第64回日本選手権 (25m)
2022年10月22日(土)・23日(日)
東京辰巳国際水泳場
短水路の日本選手権が行われ、初日の800m自由形で中島千咲代(現3)が4位入賞を果たした。また男子200mバタフライでは荻野倖太朗(法1)が予選、決勝と自己ベストを揃え、6位に入った。
中島は主要大会で常に自己ベストを更新し続けている
大会結果
予選結果(女子)
種目 |
順位 |
選手名 |
タイム |
備考 |
400m個人メドレー |
11位 |
庄司朋世 (スポ3) |
4分41秒13 |
|
200m背泳ぎ |
18位 |
関口真穂(スポ4) |
2分11秒85 |
|
10位 |
石田瑠海(スポ2) |
2分10秒07 |
|
予選結果(男子)
種目 |
順位 |
選手名 |
タイム |
備考 |
100m個人メドレー |
13位 |
佐藤颯(経4) |
55秒92 |
自己新 |
50m背泳ぎ |
18位 |
由良柾貴(社3) |
24秒69 |
自己新 |
50mバタフライ |
28位 |
山崎寛史(経2) |
24秒44 |
|
400m個人メドレー |
9位 |
神偉雄(経2) |
4分12秒52 |
|
200mバタフライ |
16位 |
神偉雄 |
1分56秒50 |
B決勝へ |
25位 |
山崎寛史 |
1分57秒94 |
|
8位 |
荻野倖太朗(法1) |
1分54秒34 |
決勝へ |
100m平泳ぎ |
15位 |
山尾隼人(経3) |
58秒48 |
B決勝へ |
決勝結果(女子)
種目 |
順位 |
選手名 |
タイム |
備考 |
800m自由形 タイム決勝 |
4位 |
中島千咲代(現3) |
8分29秒64 |
自己新 |
16位 |
篠田沙彩(経3) |
8分59秒15 |
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14位 |
松野仁衣奈(スポ1) |
8分51秒44 |
|
決勝結果(男子)
種目 |
順位 |
選手名 |
タイム |
備考 |
200mバタフライ B決勝 |
6位 |
神偉雄 |
1分56秒20 |
|
100m平泳ぎ B決勝 |
7位 |
山尾隼人 |
58秒61 |
|
200mバタフライ 決勝 |
6位 |
荻野倖太朗 |
1分54秒04 |
自己新 |
Close Up
中島千咲代
試合を経るごとに、夢が膨らんでいる。800m自由形で自己最高位の4位に入るも、「メダルに対しての気持ちがまだまだ足りないと思った。自己ベストが出せればいいやという甘えがあった」と満足はしなかった。
半分の折り返しでは3番手に付けたが、そこから逆転を許した。3位の選手が後半にかけてペースを上げた一方、中島は失速。疲労で残りの距離が数えられなくなり、「ラスト50mからしかペースを上げることができなかった」。目標の「8分30秒を割る」ことはクリアしたが、「キツくなってからの踏ん張りが足りなかった」と反省した。
後半の泳ぎを悔やんだ。
上京して3年目。「年々、支えてもらっている方に対しての感謝の気持ちが大きくなっている」という。高校時代は記録が停滞し、入学時点では中学時代の記録が自己ベストとして残っていた。だが、2年時にその壁を超えると貪欲さが加速。いつしか、目標は日本トップレベルの試合で「メダル獲得」に変わった。
「今回の800mでは見ている人たちに『ここで諦めた』と思われる展開になってしまった。そんなレースはもうしたくない。誰が見ても戦う姿勢があるようなレース運びを目指したい」。
卒業後は一般就職するため、競技は大学までと決めている。水泳人生の集大成、望む結果を手にし、心から笑いたい。(根本成)
荻野倖太朗
インカレ後すぐに、「日本選手権(25m)では絶対に決勝に行きたい」と自らを奮い立たせた。そんな強い決意だった今大会。自身初となる日本選手権入賞を手繰り寄せた。
予選から自己ベストを更新した
荻野は「他の選手と比べるとターンやドルフィンキックといった細かい部分が劣る」という。ターンの回数が増える短水路の試合に向け、弱点の克服を徹底してきた。
予選、「泳ぎの感覚があまり良くなかった」と振り返るが、自己ベストを更新し全体の8位で通過。決勝では再び記録を塗り替え、6位入賞を果たした。「決勝こそ緊張で泳ぎが硬くなったが、やってきたことは生かせたと思う。ここに向けてやってきた取り組みは長水路のレースでも繋がる」と頷いた。
進境著しい1年生は常に屈辱を糧にしている。今夏のインカレでは200mバタフライで5位入賞を達成したものの、目標だった1分57秒台には届かず「悔しい気持ちの方が勝っていた」。今大会の同レースでは世界大会メダリストで日大藤沢高時代の先輩にあたる本多灯(日本大学)が、世界新記録を樹立。「あまりに速すぎて全く見えなかった。改めて自分の足りない部分を突き付けられた」と反省を口にする。
レース後、表情は硬いままだった。
「ジャパンオープンでは、インカレで達成できなかった57秒台を出して決勝に残りたい」。また、来年の世界選手権福岡大会の代表選考会でも「決勝に残って、選考のスタートラインにまずは立ちたい」と荻野。意欲は決して衰えていない。(根本)
インタビュー
中島千咲代
ー 大会を終えてどのように感じてますか
インカレと国体が終わってから期間があまりなかったので、状態が完全に戻っていたわけではありませんでした。その中でも、『レース展開を意識して泳ぐ』というテーマを持って出場し、結果として自己ベストが付いてきたので良かったと思います。
ー 主要大会ではずっとベストを更新し続けていますが、その点に関しては
高校時代と比べると、こうやってずっとベストが出せることは嬉しいことだと感じます。ですが、もっと結果を出したいと思うことも今は多くなっています。結果に対して貪欲になれている自分がいるのは、今の競技生活が充実していると捉えることもできると思います。
ー 800mのレースを振り返ってどのように感じていますか
直前の練習では、自分の中で万全ではないと思いながらも、コーチやトレーナーの方からはタイムや体の状態は良いと言われていました。それを信じてレースに臨んで、結果としてベストが出たので、その点は良かったと思います。ですがレース展開に関しては、400mを通過してから順位が4位に落ちたり、ラスト50mからしかペースを上げることができなかったので、キツくなってからの踏ん張りが足りなかったという反省があります。
ー 3位も見える位置でしたが、どんなことを考えて泳いでいましたか
8分30秒を割ることを最低限として考えながら泳いでいました。泳いでいる時は順位にはこだわっていなくて、ずっと6番手、7番手あたりかと思っていました。レース後に途中で3番に付けていたことを知って、自分のメダルに対しての気持ちがまだまだ足りないと思いましたし、自己ベストが出せればいいやという甘えも正直ありました。
ー 普段から周りは見て泳がないんですか
普段は周りを見て泳いでいます。インカレの時は隣の選手に1回追い越されかけたんですが、絶対に勝ちたいという思いが湧いてきて5位に入ることができました。今回は周りを見る余裕がなくて自分の泳ぎに徹することで精一杯でした。残りの距離も分からなくなり、気づいたら後75mしかありませんでした。3位の選手の位置と残りの距離を正確に考える余裕があったら結果が変わっていたかもしれませんが、結果的に3秒差あったので今の実力を考えたら届かなかったと思います。
ー レースを泳いで収穫はありましたか
800mで安定して入賞できているので、そこはこれからの自信に繋がります。また、今までは下位入賞が多かったですが、今回4位に入ることができて本当にメダルを獲りたいという気持ちが強くなりました。
ー 400mのレースを振り返ってどのように感じていますか
400mは日本選手権で初めて決勝に残ることができたので嬉しかったです。決勝でタイムを上げることができたのは評価できますし、決勝のレースでは200mを通過してから隣の選手より前に出ようと考えていて、それを実現できて最後まで逃げ切ることができました。800mや1500mにも繋がるレースでした。
ー インカレの際に「気持ちの部分をしっかり作っていきたい」とお話されていました
今回の800mでは見ている人たちに「ここで諦めた」と思われるレース展開になってしまいました。そんなレースはもうしたくありません。離されたら諦めるのではなく、着いていくという気持ちを持つことが今後の課題となります。誰が見ても戦う姿勢があるようなレース運びを目指していきたいです。
ー ラストイヤーはどんな1年間にしていきたいか抱負をお願いします
大学生になってから、こうやってベストを出し続けることができているのは、自分の力だけでは成し得ないことです。年々、上京させてくれた両親や練習を見てくれるコーチ、一緒に練習している仲間など、支えてもらっている方に対しての感謝の気持ちが大きくなっています。今の恵まれている環境で生活できるのも後1年だと思うと寂しさがありますが、この環境を最後まで楽しみたいと思います。競技の面では、気持ち良くやり終えるためにもう一段階気を引き締めて結果に繋げたいです。
ー ジャパンオープンの目標をお願いします
400m、800m、1500mに出場予定です。3種目で入賞することと、800mと1500mではメダル獲得が目標です。後1ヶ月ほどですが、自信を付けられる練習を積んで臨みたいです。
荻野倖太朗
ー 大会を終えてどのように感じていますか
予選の泳ぎの感覚があまり良くありませんでしたが、思っていた以上にタイムが出ていたのでもっと決勝でタイムを上げたい気持ちがありました。決勝では53秒台が欲しかったですが、そこには及びませんでした。
ー インカレで5位となったことでその後、気持ちの変化はありましたか
インカレで自信が付いたのは確かですけど、目標を達成した訳ではなかったので、悔しい気持ちの方が勝っていました。インカレ後、もう一度気持ちを入れ直して、「日本選手権では絶対に決勝に行きたい」という思いで練習してきました。
ー 短水路選手権に向けては特にどういった練習を大事にしてきましたか
インカレのレースを経験して、他の選手と比べるとターンやドルフィンキックといった細かい部分が劣っていると感じたので、そこを意識して練習してきました。
ー 決勝のレースでは本多選手が世界記録を更新しましたが、あの場で泳いだことは大きな経験になったのでは
本多選手はあまりに速すぎて全く見えませんでした。改めて自分のドルフィンキックの部分であったり、パワーや体力面といった足りない部分を突きつけられました。そこを今後に向けて強化していきたいと思います。
ー 長水路のレースに繋がる手ごたえはありますか
インカレではターンで遅れる部分がありましたが、今大会では決勝こそ緊張で泳ぎが硬くなってしまいましたが、やってきたことは生かせたと思います。ここに向けてやってきたターン局面の動作やドルフィンキックの取り組みは長水路のレースでも繋がると思います。
ー 新しい環境での競技生活はどのように感じていますか
新しく環境が変わってものすごく水泳を楽しめてるのかなと思います。よくコーチとコミュニケーションをとったりしていますし、同じ練習する同級生も増えたので切磋琢磨しながらやれています。自分と種目が違う選手も多いので色々なものを吸収しながら取り組めています。
ー 今後の目標をお願いします
ジャパンオープンでは、インカレで達成できなかった57秒台を出して決勝に残りたいと考えています。また来年の日本選手権は世界水泳の選考にもなります。決勝に残って、選考のスタートラインにまずは立ちたいと思います。