【陸上競技】第94回東京箱根間往復大学駅伝競走 往路 青木が法大史上64年ぶりの5区区間賞&関口超えの9人抜きでチームを救い5位!
第94回東京箱根間往復大学駅伝競走
2018年1月2日(火)
東京・大手町~神奈川・箱根町
東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根)の往路が行われ、4区まではシード権争いに絡めない苦しい展開となったが、5区青木が驚異の9人抜きを見せ第89回大会以来5年ぶりとなる5位という好順位で終えた。
試合結果
総合成績
順位 | 大学名 | 記録 | 法大とのタイム差 |
---|---|---|---|
1位 | 東洋大 | 5時間28分29秒◎ | 4分37秒 |
2位 | 青学大 | 5時間29分5秒◎ | 3分1秒 |
3位 | 早大 | 5時間30分25秒◎ | 2分41秒 |
4位 | 拓殖大 | 5時間33分5秒◎ | 1秒 |
5位 | 法大 | 5時間33分6秒◎ | — |
6位 | 城西大 | 5時間33分19秒◎ | 13秒 |
7位 | 日体大 | 5時間33分47秒 | 41秒 |
8位 | 順大 | 5時間33分54秒 | 48秒 |
9位 | 東海大 | 5時間34分9秒 | 1分3秒 |
10位 | 中大 | 5時間34分18秒 | 1分12秒 |
11位 | 中央学大 | 5時間34分43秒 | 1分37秒 |
12位 | 帝京大 | 5時間34分47秒 | 1分41秒 |
13位 | 駒大 | 5時間36分1秒 | 2分55秒 |
14位 | 國學大 | 5時間36分58秒 | 3分52秒 |
15位 | 神大 | 5時間38分4秒 | 4分58秒 |
16位 | 山梨学大 | 5時間38分7秒 | 5分1秒 |
17位 | 大東大 | 5時間39分38秒 | 6分32秒 |
18位 | 国士大 | 5時間41分38秒 | 8分32秒 |
19位 | 東国大 | 5時間41分45秒 | 8分39秒 |
20位 | 上武大 | 5時間42分22秒 | 9分16秒 |
OP | 関東学連 | 5時間49分20秒 | 16分14秒 |
記録・順位
区間 | 選手名 | 区間記録 | 区間順位 | 総合記録 | 総合順位 |
---|---|---|---|---|---|
1区 | 土井大輔(経3) | 1時間3分21秒 | 19位 | 1時間3分21秒 | 19位 |
2区 | 坂東悠汰(スポ3) | 1時間10分5秒 | 14位 | 2時間13分26秒 | 15位 |
3区 | 細川翔太郎(経4) | 1時間3分52秒 | 8位 | 3時間17分18秒 | 13位 |
4区 | 松澤拓弥(社2) | 1時間4分4秒 | 13位 | 4時間21分22秒 | 14位 |
5区 | 青木涼真(生命2) | 1時間11分44秒◎ | 1位 | 5時間33分6秒◎ | 5位 |
戦評
新春を告げる箱根。法大は前回総合8位に輝き4年ぶりのシード獲得を果たした。今大会の目標はそれを超える『総合7位』。駅伝主将の鹿嶋隆裕(経4)を中心に「全員駅伝」を掲げ、チーム一丸となってこの目標向かって取り組んできた。2年連続シード、そして目標達成へ真価が問われる箱根路が始まった。
オープン参加の関東学連を含む21チームが一斉に大手町をスタート。1区を任されたのは前回4区9位と活躍した土井大輔(経3)。土井を含む多くの選手が集団となり蒲田を過ぎても大勢は変わらないまま終盤を迎えた。17㌔手前で鈴木塁人(青学大)が仕掛けると集団は一気に崩れる。土井はそのスピードに対応出来ずに離される。それでも持ち前の粘りで必死に前に向いた。先頭の西山和弥(東洋大)が鶴見中継所に飛び込むと次々と選手がタスキリレーをしていく。土井も最後まで出し切り初の1区を走りきった。区間順位は19位と振るわず「複雑な気持ち」と悔しさをみせたが、シード圏内に約30秒差と与えられた最低限の役割を果たし、流れを作った。
2区を走るのは坂東悠汰(スポ3)。序盤は15位集団を追いかける展開でスタートした。その後15位集団に追いつき並走をみせながら権太坂などの難所を越えていく。そして一時後ろに下がるも終盤の上り坂で得意のスパートで一気に追い抜いて、15位でタスキリレー。故障の影響もあり、初の2区の区間14位という結果について「不甲斐ない結果」と唇を噛んだが、後続そして自身にとっても収穫のあるレースとなった。
3区は当日エントリー変更で福田兼士(経3)に代わって細川翔太郎(経4)が入った。細川は1キロ2分55秒の安定したペースで中盤まで迎えると湘南大橋で12位集団に追いつく。そして、集団でのデッドヒートの中、平塚中継所を迎えた。11位帝京大をも飲み込んだ集団はそのままタスキリレーに入り法大は13位で3区を終えた。細川は区間8位の好走。自身も「有終の美を飾れた」と語り最後の箱根路で見事な走りをみせた。
4区を走った松澤拓弥(社2)は序盤から11位集団での並走で始まった。だが、区間上位のペースで集団が進み、途中で脱落してしてしまう。それでも大崩れすることなく松澤は粘りをみせていく。最後の上り坂からスパートをみせ失速した難波皓平(順大)を捉えて14位でタスキリレー。松澤は初の箱根路を区間13位で終えた。
5区初挑戦となった青木涼真(生命2)。上りが得意ということでの抜擢となったが、その走りは想像以上となった。小田原中継所の時点では10位との差は1分4秒あったが、大平台の時点で20秒近くに迫るとものすごい勢いで他の選手をまくり上げていく。小涌園前ではシード圏内10位に上げると「区間賞を目指せ」と坪田監督のゲキに応えるようにその後も次々と抜いていく。最終的には中盤まで区間賞を争うペースで進んでいた服部潤哉(城西大)を抜き、第89回大会で関口頌悟(平26年度卒)が見せた8人抜きを上回る9人抜きを達成。4位拓殖大にはあと一歩で届かず10人抜きとはならなかったが、区間新を叩き出す神がかり的な走りでチームを5位まで押し上げて芦ノ湖にゴール。自ら「大健闘」と語ったように誰もが驚く山上りとなった。
往路を5位で終えた法大。青木の走りばかりが目立つが土井や坂東の粘走、そして細川や松澤の力走があったからこそ青木の好走にも繋がったと言える。まさに「全員駅伝」で往路5位をつかむ結果となった。明日は総合7位がかかる復路。順当にエントリー変更があれば6区は佐藤敏也(社2)が濃厚だろう。4位拓殖大から12位帝京大までの9チームが1分42秒の間にひしめく大混戦だが、佐藤が前回の6区3位を上回る走りをみせれば1秒差の拓殖大はもちろん、3位の早大も射程圏内に捉えられるはずだ。総合7位へ向かって今季走り続けてきた法大。最高のゴールへ佐藤を含め復路の選手にも大きな期待がかかる。昨年掲げた大きな夢はもうすぐ近くまで近付いている。(渡辺拓海)
監督・選手インタビュー
坪田智夫監督
—結果を振り返って
結果は、青木で全部取り返しただけなので。総合順位はですね。内容的には昨年の箱根より悪かったですね。
—青木の5区起用はいつ頃から
夏の昨年からやっているトライアルで、昨年たまたま(昨年箱根で5区を走った)生澤佑樹(平28年度卒)がよかったんですけど、それを今年もやったところ生澤よりも1分くらいよかったので。他が出てくればありがたかったんですけど、メンツを考えた時、青木が選択肢にありました。
—青木選手にはどのような期待をしていましたか
まずは大きく外さないで。坂東があんまり(調子が)よくなかったので、足も気になるという感じで、2週間くらい練習も空いていたので。本当は彼で攻めさせたかったのですが、その代わりも含めて。
—青木選手以外で、よかった点は
松澤が離されたんですけど、よく彼の中でハイペースで、タフなコースを突っ込んでいって、区間13位でよく我慢したなと思います。往路の方で2年生、1つ収穫ではあったかなと思います。
—目標の『総合7位』を達成するために、今の立ち位置は
後ろに東海さん、駒澤さんがいるので、厳しい状況ではあるのですが、勝っていかなければならないので。
—復路に向けて
とにかく(佐藤)敏也のところで、しっかり走るっていう。あとは繋いでいくっていうのが。後半4人も決して悪い状態ではないので、自信を持って繋いで欲しいと思います。
1区 土井大輔
ーレースを終えての率直な感想
設定が63分半台で、前が見えれば良いと言われていたので、63分20秒台で走れたのは、力が出し切れたし自分の走りもできたなって思います。それでも19番だったので複雑な気持ちではあります。
ー1区を走るにあたって心がけたことは
全日本で1区を走った時に、集団から離れるタイミングを間違えて前と大きく開いた状態で次の走者に渡してしまったことが失敗だったので、箱根では最低限、次の走者に走りやすい位置で渡せればなって思っていました。
ー監督から指示は
ハイペースになったら自分の判断でリズムを作ってくれと言われました。正直結構1区はメンバーが集まっていて自分の力が出せなければ厳しい感じだったんですけど、自分の走りをすればあとはみんながなんとかしてくれるって言われていて。だからとにかく自分の走りをするようにって言われていました。
ー走る前のコンディションは
ここ1年間を通してだと1番良い状態でスタートラインに立てたと思います。練習も過去2回走った箱根よりも確実にできていたので、スタートラインに立った時は自信のある状態でしたね。
ー復路の選手に向けて
とりあえず往路で流れは作れると思います。今年も強いと思うので、自信を持って走ってくれれば必ず7位という順位に届くと思うので、しっかり応援したいと思います。
2区 坂東悠汰
―初めて箱根でエース区間を走りましたが
坪田監督に69分半から70分半ぐらいのペースで行ってくれと言われていました。自分は11月の終わりに故障してしまって復活したのが箱根3週間前くらいだったということであまり状態は良くなかったのですが、坪田監督から言われたペースを目標に走りました。
―今日の走りはどうでしたか
10キロ辺りで差し込みが来てしまって10~15キロ辺りで垂れてしまいましたが、ラスト3キロの所で坪田監督から「エースの走りをしろ」と声かけがあったので気持ちを切り替えて順位を上げることができました。しかし満足がいく走りはできなかったです。
―区間14位という結果を受けて
区間一桁を目標にしていたので、法政のエースとしては不甲斐ない結果になったと思います。
―土井選手から19位でタスキを受け取った時の心境は
19位という結果でしたが前が見える位置だったので5キロ、10キロかけて追いついていこうと思いました。
―ラストレースとなる細川選手とのタスキリレーの時の心境は
細川さんは前回走っていて頼もしい先輩なので、しっかりと最後楽しんでくださいという気持ちを込めてタスキを渡しました。
―2区で一番きつかった所は
ラスト3キロはきつく、特に1キロは本当に苦しかったです。
―3度目の箱根を終えて
前回は1区9位という結果で良い走りができたと思うのですが、今回は区間14位であまり納得いく走りはいかなかったです。しかしまだ箱根駅伝は続いていくので応援していきたいなと思います。
―「箱根の巨人」といわれていますが、箱根で存在感をアピールすることができましたか
自分的にはあと1分くらい速く走りたかったのですが、沿道の方でも名前を呼んでくださったりと応援は力になりました。
―残りの8選手にメッセージをお願いします
チーム目標の総合7位に向けてまたまだ続くので最後まで諦めずに走って欲しいです。
3区 細川翔太郎
ー率直な感想を
最後のレースということで、有終の美を飾れたのではないかなと思います。
ー3区について
最初はずっと下ってて、平坦な道がきたので走りやすいかなと思っていたのですが、最初の下りで足を使ってしまったので、大変だとは聞いていましたが予想以上でした。
ーメンバー変更に関して
前から3区を走れと言われていましたが、以前からアクシデントがあったらどこでも走れるようにと言われていたので、その準備をしていました。
ー個人として箱根まで取り組んできたこと
タンパク質を摂るなど、栄養面を考えていました。あとは緊張をしやすいので、リラックスをしやすいようにルーティーンとかはちゃんとやっていました。
ー感謝したい人は
一番は坪田監督、副部長、部長かなと思います。迷惑をかけたのに自分を信じて走らせてくれたので、感謝感謝です。
ー苦しい時も法大を支え続けました
自分は周りを明るくするのは苦手なので、走りで周りを鼓舞できればと思っていて、自分の仕事を全うするというのを意識していました。それが4年生としての仕事ですし、それでチームもやってこれたのかなと思いました。
ー4年間を振り返って
苦しい時もあり、楽しい時もありいろいろなことがあった4年間でした。長いようで短い4年で、振り返ると涙が出そうです。
4区 松澤拓弥
ー本日のレースを振り返って
固まった状態でタスキをもらったが、先頭のペースがかなり早く離れてしまいました。しかしそこから最低限のペースで走ることはできたと思います。
ー今大会へ向けてのコンディションは
走る前の状態としてはよかったと思います。
ー4区を担当する上での対策は
細かいアップダウンが続く区間だというのは知っていて、合宿等で取り組んで来たことなので、大丈夫だと考えていました。
ー区間13位という結果でしたが
区間順位10番くらいを狙っていましまが、自分の力が足りなかったです。
ー初めての箱根はいかがでしたか
かなり緊張しましたが、後続の人に楽に走ってもらうために頑張って走ることができました。
ー3区の細川選手が区間8位、順位を2つあげてのタスキリレーでした
かなり順位を上げて来てくれているという情報が入っていた。そのため自分も少しリラックスしてスタートすることができました。
ー同期の青木選手へタスキをどのような思いで渡しましたか
上りが得意な選手で、青木が順位を上げてくれるのはみんなが信じている。あとは頼んだ、よろしくという気持ちでタスキを渡しました。
ー明日の復路の選手に向けて
復路の選手はみんな状態が良くて、強い選手が揃っているので、チームの目標である総合7位に向けて一丸となって頑張ってほしいです。
ー来年以降の箱根への思いは
今回は集団の中での勝負ができなかったので、来年は集団の中で勝負ができるようしっかりと一年かけて準備していきたいです。
5区 青木涼真
—レースを振り返って
自分の中で大健闘といった感じです。
—レースで意識たことは
上りに関しては、上半身の力を抜いて力まないようにリズムを刻んでいくことを。下りに関しては、自分はあまり得意じゃないので、前に進む意識を持って走りました。
—上りは好きですか
好きというか、人よりは向いているかなと思います。
—5区に抜てきされた時の心境は
平地を走りたかったかなと思いました。でも、自分がチームで1番で走れるならチームのために走るべきだなと思っていたので。
—14位でタスキをもらった時の心境は
前が見える順位で来てくれたので、1区から4区までの選手に感謝しています。
—好調だった要因は
今シーズンは走り方が変わっていて。自分の中では、意識はしていなかったのですが、ジョグとかスピード練習の設定とかも上がっていて、強くなりたいって気持ちが、走りにも影響したと思っています。
—具体的にどのように変わったのでしょうか
かかとから接地する走りだったのですが、最近(ドラマの)陸王でやっていたようなミッドフット走法になっていたみたいで、そういうのも(好調の要因に)なっていたと思います。