【陸上競技】第96回東京箱根間往復大学駅伝競走直前インタビュー 第2回 河田太一平、中園慎太朗、守角隼
箱根直前インタビュー
2019年12月15日(土)
法大多摩キャンパス
東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根)まで残すところあと5日。箱根を2週間後に控える今月15日に、箱根への意気込みや想いを伺った。今回は河田太一平選手、中園慎太朗選手、守角隼選手のインタビューをお届けする。
インタビュー
河田太一平
–16人の登録メンバーに選出されての心境は
ここまで出雲、全日本とエントリーはされてきたので、驚きというのはないのですが、箱根は4年生にとっては、集大成となる大きな舞台であり、絶対に外せない大会だと思うので、まだ1年生なので支えてもらう立場ではあるのですが、良い走りをしてチームに貢献できるようにしたいと思っています。
–同じく1年生では中園選手がエントリーされました
中園は夏合宿でしっかりメニューをこなせていたので順当に伸びてきていると思います。
–1年目から3大駅伝でエントリーされることは目標としていたのですか
まさかここまで走れるとは思っていませんでした。出雲と全日本はエントリー人数が少ないので、なかなか難しいと思っていました。箱根に関しては16人の登録メンバーにギリギリ入れるかどうかだと思っていました。
–1年目から結果を残せている理由はなんですか
元から故障せず、距離を踏めるタイプだったので、大学の練習で距離が伸びてもしっかりと順応できたのだと思います。また、夏合宿までの期間に故障せずに継続して練習できたことが良かったと思います。
–大学に入ってから成長したところは
速いペースで押していけるようになった点が伸びたところだと思います。高校の時は10km程度の練習をしていたのですが、大学の練習で距離が20km、30kmと伸びていく中でも1km3分20秒くらいのペースで走れるようになったので成長したと感じています。
–出雲と全日本では主要区間を任されましたが、走ってみて感じたことはありますか
出雲は、大学駅伝デビュー戦で、しかもアンカーを任され、同じ区間には他に1年生がいなかったので、ものすごい緊張したのですが、その中でもしっかり走れたと感じています。全日本は距離が伸びましたが、どちらかというと全日本の方が距離が長い分、自信があったのですが、終始単独走になってしまい、あまり結果がよくありませんでした。全日本の後は不安な気持ちにもなりましたが、その後の合宿で練習を積んでいく中で自信も戻ってきたので、箱根では全日本のリベンジを果たしたいと思っています。
–全日本の後はどのような練習を積んできましたか
距離には自信はあったのですが、スタミナの面でまだまだ不足しているなと感じていたのでジョグのペースを上げてスタミナをつけていく練習をしてきました。レースを意識してジョグのペースを上げることで、単独走でも走れるようになるのではないかと考えて練習をしてきました。
–合宿での手応えはいかがですか
1次合宿の時に体調を崩してしまい、やばいなと思ったのですが、2次合宿では10km+5kmをやった際に自己ベストを上回る走りができたので今はしっかり走れていると思います。富津合宿をこなせたことで全日本後の不安も消えていきました。
–10km+5kmはどのくらいで走ったのですか
10kmが30分10秒で5kmが14分11秒で走ったのでベスト大幅更新という形になりました。
–今の調子はいかがですか
調子は結構上がってきていて、9月に10000mで自己ベストを出した時よりも調子はいいと思います。
–箱根駅伝での目標は
希望しているのは9区で区間順位で言えば10位以内が目標です。しかし、チームの目標は総合4位なので、できるだけ上位に食い込みたいと思います。もし9区を走ることになれば他大学の上級生に劣らぬ走りをして、チームに貢献できればいいと思います。どこの区間を任されたとしても、前との差を詰めたり、後続を離したり、競っていれば前でタスキを渡すことが大事になってくるので積極的に自分の走りができるようにしたいです。
–ファンの方へ一言お願いします
いつも見ていて楽しいレースをしたいと心がけているので、応援していただけるような走り、応援していて楽しいような走りができるように頑張りたいと思います。
河田太一平(かわだ・たいへい)
社会学部1年
2000年6月3日生まれ
164センチ・57キロ
出身校:韮山(静岡)
1万メートル自己記録:29分06秒76
中園慎太朗
ー改めて、まず始めに法大の陸上部を選んだ理由は
自分の高校の先輩が2年生、3年生にいて、その先輩たちは高校時代も結果を残していた選手だったので、そういう先輩たちの後に続いて法政の陸上部に入りたいという思いがあったのが1番大きいきっかけかなと思います。
ー大学に入って練習の環境面や内容で高校とは違うと感じることは
高校の時はだいぶ監督とかからの指示やメニューが固定されていて、それをただこなすというか与えられてやるという練習が多かったんですけど、実際大学に入ってみると練習は与えられるんですけど、その中で自分で組み立てて考えながらやっていくというのがだいぶ高校とは違うなというのを感じました。
ー練習の組み立て方は
体調に左右されるところが大きいので調子が良い時はリズムというのを意識してできるだけテンポを上げて動かしていくというのを意識したり、大きい練習をやった翌日とか疲れてて身体が動かないなという時は単純にペースを落とすのではなくて、その中でどういう動きをしていかなければいけないのかというのを考えながらペースを少し落とすなどをして、自分の中で考えて走りに出していくという風にしています。
ー寮での生活をしていると思いますが大変なことは
1年生は全ての当番というのがあるので、食事の当番であったり掃除をしたり全部を1年生がやるので最初の方は環境に慣れるという面ではすごく苦労はしました。ただ夏明けくらいからはだんだん要領をつかめてきて、大変な中でも自分がどうやりくりしていくかというのがわかってきたイメージはあるので、大変と言えば大変ですけど慣れてきたという感じはあります。
ー寮生活をすることで高校時代より練習に一層取り組みやすい環境だと思いますが
高校の時は片道約2時間かけて登下校していたので1日の6分の1とかが移動に使われていたりしたんですけど、今は10分とかで練習に行ける環境になっているので自分の時間というのが増えて疲労を抜いたり、好きなことをしたりという感じでリフレッシュする時間はだいぶ増えたので、そういう面でも競技に取り組みやすくなったのかなと感じます。
ー大学に入って成長した点は
自分は身長はあっても細い方なので高校の時は身長を生かした走りというのがなかなか出来なかったんですけど、大学に入って体重の管理とか筋トレなどのアドバイスというのも専門的なものが増えてきたので、そういうのを通して身体自体が大きくなってきたなというのは感じます。なので高校時代は力のない走りだったんですけど、大学入ってきて力のある大きい走りになってきたのかなというのはあります。
ー学生トレーナーの神野さんは中園さんについて真面目な選手だとおっしゃっていましたが、神野さんにかけてもらった言葉で印象的なものは
声をかけていただくというよりは自分は考えるのが好きなので専門的なトレーナーさんに自分から質問しに行くことが多くて、そういう中でトレーナーさんなだけあっていろんな身体の動かし方とか、こういう動かし方のアップをした方がこういう筋肉が使いやすくなるよというアドバイスなど、いろんなアドバイスを大学に入ってから受けてきてそのアドバイス1つ1つが自分の糧になっていると思うので、そういうアドバイスが印象には残っています。
ー1年生は河田さんと中園さんの2人がメンバー入りとなったが、現在の率直な心境は
大学に入る時には1年目から箱根駅伝を走りたいという思いが強かったので、メンバーに選んでいただいたという点ではありがたいなとは思います。また自分の中では良いイメージで大学1年目入ってこれたのかなというのもあります。
ー出雲、全日本と出場機会がなかったが、箱根への気持ちは
出雲も全日本も出るつもりで調整とか練習をこなしてきたので、メンバーに選ばれなかったという点で非常に悔しい思いをしました。もちろん秋のシーズンになってくると駅伝がメインになってきて、そこに合わせて気持ちを持っていっていたので、何のために走ってるんだろうという気持ちが強くなり、気持ちの面でナイーブになっていたことがあるんですけど、そういう悔しい気持ちも糧にして更に箱根駅伝は絶対走ってやるという気持ちに変えられたので、箱根駅伝に対する思いっていうのは出雲、全日本よりは強いのかなというのはあります。
ーメンバー入りできた要因は
練習全体を通して1年間怪我をしないで練習を積めてきたというのもあると思いますし、ハーフマラソンとか初めて出させてもらった試合でも自分の中では楽しくレース出来たので、そういう面でも長い距離が苦手じゃないというところも評価していただいたのかなというのがあり、ちょっとしたところの積み重ねで見ていただいていたのかなという気はします。
ー自分のアピールポイントは
粘り強さだと思っていて、最初から突っ込んで走るのが好きなんですけど、その中でも最後まで諦めないで前を追って走っていくというのが得意な方なのでそういうところが自分の中では良いところだとは思っています。
ー現在のコンディションは
大学入ってから1番調子が良くて、本当に思った通りに身体が動くという感じもします。この状態を箱根にそのまま持っていきたいなというのがあるので、多分今が1番良い状態だと思います。
ー今の良いコンディションはどんなところから
単純に出し切る練習とかで自分の想定した通りのタイムで走れていたり、身体がのるというか躍動感ある走りというのを自分で走っていて感じるところがあって、そういう身体の調子の良さっていうのは日頃の生活の中でも感じるところはあるので、そういう面からでも調子の良さというのは感じますね。
ー箱根の希望区間に7、8区とあるが
7、8区が比較的平坦なコースで同じ1年生がくるのが多い区間だと思うので、走りやすい同期のいる区間で同期を意識しながら走っていければ、自分の中でも想像以上の力というのが出てくるのかなという思いがあってその区間を希望しました。
ー他大学の方で刺激を受けている選手は
高校が一緒だった同期の明治大学にいる富田という選手ですね。今回の箱根はメンバーエントリーされていなかったですが、全日本駅伝で実際に走っていて、高校時代もずっと近いタイムで競り合ってきた仲間にちょっと先を越されたという思いが強かったのですごい大学に入ってからも意識していますね。
ー最後に意気込みをお願します
初めての箱根駅伝ということでいろいろ学年とか経験の差というのは出てくると思うんですけど、そういうのも関係なく自分の力を120%発揮できれば結果がついてくると思うので、走らせていただいた時には必ず結果を残せるように頑張りたいと思います。
中園慎太朗(なかぞの・しんたろう)
社会学部1年
2000年11月24日生まれ
187センチ・60キロ
出身校:八千代松陰(千葉県)
1万メートル自己記録:29分56秒96
守角隼
ーエントリーメンバーに選ばれた感想を
状態も上がってきて、やっとここまで来れたなという感じです。
ー選ばれた要因はどのようにお考えですか
今年1年を通して、継続して練習ができていて、しっかり後半シーズンのハーフにも合わせることができ、その流れで富津合宿も消化できたから選ばれたのかなという感じはあります。
ー上尾ハーフでは自己ベストを更新されました
自己ベストは出せましたが、タイムと結果には全然満足していなくて、自分で立てていた目標は63分台とチーム内トップだったので、課題の方が大きかったです。
ー富津合宿を振り返って
富津は基本的にはロードでの練習なので、箱根に近い実践的な練習を行いました。
ーロードへの対応は
自分は夏合宿明けにもハーフを1本走っていて、上尾ハーフも走らせてもらって、自分の中ではロードを走れる感覚がつかめてきていると感じます。ロードは得意までとはいきませんが、ロードもトラックもある程度のタイムで走れているのではないかなと思います。
ーハーフを走る中で距離への自信は
昨年と比べて、今年は結構対応できるようになってきたと思います。昨年は、夏合宿で頑張り切ってしまい、そのあと全く走れない状況だったのですが、今年は逆に夏合宿が終わってからも状態を上げながら練習ができました。そういった面で、練習したことがしっかり身について、長い距離も徐々に走れるようになってきたと思います。
ーその一方で課題は
中間走や後半のきついところでの我慢がまだできないなと思っていて、そこが今の大きな課題です。
ー今季は同学年の選手が駅伝で活躍されました。刺激などは受けましたか
めっちゃ受けましたね(笑)僕は1年生の頃に出雲と全日本にエントリーだけさせてもらったのですが、走ることなく終わってしまいました。今年はエントリーして走る同期が多くて、先を越されたなという感覚もあります。それは、これまでのモチベーションにもなっているので、仲間には感謝していますし、負けられないなという思いは強いです。
ーその中でご自身が成長したと感じる部分は
一番成長したと感じるところはコンディショニングの管理の面ですね。僕は昨年のこの時期、全然走れていませんでした。夏合宿も練習を全部消化できなくて、合宿から帰ってきたら故障者のほうに行って休んでいたぐらいのレベルで、合宿で使い切ってしまったという感じでした。今年は昨年の失敗があったので、夏合宿からうまく練習をやり切らないようにしようと思い、コンディショニング管理であったり、体重を一旦増やして長い距離に対応できる体を作ることなどを意識してできました。
ー切り替えることができたきっかけは
今年の3月の立川ハーフで70分ぐらいかかってしまい、このままではダメだと思ったのが一つの切り替えの転機となった場所でした。それまでも練習をしっかりやっていなかった訳ではなかったのですが、自分の力のなさを感じましたし、自分のスイッチが入りました。
ー入学してからの2年間を振り返っていかがですか
まだまだ満足していない部分の方が大きいです。しかし、今回のように箱根のメンバーに選んでもらえたということは、少なからず自分に力がついていることが認められたからだと思いますし、あとはしっかり大舞台で結果を残してチームの主力になっていきたいと思います。
ー希望する区間は全区間ということですがその理由は
僕は特にどこを走りたいというこだわりはなくて、やはり走れと言われたらどの区間でもうまく走れる人が強い選手だと思っています。そのぐらいのタフさのあるオールマイティな選手になりたいので、あえて希望する区間のこだわりはないです。
ーご自身の強みは
高校時代は、トラックで1500㍍をメインにやっていてそれでインターハイにも行かせてもらっていたので、ラストの切り替えやスピード、勝負になった時の駆け引きなどには自信があります。
ー同じ八千代松陰高出身の糟谷選手と中園選手も今回メンバー入りしました
僕は糟谷さんを目標に法政に入ってきて、とても優しくしてくれますし、中園に関してもインターハイで入賞していて、すごい後輩が入ってきたなと思います。その中で、中園が出雲と全日本でメンバーに入って、糟谷さんも全日本で入っていて、俺だけ何してるんだと思いましたが、箱根は全員一緒に入れたので、あとは一人でも多く出てやろうという話をしました。
ー法大を選んだきっかけは糟谷選手の影響が大きかったのですか
高校時代から糟谷さんを目標にしていました。糟谷さんから法政に行くと聞いて、絶対について行きますという話をしていました。それで僕も法政に入れたのでよかったですね。
ー箱根ではチームにどのように貢献したいですか
やはり走ってチームの目標を達成することが一番の貢献の仕方だと思います。部員が50人近くいる中で走れるのが10人ということで、探せば色々な貢献の仕方があるとは思いますが、今自分が目指す貢献の仕方は走ることですね。
ー他大学のライバル選手は
青学の飯田貴之です。彼も八千代松蔭の同期で、僕の代で陸上を続けているのが彼と僕だけなので、彼の存在というのは僕はめちゃめちゃ意識しています。彼はどんどん先に行ってしまうので、僕にとっては一番のライバルだと思います。今は無理かもしれませんが、絶対に4年間のうちに1回は勝ってやると思っています。彼の結果は逐一見ていますし、やはり負けたくないですね。
ー箱根に向けての意気込みをお願いします
今の自分の立ち位置は、走れるか走れないかのぎりぎりのところで、あとはここから調整してどれだけ調子を上げられるかが大事だと思っているので、箱根に焦点を当てて練習をしていきたいです。もし出るのであれば、目標の4位に貢献できる走りをしたいと思います。
守角隼(もりずみ・はやと)
経済学部2年
1999年6月10日生まれ
176センチ・56キロ
出身校:八千代松陰(千葉)
1万メートル自己記録:30分20秒86