MARCH対抗戦2025
(2025年11月22日/東京・町田GIONスタジアム)
MARCHと言われる5大学が毎年しのぎを削るこの大会。1万メートルのレースが4組行われ、各大学上位10名の合計記録によって優勝を争う。正月の箱根駅伝本戦への出場を逃した法大、とりわけ4年生にとっては”法政大学のため”に走るレースはこれが最後となる。法大は初1万メートルの1年生二人を除くと16人が自己ベストを更新する走りを見せ、過去最高の総合3位で野田世代の初陣を飾った。
▼チーム成績
総合成績
| 順位 | 大学 | 記録(平均タイム) |
|---|---|---|
| 1位 | 青学大 | 28分01秒08 |
| 2位 | 中大 | 28分11秒59 |
| 3位 | 法大 | 28分48秒45 |
| 4位 | 立大 | 29分03秒81 |
| 5位 | 明大 | 29分25秒26 |
個人成績
1組目
| 順位 | 選手名 | 記録 |
|---|---|---|
| 2位 | 深田健斗(経2) | 29分23秒21(PB) |
| 3位 | 町田陽太(経2) | 29分26秒03(PB) |
| 7位 | 加藤智也(情3) | 30分02秒72(PB) |
| 10位 | 宮本哲汰(社4) | 30分21秒85 |
| 11位 | 大枝颯太(経1) | 30分26秒35(初) |
| 14位 | 中田拓未(社1) | 30分54秒88(初) |
2組目
| 順位 | 選手名 | 記録 |
|---|---|---|
| 1位 | 湯田陽平兵(社3) | 28分52秒35(PB) |
| 4位 | 野崎翔太郎(経3) | 28分57秒02(PB) |
| 7位 | 山際晃太朗(経2) | 29分08秒36(PB) |
| 8位 | 加庭翔太(社2) | 29分09秒16(PB) |
| 9位 | 星野泰地(スポ3) | 29分10秒27(PB) |
| 13位 | 重山弘徳(経3) | 29分16秒81(PB) |
| 19位 | 平山櫂吏(社2) | 29分40秒35 |
| 22位 | 佐上湘哉(経1) | 29分55秒30(PB) |
3組目
| 順位 | 選手名 | 記録 |
|---|---|---|
| 8位 | 青手木陽太(経2) | 28分37秒14(PB) |
| 15位 | 平井蒼大(スポ3) | 28分46秒94(PB) |
| 16位 | 田井中悠成(経3) | 28分48秒78(PB) |
| 18位 | 花岡慶次(経4) | 28分59秒06(PB) |
| 21位 | 池永航(スポ2) | 29分29秒59 |
| 25位 | 太田煌(社1) | 30分25秒85(PB) |
4組目
| 順位 | 選手名 | 記録 |
|---|---|---|
| 17位 | 野田晶斗(社3) | 28分13秒20(PB) |
| 20位 | 大島史也(社4) | 28分32秒47 |
戦評
夕日が差し込む中行われた第1組目には、法大から6人が出走した。1キロ2分57秒前後で推移していく中、序盤から町田陽太(経2=東農大二)と深田健斗(経2=専大松戸)が前方でレースを展開する。
5千メートルでペースメーカーが離脱すると町田と深田は2人で主導権を握り合いながら、ペースを落とさずに、青学大の2選手と共に4人でラスト千メートルのスパート勝負となる。
ここで田中智稀(青学大1年=名経大高蔵)が前に出て一気にペースを上げると、これに反応したのが深田。最後まで食らいついたが、最終的には2着の29分23秒21、3着で町田が29分23秒21と続いた。共に大きく自己ベストを更新し、ゴール後は健闘を称え合っていた。
また、このレースで引退となった宮本哲汰(社4=九州学院)は自己ベストには届かなかったものの30分21秒85で走り切った。序盤に集団から遅れてしまったが、そこからは自分のペースを刻みながら立て直し、レースの後半は初の1万メートルだった大枝颯太(経1=西宮)を引っ張る姿があった。最後まで堂々と走った宮本は涙と共に静かに靴を置いた。

1組目を引っ張り、PBも更新した深田(写真手前)と町田(写真後ろ)
予選会を走った主力級の選手も登場したこの組では、法大からは最多の8人がスタートラインに立った。序盤から安定したペースでレースが進む中、星野泰地(スポ3=國學院久我山)がペースメーカーの後ろに付ける。その他の選手も集団の中盤で足を溜めるが、徐々に集団が縦長になり振い落としがされる。その中でも最後までトップ集団でレースを進めたのが、湯田陽平兵(社3=関大北陽)と野﨑翔太郎(経3=札幌山の手)だった。
1組目と同じく青学大の2選手と湯田、野﨑の4人で終盤へ。1組ではトップを青学大に譲った法大だったが、ラスト1周の鐘が鳴ると湯田が強烈なラストスパート。3千メートル障害で鍛えた最後の切り替えで後続を一気に突き放し、28分52秒35の組1着。予選会でチーム10番手の悔しさを晴らす会心の走りだった。また野﨑も28分57秒02の好タイムで4着に入るなど、出走した8人中7人が自己ベストを更新。中間層に厚みが増す収穫のあるレースとなった。

驚異のラストスパートで組1着&PBを更新した湯田
3組目の法大勢トップは青手木陽太(経2=自由ヶ丘)だった。最初から縦長な集団の前方でレースを進めると、じりじりと上がり始め、3千メートルを過ぎたあたりで前から4番目の位置につける。その他の選手たちは集団後方でレースを進める。ハイペースな3組目は、5千メートル付近で集団がばらけ始める中、後方から田井中悠成(経3=滋賀学園)が位置を上げ始める。6千メートルを過ぎると青手木が先頭に、田井中も先頭の見える位置に出てくる。その青手木は7千メートル手前あたりからその集団を飛び出すとロングスパートに。残り2千メートルを切ったところで後方の集団にかわされるも、目標タイムの28分40秒をおよそ3秒上回る28分37秒14の好記録でフィニッシュ。さらに続く平井蒼大(スポ3=川西緑台)、田井中の3年生コンビも28分台を出すなど、出走6人中5人が自己ベストを更新するレースとなった。

大幅にPB更新し、レース中盤は先頭に飛び出すなどエースの走りを見せた青手木
例年はエントリーのない4組目には法大記録、28分10秒の更新を目指す新旧エースが登場。3組目に続いてハイペースとなったレースは前半から縦長の集団に。野田晶斗(社3=京産大附)は集団前方で、大島史也(社4=専大松戸)は集団最後方でレースを進める。前半は中大の溜池一太(4年=洛南)が引っ張り、5千メートルを13分58秒で通過。後半は青学大の黒田朝日(4年=玉野光南)が先頭に立ち、全体トップで学生歴代8位の27分37秒62でフィニッシュするハイレベルなレースに。その中でも野田は徐々に先頭集団からは離れたが、第二集団でレースを進め、粘りの走りで最後は28分13秒20と法大記録まであと3秒に迫る好記録。しかし、一人2秒足らずで敗れた箱根駅伝予選会を考えれば、その3秒も大きな3秒。この結果に満足することはできない。次回以降の27分台に期待がかかる。現在の法大記録保持者の大島は後半上げ切ることができず、28分32秒47で最後のMARCH対抗戦を終えた。

法大記録まであと約3秒まで迫った野田
(記事:松下天、篠﨑勇希)
(写真:松下天、篠﨑勇希、寺西幸咲)
※選手のインタビューは後日別の記事にて掲載いたします。楽しみにお待ちください。


