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【陸上競技】第99回東京箱根間往復大学駅伝競走 坪田智夫駅伝監督インタビュー

第99回東京箱根間往復大学駅伝競走
2023年1月2日(月)、3日(火)
東京・大手町-神奈川・芦ノ湖-東京・大手町

チーム目標を総合5位以内に掲げた法大が東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根)に挑んだ。2日に行われた往路では1区の松永伶(経3)が3位と好位置でたすきをつなぐと、各選手が力走を見せ8位。翌日の復路では、宗像直輝(社3)が区間賞を獲得するなど復路の選手たちも快走を見せ、総合7位でフィニッシュ。2年連続でシード権を獲得し、復路順位は3位と健闘を見せた。今回は坪田智夫駅伝監督のインタビューをお届けする。

試合結果

総合成績

順位 大学名 記録
1位 駒大 10時間47分11秒
2位 中大 10時間48分53秒
3位 青学大 10時間54分25秒
4位 國學院大 10時間55分01秒
5位 順大 10時間55分18秒
6位 早大 10時間55分21秒
7位 法大 10時間55分28秒
8位 創価大 10時間55分55秒
9位 城西大 10時間58分22秒
10位 東洋大 10時間58分26秒
11位 東国大 10時間59分58秒
12位 明大 11時間01分37秒
13位 帝京大 11時間03分29秒
14位 山梨学大 11時間04分02秒
15位 東海大 11時間06分02秒
16位 大東文化大 11時間06分08秒
17位 日体大 11時間06分32秒
18位 立大 11時間10分38秒
19位 国士舘大 11時間13分56秒
20位 専大 11時間19分28秒
OP 関東学生連合 11時間17分13秒

 

個人成績

区間 選手名 記録 区間順位 通過順位
 1区(21.3㎞) 松永伶(経3)  1時間03分00秒 3位 3位
 2区(23.1㎞) 内田隼太(経4)  1時間07分53秒 8位 7位
 3区(21.4㎞) 川上有生(スポ4)  1時間02分52秒 13位 10位
 4区(20.9㎞) 扇育(経4)  1時間02分19秒 7位 8位
 5区(20.8㎞) 細迫海気(社3)  1時間12分49秒 10位 8位
6区(20.8㎞) 武田和馬(社2) 59分19秒 5位 5位
 7区(21.3㎞) 宮岡幸大(スポ2) 1時間03分46秒 8位 6位
 8区(21.4㎞) 宗像直輝(社3) 1時間04分16秒 区間賞 5位
 9区(23.1㎞) 中園慎太朗(社4) 1時間08分46秒 5位 5位
10区(23.0㎞) 高須賀大勢(生命科3) 1時間10分29秒 13位 7位

監督インタビュー

坪田智夫 駅伝監督

ー今大会を振り返っていかがでしょうか
総合5位を目指して1年間やってきて、届かなかったのは悔しいですが(5位と)10秒差の総合7位ということで選手たちも頑張ってくれたと思っています。

―今回の区間配置の意図は
1、2区はある程度固めていて、残りの8区間をどういう配置にするのかをギリギリまで悩みました。前の方でレースを進めていければ、その位置で踏ん張れるチーム力はあると思っていたので1、2区でいいポジションにいるということは考えていました。

―往路には4年生3人が起用されました
小泉(樹)を故障で起用できないことが分かった段階で、当初考えていたオーダーを組み替えなければいけない状況でした。扇(育)や川上(有生)は復路ということも考えましたが、往路に手が回らないということで扇を4区で固めました。3区はある程度スピードで押していけるタイプの選手を配置するべきなのですが、松本(康汰)も状態が上がり切らない状況だったので、内田(隼太)、川上、扇でいい流れを加速させたいと思い、4年生を3人起用しました。

―1区の松永伶選手は3位でたすきを渡しました
初の箱根でプレッシャーもあったと思うのですが、いい位置で渡してくれて100点満点ですね。この2日間のMVPだと思います。

―最後、素晴らしい追い上げを見せました
六郷橋のところで危ないかなと思ったのですが、彼はラストのキレがあるタイプなので、(六郷橋を)下ったところで集団から離されすぎず、我慢してくれたことが大きかったです。六郷橋で離れたのは知っていたのですが、私も車の中にいたので全然情報が入ってこなくて、10番を超えるくらいの位置で渡すかなと思っていたので、中継所で3番だと聞いて驚きました。駅伝は最後の1、2秒が大事で、内田が走りやすい位置でスタートを切れたのも、松永のラスト1kmのスパートが大きかったと思います。

―2区の内田選手にはどのような指示をしましたか
鎌田(航生=令3年度卒、現ヤクルト)の記録を頭に入れながら、6分台も狙っていこうということを話していました。ただあのコースはハイスピードでいきますし、後半タフなコースなので入り方であったり、周りの選手の状況を見ながら走らないと後半潰れてしまうという話は伝えました。スタートで三浦選手(龍司、順大)たちと一緒になって行きましたが、一度離れて様子を見ながら冷静に序盤のレースを組み立てていた印象があります。

―後半の走りについては
上手く走ったのではないかと思います。鎌田の記録には届かなかったですが、上手く他大の選手を使いながら23kmを走っていて、レースの組み立てが非常に良かったと思います。

―3、4区は4年生が力走を見せました
川上、扇に関しても上手くレースを組み立ててくれたと思います。4年生らしい走りで、後ろから見ていても安心して見ていられました。特に川上は3回目の箱根駅伝で落ち着いたレースをしていました。もう1つ、2つ前でつないでほしかったというのもありますが、区間順位もある程度取れていますし、扇も想定内の記録で走ってくれました。4年生らしい走りを見せてくれました。

―扇選手は最初で最後の箱根駅伝でした
入学時の記録も良く、当初は1年目からと考えていたのですが、けがが多くて非常に苦労した4年間だったと思います。最初で最後の箱根駅伝でしっかり仕事を果たすことができたのは、彼の4年間の努力が一つ形になったと考えています。今後彼も実業団選手としてやっていきますので、4年間やってきた経験を実業団のレベルで出し切ってほしいです。

―細迫海気選手は昨年のリベンジとして挑みました
気持ちのこもったレースをしてくれました。昨年からこのコースでもう一度リベンジをしたいと話してくれましたし、その準備をしっかりしてくれました。少し後半の下りから順天堂、早稲田の選手に置いていかれてしまいましたが、目標のタイムはクリアしてくれました。往路の締めくくりとしていい走りをしてくれたと思います。

―往路は1桁順位で終えましたがこの結果についてはいかがでしょうか
総合5位へ向け、ギリギリのラインだったと思います。また、東洋大学さんと1分50秒ほどしかなく、シード圏外というところもまだありました。安心できるタイム差ではないので、前を見つつもシードを確保していくことを考えなければいけない位置でした。復路の選手たちに対しては4、5位が目の前にあるのでしっかりやっていこうと声を掛けました。

―6区の武田和馬選手は3つ順位を上げました
彼には「区間賞を取ってこい」と発破をかけていましたが、スタートの位置が前と1分以上空いていて全く見えない状況だったので、序盤少し力んでしまいました。昨年は前に選手が2人くらいいましたし、後ろから東海大の選手が来て走りやすい位置でした。タイムは少し落ちましたが、難しい位置でスタートを切って、区間5位で下ってきてくれました。内容があるレースだったと思いますし、復路のスタートで計算外のレースをしてしまうと、一気にシード圏外になってしまうポジションでした。それを考えると武田の走りは総合7位、シード獲得、復路3位において一番大きかったと思います。

―7区の宮岡幸大選手は後ろから実力者が追ってくる展開でした
9区の中園(慎太朗)はしっかり走ると思っていましたが7、8区もある程度勝負できると算段していました。初の箱根だったので緊張感もあったと思いますが、「力を出し切れれば間違いなく区間上位でいけるよ」という話を宮岡にも、そのあとの宗像(直輝)にもしていました。
後ろから創価大学さんの葛西(潤)選手というエース級の選手が来ていて、葛西選手は前半から突っ込んでいくタイプの選手なので、追いつかれてから様子を見て判断するように伝えていました。10km過ぎで追いついてくれれば一緒にいけたと思うのですが、もらった時点で秒差だったので追いつかれるタイミングが早くて、ほとんど単独走になってしまいました。15kmくらいまでは想定以上の走りをしていましたが、後半に少し失速してしまったので、そこが来季の課題なのかなと思う反面、単独走での区間1桁は素晴らしい走りだったと思います。

―宗像選手は8区区間賞の走りでした。どういったことが区間賞につながりましたか
1、2年目も箱根のメンバーに入っていて、この1年間はエースクラスと同じ練習ができていました。ただ、レースにしっかり合わせるということが春先ずっとできていなくて、あとは結果を出すだけでしたが、この秋にしっかり結果を出してくれての起用でした。もう少し早く結果を出していれば3、4区など往路で起用できたレベルの選手でしたが、今回はバランスを考えての8区でした。
8区はつなぎの区間というイメージですが、今年勝負するならこの区間でタイム差を詰めたり、広げていきたいと考えていました。区間賞を取ると思っていませんでしたが、「区間上位でいっても驚かないし、それだけの練習をしてきたんだから自信を持っていくように」と話しました。
後ろから来た青山さんが速そうだったので、様子を見るように指示したのですが、ついていってしまいました。ですが、あの積極性が区間賞につながったと思います。今まで安全につないでいくイメージで走らせることが多かったので、前半から突っ込んでいくことは、なかなか怖くてできませんでした。ただ、彼が積極的な走りをしたことで新しいチームの走り方を証明してくれたと思います。また、区間賞を取っていますので、来季に向けて一つの大きな武器になると思います。

―中園選手は9区で快走を見せました
副主将としてチームを引っ張ってくれて、復路のエース区間9区でプレッシャーのかかる中でしたが、後ろから見ていても「総合5位を狙うんだ」という気持ちが伝わる走りを見せてくれました。それを見て、「これはしっかりつないでくれるな」と思いました。結果的には創価大学さんから少し離れてしまいましたが、早稲田や國學院の選手たちを引き離して高須賀(大勢)にたすきを渡してくれました。彼も復路3位に大きく貢献したと思います。

―10区の高須賀選手は初の三大駅伝でした
最初力んでしまって硬くなってしまった分、後半少し伸びなかったかなと思います。3~5番が狙えるあの展開、初の三大駅伝という状況で、少し力みが入ってしまったと思います。なかなか年間を通して練習をできることがなかったので、本人にも「この舞台で勝負するためには、年間を通してきっちり練習して、土台をつくって仕上げていかないといけない」という話をしました。最後、もう1年あるので、さらに力をつけてくれるかなと思います。

―総合7位という結果についてはどのように捉えていますか
ここまで来たら5番を取りたかったですし、3、4番という位置も見えていたので非常に悔しいです。その反面、私が戻ってきてからの最高順位が6番で、3番が見えるところで走れたのは初めてです。彼らも3位の背中を見て走れたことで、「自分たちでもやれるんだ」と思ってくれたと思います。
上位にいるチームは高校の実績もすごいですし、超一流の選手たちが集まっているチームです。ですが、積み重ねてきたものが箱根駅伝での20kmでは出るので、地道にやってきたことを発揮して、高校時代の実績が上の選手たちと勝負できたことは自信になったと思います。4年生も抜けますし、いろいろな課題はありますが、シードを取れただけでなく収穫も多かったです。

-チームを引っ張ってきた4年生は今大会で引退ですが、どのような言葉をかけましたか
4年間お疲れ様という話をしました。コロナなどで思うようにいかない学年で、入ってきた当初も1、2年目は箱根で下位に沈んでしまいました。いろいろな経験をしましたが、昨年は10位、今年7位と連続シードに大きく貢献してくれたと思います。

―来季に向けては
色々な課題をまだ整理しきれていないですが、4年生中心のチームで、実力的にももっと4年生が走ってもおかしくなかった中で、3年生以下が4人走って復路3位を取れたことは収穫です。往路も含めると6人残りますし、山の特殊区間やスターターを務めた選手が残ります。また、今回走れなかった小泉はうちのエース級の選手ですし、稲毛(崇斗)に関しても関東インカレのハーフマラソンで入賞している選手です。シードを取ったことでまた1年間しっかり準備ができるので、しっかり鍛えていきたいと思います。まだ選手たちがどのような目標を設定するか分からないですが、高い目標に向けてやっていきたいです。

―最後に応援してくださる方へメッセージをお願いします
2日間応援ありがとうございました。この1年間チームを支えてくださったみなさんのご声援が少しだけ形になったのではないかと思います。目標に届かなかったことを考えると、まだまだ課題の多いチームですので、この1年間鍛えて、100回大会でさらに高い結果を出せるように頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。

 

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