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【陸上競技】第100回東京箱根間往復大学駅伝競走直前インタビュー 第6回 宗像直輝駅伝主将、坪田智夫駅伝監督

箱根直前インタビュー
2023年12月9日(土)

東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根)まで残すところあと1日となった。今大会の目標は、前回大会で惜しくも届かなかった『総合5位以内』。1年間掲げてきた目標に挑む選手たちに、先月9日にお話を伺った。最終回となる第6回は宗像直輝駅伝主将、坪田智夫駅伝監督のインタビューをお届けする。


坪田駅伝監督

インタビュー

宗像直輝 駅伝主将

―改めて前回大会の走りを振り返って
自分の得意なレース展開が終始続いたかなと思っていて、得意だからこそ自分の実力以上の力を発揮できた結果かなと思います。

―レース後の反響はいかがでしたか
結構大きかったです。

―区間賞インタビューでえこぴょんを持っていた様子も話題になりました
ゴールした先にいた付き添いの仲良い先輩が「何か爪痕を残して来い」みたいな感じでえこぴょんを持たせてくれたんですけど、それを持ってインタビューに行ったら結構Twitter(現X)とかも反響があったらしくて、ニュース番組でも取り上げられて、結構反響はありました。

―今季主将としてチームを引っ張る上で意識していたことは
練習の面でしっかり背中を見せていくというところです。各自の練習やペースが指定されていないような練習でもダラダラ走らないで自分がしっかりとペースを上げて走ることで、しっかり走らないといけない雰囲気づくりを意識しました。

―東農大二高でも主将をされていましたが、高校と大学での違いはありますか
やっぱり高校の時は未熟な部分が多くて監督と選手間は上下関係が強いような感じだったんですけど、大学に入ってくると結構選手も考えられるようになってきて意見の相違が生まれやすくなったので、そこをまとめて中立な立場というか打開策を考えたりするのは結構大変だったかなと思います。

―4年生の間で話し合ったことや役割分担は
主将・副主将というところ以上の役割分担とかはあまり決めなかったんですけど、主将・副主将はチームを注意したりまとめたりするのが当たり前なので、そこだけに頼らずしっかり4年生全体で同じ目線でやってほしいということは伝えました。

―ちなみに3年前の取材で「コロナ禍が明けたら同期でUSJに行きたい」とお話しされていましたが、これは実現しましたか
何人かでディズニーに行ったりはしたんですけど、(同期全員だと)卒業旅行でどっか行くっていうことになりそうですね。

―出雲駅伝は9位でした。チームメートの走りをどのように見ていましたか
本当にそれぞれがしっかり夏合宿で積んできたことを(レースで)やってきてくれた結果かなと思っているんですけど、やっぱりそれでも他大学さんとの力の差は大きくて目標の5位に対してどう考えるべきかというのを目の当たりにした結果かなと思います。

―宗像選手はその後世田谷ハーフとMARCH対抗戦に出場されましたが、この二戦の走りについては
世田谷はあまり状態が上がり切っていなかった中でのハーフというところで自分の現在地を確認するレースだったんですけど、目標通り走っていた中で後半の3キロくらいで転倒しちゃってちょっと不完全燃焼な試合になったかなという感じです。去年の結果とも30秒くらい離れていたのでもうちょっと行けたかなという中でMARCHを迎えて、MARCHはしっかり結果を出していかなきゃいけないなと思っていました。最初からフロントレースをしてしっかり存在感を出していくことを目標にしていて、それは達成できたかなと思っています。しっかりスタートから5キロくらいまでずっと先頭を走ってペースメーカーが離れた段階でちょっと失速しちゃったんですけど、しっかり後半上げて組3位を獲ることができたのは自分の戦う意識がしっかり付いたのかなと思います。

―その二戦を終えて現在のコンディションは
試合を終えるごとにコンディションが上がっていっている実感があるので、このままあとは調整して箱根に向けてやって行きたいなと思います。

―MARCH対抗戦後のインタビューで8区と10区を希望されていましたが、それに変わりはないですか
はい。

―前回大会の10区は5位から7位まで10秒差の争いでしたが、武器であるラストスパートを生かすレースプランのイメージはありますか
ラストスパートするにしても10秒差あったら追い付けないので、もし追い付かれて追い抜かれそうならそこの集団から絶対離れないこと、追い付いたのであればしっかり引き離していくということを意識してやっていきたいなと思います。

―卒業後は一般企業に進むとのことですが、最後の箱根駅伝に対して思うことはありますか
陸上を7年間やってきて最後のレースになるので、悔しさは残ったとしても後悔はないような試合にしたいなと思います。

―現在のチームの雰囲気はいかがですか
誰がメンバーに入るか、誰が走るのかという部分で切磋琢磨していて、出走するために本当に一つの失敗も許されない感じの雰囲気かなと思います。(エントリーメンバーに入れず)出走できない人でも今度の法大記録会でどんな結果を残してチームに勢いを付けるかというのを意識できているかなと思うので、それぞれがしっかり目標を持ってやれているかなと思います。

―宗像選手から見て今季一番伸びたと思う選手は
2年生の矢原ですかね。彼はこの一年で主力くらいのところまで来ていて、1年生の時は(メンバー争いに)絡めていなかった選手がここまで伸びるのは本当にすごいことだと思うので、彼には今回も含めてこれからの活躍に期待したいと思います。

―チーム目標の総合5位以内を達成するために大事なことは
それぞれがしっかり5位がどれくらい難しいことなのかというのを理解して走ることが大事かなと考えています。前回あれだけ良い走りができた中で5位が獲れなかったというのは結構挫折というか自分の中でも悔しい部分ではあったので、「今回はそれ以上の走りをしないといけないよ」というのは全員が理解してやるべきだと思います。

―箱根駅伝へ向けた意気込みを
これだけ伝統のある箱根駅伝の第100回大会に主将として関われるというのはすごく光栄なことなので、しっかりチームをまとめて目標達成できるように頑張っていきたいと思います。

―法大の駅伝ファンへ向けたメッセージを
本当に普段から応援していただいているのはありがたいことで、実際に沿道で自分の名前を呼んでくれたり「法政頑張れ」という声は本当に届いているので、そういう部分ですごく選手の力になっていると思いますのでこれからも引き続き法政大学の応援よろしくお願いします。

(インタビュー・窪田真一)

宗像直輝(むなかた・なおき)
社会学部4年
2001年11月6日生まれ
出身校:東京農業大学第二高等学校
自己記録:28分56秒83(10000m) 、1時間4分17秒(ハーフマラソン)

坪田智夫 駅伝監督

ーエントリーメンバーはどのような流れで決定しましたか
選手たちが年間を通した練習がどうなのかっていうのがまず第一です。あとは夏の消化度、秋のレースですね、上尾や世田谷、日体、MARCH。このあたりの結果を見て、当然そのあとけがをしたりするとエントリーできないので、7月から11月までの練習を重要視して組んでいきました。

ー昨年は「陸上以外の部分がしっかりできている選手を重視する」とおっしゃっていました 今年のメンバーの中でその辺りが特にしっかりしている選手は
小泉に関して言うと、1年目からそういったことができる選手でした。細かい練習の調整ができるので、夏の最後でけがをしてしまいましたが、今はほとんど100%の準備ができています。あまりけがをしても心配していませんでした。上級生はそのようなことをやってくれて当然ですが、1年生の野田に関して言うと「1年生らしからぬ」というか、組み立てのできる選手だと評価しています。小泉同様というか、小泉に近い評価をしています。

ー小泉選手は注目選手として野田選手を挙げていました お二人はコミュニケーションをとっているのでしょうか
どうでしょう、あまり見たことがないんですけどね。小泉には大島がくっついていて、一緒に走っている印象ですね(笑)。ただ二人は近いですね。小泉は1年生のときから「こういう形で組み立てます」という話をしてくれる選手でした。野田に関しても、組み立てができるという印象です。「やってほしいな」と思うことを持ってきてくれるので、そういった点で言うとある程度評価できる選手ですね。

ー今季はエースと呼べる選手があまりいないとのお話もありました その中で好記録を残した松永選手はどのような選手でしょうか
松永に関しては力通りというか、驚く結果でもないので、力を出し切れば良く走れる選手かなと思います。
上尾と日体に関して言うと、しっかり調整をして出た大会ではありませんでした。練習の流れの中でというか、ある程度距離を踏んだ中での日体大でした。そのあとはペース走も兼ねた上尾でしたので、まだまだ調子を上げていける結果でしたね。

ー今年(2023年)は全日本駅伝出場とはなりませんでした そこからチームの雰囲気はいかがでしたか
やはり落ちたということで、沈むというか暗い空気にはなりました。7月から9月にかけて充実した練習ができて、毎年そうではありますが右肩上がりで良くなっています。まとまりやチームの結束力もできあがったので、全日本も悔しい結果ではありましたが、切り替えて選手たちはやってくれました。

ー出雲駅伝での新戦力投入について、改めて振り返って
出雲では小泉がけがで使えないということでしたが、決して軽視するわけではなく、あくまでも箱根駅伝が一つのゴールになってくるので、プラスに考えて「小泉が使えない分、新しい戦力を見ることができる」と思っていました。例えば大島や安澤、永島など駅伝経験のない選手たちを使えたので、出雲一つを見た時にはマイナスですが、箱根を見据えた上では彼らが頑張ってくれたのでプラスだったかなと思います。

ー今お名前の出た安澤選手、永島選手は現在(12/9)どのようなコンディションですか
メンバーに絡んでくるかなと思います。二人は好走とまではいきませんが、出雲で頑張って走ってくれました。難しい位置でしたがしっかり走ってくれたので、16人というところで入り込めるかなと思います。

ー昨年は5区の山登りに関して、髙橋選手と細迫選手で悩まれていました 今年の状況はいかがですか
全く同じ状況です。登り区間のエントリーが一人だけだと、何かあった時に代えがきかないので、どちらか一方というよりも二人エントリーして、最後まで状態を見極めて決めたいと思います。力は同じくらいだと思います。

ー6区山下りに関して、上尾ハーフ時に武田選手が「自分は往路を走るだろう」とおっしゃっていましたが
まずは下りに関して言うと武田なのかなっていう。ただ、武田と同様は難しいと思いますが30秒差くらいで下るような候補が出てくれば、武田を往路ないし復路の重要区間で投入して、勝負させることも一つのオプションとしてあります。基本的には武田で下って、区間賞を狙わせたいなと思っています。

ー武田選手は以前インタビューで「上尾ハーフの少し前まで大学に入って1番くらい調子が悪かった」と語っていました 現状は
今は非常に良いと思います。日体の頃が底だったんじゃないかなと思います。私もそこまで悪いと思っていなかったんですけど、ちょうど夏の疲労が出て、日体を大きく外してしまったということで。おそらく本人も上尾のときには若干の不安がある中でスタートラインに立ったのではないかと思います。なので、私は折り返しのあたりで見ていましたが「だいぶ後ろで走っているな」と思っていました。ですがそこからグッと順位を上げているので、本人もいい感覚を持って上尾を終え、今に至っているのではないかと思います。

ー以前監督は主将である宗像選手に関して、「夏頃までに宗像主将としての色を出してほしい」とおっしゃっていました どのような色が出ていますか
宗像がキャプテンらしくなってきたというか。例えば練習でチーム全体を引っ張るタイプではないんですけど、ジョグの姿だったり朝練習の姿だったり、しっかりやってくれています。そういった姿は同期も下級生も見ていますので、「宗像がやるなら俺も」というふうにみんなやってくれていると思います。そういったところで言うと、12月末にかけて『宗像主将』と言えるようになったかなと思います。

ー副将である稲毛選手は「自分は言葉で伝えるのが得意ではない」とおっしゃっていました 監督からご覧になって
上手くないわけではないと思います。見ていても、気を回しながら発言力があって、という選手ではありませんが、細かいところでちょっとの声かけとかをグラウンド内でやってくれているので、全くできていないかと言うとそうではないと思います。

ー今年の箱根を見据える上でのキーマンは
誰か一人ということではなくて、毎年ですが4年生ですかね。4年生がどこまで走れるか、ということではなくて「4年生らしい走りをしてくれるか」が大事で。区間賞を取ることが「らしい」わけではなくて、悪くてもある程度最低限は抑えてくれるとかですね。もちろん区間賞を取ってくれればチームは勢いに乗れますけど、4年生が大きく崩れてしまうと10区以外は後ろの区間に後輩が待っているので、間違いなく後ろに響きます。そういった意味で、4年生らしさを持ってほしいと思っています。当然走れるのは一部の選手です。1月1日まで通常の練習を多摩で行っていますので、朝練習やポイント練習などでしっかり締めて練習を行ってほしいなと。そういった姿は他の選手の心に響きますし、4年生が最後まで頑張ってくれているということは箱根に向けて力になります。なので、毎年キーマンは4年生になるかなと思います。

ー今年の4年生はどのような代ですか
なかなかコロナで思うように練習できなかったかなと思います。入学当時からコロナで思うような学生生活も送れず、特に1年目は全く練習できなかった状況でした。苦しんだ4年生だったと思います。前年は力のあった選手がそろっていたのですが、今年は特に松永を筆頭に右肩上がりに上がる学年ではなかったです。練習環境もそうですし、力もそうですし、地道にコツコツ積み上げて成長してくれた学年ではないかなと思います。

ー現在のチームの雰囲気は
非常に楽しみな雰囲気になってきているかなと思います。『総合5位』に関しても、周りの評価は低いと思いますが、十分昨年に近いチーム力にまで引き上がってきています。力を出し切れれば十分チャンスはあるかな、というチーム状況です。

ー箱根に向けての意気込み
ここ2大会、5位という目標を掲げていますが達成できなくて。ですが、シードというところではなく、なんとしても5位を目標に、宗像中心にこの1年間やってくれています。その目標をぶれさせることなく、100回大会と記念の大会なので、そこに向けてやっていきたいと思います。

ー最後に応援してくださるファンの方へ
多くの方々の支えの中で84回の出場回数があり100回を迎えられることができます。それに応えるには、当然箱根駅伝で5位を達成するということも大事ですが、皆さんに何か感じてもらえるような、感動してもらえるような走りをすることが大事だと思っています。諦めずに粘る走りをお見せできればと思います。

本日15時に、往路の展望記事を掲載いたします。そちらもぜひご覧ください!

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