【陸上競技】第57回全日本大学駅伝予選会（関東学連推薦校選考会）・高速化の波に乗れず、4年連続で予選落ち…選手インタビュー前編

戦評（1・2組）

1組目に登場したのは、全日本予選初出場の福田大馳（経2＝名経大高蔵）と澤中響生（現4＝自由ケ丘）。スタートは中大と東海大の２選手が飛び出す形となり、最初の1000mは2分51秒で入る。その中で福田と澤中は第二集団の中盤でレースを進めた。レースが動いたのは5500m過ぎだった。東海大の選手が仕掛けると、集団は徐々にばらつき始める。6000m付近で澤中が、7000m手前で福田がそれぞれ集団から離れると、その後も集団との差を縮めることはできず、両者ともに単独走でのレースが続いた。それでも、福田は最後まで気迫の走りを見せ、29分27秒83と自己ベストを更新し、20着でフィニッシュ。澤中は9000m過ぎ、明大と専大の2選手に引っ張られるようにして追いつくと、その後はその選手らを置き去りにするスパートをかけ、23着でレースを終えた。

2組目を任されたのは、田井中悠成（経3＝滋賀学園）と花岡慶次（経4＝世羅）。ともに初の全日本予選となる。レースは序盤から、中大と駿河台大の2選手が頭ひとつ抜け出す展開となるも、田井中と花岡はしっかりと集団の前方に位置をとる。3000m以降、山梨学院大の選手を先頭にした集団の中で、法大の両選手は中盤でペースを刻む。9000m過ぎからペースが上がると、田井中は必死に前へと喰らいつき、ラストスパートをかけ、22着でフィニッシュ。一方、花岡は終盤のペースアップについていくことができず、最後の力を振り絞ったが28着でのフィニッシュとなった。
（記事：髙瀬真帆）

インタビュー

福田大馳

―レースを振り返って
体のコンディションは良く、良い走りができるのではないかというのは思っていたのですが、メンタル的な面で周りの選手や歓声などに精神的な面でやられてしまい、積極的な走りができず、あまり良い結果にはなりませんでした。

―チームの1組目としてどのような意識を持ってレースに
1組目ということで、自分と澤田さんが走りました。チーム内でもかなり調子が良く、やはり自分たち1組目が良い走りをできるとその後の組の選手たちにもかなり良い流れを持っていけるので、良い走りをして良い流れを持っていくというのを意識して走りました。

―走る前に監督から何か指示は
初めての大舞台ということもあったので、「とりあえず落ち着く」というのと、あとは「後ろすぎずに結構前の方で今の調子なら勝負できるよ」と声をかけてもらいましたね。

―序盤に2人の選手が飛び出した展開、これによる対応や集団の中での自身の動きに変化は
最初の2人の選手が飛び出したところについては、自分としても集団の流れとしてもあまり追う展開にはならず、第二集団でレースが展開されていたので、先頭の2人に関しては特に影響はなかったです。

―7000mの手前で集団から遅れたときに、自身の体の動きなどに変化は
だいぶきつかったです。それでもやっぱりチームの全日本出場というのがかかっていたので、簡単に垂れないように意識しました。集団から遅れてしまったのですが、きつい中でもしっかり最後までその時点での最大の粘りというのは発揮できたのかな、と思っています。

―今回のタイムがPBを更新、タイムという面では
一応自己ベストではあったのですが、もっと行けたなっていうのがありました。やっぱり最低でも29分1桁というところには乗らないとダメだったのかなと思っています。

―レース中に澤中選手と比較的近いところで走っていたと思うが、レースの前後で会話などは
僕はしなかったですが、スタートラインに立ったときに澤中さんが少し声をかけてくれて、それで気が楽になりました。後は「近い位置でゴールしよう」と話しました。

―今回の予選会では3組目に走った平山選手をはじめ多くの2年生の選手がエントリー、2年生になり後輩も入って来て心境の変化などは
先輩になったので、そこはやっぱり背中で見せていかないといけないな、というのはあります。また、自分たちの世代が1年生の頃、あまり強くないというのがあったので、そこから今まで以上に2年生としても努力して、今では中堅を支えられるぐらいの実力が付いてきました。1年間を通して全員かなりやる気になり、いい心境の変化がありました。

―今後の目標や、それを達成するのに改善したいことや頑張りたいことは
自分の目標としては、箱根駅伝で区間賞というのがあるのですが、今年は予選会からなので、まずは予選会で良い走りをして、そこから箱根につなげていくのが今年の1つの目標としてあります。改善としては、今回もメンタル面でかなり蹴落とされてしまった部分がありました。箱根の予選会でも同じような歓声になると思うので、この夏期間を通してしっかりメンタル面を鍛えていきたいと思います。

（インタビュー：寺西幸咲）

澤中響生

―結果は総合11位、澤中選手にとっては初の全日本予選となった
通過できなかったのは本当に悔しかったです。初の全日本予選ということで、かなり前日は緊張していました。でも、当日になると吹っ切れたような感じで行けました。

―個人としての結果を振り返って
1組目23位ということで、監督からも「最低限15番以内は取ろう」と言われていたので、15番以内を目指していました。ただ、中々他大学も強くて、なおかつ自分もベストパフォーマンスを発揮できなかったという点で、残念な結果になってしまったと思います。

―ご自身でタイムは設定されていたのか
タイムはあまり考えていなかったです。展開がどうなるか分からなかったので、タイムよりかは、着順をしっかり取ろうと考えていました。でもふたを開けてみれば、自己ベストと同じくらいのペースで行っていたので、自分のベストくらいで走れていたら、もっと着順も良かったのかなと思います。

―当日は、非常に涼しい気候条件、この気候がご自身の走りに対してはどのような方向に
当日の自分のコンディション的には、良くも悪くもなく、普通だった感じで。当日の涼しさは、走りやすいといえば走りやすかったです。ですが、全員が同じ走りやすい条件になった結果、タイムも結構早くなって、スローペースにもならずに、持ちタイムがそのまま反映されたかなと思います。

―予選会に向けてはどういった調整を
4月末に10000mで自己ベストを出したんですけど、それと同じような調整をしていたと思います。例えば、同じ日に治療を入れたりとか。自己ベストを出したときと、ほぼ同じような練習で調整していました。

―どのようなレース展開を予想していたのか
臨機応変に対応しようと思っていて。考えてしまう方が、自分の思い通りの展開にならなくて、焦っていまいそうだったので、あまりレース展開については考えないようにしていました。

―その中での澤中選手の戦略は
10000mの成功体験があまり今までもなくて。結構しっかり走れたのが、１年生のときの一回と、今年の4月末にベストを出したときぐらいでした。なので、直近の10000mの展開の再現というか、同じようなイメージで行こうと思っていました。

―同じ１組目を走った福田選手と会話は
レース前に「頑張ろう」と話したぐらいですね。レース後は、僕が（タイムを）稼がなくてはいけない立場だったにも関わらず、福田に先着を許してしまったのと、僕の着順もあまり良くなかったので、福田には「申し訳ない」と話しました。

―レースとしては5500m過ぎに東海大の選手が仕掛けたことで動いた、この仕掛けに関しては
1組目は東海大の花岡（寿哉・4）選手、順天堂の選手をはじめとして、タイムを持っている人が結構いた中で、ラストの3000mくらいで動くかなとは思っていました。でも、意外と序盤からみんなガツガツいくなって思っていて。自分は逆に序盤から余裕がなくて、他の人の仕掛けに関しては、気にならなかったというか、気にしている余裕がなかったです。

―1組目からハイペースな展開となった
例年と比べて、全日本予選が早く開催された影響で、気候的にも速くなるだろうという予想は監督の方からも話されていました。持ちタイム的には、対応できるはずのペースだったんですけど、緊張感とかの部分で負けていたかなと思います。

―終盤、明大と専大の選手を振り払うようなスパートをかけた
ラストの心境は、本当に焦っていましたね。前の方の集団と福田にも置いて行かれていたので、まずいっていう感じで。ひたすら焦っていました。

―1組目を走った他大学の選手の中で、意識していた選手は
東海大の花岡選手は、持ちタイムがダントツだったので、他大学の選手もみんなそうだったと思うんですけど、結構自分の中でもマークしていたと思います。

―1組目以降の自チームの走りについては、どのような心境でご覧になっていたのか
本当に信じるしかないって気持ちで見ていたのと、本当に申し訳ないという気持ちがあって。特に4組目に４年生の2人が走ったんですけど、同期の2人にすごく迷惑をかけてしまったなと思っていました。

―予選会を通過した７つの大学との差は、どのようなところにあったとお考えか
差は本当に色んなところにあったと思っています。単純に練習内容だったり、スピードに対する余裕度だったりとか、層の厚さとかも結構違うなと思っていて。あとは、誰か1人がミスをしても、他の人が取り返せるぐらいの余裕度とかも差に当たると思います。結局、総合力と言ったらいいんでしょうか。総合力に関しては、7位で通過した日体大も、平均タイムはうちとそんなに変わらないと思います。それでも通過した日体大と、うちとの差には、やっぱり総合力が関係してるのかなと思います。

―箱根からもうすぐ半年が経つ、今年の前半シーズンを振り返って
今年の前半シーズンでは、関東インカレでハーフマラソン入賞というところと、全日本予選を通過するというのを、去年から目標として立てていました。ですが、全日本予選が例年より早くなったということで、関東インカレはチームの事情もあって、ハーフを走るとダメージが残るということで、監督と話して回避しました。なので、全日本予選にかける形になったんですけど、納得いく結果にはチーム的にもならなかったし、個人的にも納得のいく走りができなくて。本当に前半シーズンは、目標を何一つ達成できずに終わっていったなと思います。チーム戦である関東インカレや全日本予選で、４年生としての走りも全くできずに、チーム全体と同期には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

―今回の予選会の結果を踏まえて、この夏をどのように過ごしていきたいか
全日本予選を通過できなかったのは、僕の責任がほとんどだと思っています。夏は悔しさをバネにするのはもちろんなんですけど、例えば練習で引っ張ったり、生活面でも引っ張れるところは４年生としてもあると思うので、そこで沢山チームに貢献していきたいです。箱根予選を通過するのはもちろんのこと、箱根駅伝本戦で目標を達成できるようにしていきたいと思っています。

―今後、学内学外問わず、この選手には負けたくないと思う選手は
いっぱいいるんですよね（笑）。他大学だと、東洋大の西村真周（4）選手です。高校の同期で、全日本予選でも同じ1組を走っていたんですけど、相手は着順も1桁で、自分とは大差が開いていました。高校から一回もまともに勝ったことがないので、大学生のうちにもう一回一緒に走れるのなら、絶対勝ちたいと思っています。学内だと、やっぱり大島をずっとマークしているというか、意識していて。前半シーズンは狙っている大会が違って、一緒の練習が少なかったりしたんですけど、夏合宿は多分一緒に練習する機会があると思うので、そこでどんどん挑戦していって、あわよくば勝つ気でいきたいと思っています。

―10月に箱根予選が控える中で、これからチームとしてどのようなところをレベルアップしていきたいか
今回は8人の出走だったんですけど、箱根予選はもっと人数も多くなるし、チーム戦なので走らない人とかも絶対に力としては必要になってくると思います。「チーム全体で箱根予選を通過する」っていう目標意識が、もっと共有されればいいのかなと思います。

―箱根予選に向けて、澤中選手の意気込みを
箱根予選はチャレンジとかじゃなくて、手堅く通過することが大事になってくると思います。まずは、全日本予選を通過できなかった悔しさをそこに向けて、良い結果を残すというのと、一緒に走る仲間たちのフォローを最大限やっていきたいです。

―最後に、法大のファンの皆様へ
日頃より応援していただき本当に感謝しています。今年度は、目標が箱根駅伝のみとなりますが、予選会をしっかり通過して、箱根駅伝では良い結果をお見せできるように、ここから夏、しっかり練習を積み上げて、まずは予選会を頑張っていきたいと思います。

（インタビュー：髙瀬真帆）

田井中悠成

―レースを振り返って
練習の中でも良い手応えを掴んでいたので、スタートラインには自信を持って立つことができました。レース内容としては、ペースのアップダウンがあった中で、前半は集団の中でも前の方に位置取れたですけど、後半ペースが上がっていく中で、2段階3段階一気に上がってくる中で、最後の3～4周目で離れてしまい、対応できなかったことが力不足だと感じました。

―集団の前方の位置取りは狙ったのか、自然となったのか
スタート前からペースのアップダウンはあると思っていたので、前の方で力を使わずに走ろうと自分の中でも考えていましたし、監督からもそのような指示がありました。

―試合途中での雨が強くなったが
雨自体は降るかなと思っていたので、ホットジェルを塗って対策をしていたので、（雨の影響で）体が固まってしまうことはなかったです。

―同じ組の花岡選手とは何か声掛けなどは
スタート前、1組の選手が遅れてしまったので「自分たちで挽回しよう」と言っていました。

―左足がスパイクで蹴られて出血が見受けられたが、その影響は
走っているときは全然大丈夫でしたが、走り終わった後に痛みがきました。今（取材時）も少し痛みがあります。（蹴られたことには気付かなかったのか）削られたなという感覚はありました。ただ、そんなに気にならなかったです。

―後半のペースアップに対応できなかったのは要因は、前半のアップダウンが響いたからなのか
ペースのアップダウンがあって助かった部分もあったんですけど、前半速く入って、その後ペースが落ちて「助かった」と思ったんですけど、そのせいで（集団が）詰まったりしていて、ゴチャゴチャしていて、無駄に体力を使ってしまっていたのかなと、終わってみて思いました。

―吉居駿恭（中大4）選手を始め序盤から数選手が飛び出す展開だったが、田井中選手も飛び出すという選択は
監督からも「前は追わなくていい」と言われていて、吉居選手とレマイヤン（駿河台大3）選手は力が別格だと思っていたので、その他の選手は付いていっても後半落ちてくると思っていたので、吉居選手を追っていくよりは、集団の中で足をためようと思っていました。

―記録を狙う大会と順位を競う大会の違いは
記録会は自分個人の結果なので、あまり緊張しないタイプなのですが、今回は順位が大切になってきて、チームの代表ということもあって、スタート前は緊張していました。

―その中で感じた自分の手応えは
最初から集団の前に位置を取り、気持ちで最初から引かなかったところがよかったと思います。

―今後の意気込みを
今年は全日本も予選敗退して、箱根だけになってしまったので、まずは夏合宿で力を付けて秋以降、箱根駅伝予選会を確実に突破できるように、今回の経験も活かしてチームの代表として予選会突破に貢献して、しっかり戦えるようにしたいです。

（インタビュー：松下天）

花岡慶次

―主将として11位という結果について
かなり悔しい結果ですがしっかりと受け止めて、まだチームとしても1つにまとまっていなかった部分が今回の結果に結びついてしまった部分もあったので、自分自身またチーム1人1人何が足りなかったのかを考えて、箱根駅伝予選会に繋げていく必要があると感じています。

―4年目にして初の予選会出走。2組目という組は
本来であれば3組目であったり、上の組で28分台を出して戦っていくことが立場上必要だったなと思っているんですけど、2組目ということで1組目の流れもそこまで良くなかったので、しっかりとその流れを断ち切って、後半の選手たちの負担を軽くするのが、自分の最低限の役割だと考えていました。しかし、そこもできなくて、チームの足を引っ張ってしまい、主将としてチームメイトはもちろん、応援してくださっている人たちに対しても、申し訳ない気持ちですし、不甲斐ない結果になってしまったので、まずは自分の課題であったり反省点だったりを1つ1つ明確にして、時間はかかってしまうんですけど、予選会までに改善していきたいと思っています。

―後輩の田井中選手には声掛けなどは
あまり1組目の走りが、福田は自己ベストだったんですけど、全体的な順位もあまり良くなかったので、「自分たちで流れを断ち切ろう」と話していました。

―序盤は集団の前方でのレース、監督から指示などは
監督からの指示は特になく、吉居選手がいてハイペースになると思っていたので、先頭には付いていかず、後ろの集団で自分のリズムを刻んで、終盤のペースアップの部分で前に位置取りして勝負、というのが自分のレースプランだったんですけど、思った以上にスローなレース展開になってしまって、最初、前にはじき出されてしまって、自分の思ったようなレースをできなくて、中盤のペース変動というところにも足を使ってしまって、自分の中で冷静にレースを進めることができなくて、自分自身でミスを作ってしまったところが、今回の結果に繋がってしまったのかなと思います。

―集団の中で何回か足が絡まってしまった部分があった、その影響などは
外側からガッと前に来たり、内側から急に外側に抜けようしたりする選手がいて、気を使いながら走っていて、転倒などは無くて良かったんですけど、もう少し上手に位置取りを序盤からするべきだったのかなと思います。

―集団から離れてしまったときの、ご自身の走りに変化などは
7000m過ぎたあたりのペースアップで足を使っていて、集団から遅れてしまって、何とか1秒でも前という思いは常に持っていたので、最後まで前の選手を追いかけて、あきらめない走りというのは意識していました。

―途中から強くなった雨の影響は
しっかりアップもできていましたし、そこの影響はなかったです。

―ロードシーズンでは大活躍だった、今シーズンのトラックレースを振り返って
今シーズン、六大学から始まって日体大と走らせていただいて、どのレースも納得のいくレースではなかったんですけど、徐々に徐々に手応えを感じている部分はあったんですけど、なかなか結果に結びつけず、全日本予選でも自分の課題が浮き彫りになって、経験であったりレース感であったりが甘いなという部分が多いと思うので、まずは自分の課題だと思う部分をつぶして、ここからトラックシーズンは少なくなると思うんですけど、この経験を活かしていきたいと思っています。

―過去3年間はこの時期はけがで苦しんでいたが現状は
体の違和感や痛みも全く無くて、体の故障に対してのコンディションは良好な状態ではあるんですけど、結果に結びつかないことが今までに無い経験で、ここまで状態が上がらないということも無かったので、自分の中でも焦りというか、改善していかないといけない点を見つけていきたいです。

―ロードシーズンに向けて意気込みを
ここからまずは箱根予選会1本になってくるので、今のままでは箱根予選会も危ないと思っているので、チームが変わっていくためにも、まずは自分自身が変わっていくところを第一に考えて、ロードは得意な種目ではあるので、さらに磨いて日本人トップ争いをできるような準備を夏合宿期間に行って、今回の悔しさを晴らしたいです。

―応援してくださっている方たちへ
全日本予選、応援ありがとうございました。そして主将としてチームの足を引っ張る走りをしてしまって、申し訳ない気持ちがいっぱいなんですけど、今後箱根予選会に向けて頑張りますので、応援よろしくお願いします。

（インタビュー：松下天）

（写真：山口晴暉）