新幹部取材
2019年2月9日(日)
法政大学川崎総合グラウンド
甲子園は遠かった。『社会人に勝つ』を目標に挑んだ昨シーズン。惜しくも早大に敗れ甲子園への切符を逃した。悔しさを見せる選手たちだが、再び前を向き『覚悟~ONE~』のスローガンのもと、『日本一』を目標に新チームがスタートした。幹部には昨年、副将を務めた山岸達矢(社3)が主将に昇格。副将には試合経験豊富な阿部快斗(法3)、中村幹(法3)、吉井勇輔(現3)が就任した。今回はそれぞれの『日本一』にかける思いを伺った。前半戦は副将に就任した阿部、中村、吉井のインタビューをお伝えいたします。
2019年度幹部
役職 | 名前 |
---|---|
主将 | 山岸達矢(社3・DL) |
副将 | 阿部快斗(法3・RB) |
副将 | 中村 幹(法3・TE) |
副将 | 吉井勇輔(現3・DB) |
主務 | 高田光佑(文3・EQ) |
選手インタビュー
副将・阿部快斗
—副将になって率直な感想を聞かせてください
歴史のあるチームですし、すごい責任が伴うことだと思うので、今年は頑張らないとなと改めて思いました。
—立場が変わったことによる心境の変化は
去年はチームの問題というより、オフェンス全体の課題とか、ポジションの課題とか、また自分のことにフォーカスしていたんですけど、バイスキャプテン(副キャプテン)になって、それは当たり前にやって、プラスしてチーム全体が抱える問題を解決することにも取り組んでいきたいです。
—副将になった経緯は
僕は法政大学に入学して、(アメフト部に)入部してから、ずっと日本一になるということを目標にしてやってきて、4年生になったら幹部になりたいと1年生のときから思っていたので、去年のシーズンが終わった時にも、もっとチームを強くしたいという思いもあったので立候補させていただきました。
—周囲に声をかけられたり相談したりなどは
立候補する前はあんまり相談とはしてなかったですけど、幹部を決めるにあたって、ほんとに同期のみんなから推薦というか、自分にやってほしいということを言ってもらえたのは、自信になりました。
—昨年度の幹部の方々や先輩からは
去年のキャプテンの岩田さんとは RB で同じポジションで、納会でお会いしたときにはもうバイスキャプテンが決まっていたので、岩田さんのほうから「頑張れよ」と言っていただいて。自分の性格も分かってくれている先輩なので、「無理しないように」とも言われました。
—どのようにチームを引っ張っていきたいか
副将というよりは、選手1人1人がキャプテンというか、チームのことを一番に考えて、なんか副将というと、キャプテンを支えたりとか、キャプテンの下にいるみたいなイメージになりますけど、僕はそうではなくて、僕も当然キャプテンと同じくらいの気持ちで、チームを良くしようだとか、チームの問題に対して自分がやるっていう思いを持って、チームに起きた問題とか、できてない人に強く言うだったり、できてないこと悪いことに対してはちゃんと言える選手になりたいですね。
—山岸主将はどんな人ですか
リーダーとして素質のある、風格もありますし、山岸が声を掛ければ場が締まるというか。自分や他の選手にはない独特なリーダーシップを持っていて、プレーでももちろん引っ張れますし、特別な存在かなと思います。
—他の幹部と話したこと
新チーム、幹部が決まってからはほとんど毎日チームの方向性だったり、どういう風にしていくかということだったり、今でもまだちょっとあるチームの問題に対してどうしていくということに関しては、コーチも含めてよくミーティングをしています。
—去年の成績を振り返って
日本一という目標があった中で、春のオープン戦で関西学院大学に負けて、そこからやっぱり自分の中では、まず日本一になるためには学生で一番にならないといけないということで、甲子園にもう一回出て、関西学院大学と試合して勝ちたいというのがあったんですけど、リーグ戦で途中明治に負けて、秋の初戦の中央大学にも接戦でなんとかギリギリ勝つみたいな展開でしたし、そういう意味では全く目指すレベルに追いつけてなかったかなというのはありますね。
—個人としてはどうですか
去年は一昨年よりキャリー数が2倍近くに増えて、ボールを持たせてもらえる回数が多くて、OLもWR も最後までこだわってやるっていう取り組みを去年はしていて、そういう意味で数字が伸びたと思います。成長はできましたけど、僕個人でどうにかできた記録ではないと思っています。具体的に言うと、平均ヤードは7ヤードくらいあるんですけど、結局ロングゲインというか、長い距離を独走したっていう回数が少なくて、タッチダウンの回数も少ないですし、早稲田、明治という大事な試合では平均ヤードが4ヤードいかない2.3ヤードくらいになっちゃうっていう意味では、自分としてはかなり課題の残るシーズンだったかなと思います。
—去年から憧れの選手と同じ背番号29を背負っています
法政のアメフトを知っている方なら誰でも知ってる番号だと思うので、そういう意味では去年は結果として何か残したいというのがあって臨んだんですけど、さっきも話したようにロングゲインやタッチダウンが少なくて、正直チームに貢献できたかというと、そうではなかったと思うので課題が残ったかなと思います。
—オフシーズンの練習の様子は
まだまだ練習中なんですけど、もっと早くて、強くて、っていう選手になりたいと思っています。さっきも言ったように平均ヤードをもっと上げれるようにっていうのと、タッチダウンを取り切れる選手になりたいっていう面では、去年は最後に追いつかれちゃうっていうのがあったので、今年は最後まで走り切れる、持っていけるっていう選手を目指すために、トレーニングも最後までこだわるっていうのを意識して、いつもだったらこの線で終わっているのをその先までということだったり、5 回 10 回と回数を増やしてからさらに何回できるかだったりっていうのを意識してやっています。
—オフェンスが課題だというコメントがありました。オフェンス陣の中で話したことなどは
去年は自分も含めて受け身で取り組んでしまった部分があって。というのは、1プレー1プレーに対しても、コーチや先輩から言われればリアクションはするんですけど、自分たちからこうしよう、ああしようっていう意見を出したりする取り組みが全体的にできてなかったので、今シーズンはコーチに頼らず、自分たちで学年関係なく、試合に出ている出てない関係なく、オフェンス全員でお互い指摘するところは指摘しあって、自分たちではどうしようもないとこはコーチたちの力を借りていく形がベストかなと考えていて、今年は選手同士で話すということを意識してやっています。
—身体的な面だけではなく精神的な面も重要視しているのですね
去年学生日本一になった関西学院大学に勝たないと、学生日本一っていうのは絶対達成できないと思うので。体力的なことをいうと、関西学院大学に勝てるウェイトやフィジカル、ファンダメンタルをやろうというのは意識していて、トレーニング 1 つにしても、常に学生日本一のレベル、関西学院大学に勝てるレベルっていうのを意識してやっています。
—新チームの雰囲気は
去年よりは明るくなったかなと思いますけど、細かい規律の部分がまだできていないなっていうのがあるので、そこは課題かなと思います。
—新チームの強みは
去年試合に出ていた下級生が多くて、出ていた選手が残っているポジションも多いので、一番上の 4 年生とかは自分ことをやるのは当たり前で、プラス下にどれだけ教えられるか。誰が出ても同じレベルでできるかっていうのが問題だと思うので、今年はそこも意識したいなと思いますね。
—スローガン『覚悟〜ONE〜』に込められた思いは
スローガンに関しては、新 4 年生でミーティングをして、去年どういうチームだったかという振り返りからはじまって、じゃあ実際になにが足りなかったのかっていうのを話し合いました。それから1人1人4年生全員が、去年チームや自分に足りなかったものを一つずつ言い合って、その中から出た案の中から幹部それぞれの意見も含めて『覚悟』に決めました。
—どのように体現していくか
去年、早稲田大学戦前の2週間の練習で、選手スタッフ学年関係なく、1人1人早稲田大学戦に向けての覚悟を発信するという企画がありました。そのことによって練習にいい影響があって、みんな発言したことで、練習の密度もすごく上がって、とても濃い2週間になったので、今年はそれを2週間だけではなくて、1年間自分の覚悟を決めて、それに対して選手全体がリアクションして、指摘しあって、やっていくことがいいのかなと思います。
—今年の目標は
チームとしては学生日本一。個人としては、チームが学生日本一になることがベストだと思うので、去年はチームの勝利につながるプレーっていうのができなかったので、大事な場面、ここぞというチームが苦しいときに、自分がボールを持ってチームを勝たせられるプレーをしたいです。
—色紙には「圧倒」の文字がありました
チームとしても個人としても、僅差で勝つとかではなくて、圧倒して勝ちたいという思いですね。勝つべくして勝つチームにしたいです。試合の結果だけではなくて、移動とか規律の部分でも他とは違うチームにしたいですね。
—ファンの皆さんへ
ずっと、関東1位が甲子園ボウルで勝てていないシーズンが続いている中で、今年は絶対に甲子園ボウルで勝ちたいと思っています。新しい文化じゃないですけど、僕自身もそうですし、僕の先輩たちにも甲子園ボウルを経験した選手がいなかったので、実際に学生日本一のチームがどんなチームなのかっていうのはわからないですけど、自分たちで考えて行動して、新しい強い法政の文化を作っていきたいなと思います。
阿部はリーグトップクラスの走力で他大を『圧倒』する
阿部 快斗(あべ・かいと)
法学部3年 / RB
横浜立野 / 173㎝79㎏
『法大オフェンスの核を担うRB。リーグトップクラスの走力でチームを勝利へと導く』
(取材:宮川昇)
副将・中村 幹
ー副将に就任したお気持ちは
チームを代表する人間になるので、私生活から気が抜けないなと思っています。
ー副将就任の経緯は
まずはチームで下級生全員から投票とかをしてもらってて、それを監督に集計してもらって、僕らも4年生の中で学年ミーティングをずっとしてある程度型を決めて監督の集計結果と照らし合わせてという感じで、僕は立候補をしました。
ープレイヤーとしての変化は
プレイヤーとしての変化はやはり気持ちをもっと前面に出そうかなというのがあって、去年は自分が上手くなるためにやってきたんですけど、今年はそれではチームの上に立つ人間として良くないので、自分が気持ちを前面に出し切って後輩たちを引っ張っていきたいと思っています。
ー監督やコーチ陣からのアドバイスは
個人というかは幹部が決まって挨拶行くときに、僕はガツガツ決めたことをバーっとやってしまうので、「周りの意見もちゃんと聞き出して行けよ」というのはありました。僕らが決めたことをただやるんじゃなくて、ミーティングですと喋らない人も多々いるんですけど、そういう人からもちゃんと「意見を聞きたぜ」と言ってもらいました。
ー幹部たちとチームの方針につお手はどのような話を
僕らは1年生の時から勝ててないんで、まずは勝つために何をするか、全部が日本一という目標があって、それについてどのように突き詰めていくとか。ウエイトトレーニングにしろ、ミーティングにしろ、練習にしろ全部が根底に日本一というのがあった上で、練習していくというのをまずは幹部で言い続けようと決めました。やっぱり去年はあやふやだったり、試合に出るのがゴールの人であったり、背番号をもらうことが目標の人もいたりとそこがバラバラだったので、今年は全員が『日本一』というベクトルに最終的には向くように毎日言うようにしてます。
ー中村選手のポディションはTEですが、どのようなポディションですか
TEは結構難しいと思ってて、OLと同じようなブロックができて、なおかつWRと同じくらいボールがキャッチできないといけなくて、やっぱりブロックがめっちゃ強くて、でもキャッチできないですってなったらOLをそこにおけば良いってなりますし、WRほどボールが取れてもブロックができなければWRをそこにおけば良いってなるんで、どちらも高いレベルでできないといけないので、それが難しいなと思っています。
ーTEの魅力は
でかい人がボールを持つんで、足速い人がすり抜けていくのも面白いんですけど、体の大きい人がボールを持ってぶつかっていく姿を見て欲しいです。
ー先輩幹部からアドバイスは
去年の栗田さんは反省として、「日本一という目標に向けて本気になろうという人もいれば、チームのことも考えてないような人がいた」と言っていました。そこで差が生まれてしまうと、4年生として上手くまとまらないんで、今年は学年ミーティングも何回も開いて定期的に学年でしっかり話し合って同じビジョンを持って取り組むようにしてます。
ー新チームの強みや雰囲気は
雰囲気は去年よりも良いと思いますね。オンとオフの切り替えが去年よりも良くできているかなと。練習やる時は短い時間でしっかり出し切って、練習が終わったりすれば上下関係なく、楽しめています。部室内でも誰かをパシるとかもなく先輩後輩が仲の良いお兄ちゃんという感じでしゃべれてて、でもグラウンドに出るとそこは勝負なので、先輩後輩関係なく本気で勝負しているという感じです。雰囲気は去年より良いと思います。
ー昨季を振り返って
僕はTEでパスは1回もなかったんですけど、さっきも理想のTEというか、TEは難しいというのを申し上げたんですけど、ブロックに偏ってしまうと向こうのディフェンスからしたら止めやすいとかラン多いなとか傾向が出てしまうので、今年はパスも練習していきたいです。大学2年生までずっとOLをやっていて、去年いきなりTEとなったので、パスがあんまり分からなくてできないということが多くて、ブロックだけだったんですけど、今年はそれだとTEはオフェンスのキーになるんで、勝負所で使える重要なポディションはなので、今年はパスにも力を入れていきたいです。
ーチームテーマ『覚悟〜ONE〜』の設定については
ちょっと長かったんですけど、まずは各々スローガンを考えてきてもらって、そしたらすごいいっぱい上がって、「これとこれは意味が同じじゃないか」とかをやっていったんですけど、なかなか削れなくて、ミーティングを重ねていくうちに去年何が足らなかったのか考えようとなって、それで去年足りなかったと思うことを挙げて、その中で何にしようかとなりました。また学年会議で全員で話したんですけど、なかなか決まらなくて、やっぱり全員だとラチがあかなくて、「幹部でみんなの意見をまとめるから幹部で決めさせてくれ」というのをみんなに説明して、改めてみんなにスローガンが何が良いかとその理由を送ってもらって、僕ら4人で話し合って、その中でも一番多かったのが『覚悟』出会ったりひとつになりきれないとかそういう言葉が多くて、『団結』とかのひとつになる言葉とか、『覚悟』や『自覚』と言った言葉が多く上がって、どっちかに絞るというのもあったんですけど、「覚悟を持ってみんなでひとつになる」という意味合いが欲しかったので『覚悟』でサブテーマに『ONE』を設定しました。
ーオフのトレーニングは
今年から大人のトレーナーの方が加わってくださって、去年はウエイトの時間になるとだらだらしてしまうことがあったんですけど、そこは規律をちゃんと守ってやることできてて、ウエイトの雰囲気とかは去年よりもガツガツやってて非常に良いと思います。
ー私生活の方を伺いたいのですが、趣味などは
趣味は温泉に行くことです。
ー頻度は多いですか
月に一回行くか行かないくらいです。
ーおすすめの場所などは
綱島温泉です!
ーその魅力は
上品なんですよね。ラクスパって結構汚いんですけど、綱島は結構上品で、リラックススペースもあって綺麗ですね。ラクスパともそんなに値段も変わらなくて、客層も上品な人が多いんで。
ー休日はやはり温泉でしょうか
そうですね。どこかに行くというのではなくて綱島の湯に行きます。
ー春に向けては
僕としては去年は(コンバートで)パスもやらなきゃとかで中途半端な気持ちがあったんですけど、まずはブロックが僕の売りだと思っているので、そこを伸ばすために体を大きくするというのを徹底していきたいです。
ーチームとしては
法政フットボールが始まったときにフィジカル、ファンダメンタルの徹底が根幹にあったんですけど、去年はフットボールがメインになってしまってウエイトが疎かになってしまって目に見える形で数値が落ちてしまうことがあったんで、今年はまずそれがあってはいけないということで、春シーズンに向けてはフットボールもあるんですが、絶対条件でフィジカルを作るということで、体重をつけながらスピードを増やすというのを春に向けては徹底的にやっています。春シーズンは正直、やってみるという要素が強いので、一本目の選手だけじゃなくて、いろんな選手が試合に出る機会があって、その中でいろんなことができるんで、フィジカルを徹底して、フィジカルで負けないチーム作りをして秋シーズンに戦略的に負けないチームにしたいです。とにかくウエイトトレーニングと走り込みをいっぱい体をでかくしていきたいです。
ーラストシーズンへの意気込みは
僕は関学の付属校からきたんですけど、甲子園で関学と試合したいというのが絶対にあるので、今年は3年間甲子園に出れてなくて、逆に関学は3年間全部甲子園に出てるんで、今年こそは甲子園に出て関学に勝ちたいと思います。
ー最後にファンの皆様へ
SNSでチャラチャラしてると思われがちなんですけど、やることはみんなめちゃめちゃ真剣にやってて、その中でオフの部分をSNSで撮られることが多くて、遊んでばっかりのチームって見られ方をされちゃってるんですけど、今年は気合入れて特に頑張っているんで、勝利という形でそれを証明したいです。ぜひ会場に来てその瞬間を一緒に味わって欲しいです。
中村は『気迫』あるプレーでスタジアムをわかす
中村 幹(なかむら・もとき)
法学部3年 / TE
啓明学院 / 175㎝109㎏
『WRとOLの二刀流のTE。OL時代の経験を生かした巧みなブロックとTEらしさあふれるダイナミックなパスキャッチでチームに勝利を呼び込む』
(取材:須藤大樹)
副将・吉井勇輔
吉井は誰よりも『日本一』に対する熱い思いを語ってくれた
吉井 勇輔(よしい・ゆうすけ)
現代福祉学部3年 /DB
日大鶴ケ丘 / 178㎝87㎏
『得意のタックルと昨春魅せたインターセプトでチームに流れを呼び込む。山岸とは中学時代からの友人』
(取材:須藤大樹)