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【硬式野球】今秋27安打を放ち歴史にその名を刻んだ藤森康淳は首位打者&B9獲得 “つなぐ意識”で得た新境地(秋季リーグ戦振り返りインタビュー⑬)

藤森 康淳 外野手

――今シーズンをチーム、個人ともに振り返って
まずチームのことで言うと、今シーズンの集大成というシーズンだったんですけど。シーズン前のオープン戦から出だしはやっぱいいチームに仕上がってきてるなっていう自信はあってリーグ戦に挑んだんですけど。最初の辺りは良かったんですけど、立教を落としてしまってからちょっと落ちた部分もあって。ただ、その次の早稲田はずっとライバル視していて、その早稲田に勝てたっていうところ、早慶に勝ち点を取れたという部分はチームとしてすごくレベルアップした良いところだったなと思います。でも、優勝した明治にはまだまだ力の差があって、改善点もまだまだあるなというのが率直な印象です。個人的に振り返ると、キャリアハイを残してすごくいいシーズンになったなというのと、試合の中でのつなぐ意識の大切さというのを改めて感じたシーズンだったなっていうのがありますね。その理由としては、今シーズンは良い成績を残せて、(今までは)自分の結果ばかりを追い求めてるシーズンもあったんですけど。そういうシーズンよりは、今季は4年生を優勝させたいとか、チームの勝ちに貢献したいという、そういうつなぐという部分を意識して取り組んだ結果がこういう成績にもつながったので、新たな一面を知ることができて良かったなというシーズンでしたね。

――安打、打率ともにキャリアハイで、目標としていた首位打者とベストナインを獲得した
入学した時からずっと目標にしていて、憧れだった賞とタイトルなので。本当に(言葉に)表せないぐらいうれしかったですね。

――初週の慶大戦は4回戦までの熱戦だったが振り返って
すごくタフな4試合になったとは思うんですけど、夏にしっかとりと体力面という部分は練習に落とし込んで、チームとしてやってきた部分があったので。体力としては劣らないなという自信はチームとしてはありました。それに加えて、慶応のピッチャー陣に対しては、自分たちも打撃は結構みんな自信があったので。このピッチャーだったら打てるなというか、点を取れるなというバッター陣の自信があって。ピッチャーがどうにか5点以内ぐらいで抑えてくれたら(勝機は)あるなというふうに感じていて、それがうまく噛み合って勝ち点を取れたのかなと感じます。

――その慶大2回戦では2季ぶりの本塁打も生まれた
本当にホームランを狙っていたわけではなくて、自分は足が武器なので、出塁することだけを考えていました。ただ、ヒットの延長線でホームランになってくれて、結果としてはすごくいい結果になったなと感じます。

――2勝1敗で勝ち点を落とした立大戦を振り返って
やっぱり、ピッチャー陣の課題が浮き彫りになったなっていうのと。慶應戦からもそうですけど、ずっと点を取られる試合が多かったので。最後の3戦目は僅差の試合(0-2で敗戦)になっていますけど、みんながすごく調子が悪い時に何かアイデアを出してやるっていう、野球IQが使えなかった部分が負けの要因だと思うので、そういう法政の弱みというのが全て出てしまったのが立教戦だなと思います。

――立大戦で勝ち点を落としてから早大戦まで空き週があった。早大戦に向けての練習や調整は
もう次の試合から落とせる試合は1つもなかったので。まずは早稲田の1戦目は伊藤樹(4年=仙台育英)が投げることはほぼ確定していたので、その伊藤樹をどうやって打ち崩すかという中で。やっぱり1戦目を取らないと流れはなかなか来ないので。1戦目の伊藤樹の攻略方法とかを、空き週にあった練習試合で、イメージを持って、みんなそこにフォーカスして取り組んでいました。個人としても、やっぱりしっかりとピッチャーのデータを加味して練習に落とし込んでやっていましたね。

――早大から23年春以来、5季ぶりの勝ち点を獲得。ベンチの雰囲気も含めて早大戦を振り返って
やっぱり早稲田戦が今年のやってきたことというか、この夏からやってきた、積み上げてきたものが全て出た3試合だったと思います。伊藤樹も本調子ではないなと打席に立って感じたので、これはいけるぞということで、やっぱり受け身にはならずに攻めていこうということで、そういう声かけもあって。4年生も春に比べて少しベンチメンバーが増えている部分はあったので。そういった部分で、4年生中心に活気があって、すごくいい雰囲気でできた結果だと思います。

――東大1回戦では法大記録に並ぶ24安打目を放ったが、記録への意識はあったのか
そうですね。意識しないでいようと思ってもいろんな人から言われたり、SNSを見てたら上がっているので。逆にもう意識しないでおこうと思うのではなくて、逆にめちゃめちゃ意識した中で打ってやろうという感じでした。ただ、やっぱり記録もかかっていて、打率も結構高かったので。かなりプレッシャーはあった打席で、自分がスイングしているのかしてないか分からないぐらい緊張していたので。ただ、自分はツーストライクになってからが結構得意で、強みっていう部分ではあるので、ツーストライクになっても転がしたらどうにかなるだろうというぐらいのマインドでやってました(笑)

――東大3回戦の最終打席ではあと一本出れば歴代安打記録の単独2位に躍り出るという中で四球という結果だった
打ちたかったんですけど、なかなか(コントロールが)定まっていないピッチャーだったので、強引に行くのも違うなと思ったので。そこはチームのことを優先して、ほんまに甘い球だけ打っていこうという中で、そういう球が来なかったので、フォアボールを選びました。

――夏は体づくりを中心に練習してきたとのことだったが、ご自身の打撃開花の要因は
体作りを夏はやってきて、スイング量もかなり増やして、個人的にはスイング力、スイングスピードという部分もかなりついて上がってきていたとは思います。それに加えて、去年から取り組んできた逆方向への意識です。自分は足があるので。逆方向に飛ばしたらヒットゾーンっていうのも増えて、内野安打とかも増えてくるので。別に当てる(だけのバッティング)ということではないんですけど、しっかり振り切って、逆方向に飛ばせるような練習をしっかりとやってきたのと。あとはツーストライクバッティングですね。自分は三振しちゃいけないタイプだと思うので。なんとしてでもツーストライクからバットに当てようと、どうやったら1番ツーストライクから対応できるのかなというのを自分なりに考えて練習に落とし込めたのが、技術面としては良かったところですね。

――今のお話にもあったが、安打の半数以上がセンターから逆方向。改めて打球方向への意識は
元々、1、2年生の時は引っ張りのバッターだったので、逆方向を打つのが苦手で、それでは打率が残りにくいなっていうのもあって。大島さんのお声かけもあって、逆方向に打つ練習というか。その間に社会人の練習とかも行かせてもらって。社会人の方とかに逆方向の打ち方とかをいろんな方に聞いたりして、それを練習に落とし込んで。元々は逆方向を狙いすぎてファールっていうのが多かったので、最近はセンターとショートの間ぐらいに引っ張るぐらいのイメージで打っています。

――お話にもあった三振は今季、過去2シーズンに比べ半減。三振率7%は春シーズンの16%から大幅に改善されたが追い込まれてからの意識やスタイルに関しては
一番、目に見て分かるのは、自分はツーストライクになるまでは足を上げてるんですけど、追い込まれたらノーステップに変えていて。やっぱり目線のブレをなくしたいっていうのと、最後まで粘りがほしいっていうのでノーステップにしているので。それと、意識的にはどうしても低めの変化球を振って三振っていうのが、自分は嫌なので、低めの際どい真っすぐとかは『もう見逃し三振でいいや』ぐらいのイメージで、高めを打つぐらいのイメージでやっています。

――27安打のうち24本がシングルヒットでそのうち8本が内野安打だったが安打の形への考えは
もちろんクリーンヒットも大事ですけど、やっぱり自分の中では泥臭いヒットっていうのが1番チームのが雰囲気が上がるというか、良くなるヒットだと思うので。ヘッドスライディングして、全力で走ってヒットをもぎ取るっていう、リーグ戦ではその一つのヒットを大事にしていましたね。

――前半8試合は打率.533、後半7試合は.392と後半少し数字を落としたが、コンディションやテクニカルな面での違いはあったのか
前半はメンタリティ的にそこまで、ベストナインだったり首位打者だったりヒット記録といった、そういうのを意識することはなかったので、やっぱり気軽に(打席に)立てていて。後ろにも松下(歩叶、営4=桐蔭学園)さんが打ってくれていたので、結構安心して気楽に入れたっていう部分が多分大きいと思います。後半はその反対で、やっぱりプレッシャーが伴ってきて、やっぱり思うような打撃がなんだかんだでできなくなってきたというのがあるので。そこはやっぱりこれからの課題にもなってくると思うので、そういうプレッシャーを感じた時にどういうメンタリティでできるのかっていうのも、今後しっかり研究というか、考えてやっていきたいと思います。

――春と比べて盗塁数が8から1に減っているがその点は(それは打順が関係しているのか)
単純にサインが今季は出ていなかったというのはあるんですけど。後ろが右バッターの歩叶さんで。歩叶さんは今季は結構真っすぐで攻められていたことが多かったので。右バッターっていうのもあって、キャッチャーから見えやすくて、真っすぐが多いってなると結構走りづらい部分もあったので。あと、一塁にランナーがいた方がヒットゾーンも増えますし、松下さん的にもそっちの方がいいのかなっていう考え方もあって。出塁していた割にはそんなに走る場面がなかったなっていうのが自分の率直に感じたことですね。

――以前のインタビューでセンターの守備では声掛けや連携を大事にしていると仰っていたが、センターの守備の技術的な面での意識は
後ろの打球は自分的には結構自信があるので。どっちかと言ったら前の打球、ピッチャーが打ち取った打球をどれだけポテンヒットにせずに捕ってあげられるかっていうのがやっぱ外野手の役目かなと思うので。そういう前の打球の練習はこだわってやってきたので、その分、春に比べたら全体的に外野はそうだと思いますけど、前の打球のヒットっていうものは防げたのかなと思うので、そういった面ではすごく良かったというのと、ポジショニングを結構3人で話し合って決めてたっていうのが3人ともいいプレーにつながっていたのかなと思います。

――春までとグラブを変えたが、グラブにはどのようなこだわりが
元々は春に使おうと思っていたんですけど、型ができてなくて、使えなかっただけなので。そこまでこだわりはないですね。

――主将の松下選手がドラフト1位指名されたがご自身のプロについての思いは
松下さんもそうですけど、自分の周りは高校の時で言ったら、侍ジャパンで一緒にやっていたメンバーも数人プロに行って。で、高校の同級生の二遊間を組んでいた子が1人行って。結構身近でプロ野球行ってる人が多いので。それはすごく刺激にもなりますし、(周りが)ドラフトにかかったら、やっぱりこうやってプロ行きたいなという気持ちが一段と上がるので。そういった刺激をもらえる環境で、そういった選手たちと一緒に野球をやらしてもらっているということには本当に感謝しています。

――これまでチームを引っ張ってきた松下選手を始めとした4年生はこれで卒業。4年生への思いは
松下さんを中心に、なかなか4年生もベンチに入っている人も少なかったので。特に松下さんにとっては苦しいシーズンになったとは思うんですけど、その中でも弱い部分を見せずに先頭に立って引っ張ってくれた松下さんはすごく尊敬できて。本当にすごい方だなと、プレーもそうですけど人としてもすごくできた方だなと思うのと。他の4年生もこの代はすごく、弱い法政を変えようと、何か変えようという形で、すごくいい部分を残していってくれたので、そういった部分を本当に4年生の皆さんに感謝しています。

――来年はチームを引っ張る立場になると思うが、ご自身として10番を背負うことへの気持ちは
主将であっても、何の役割であっても、任されたことを全うするだけなので。まずはチームの優勝に貢献できるような選手に、導けるような選手に、どんな立場であろうとできるように。どちらにしろ引っ張っていく立場にはなると思うので。松下さんの思いを引き継いで頑張っていきます。

――その意味も含めて、来季は最高学年となるがどのようなチームを作っていきたいか
能力を持った選手は多いんですけど、やっぱり神宮で勝つには能力だけでは全然勝てないので。ピッチャー陣も他大には劣っていますし、全体の能力的にはまだまだ劣ってる部分があるので。やっぱりみんなもう一回挑戦者の意識というか、そういう意識を持って、つなぐ意識で、つなぐ野球で来年はやっていきたいなと思います。

――日本代表候補合宿に2年連続で選抜されたが
こういった他の大学のプロ注目とかの選手たちが集まるところで、一緒にプレーさせていただくということはなかなかないことなので、自分の気になる選手とかにしっかり気になることは聞いて、色々吸収してプラスにして帰ってこれたらなって思います。

――春へ向けて見えたチーム、個人の課題は
チームとしては、打撃の部分はかなり力がついてきてるとは思うので。ただ、打撃の部分でもやっぱり細かい盗塁を含めて走塁の部分とか、バントの部分とか、そういった部分のレベルをもっと上げていかないといけないところだと思うので。あとはディフェンスの部分ですね。エラーもちょっと出てしまったっていう部分もあるので。目に見えてわかるのは、もうピッチャー陣の強化ですね。ディフェンスをしっかりしたら、同点はあってもやっぱり負けることはないと思うので。まずは守りを固めて勝機を待てるようにしっかりディフェンスの部分から固めていきたいなと思います。個人的にはやっぱり打撃の部分で言うと、チャンスで1本出すというのが、やっぱチャンスで倒れていることが今季はちょっと多かったので。勝負強いバッティングっていうのと。あとは1球で仕留める部分で、やっぱり初球でファール、ファーストストライクはファールになってる部分が多くて、そんなことをしていると不利なので、しっかり初球で仕留められる能力というのをつけていきたいなと思います。

――応援してくれたファンの方へ向けて
今季も応援ありがとうございました。来季は天皇杯奪還できるように死力を尽くして頑張りますので、応援のほどよろしくお願いします。

(インタビュー:篠﨑勇希)

藤森康淳(ふじもり・こうじゅん)
経営学部3年・2004年8月10日生まれ
大阪府出身・天理
170cm68kg・右投左打
今季成績:15試合 58打数 27安打 打率.466 5打点 1盗塁

硬式野球部の写真はスポーツ法政新聞会の公式インスタグラムにも掲載しております。ぜひご覧ください。

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