【硬式野球】秋季リーグ戦開幕直前特集 第6回 畔上翔、川名健太郎
2014年9月7日(日)
法政大学川崎総合グラウンド
屈辱の5位に沈んだ春季リーグ戦からはや3ヶ月。夏のキャンプ・オープン戦を通じ、激しいレギュラー争いが行われ、1からではなく0からチーム作りがなされた。様変わりした法大ナインで再び天皇杯を目指す戦いが始まろうとしている。第6回は畔上翔選手と川名健太郎選手。チームの浮上の鍵を握る、投打のキーマンに話を伺った。
畔上翔 外野手
―昨シーズンの振り返りをお願いします
順位は5位でチームとしても個人としても納得いかないシーズンでした。
―この夏重点的に取り組んだことは
「自分がチームの中でどういう立場でプレーしなければいけないのか」、ということを考えなければいけない、と青木助監督に言われていたので、技術的な面というよりは精神的な面を考えてやっていました。
―それは具体的にどのような立場を意識していたのですか
3年生なので主軸を打たないといけないから、そういう自覚を持ってプレーしなくてはいけないということです。そういう面では、自分はチームにそれなりの影響力を与えているんだということに気付きました。
―今の調子は
最近やっと当たってきました。最初は正直結構やばいな、と感じていたんですけど。代表から帰ってきて、気温差とか時差ボケとかで、体がきつくて、プレーにも影響が出ていました。
―開幕までに調整することは
今までやっていたことは変わらずやっていきますし、一番は怪我と病気をしないことだと思うので、そこはちゃんと気をつけていきたいなと思います。
―7月には日本代表に選出されました
行く前は楽しみな気持ちもあったんですけど、行ってみたら実際すごくレベルが高くて、自分のレベルの位置っていうのが実感させられて…。帰って来る頃には、落ち込むというか、「ああいうレベルが全日本であって、世界のレベルなんだな」と感じ ていたのが正直なところですね。それでこっち帰ってきても、さっき言ったように自分の思うようにできなくて、モヤモヤしていました。
―ご自分のどんなところが選ばれる、理由になったと思いますか
後から言われたのは、野球に対する姿勢やチームを引っ張ろうという姿勢が買われたということで、そういうところもしっかり見てくれているんだなと思いました。結果は全然出せなかったけど、行くからにはやれることはしっかりやろうと思っていたので、すごく良い経験にはなりました。
―世界の野球に触れてみていかがでしたか
強かったのは断トツでアメリカでした。アメリカの選手とは、ホテルも一緒だったんですけど、日本みたいに縛りがなくて。でもいざグ ラウンドに立ったら、あんなに体大きくても野球はすごく細かくて、勝つために必死というのが伝わってきて。その必死さが、日本の学生とは比べものにならないような感じでした。
―代表で得た技術的な収穫は
早稲田の中村(奨吾)さんとか僕がが普段からすごいなと思っている先輩方もたくさんいて、技術的な野球の話はそんなにしなかったんですけど、ああいうところに来る人はやっぱりすごい練習するなと感じましたね。
―チームに戻ってきてから生かしていることは
精神的な面で言うと、「自分の結果ではなくてチームが勝てばいい」ということをまず考えて、チームが勝つために自分が一人の選手として監督から必要とされることは何かという事を考えるよう になって、そういう考え方をしたら自然と結果がついてくるようになりました。
―外野手は層が厚いですが、刺激にはなっていますか
すごくなっていますね。法政の外野手はレベルがかなり高いし層が厚いし、一人ひとり特徴があるから、すごくいい刺激になっています。そのおかげでいつも緊張感が持てています。
―そんな中で試合に出続けるために、どんなところをアピールしていきたいですか
バッティングもそうなんですけど、それ以上に野球に対する姿勢やしっかり声を出すこととかを、特にこの一ヶ月は重点的にやってきたつもりです。
―北海道キャンプはいかがでしたか
3試合やってノーヒットだったんですけど、北海道でバッティング が劇的に変わったかなと思っていて。結果はノーヒットだったけど、帰ってくるときは結構充実感がありました。
―劇的に変わったきっかけとは
たまたまホテルの部屋で元広島の前田智徳選手の動画を見ていて、もちろんすごい選手なんですけど、「これか!」と思うものがありました。その動画の中で「ゆっくり振る」みたいなことを言っていて、今までは振り回していたから、「明日のバッティング練習はちょっと手抜いてやってみようかな」と思って、やってみたら上手くいきました。次の試合ではアウトになる内容が良くて、助監督さんに「それで固めていけ」って言われました。たまたま見た動画のおかげで、劇的に変わることができました。
―注目している後輩 は
大崎(拓也)は足もあるしハマれば打てるし守れるから、結構キーマンになってくるんじゃないかなと思いますね。ピッチャーだと新井(諒)ですかね。
―大学に入ってから3年たって成長したと思うところは
自分で言えって言われたらわからないですけど、同じ大学以外の選手とも関わりが多くなって、視野は少し広くなったかなと思います。今までは目の前の結果だけしか見えていなかったけど、結果を出すにはどうすればよいかっていうことを考えられるようになって、そこの柔軟性は身に付いたと思います。
―今季見てほしいところは
やっぱりチームを引っ張る姿勢ですかね。多分センターですけど、外野からでもしっかり引っ張っていきたいと思います。今 まではリーグ戦始まる直前は、「どうやったら結果残せるんだろう」とか「どうやったら打てるんだろう」とかしか考えていなかったけど、今は「どうやったら勝てるんだろう」とか「どうやったらチームが一つになるのかな」とかそっちの方が大事だと思っていて、チームを引っ張っていきたいです。
―最後に今季の目標をお願いします
優勝を前提として、8週間チームが常に上を見て成長していくことです。
(取材:村上紗規)
プロフィール
畔上翔(あぜがみ しょう)
キャリアデザイン学部3年
1993年5月20日生まれ
東京都出身・日大三
178cm、85kg・左投げ左打ち
川名健太郎 投手
―ここまでの2年間半を振り返って
実績がここまでないので、この秋に懸ける思いは人一倍あると思います。
―この夏はオープン戦での登板機会が多くなっています
キャッチャーが良いリードをしているのでなんとか抑えられているのかなという感じはありますけど、フォームを変えてから球が良くなったのは自分でも分かるので、球が良くなったから今こうやって投げられているのかなと思います。
―フォームをオーバースローからスリークォーター気味に変えたのはいつごろですか
春の早稲田戦が終わってから変えてそこから練習しました。このままだと何も残らない、何もしないまま終わってしまいそうだったので、がむしゃらに、というか。コーチと監督にも変えてみないかと打診されて、やってみようと思いました。
―フォームを変える上で参考にしたものなどはありますか
一番近い先輩で(サイドスローは)船本さん(13年度卒・現JX-ENEOS)がいたので、少し船本さんのフォームは見たりとかはしましたが、特に誰を意識したとかはなくて、自分が一番投げやすいフォームで投げているのが今(のフォーム)ですね。助監督や監督に色々アドバイスをもらって、今は(感覚として)ハマっています。
―最近は制球が安定してきた印象を受けますがご自身としてはいかがですか
オーバースローのときはストライクが入らなかったので、サイドスローにして安定するようになったので、そういう意味では(サイドに)して良かったと思います。自分自身もサイドスローにしてから投げやすくなったというか、新しい気持ちでやれたので。
―横投げにしたのは今回が初めてでしょうか
体の使い方を覚えるということで、高校2年生の冬に一度やっていました。そのあと、高校3年生になって良くなったので、それをもう一度自分でやってみようと思いました。
―投げていて気持ちの面で以前と変化はありますか
いつもあっぷあっぷなんですけど…(笑)でもそこは中園さんであったり森川であったり安本さんであったり、キャッチャーにうまくリードしていただいているので、そういった面ではキャッチャーに支えてもらいながら投げているなと思います。
―キャッチャーとは何か話をされていますか
毎日言われています(笑)キャッチャーが一番バッターに近いところにいるので、肩の出方とかを色々教えてくれますし、投球練習にしてもブルペンで投げるにしても、一球一球何かがあったら言ってもらうようにしています。投げ終わってからもその日のボールの調子や、このボールが良かったとか、そういうのを教えてもらって、もちろんだめだったところも、どういう球がだめかというのも最後に総括してもらうようにしています。キャッチャー全員に(やってもらっている)なので、1年生であったり2年生であったりも気づいたところは教えてもらうようにしていますね。
―この夏重点的に取り組んできたことはありますか
サイドスローにしてから日が浅いので、フォームを固めるということで投げ込みを人より多くはしました。北海道(キャンプ)は寝違えてしまって練習がほとんどできなかったんですけど、北海道に行くまでと帰ってきてから自主練習の中でも色々練習は沢山してきたと思います。ブルペンでは100球ほどしか投げませんが、それ以外にネットスローだとかキャッチボールをいつも以上に意識をおいてやるとか。助監督と一緒にやるということもたくさんありましたし、たくさん投げました。めちゃくちゃ投げました(笑)フォームを変えてから練習量と内容が大分変わりました。
―先ほどから名前が挙がる助監督さんから言われることは
専門的なことだと下半身の送り方、体重移動の仕方とかですが、「今日どうだった?」というのは毎日聞いてくれて、試合が終わったあとに「今日良かったよ」とか聞いてくれるので、そういう意味では良い指導者に巡り会えたと思います。
―ご自身の目指す投手像というのはありますか
以前は元ソフトバンクの斉藤和巳さんを目指していたんですけど、今はそうではないので…誰を意識しているというのはないですが、とにかく打たせる。自分のチームに良い流れを持ってくるためにリズム良く投げることを意識しています。
―今、課題としていることは
今は長いイニングを投げることはないので、長いイニングを投げられるようになるのは先発として来年以降必要になることだと思うので、それは課題ですし、あとは勝負所で絶対に打たれないようになど…たくさんあります(笑)
―ご自身の持ち味というのは
この身長なんですけど、ちゃっかりサイドスローみたいな(笑)良い意味で期待を裏切れるかなと思います。打たせて取るのが自分的には好きなので。三振とかを取るのも良いんですけど、打たせて取るのが好きですね。でも、ツーストライクとか追い込むと欲が出てしまって、三振を取りに行って甘くなったり力が入ったりするので…。高校の時、監督に「三振よりも打たせて取ることを考えろ」と言われましたが、打たせて取ると味方のリズムも良くなりますし、そっちの方が一人で(野球を)やっている感じよりみんなで戦っている感じがするので、打たせて取るのが自分の持ち味になるのかもしれませんね。ストレートを両サイドに投げ分けられていて、なおかつ低めにいっているので、そういう意味でバッターが打ち損じてくれているのかなと思います。
―2年間半公式戦登板がないということで、この秋に懸ける思いも強いものがあると思います
今良い状態できているので、(石田)健大さんや玉熊、(鈴木)貴也さんのような良いピッチングが自分でもできたら、今法政投手陣が弱いと言われているので、チームも上にいけるんじゃないかなと思います。オープン戦とリーグ戦は違うと思いますが、オープン戦の通りに投げられればなんとか結果がついてくるんではないかと思いますね。
―神宮で投げるイメージというのは明確にありますか
まだ…ないです(笑)まずはメンバーに入ることが大切なので、まだ意識はしていないです。
―リーグ戦ではリリーフでの登板が予想されます
リリーフということは緊迫した場面であるとか、ピンチの場面での登板が多くなると思うので、そういうところでちゃんと抑えられるようにと思っています。
―それを想定した練習もされていますか
日頃しているつもりではいるんですが、なかなか試合でランナーが出ないので…(笑)ランナーが出たときだけではないですが、ランナーが出たときはやっぱり「ここがこう打たれたら嫌だな」というのはイメージしながら投げています。
―秋の個人としての意気込みや目標をお願いします
自分が投げて優勝すればそれは嬉しいですが、やっぱり自分の与えられた仕事をしっかりこなして、チームが優勝してくれればそれが一番良いかなと思います。
(取材:熊谷優)
プロフィール
川名健太郎(かわな けんたろう)
経営学部3年
1993年12月11日生まれ
千葉県出身・安房
191cm、94kg・右投げ右打ち
フォトギャラリー
- 日の丸を背負った畔上
- 4人目の投手として期待される川名