと思います。

ーアナウンサーを目指したきっかけは

社会学部に入ったことで周りにマスコミを目指す人が多かったというのはベースにあるかな。テレビ局などマスコミ業界に詳しい友人たちと話をする中で、「そういう世界があるのか」というのを知ることができたのは大きかったです。あと、社会学部はゼミや授業の先生だけでなく、様々な教授とコミュニケーションを取る機会があったんですね。例えば、私たちの時は多摩キャンパスに「多摩マスコミ講座」というのがあったのですが、そこでテーマに沿ってエッセイを書いて発表する授業があったんです。エッセイを発表したあとに教授が「鈴木さんアナウンサーに向いているんじゃない?」と声をかけて下さって。アナウンサーって、テレビに出る特殊な職業で自分には縁遠いと思っていたのですが教授の言葉で「私も目指してみようかな?」と、初めて現実的に考えるようになりました。

本格的に目指そうと思ったのは、所属していた社会学部のゼミで、学部のパンフレットを作る活動をしてからです。それこそ今回(スポホウの取材)のように「社会学部出身のOBにインタビューしてパンフレットに掲載しよう」という話になって、箱根駅伝に出場した選手にインタビューするというのを初めて経験したのですが、それがすごく楽しくて。ある程度事前に質問の想定を考えて聞いていくのでなんとなく「こんな答えが返ってくるかな」と考えていたんですよね。でも「先輩はどういう才能が欲しいですか?」と聞いた時に想定していた「速く走れる肉体が欲しい」「強靭な体が欲しい」などという答えではなく「僕はたった一つ、努力できる才能が欲しい」っておっしゃったんです。自分が全く想定していなかった答えだったので、こういう考え方があるんだと驚きました。とても素敵な言葉だったし、自分が思いもしなかった言葉を私たちのインタビューで引き出すことができたんだと感じて「インタビューってすごく面白いな」と思ったんです。それまでにも色々マスコミ業界の話を聞く機会はありましたが、このパンフレット作りを通じて「インタビューができるアナウンサーになりたい」と、本気で活動を始めました。

ーインタビューはあさイチでもすることが多いと思うのですが、そこでもやはり下調べはたくさんされますか

相手の話を引き出すためには、相手のことを知ることから始まると思っています。週に1度の特集「プレミアムトーク」というインタビューでは、生放送でおよそ1時間にわたってゲストの話しをじっくり伺います。これまでに掲載されたインタビュー記事を読んだり、出演作を見たり著書を読んだり…。出来る限りの準備をして臨んでいます。

ー出演される芸能人のお名前のイントネーションなども下調べをされるのですか

事前に調べられる場合は調べたり、当日マネージャーさんに確認したり、スタジオでご本人に確認する事もあります。名前や作品、役名のイントネーションなどは出来るだけ忠実にご紹介したいと思っているんです。イントネーションひとつをとっても印象が変わることもあるし、ある意味ファン代表として話を引き出したいという思いをもっているので。というのも「アナウンサーの私が」ではなく、ファンの皆さんが聞きたい事を代表して聞きます!という気持ちです。なので、イントネーション、呼び方、これまでの活動、どういう思いでこの番組に出て下さっているのか。趣味は何かとか、放送で面白くなるテーマはどこか…などなど、私だけではなくチームみんなで下調べし、共有しながら作っていっているところがありますね。

ー他の職業に目を向けたことは

ありますあります!当時はなんといっても「就職氷河期」と言われた時代だったので、そうそう簡単に就職できるとは思っていなかったので。アナウンサーが第一志望でしたが、他の企業や業種もたくさんエントリーしました。就職活動では100社くらいエントリーしたんじゃないかな。でも、大変でしたが、世の中の色々な会社を見られるチャンスでもあるし、“新卒”で入社するのって人生で一度しかないと思ったので、色んな業界のことを調べました。それまでのほほんと大学生活を送っていましたが、アナウンサーを第一志望にして、就職活動を始めてからは、OB・OG訪問をしたり自己分析にじっくり時間をかけたりと、とにかく「出来る事は全部やる!」の精神で頑張りました。

ー特に就活で大変だったことは

いろいろな会社の事を知れるのは楽しかったのですが、大変だったのはやっぱり「自分と向き合うこと」ですかね。つまり、自己分析ってやつです。これまで21、22年生きてきた中で、自分とはどういう人間で、自分の強みをどうやって会社や社会で活かしていけるのかを考える作業はとにかく大変で時間がかかりました。

自己分析は就職活動で皆行う事だと思いますが、自分のことをこんなに考える機会ってなかったんですよね。「あー私って何もないな」とか「何で学生時代にもっとこういうことをしてこなかったんだろう」という後悔にも気づきましたし。一方で、例えば私の場合は転校が多く小学校を3つ通って人と接する機会が多かったからなのか、初対面でも人見知りせず話せるなーとか、結果的に人が好きなのかなーとか。自己分析を徹底的に行ったことで初めてわかったこともあって。すごく大変だったけど、得たものや発見もあった作業だったかなと思います。あとは、落ちるんですよ。就職試験って、めちゃめちゃ落ちます(苦笑)様々な企業のあらゆる試験の段階で「落ちる」という経験が重なると、自分をすごく否定されたような気持ちになっていくんです。私の場合は留学したり何か資格を持っていた訳でもないし「私って必要ない人間なのかな…」なんてネガティブなループに入ったりもしました。そんな中で、同じ夢を追いかける自主マスの仲間や、そこで出会った先生方の言葉に救われました。「とにかく一喜一憂しないことだよ」、「本当に運と縁だから。そこの会社に断られても、自分を否定された訳じゃないんだ」というような言葉を常にかけてくれた仲間とか先生が近くにいたというのは、自分にとって大きかったなと思っています。

ーNHKを選んだ理由は

アナウンサーになるためにできるだけたくさんの放送局を受けようと思っていたので、民放もNHKも受けました。そこでNHKの志望動機を書くとき、NHKの良さや強みは「全国に放送局があるので、大きな話題はもちろん、隅々まで地域の魅力を伝える事ができる」所だと思ったんです。実際にNHKに入局した今もその部分は最も大きな強みだと感じています。また、皆さんから頂く受信料で番組などを制作しているので「視聴者のためになるにはどうしたら良いか」という目標に向けてコンテンツを皆で作り上げていく充実感や達成感はとても大きいです。

ー入局後に色々な地域に行くことは楽しみでしたか

そうですね。私は関東出身だったので、初めての一人暮らしが初めての地方暮らし(入局後香川県高松放送局にて)で不安もありましたが、飛び込んでみたらとても楽しかったです。四国に4年間いたのですが、最高でした。

ーその中で何か印象に残っている場所や思い出はありますか

仕事はもちろんいろいろ印象に残っていますが、食べ物がとにかく美味しかった(笑)。瀬戸内海の海の幸を堪能したり、うどんを食べるツアーをしたり、愛媛にいる時はみかんが局内や取材に行くと必ずどなたかがおすそ分けしてくれて常に身の回りにあったなーとか。他にも、船にのって瀬戸内海の花火を見たり、四国の豊かな自然と美味しいご飯と、温かい人たちに囲まれたりしたので、第二の故郷だと思っています。地元の方たちに良くしてもらったりあちこちで声をかけてもらったり「育てて頂いた」という感覚も大きいです。初めての環境に身を置く事に不安もありましたが、NHKに入って、地域で仕事するというとてもチャレンジングな仕事に飛び込んでよかったなって思っています。

ー改めて今思う、学生の時やっておけばよかったことは

それ、聞きますよねー?(笑)「ああ、これをやっておけばよかったな」と思うことはたくさーんあります。「もっと英語の勉強をしておけばよかった」「時間がある学生時代にじっくり取り組めることを見つければよかった」「留学しておけばよかった」「本や映画をもっと読んだり見たりしたかった」…挙げたらキリがないです、ほんと。これから学生生活を送る皆さんにアドバイスをするとしたら「人生を賭けて“これが好き”と言えるものが見つかると、人生がとても豊かになるんじゃないかな」ということです。自分のために使える時間がこんなにあるのって、人生の中でも恐らく大学生のうちだけじゃないかな?私が今大学生に戻れるとしたら、思い切り胸を張って「これをやってきました」と言えるものを探したい!強く思います。なんて言って戻っても、結局やらないかもしれないけど(笑)

ー大学当時、法大スポーツを観戦することはありましたか

実はあまりその機会がなかったんです。せっかく法政に入ったから、もっとラグビーとか野球など見に行けばよかったな、箱根駅伝もガンガン応援しに行けばよかったなと思いますね。

ーアナウンサーの仕事を通して、1番印象に残っていることは

これまで様々な仕事を経験してきたので1つに絞るのはとても難しいのですが…。

まずは、私はこれまでニュース番組など報道の現場にも長くいたので「自分の声で届けた情報で誰かの命を守りたい」何か起きた時にダイレクトに「みなさん命を守ってください」と、自分の声で届けられるこの仕事に大きな使命感を持っています。もちろん100%視聴者の皆さんに届いているなんておこがましい事は言えませんが、1人でも情報が届き、結果的にその人の命を守れるにはどうしたら良いのかという事は常に頭に置いています。

あとは、いま担当している「あさイチ」でもそうなのですが、第一線で活躍している人たちに会えたり、そうした方たちから直接話を引き出せたりして視聴者の皆さんに届けられるというのは、アナウンサーじゃなかったらなかなかできない仕事だったかなと感じますね。

育休があけて、子育てをしながらあさイチを担当した時、自分の中では「情報番組」という初めてのジャンルで務まるか不安だったのですが、生活や子育ての悩みが番組にフィットしすぎていてびっくりしました。何年キャリアを積んでも、新しい挑戦で見つかるものがあるんだなーと思っています。あさイチはこれまでにないくらい等身大で向き合っているのでとても楽しい番組です。

ーこれからやってみたい仕事は

「新しい挑戦」という事で言うと、これまでスタジオとかカメラの前の仕事が多く、お客さんの前で行う仕事の経験が少ないんです。ステージ司会をレギュラーで担当した事がないので、ぜひやってみたいですね。お客さんの反応をダイレクトに感じられるような仕事も刺激を受けそうですね。

あとはやっぱりナレーション。キャリアとともに声だけで表現するスキルを極めたい!まだまだ挑戦してみたい仕事はたくさんありますね。

ー今鈴木さんが思うアナウンサーにとって必要なこととは

まずは何より「人が好き」であることですかね。人が好きで、向き合う人に興味を持てなければ、アナウンサーという仕事は務まらないかなと思います。あとは、テレビやラジオに出る仕事ですが、決して「華やか」な仕事ではないと思っています。テレビに出ているけれど、俳優やタレントさんと違ってアナウンサー自身は何もすごいことをしていないんです。「スゴイ人、スゴイ事柄を見つけて、それを世の中に発信する」というのが一番の役割。なので、「この人の良さを広めたい」とか「このニュースをちゃんと伝えたい」というある種「貢献したい気持ち」をしっかり持つというのが必要なのかも。アナウンサーになって20年近く経ちますが、最近特にそう思いますね。

ー確かに人が好きというのはすごく大事だと思います

そうですね、マスコミの仕事をする上で、自分以外の人に興味を持てるってすごく大きいことだと思いますね。

ー新入生、マスコミを目指す学生にメッセージを

すでに将来の目標が決まっている、とかくマスコミを目指したいと思っているのであれば、こんなにうってつけの大学はないと思います。マスコミ業界に詳しい教授や、自主マスコミ講座、全国各地の放送局やマスコミ業界で活躍している卒業生がたくさんいるので、そのネットワークをうまく活用して、自分の夢を実現させてほしいと思います。

一方で昔の私のように、将来の夢や目標がまだ定まらないという中で入学してきた皆さんにとって、法政大学はとても広く学べる場だと思います。月並みですが「可能性は無限大」な大学なので、この大学に入学した縁を大切にして、自分が好きなことや打ち込めることを見つけてください。就職活動も大変だと思うけれど、ぜひ!楽しんで取り組んでくださいね。

(インタビュー・芦川有)

鈴木奈穂子(すずき・なおこ)
出身・出身高校:法政女子高等学校(現在の法政大学付属国際高等学校)

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