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【陸上競技】第100回東京箱根間往復大学駅伝競走直前インタビュー 第5回 細迫海気、松永伶、稲毛崇斗駅伝副主将

箱根直前インタビュー
2023年12月9日(土)

東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根)まで残すところあと2日となった。今大会の目標は、前回大会で惜しくも届かなかった『総合5位以内』。1年間掲げてきた目標に挑む選手たちに、今月9日にお話を伺った。第5回は細迫海気、松永伶、稲毛崇斗駅伝副主将のインタビューをお届けする。


インタビューに応じた稲毛

インタビュー

細迫海気

ー最終学年となった今シーズンここまでを振り返って
昨年の箱根駅伝が終わってからけが無く1月から3月をしっかり練習できたので、3月の学生ハーフで自己ベストという形でしっかり走れたのでそれをきっかけに関東インカレのハーフに初めて出場させていただいて結果は振るわなかったのですがそこまで順調にきていました。でもそこから調子を落としてしまって全日本駅伝の予選を選手として走れなかったのがひとつ心残りな部分ではあるのですが、それ以降特に大きなけがもなく練習を積めてきましたし、しっかり9月以降の試合は外さずにここまで来ているので順調かなと思います。

—世田谷、上尾ハーフにエントリーはありませんでした
今年も山区間を希望しているメンバーはエントリーせずに山に向けた練習を行っていたためエントリーは見送りました。

—合宿ではどのようなことを強化してきましたか
1次合宿ではとにかくロードをつかって距離走でまずは距離の消化をして、2次合宿ではそこに実践的な少し入ってきつつもとにかく1次2次は距離を走るということをしました。3次合宿ではしっかりスピードを意識した練習をして、より実践的に体を仕上げていきました。2次の途中で自分は少し小さなけがをしてしまったのですが、しっかりそこでけがをしてしまった分、3次に向けて体を調整していった部分もあって、苦手なスピードの部分でしっかり消化できました。そういう面でこの合宿を通じて距離を稼ぎながらスピードにも磨きがかかったと思います。

—現在のコンディションは上向いてきているのでしょうか
秋以降10000mを2本走らせていただいて、そこで2本しっかりそろえることができたのでそういった面では例年になく順調にここまで来ていますし、自己ベストを更新したことによって自分の中でも少し自信がつきました。

—同じく世羅高校出身の中野翔太選手(中大)や森下翔太(明大)選手らなど箱根を走る選手たちとの交流は
中野とは寮が近いのでご飯に行ったりもしますし、帯同した出雲駅伝でも「さよならパーティー」では一緒にお酒を飲んだりしました。森下も僕や中野がご飯に行くとなったら「僕も行っていいですか」って言ってきてくれますし、(箱根駅伝で)同じく5区を走った吉川響(明大)とも一緒にご飯に行って、山について話すのでそういった面では同期だけでなく縦のつながりも強いです。

―大学で陸上をやめるとのことですが、陸上人生最後の監督は坪田監督となりました。改めてどのような監督でしたか
本当に熱い人だなと思っています。実際に世羅高校時代の弱かった自分を熱心に勧誘していただいて、初めて会った時の印象もすごく熱い人だなという印象でした。法政について熱心に説明していただいて法政に入学しようと決めた部分もあります。高校時代からも主要大会だけでなく小さな大会でも足を運んでくださって実際に自分の走りを見ていてくださっていたので、そういった面では法政大学に進学したことについてベストな選択だったなと思っています。坪田さんに強くしてもらったなと感じています。

―最後の大会である箱根への思いは
ラストなので絶対に走らないといけないと思っていますし、掲げている「総合5位以内」という目標を最終学年の代で必ず達成するという気持ちがあるので、総合5位以内という目標に向けて個人としても貢献したいです。

―やはり希望区間は5区なのでしょうか
5区一本です。

—監督ともそういう形で話が進んでいるのでしょうか
特に僕が監督に「行きたいです」って言っているというよりかは、ここ2年5区を走らせていただいているのでその経験もあって「今年も5区だろうな」と思える形の練習をさせていただいています。

―これまで5区を走ってきた上で特にきついと感じる箇所は
2か所あって、まずは9km過ぎの宮ノ下の左に曲がった瞬間から始まる壁みたいな上りの区間が一番きつい所です。あとはラストの5kmの芦ノ湖までの下りです。15km上っての5km下りは、足が棒みたいな状態で下るのでとてもきついです。

―残り1か月弱となりましたがこれからどのようなことに取り組んでいきますか
強化するということは考えにくいのでとにかく自分のコンディションをしっかり上げていって練習をセーブしながら体調を含め、箱根にピーキングしていきたいです。

―区間順位の目標は
これまで5区5位以内を掲げていたのですが、全く達成もしていないですし、かすりもしていないので最後はぜひ、その目標を達成して笑って引退したいと思います。

―ファンのみなさまに向け一言
いつも応援ありがとうございます。今年は最終学年として総合5位以内を必ず達成します。個人としてもチームに貢献できるように区間5位以内を目指します。応援よろしくお願いします。

(インタビュー・山口晴暉)

細迫海気(ほそさこ・かいき)
社会学部4年
2001年5月15日生まれ
出身校:広島県立世羅高等学校
自己記録:29分19秒02(10000m) 、1時間3分59秒(ハーフマラソン)

松永伶

―エントリー発表の直前ですが、今の心境はいかがですか
エントリーはされると思うので、より箱根に近づいているんだなという実感と、さらに準備をしていかなければいけないなという心境です。

―改めて前回の箱根を振り返っていただいて、いかがでしたか
前回は1区3位ということで、法政大学としていい流れに乗ることはできたのかなと思っています。レースも一旦六郷橋で遅れてしまったんですけど、そこからラスト1kmの勝負強さを見せて、ラストスパートで順位を押し上げて区間3位を勝ち取ることができたので、そこは今大会にもつながるいい点だったのかなと思います。

―松永選手に注目が集まったきっかけとなったのは3年生の時の関東インカレ5000mだったと思いますが、そのレースを今改めて振り返っていただいていかがでしたか
大学初めての大舞台で、挑戦した意味はあったのかなと思っていて、そこで6位入賞できたということもその後の自信になりました。今年に関しても様々な経験ができて、今回の箱根につなげることができるのではないかなと思っています。

―今シーズン全体を振り返っていただいていかがでしたか
今年は昨年よりも多くの種類の大会に出場することができました。自分自身、オーバーワークで高校3年生から大学2年生まで走れなくて、インターハイなどは出場できなかったのですが、今年の日本学生ハーフでは日本の学生の中で3位を取ることができたということで、そういった経験も大きかったです。そこからワールドユニバーシティゲームズという学生世界一を決める大会に日本代表として出場することができたことも含め、今年は経験がたくさんできて、その経験は箱根にもつながるかなと思っています。

―今年の夏合宿ではどのような練習をされていましたか
ユニバーシティゲームズで1次合宿は途中参加となって、その後は体調を崩して2次合宿がまるまる参加できなくて、8月に関しては昨年の3分の1も距離を踏めずに強化の遅れが出てしまいました。ですが、9月の3次合宿に関してはしっかりとスタミナ強化だったり、ポイント練習でも引っ張ったりといった練習もできたので、9月の合宿に関してはうまくできました。結果に関しても10月は振るわなかったのですが、11月以降はしっかりと結果が出ているのかなと感じています。

―秋は連戦だったと思いますが、そこから得た収穫は何かありましたか
11月のレースとしては関大戦の5000m、日体大記録会の10000m、上尾ハーフがありました。関大戦に関してはそんなに力は出さなかったのですが、しっかりラスト200mで独走で引っ張る力ができたというのが良かったなと感じています。次の日体では本来28分1桁や27分台を出そうと思っていたんですけど、思っていたより集団のペースが上がらなかったので、28分28秒という、自己ベストではあるのですがもう少し出したかったなというタイムでした。自分の実力からしても27分台は十分狙える実力はあると思うので、実業団に入ってから10000mの記録は更新したいなと考えています。上尾ハーフに関しては、昨年は練習の一環ということや日体で出し切ることができたこともあったので上尾は追い込みすぎないということを考えていました。ですが今年に関しては日体で出し切れなかったので、上尾でしっかり2位以内のニューヨーク(シティーハーフマラソンへの出場権)、あとは自身が持っている法政記録を塗り替えるというところも目標にしていました。結果として法政記録を塗り替える記録を出すことができ、ニューヨークも決めることができたので、上尾ハーフに関しては箱根につながる走りになったのかなと感じています。

―今回の箱根で希望する区間は何区でしょうか
希望する区間は2区です。自分はラストスパートが得意なので、1区で区間賞というところも面白いと思うんですけど、やはり法政のエースとしては、2区で2年前に鎌田(航生)さんが出した2区の法政記録を塗り替えたいという気持ちもあったり、周りの大学のトップレベルの選手と戦いたいというところもあって2区を希望しています。

―ご自身の走りで注目してほしいポイントとしてラストの勝負強さを上げていますが、2区のラストにも自信はありますか
ラストはもう絶対出し切れるという自信はあるので、「戸塚の壁」と呼ばれる非常に傾斜のきつい坂が最後に待ち構えているんですけど、その周りがきついところで自分が勝負強さを出して、周りに1人でも2人でも選手がいればそれを追い抜いて、1つでも前の順位で(たすきを)渡したいと思っています。

―今お話があった「戸塚の壁」と呼ばれるラストの坂についてですが、そこに向けて何か対策はされていますか
ラストに関しては後半結構きつい中で出し切らなければいけないというところで、対策としては大学構内のアップダウンの強いコースである程度速いペースで練習しています。ラストに関してはもう気力で行くしかないので、そこは気力で行って、その前の権太坂やラスト3kmのアップダウンだったり、そういったところもペースを落とさずに克服していくということが最後にもつながるのかなと考えています。

―チーム内でのご自身の役割はどういったところだと思いますか
やはりエースであり4年生であるということで、ワールドユニバーシティゲームズも含めて、より周りに見られているという実感を持っています。そういった見られている意識を持ちながら、練習に対する高い意識の共有だったり、周りとのコミュニケーションだったりといったところを大事にして、チーム全体の底上げをしてきました。また、今年は初めて全体合宿を行ったので、チーム一体となって箱根に向かっていける準備はできているのかなと感じています。

―現在のご自身のコンディションはいかがですか
11月から練習や試合での状態というのは非常にいい状態だと思っています。あとは初めての2区なので、そこへの対策であったり、気持ちの持っていき方だったり、そういったところもしっかりと合わせればより100%に近いパフォーマンスを出せるのかなと考えています。

―現在のチーム全体の雰囲気はいかがですか
新戦力も結構出てきていて、今年は故障が非常に少なくて、層としても厚くなったと思います。前回の時に初めて10000mの10人平均タイムが28分台だったのですが今年も28分台ということで、非常にチームとして勢いがいいのかなと思います。今年はチームスローガンが(法大キャラクターの)えこぴょんをモチーフにした『脱兎の勢い』で、今年はえこぴょんと一緒に勝つ兎年ということで、そういった目標と一緒に勢いに乗って箱根に向かっているのかなと感じています。

―松永選手にとって箱根駅伝とはどのような舞台でしょうか
第100回の箱根駅伝というのは記念大会であって、陸上を始めた時からずっと目標にしていた大会です。実際に箱根駅伝を見に行って、より出たいという気持ちも強くなったので、最後の箱根駅伝は悔いのないレースにしたいなと考えています。

―箱根駅伝への意気込み、ファンの方々へのメッセージをお願いします
最後の箱根駅伝、『脱兎の勢い』というチームスローガンのもと、総合5位以内をみんなで勝ち取ります。今まで走れない時だったり、レースの時だったりも皆様に支えていただいてここまで来られていると思いますし、箱根駅伝に関しても応援はすごく自分の力になると思うので、応援をよろしくお願いいたします。

(インタビュー・岩瀬智悟)

松永伶(まつなが・れい)
経済学部4年
2001年6月12日生まれ
出身校:専修大学松戸高等学校
自己記録:28分28秒15(10000m)、1時間01分56秒(ハーフマラソン)

稲毛崇斗 駅伝副主将

ーラストイヤーは副将を務められています 今年一年を振り返って
今年に入ってから、全日本予選で落ちてしまったりとか、出雲でも目標達成できずというところがありました。ですが箱根が近づくにつれて、だんだんチームの力というか底上げができているかなと感じています。それと同時に、自分としても結果が少しずつ出てきているのではないかなと思っています。

ー今季は全日本予選会の最終組や出雲駅伝のアンカーなど、試合の大事なポジションで起用されています
坪田監督からそういったポジションを任されるということは、信頼されているのかなと思っています。ですがなかなかそれに応えることができず、悔しい思いが募っている中で迎える箱根なので、「次こそはやれるかな」という感じがしています。

ー今年は箱根を走ることがかないませんでした どのような思いでご覧になりましたか
当時は往路が1区松永(伶)の付き添いで、復路は8区宗像(直輝)の給水をしていました。とにかくその役目を全うしようと精一杯でしたが、「自分が少しでも力になれたかな」と嬉しい気持ちはありました。その反面、自分は直接貢献することができず、悔しい思いもありました。

ー付き添いの中で意識されたことは
なるべくリラックスさせたいなと思っていたので、なるべく普段と変わらない感じで接することを意識していました。

ー昨季を経てけがをしないために気をつけていることは
日々のトレーニングとか、アップを丁寧にやるということは去年よりも心がけるようにしています。日々の積み重ねに関して、1番頑張ってきたかなと思います。

ー6月に行われた全日本駅伝予選では、本戦出場がかないませんでした そこからチームの雰囲気はいかがでしたか
一回落ちてしまって、出雲と箱根しかない中で、「落ちたから良かった」ではないですけど、そこで目が覚めたというか。そこから夏合宿でみんな集中して取り組めたので、変な言い方にはなりますが、ある意味良かったのではないかと思っています。

ーそんな中で迎えた出雲駅伝では昨年と同じくアンカーでした 出雲での走りを経て何か自信などはつきましたか
レース展開が難しかったということがあったんですけど、駅伝を何本か走っている中で、大学で初めて人を抜かすことができました(笑)。その点で、駅伝の苦手だった部分を克服できたかなと思います。あとは単独でのレースが久々だったので、そういったところでもしっかりと経験を積めたかなと思います。

ー出雲駅伝から世田谷ハーフまで1ヶ月と短い中で自己ベストを更新されました 振り返って
世田谷ハーフ自体、記録を狙っていた試合だったので、しっかり準備をして臨めました。その中で自己ベストを更新し4位をとることができて、非常に良かったなと思います。

ー以前「今季の法政はエースと呼べる選手があまりいない」とおっしゃっていました シーズンを経て、現在のチームの強みなどはありますか
みんなが『箱根駅伝 総合5位』に向けて、一人でも欠けてはいけないという意識が去年よりあるかなと思います。また、松永のようにエース格の選手が出てきていますが、一人に任せないようなチームになってきているのではないかと思います。

ー先日は大学で壮行会も行われるなど、箱根まで着々と近づいています 現在(12/9)のチームの雰囲気はいかがですか
箱根に向けて日数も近くなってきていて、メンバー発表も控えているので、結構みんなソワソワしているというか。そういった雰囲気があるかなと思います。

ー稲毛選手ご自身もソワソワする気持ちがあるのでしょうか
そうですね、箱根が近づいてくると独特な緊張感みたいなものが出てくるので(笑)。でも、そういった緊張感も楽しみつつ、過ごしていきたいと思っています。

ー世田谷ハーフから箱根に向けて、現在はどのような調整を行っていますか
一旦世田谷で結果が出たので、少し落としながら、これから上げていく感じですかね。

ーその中でも特に意識している練習は
ラストスパートは自分のウィークポイントだなと思っていたので、練習後の流しをしたり、練習で最後に上げたり、そういったところは意識してやっています。

ー駅伝主将である宗像選手とのコンビネーションはいかがですか
宗像は結構後輩からの人気があったりするんですけど、僕は割とチームを言葉でまとめるのがあまり上手くなくて。なので僕は姿勢で見せるような形でやっています。

ー同学年の走りを見て刺激を受ける部分はありますか
松永が結果を結構出していて、上尾でもニューヨークハーフを決めたので、そういった同期がいるのはとても力になりますね。

ー粘りの走りが注目ポイントとのことでした そのために意識して練習していることは
昔はレースペースがだいたい(1km)3分基準くらいだったと思うんですけど、2分55秒とか50秒に近いペースが主流になってきています。そういったペースにしっかりと対応できるような練習や心がけをしています。

ー稲毛選手が思う今年の注目選手は
難しいですけど、山だと思いますね。特に5区ですね、(髙橋)一颯と細迫(海気)と、どちらかが今年の鍵になると思います。

ー今年走りたい区間は
9区を走りたいです。

ーその理由は
前々回大会の主将である清家(陸)さんと、前回大会の副将である中園(慎太朗)さんがいるんですけど、その二人は9区で結構いい結果を残しています。また主将、副主将という立場だったので、自分もそれに続きたいなという思いがあります。

ー今挙げていただいたお二人と連絡を取ることはありますか
清家さんは愛媛にいて遠いんですけど、中園さんとはこの前食事に行って、いろいろ近況報告をしました。清家さんは出雲の前に連絡をくれたりして、割と密につながっているかなと思います。

ー最後に応援してくれるファンの方へのメッセージと意気込みをお願いします
今年は人生最後の箱根駅伝でラストランとなるので、そこで有終の美を飾れるように頑張っていきます。

(インタビュー・芦川有)

稲毛崇斗(いなげ・たかと)
社会学部4年
2001年4月20日生まれ
出身校:東北高校
自己記録:29分09秒61(10000m)、1時間02分54秒(ハーフマラソン)

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