【陸上競技】第49回全日本大学駅伝対校選手権まであと1日 展望記事
第49回全日本大学駅伝対校選手権 展望
2017年11月4日(土)
あと1日に迫った伊勢路。4年ぶりの出場となる法大の長距離界での現在地はどこか。戦力分析を交えた展望記事と、エントリー全選手の紹介をお届けする。
エントリー
区間エントリー
区間 | 距離 | 選手名 |
---|---|---|
1区 | 14.6km | 土井大輔(経3) |
2区 | 13.2km | 坂東悠汰(スポ3) |
3区 | 9.5km | 矢嶋謙悟(経3) |
4区 | 14.0km | 青木涼真(生命2) |
5区 | 11.6km | 松澤拓弥(社2) |
6区 | 12.3km | 福田兼士(経3) |
7区 | 11.9km | 岡原仁志(経2) |
8区 | 19.7km | 鈴木亮平(経3) |
補員 | 磯田和也(法4) | |
佐藤敏也(社2) | ||
増田蒼馬(経2) | ||
佐々木虎一朗(スポ2) | ||
中村雅史(経1) |
展望記事
挽回の機会がやってきた。学生三大駅伝初戦の出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)でまさかの途中棄権となってから1ヶ月足らず。出雲と同じく4年ぶりの出場となる全日本大学駅伝対校選手権(全日本)の前日を迎えた。4年前のこの大会では12位に沈み、悪い流れをつくってしまった法大はエース西池和人(平26年度卒=現コニカミノルタ)の故障も重なって東京箱根間往復大学駅伝(箱根)11位、そして翌年度の箱根予選会12位とみるみるうちに低迷していった。今大会に出場する関東地区の大学はシード6校、予選を勝ち抜いた9校の合わせて15校。このうち明大を除く14校は箱根でも顔を合わせることとなる。全日本を「箱根の前哨戦」とまでは言わないが、チームの目標「箱根7位」に向け、競うこととなるであろう大学との位置関係を確かめたい大会だ。
そして大会2日前の3日、区間エントリーが行われた。法大は出雲に出場したメンバーが軸になりつつも、学生三大駅伝が未経験の選手も名を連ねている。
区間賞争いはスパート合戦になるが、中盤で先頭集団からこぼれるとその後の区間で厳しい戦いを強いられる1区には土井大輔(経3)。1万メートルの自己記録はチーム内2番手で、冬季には青梅マラソンで30キロレースを戦った土井だが、関東学生対校選手権(関東インカレ)のハーフマラソンでは入賞争いに絡めず19位。今大会の予選会にあたる全日本大学駅伝対校選手権関東学生連盟推薦校選考会(全日本予選会)では「アクシデント」で当日にエントリーから外されるなど苦しいシーズンを送ってきた。しかし3週間前に行われた法大競技会では1万メートルを29分27秒30でまとめ復調をアピール。今年の箱根、出雲は坂東悠汰(スポ3)が1区を務めたが、もう一段階上のレベルで戦うためにも、坂東に代わる1区として期待がかかる。山梨学大主将の上田健太やハーフマラソンで1時間2分5秒の記録を持つ相澤晃(東洋大)、出雲で4区区間賞の走りで東海大を優勝に導いた鬼塚翔太ら各大学の一線級の選手が集う区間で食らいついていきたい。
満を持してエース区間を託されたのは坂東。13年の箱根1区、出雲1区、全日本2区を走った西池の軌跡をたどるように2区に起用された。今年は箱根、出雲と共に1区9位という成績だったが、チームにもたらした影響は明暗が分かれた。「チームに流れをつくることができなかった」と語った出雲では、悔しさのあまり涙を見せた坂東。今大会こそ「法大のエース」としてチームを上位に導く走りを見せたい。前回2区区間賞、今年の出雲2区で区間新記録を叩き出した田村和希(青学大)や2週間前の平国大競技会1万メートルで28分36秒15を記録したルーキー塩澤稀夕(東海大)、箱根予選会での出走はかなわなかったが、全日本予選会で坂東に先着した坂口裕之(明大)らがエントリーされている。
今大会において唯一10キロ未満の最短区間3区には矢嶋謙悟(経3)が配置された。1万メートルでは坂東、土井に次ぐチーム内3番手の記録の持ち主。出雲では無念の白タスキでのフィニッシュとなったが、全日本では各大学のスピードランナーが集うこの区間で存在感を発揮したい。同区間には青学大の神林勇太と日本学生対校選手権(日本インカレ)1万メートルで3位の西山和弥(東洋大)の2人の強力ルーキーや日本選手権1500メートル覇者で前回3区区間賞の館澤亨次らが集う。
レース中盤の大きな山場、今大会で2番目に長い区間の4区には安定感に定評のある青木涼真(生命2)。トラックでの勢いそのままに出雲でも各大学のエース級が集まる3区で区間4位と好走。「駅伝を走るため」に法大に入学した青木が今大会でも上位校に引けを取らない走りを見せる。前回5区区間賞の森田歩希(青学大)や東海大のエース關颯人、前回1年生ながら4区3位の高砂大地(中学大)との争いになりそうだ。
近鉄名古屋線に沿うようにして11.6キロを走る5区には松澤拓弥(経2)がエントリー。学生三大駅伝の経験はおろか、昨年の箱根予選会や今年の全日本予選会も出場していないが、3月の日本学生ハーフマラソン選手権(学生ハーフ)では法大1年生の中でトップ。3週間前の法大競技会で29分50秒06を出し駅伝メンバー争いの中で頭角を現している。下田裕太(青学大)一強のこの区間では、区間上位も望めそうだ。
三重県の県庁所在地、津市の中心部を駆け抜ける6区には福田兼士(経3)が入った。出雲では2区を任されたトラックのイメージが強いスピードランナーだが、学生ハーフでは1時間3分台をマークしチームトップ。これまで苦戦してきた1万メートルも29分42秒45まで記録を伸ばしてきた。単独走になりやすい後半区間で、自らのペースを失わなければ好走が期待できる。出雲3区で苦しい走りとなった早大エース永山博基や堀合大輔(駒大)との同学年との勝負も見ものだ。
海沿いに別れを告げ、アンカーへとタスキを渡す7区には、出場すれば学生三大駅伝初出場となる岡原仁志(経2)。昨年の箱根予選会ではチーム内最下位に沈み、本戦出場に沸くチームの中で複雑な表情を浮かべていた。1万メートルでも30分を超える苦しい走りが続いていたが、3週間前に29分47秒74を出してみせた。前回5区区間賞の小野田勇次(青学大)、出雲5区区間賞の三上嵩斗(東海大)らつなぎ区間とは思えないクラスの選手もエントリーされているが、アンカーのために少しでも好位置でつなぎたい。
今大会の最長区間、アンカー8区を任されたのは、こちらも出場すれば学生三大駅伝初出場の鈴木亮平(経3)。ロードを中心にレースを重ねているが、1万メートルでも29分48秒84の記録を持っている。学生ハーフでは福田、矢嶋に次ぐチーム内3番手に入るなど実力十分。今年の箱根予選会で個人2位のドミニクニャイロ(山梨学大)が大逆転を狙って配置されたが、それ以外は概ね逃げ切りを図るようなエントリーとなっている。鈴木は初陣でチームに貢献する走りができるか。
当日エントリー変更の可能性を残すのは5選手。今大会にエントリーされた唯一の最上級生である磯田和也(法4)は、後半に粘ることができればチームに好成績をもたらせる選手。昨秋は終盤にかけて失速するレースが目立ったが、クリスマスイブに行われた法大競技会で29分39秒59と克服。今年の全日本予選会では1組8着と流れをつくった。
当日のエントリー変更が最も濃厚なのが佐藤敏也(社2)。箱根では6区3位とチームにサプライズをもたらし、シード権獲得の立役者となった。箱根での勢いそのままに、2月の神奈川マラソンではチームでただ1人のハーフマラソン1時間2分台を記録。関東インカレ1万メートルや全日本予選会最終組に出場し、坂東に次ぐエース格としての地位を築きつつある。
対校戦では1500メートルを主戦場とするスピードランナーの増田蒼馬(経2)も1万メートルで29分42秒88の記録を持つ。出雲では出場機会が回ってこなかったが、この大会で学生三大駅伝デビューなるか。
チームの途中棄権により参考記録となったが、出雲では5区10位相当の走りをした佐々木虎一朗(スポ2)は、エントリー変更で出場する可能性が高いのではないだろうか。今大会こそは正真正銘の学生三大駅伝初陣としたい。
1年生で唯一今大会にエントリーされたのは中村雅史(経1)。15年、16年と2年連続で全国高校駅伝に出場するなど駅伝の経験が豊富なルーキーだ。先月の法大競技会1万メートルでは苦しい走りとなったが、4年前にも当時ルーキーの足羽純実(平28年度卒=現ホンダ)が出場している。
他大でエントリー変更によって出場する可能性が高いのは青学大主将の吉永竜聖、同じく青学大の鈴木塁人。早大主将の安井雄一。駒大の工藤有生、東洋大の山本修二の両エース。そして出雲を制覇した東海大は日本インカレ5000メートル3位、出雲1区区間賞の阪口竜平や日本インカレ1万メートル5位の松尾淳之介が補員に入り、ライバル校の動向を伺っている。
「8位入賞」を目標に掲げた法大。これを成し遂げれば03年大会以来14年ぶりだ。さらにシード権獲得となれば01年大会以来16年ぶり。区間エントリーでは1万メートルの自己記録トップ3を1区から3区に並べ、実力と安定感を兼ね備えた青木を4区に据えた前半区間に比重を置くオーダーとなった。5区以降では相当なブレーキがない限り大きな順位変動が起こらない全日本だけに、4区まででシード権争い、あわよくばシード圏内につけて、優位にレースを進めたい。学生三大駅伝の借りは学生三大駅伝で返す。オレンジエクスプレスの逆襲が明日、始まる。(小島雄太)
選手紹介
1区
土井大輔(どい・だいすけ)
経済学部3年 九州国際大付(福岡県)
5000m:14分19秒17 10000m:29分9秒65
15年度:箱根8区18位
16年度:箱根4区9位
2区
坂東悠汰(ばんどう・ゆうた)
スポーツ健康学部3年 津名(兵庫県)
5000m:13分47秒26 10000m:28分44秒87
15年度:箱根4区15位
16年度:箱根1区9位
17年度:出雲1区9位
3区
矢嶋謙悟(やじま・けんご)
経済学部3年 市船橋(千葉県)
5000m:14分20秒38 10000m:29分14秒03
17年度:出雲6区12位相当(参考記録)
4区
青木涼真(あおき・りょうま)
生命科学部2年 春日部(埼玉県)
5000m:14分31秒99 10000m:29分30秒64
16年度:箱根8区9位
17年度:出雲3区4位
5区
松澤拓弥(まつざわ・たくや)
社会学部2年 中京(愛知県)
5000m:14分28秒98 10000m:29分50秒06
6区
福田兼士(ふくだ・けんし)
経済学部3年 須磨学園(兵庫県)
5000m:14分19秒28 10000m:29分42秒45
17年度:出雲2区9位
7区
岡原仁志(おかはら・ひとし)
経済学部2年 国際学院(広島県)
5000m:14分25秒07 10000m:29分47秒74
8区
鈴木亮平(すずき・りょうへい)
経済学部3年 酒田南(山形県)
5000m:14分34秒24 10000m:29分48秒84
補員
磯田和也(いそだ・かずや)
法学部4年 熊谷(埼玉県)
5000m:14分24秒88 10000m:29分39秒59
佐藤敏也(さとう・としや)
社会学部2年 愛知(愛知県)
5000m:14分19秒18 10000m:29分23秒79
16年度:箱根6区3位
増田蒼馬(ますだ・そうま)
経済学部2年 島田(静岡県)
5000m:14分18秒59 10000m:29分42秒88
佐々木虎一朗(ささき・こいちろう)
スポーツ健康学部2年 東北(宮城県)
5000m:14分32秒45 10000m:29分43秒14
17年度:出雲5区10位相当(参考記録)
中村雅史(なかむら・まさふみ)
経済学部1年 関大北陽(大阪府)
5000m:14分29秒04 10000m:31分0秒80