【フィギュア】第45回東日本選手権 あと一歩及ばず… SPでの出遅れが響き男女ともに全日本選手権出場を逃す悔しすぎる結果に
第45回東日本選手権大会
2019年10月25日(金)、26日(土)
長野県軽井沢町・風越公園アイスアリーナ
12月に2年ぶりの東京開催となる全日本選手権の出場をかけた東日本選手権が軽井沢で開催された。法大からは4選手が出場したものの、SPでのミスが大きく響き、FSでの巻き返しも虚しく出場圏内の6位に入ることができなかった。これで小林建斗(文3)の3年連続、小林諒真(営3)の2年連続出場も叶わず。2019年の法大の選手として出場する大会はこれにて終了。あまりに早すぎる終わりを迎えた。
試合結果
クラス | 選手名(学部・学年) | 順位 | SP | FS | 総合得点 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
シニア男子 | 小林建斗(文3) | 7位 | 51.87点 | 8位 | 106.33点 | 7位 | 158.20点 |
〃 | 小林諒真(3) | 10位 | 51.86点 | 9位 | 98.19点 | 10位 | 150.05点 |
〃 | 齋藤翔(営1) | 14位 | 42.65点 | 16位 | 78.79点 | 14位 | 121.44点 |
シニア女子 | 佐上 黎(文2) | 18位 | 35.76点 | 22位 | 74.10点 | 17位 | 109.86点 |
戦評
小林建斗
前日のSPを8位で終えた小林建斗(文3)。コンビネーションジャンプが決まらず得点が伸び悩み、上位勢を追いかける形で3年連続の全日本選手権を狙う。 第三グループに登場すると6分間練習をいつもより引き締まった表情で入念にジャンプを確認。「夏の時期のようなビビった感じはなかった」と自分の滑りを今大会に向け取り戻しつつあっただけに、大舞台を狙える自信も取り戻した様子だった。 しかし、小林建の前を滑った鈴木潤(北海道大)がSPのミスをかき消すように会心の演技を見せ、会場は大きな盛り上がりを見せる。そんな異様な雰囲気の中でも、「今度は自分が『道化師』の世界を作り上げよう」と周りを気にせず集中を切らすことなくリンクに向かった。
静寂の中滑り始めると、最初の2アクセルを何とか堪え着氷。続く得意の3フリップを含むコンビネーションも加点の付く上々の出来栄えで流れに乗った。中盤のフリップにミスがあったものの、1つ1つのジャンプに絶対降りてやるという気迫を感じ、観客もそれを息をのんで見守った。今季夏から本来の出来とは程遠い演技が続いていたが、今大会に向け次第に輝きを取り戻していった小林建。絶好調とは言えないまでも、苦しみながらここまで仕上げてきたのはこれまでの積み上げの成果と言えるだろう。要素1つ1つに魂を込めた迫真の演技で最後まで世界観を表現し、丁寧なお辞儀で観客の声援に応えた小林建はリンクを後にした。
演技後はあとの選手の結果を見守ることしかできなかった小林建。SPでついた差はやはりあまりに大きく、総合7位とあと一歩及ばず今季の全日本出場は叶わなかった。しかし、「くよくよしてもしょうがない」と結果を真っすぐなまなざしで受け止め前を向く。この悔しさは1月のインカレの優勝という形で晴らしみせる。
小林諒真
今季調子のよかったSPでまさかの出遅れとなった小林諒真(営3)。まさかステップでの転倒があり、その後の演技に影響してしまっただけに今日のFSは精神状態も重要なカギとなった。同期の小林建とは0.01点差。9位からの巻き返しでの全日本出場のためには「もうミスは許されない」とプレッシャーのかかる順位にも6分間ではしっかり体が動いている様子が見られた。
以前SPで用いていた衣装を身に纏い、滑り始めると、最初の3ルッツ・3トーループはダイナミックなジャンプで余裕を持った着氷。続く3フリップはステップアウトとなるも2アクセルや3サルコウを丁寧に決め、序盤を大きなミスなく終える。しかし、演技後半のジャンプは疲れからか、足の状態か、堪える形や転倒が続いてしまう。時折苦しい表情を見せていたものの、最後のスピンはレベル4と曲が終わるまで気持ちを切らすことなく滑り続け演技を終えた。
ミスが許されないプレッシャーを力に変えることができず、結果としてSPから順位を落とし、10位で今大会を終えた。2年連続の全日本のために3アクセルや4回転にも果敢に挑んできた今季だったが、2019年中には形にできなかった小林諒。インカレまでの2か月間でどこまで形にしてくるか、今シーズンの集大成をしっかりと結果で残し、来シーズンにもつながる演技にしたいところだ。
齋藤翔
法大男子フリーで最初に登場したのはSP16位の齋藤翔(営1)。
曲は「Swedish Rhapsody」。重厚なピアノの音に合わせて演技を始めた齋藤は最初の3フリップを見事に成功させ、会場からは早速大きな拍手が送られた。その後のコンビネーションジャンプや2ループもきれいに決め、素晴らしい滑り出しを見せる。しかし、演技中盤の3ルッツで転倒すると、そこから徐々にペースを崩してしまう。終盤にかけてのジャンプは疲れもピークに達し、大きく乱れが出てしまった。しかし、最後までダイナミックかつ優雅なスケーティングを披露し、意地は見せた。
演技終了後は納得のいかない表情を浮かべた齋藤だが、すぐにコーチらと次戦に向けて話し合う姿が見られた。日々経験値を積む齋藤翔の今後の成長に期待だ。
佐上黎
SPを全体の22位で終えた佐上黎(文2)。最終滑走という会場の視線を一身に浴びるという緊張感のある中、ジャンプ、スピンにミスが出てしまい、出遅れてしまう。
巻き返したいFS。最初ジャンプである2回転ルッツは難なく成功させるが、「前半は体がちょっと固かった」と本人が語るように、その後の3回転ループと3回転サルコウ、この2つの3回転ジャンプの着氷が不安定になってしまう。ただ、転倒などの大きなミスをすることなく乗り越えると、演技の中盤以降は『佐上黎のスケート』を存分に披露し観客を魅了していく。ゆったりとした音楽に合わせ、リンクを全体を大きく使ったステップシークエンスを披露し、「ロミオとジュリエット」の儚さを全身で表現してみせた。一気に観客を自分の世界へ引き込んだ佐上は、その後のジャンプも見事に成功させ演技を終えた。
全日本選手権出場は果たせなかったものの、堂々とした演技を披露し、次なる目標へ向けた確かな一歩を踏み出した。
インタビュー
~FS後~
小林建斗
ー演技を終えて率直な気持ちを聞かせて下さい
シーズンの中でも1番いいフリーだったと思うし、今出来ることは精一杯出し切れたと思います。悔しいけどしょうがないですね。くよくよしても帰ってこないし、次に向けて切り替えて頑張ろうという気持ちです。
ー昨日のショートが終わった時点で8位、全日本に行くためには2人抜く必要がある、後ろには鈴木潤選手(北海道大)がいるという状況でフリーの戦略は
ショートが終わった時点でコーチにも全日本無理なんで明日は自分らしく滑りますと伝えて、コーチからは「そうだね、頑張ろう」と声をかけてもらったんですけど、「まだ気持ちが残っているなら最後まで諦めずにやりなさい」と。正直才能とかセンスは自分はないほうだから、今まで積み上げてやってきたものは人より良いものだから自信持ってやりなさいと言う話をしていただいたので、緊張はしていたんですけど、出来る技術を一個一個丁寧にやろうと滑りました。
ー枠が6つという中で、最終グループに入れなかったことについてはプレッシャーに感じていましたか
正直(鈴木)潤くんのビートルズメドレーの雰囲気になっていたので、飲まれそうになったけど、今度は自分が道化師の世界を作り上げていこうという気持ちがあったので、特に順番は気にせずできました。
ージャンプは堪える形がいくつかありましたが、とても丁寧で気持ちの入ったジャンプだったと感じました
一個一個見たら質はどうなの、という部分はあったしそのせいで点数は伸びなかったんですけど、形にすることはできたかなと。夏の自信喪失していた時期から今日のような心持ちで滑れたのは良かったです。質に関しては積み重ねなので仕方ないですけど、ルッツが決まったのは自信になります。
ー昨日のショートで51点台と出遅れてしまいましたが、フリーに向けて修正しようとした点は
練習から良いスケートが出来ていたので、夏のようなビビった感じはなく、「自分ができることだけ自信を持つだけでいい、頑張る必要はないから」という話があったので考え過ぎず落ち着いていきました。
ー次の大きな大会としてはインカレになるかなと思います。意気込みをお願いします
しばらく時間が空くので、2ヶ月で自信がつくような練習をして、成長した姿を見せたいです。次は大学のためにしっかり貢献したいです。
小林諒真
ーまず率直な気持ちを聞かせてください
悔しいですね。
ーショートで9位という結果でした。全日本へのプレッシャーは感じていましたか
点差があるだけに自分のできることを全部出して行けるか行けないかくらいだなと思っていました。
ーフリーに向けて全日本に行くための演技としてどのようなことを考えていましたか
もうミスは許されないなと思っていのでとにかく降りること、ミスを最小限に留めてステップスピンと演技構成点でどこまで稼げるかどうかにかかっていると思っていました。
ー6分間練習の調子は
体は動いていたかなと思います。
ー昨日ミスがあった中で、修正しようと思っていた点は
昨日はステップで転ぶというアクシデントがあって、その後のジャンプも乱れたので、丁寧にやる事、気持ちで負けないことかなと思っていました。
ー今シーズンを象徴する様に後半のジャンプの乱れが気になる演技となりました
練習は出来ても本番はできないというのが自分の甘さかなと思います。
ー今シーズンは4回転や3アクセルを入れたいとシーズン最初の方に話していましたが、最後まで入れない構成となりました。今後はどのような構成にしていきますか
インカレまで時間があるので完成して練習の曲かけの時でも入るようになったら、入れていきたいなと思っています。
ーインカレに向けて意気込みをお願いします
ここ2年インカレで成績が出せていないので、上級生としても法政が優勝できるように頑張りたいです。
齋藤翔
—今日の演技を振り返って
前半1つ目のジャンプはすごくよく入っていけたのですが、後半は疲れでどんどんジャンプが飛べなくなって、スピンステップもうまくいかなくなってしまったところは反省点ですね。
—練習での調子は
朝はすごく良くはないですけど、そこそこいつも通り飛べてはいたので、その調子でいけばいけると思ったんですが、ダメでしたね。
—演技前にコーチからのアドバイスは
ジャンプの飛び方の確認などをしました。
—いい滑り出しから徐々に崩れていってしまったように見えました
やっぱり3個目のルッツは、ミスはミスでも頑張れば降りれたところをそこでミスしてしまったので、そのミスはその後の気持ちに影響したのかもしれないです。
—演技後コーチと話したことは
次の試合の演技の構成だったり、振り付けをもっと良くしていくにはどうしたらよいかを話し合いました。
—インカレなど今度に向けて
とりあえず練習して、インカレでは団体で優勝できるように、頑張っていきたいと思います。
佐上黎
—今日の演技を振り返って
公式練習でジャンプの調子が良かったので、このままいけるかなと思っていました。前半は体がちょっと固かったけど、ジャンプは決めれて、今シーズンのなかでは良かったかなと思います。
—SPを受けてどのようなことを意識したか
ジャンプ1つの失敗で影響が大きいので、ひとつひとつ目の前のジャンプに集中しました。
—大きなミスがなかったように見えましたが
パンクがひとつも無かったので、そこはよかったかなと思います。
—全日本選手権やインカレへの出場ができないなかで、今後の目標は
来年のインカレは絶対に出たいと思っています。あとは、新しいジャンプに挑戦していきたいです。
フォトギャラリー
- 3年連続の大舞台へあと一歩届かなかった小林建
- 1つ1つ気迫のこもったジャンプで会場を『道化師』の世界へ引き込んだ
- 2年連続の全日本を目指した小林諒も悔しい結果に
- 後半険しい表情で懸命に滑る小林諒
- SPから1つでも順位を上げようと挑んだ齋藤
- インカレでこの悔しさを晴らすと誓った
- のびやかな演技を見せる佐上
- フィニッシュまでしっかり滑り切った