【アイスホッケー】ベスト8の壁を打ち破れ! インカレ直前特集後半

アイスホッケー

ベスト8の壁を打ち破れ! インカレ直前特集後半

2014年12月22日(月)
東大和スケートセンター

来月5日に北海道釧路市で開幕する第87回日本学生氷上競技選手権大会(以下インカレ)。スケート部アイスホッケー部門は過去8年間、毎年準々決勝で涙を飲んでいる。今年こそ長年の壁を破り、先に待つ頂点をつかみ取る時だ。そのインカレへチーム、そして自身の集大成を懸けて臨む4年生の思いとは。後半はチームの守護神・藤田拓丸(法4)とFWの磯田祥平(文4)、間山慎也(営4)、吉田厳介(人4)のインタビュー、そして大会展望です。

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左から藤田、吉田、磯田、間山

“発展途上”のチーム

 ―リーグ戦が終わってから約1ヶ月が経ちましたが、今のチームの雰囲気や様子はいかがですか
磯田:リーグ戦は不本意な結果に終わってしまいました。インカレが泣いても笑っても最後なので、自分たち4年生はとにかく団結してやっていこうという気持ちで固まっています。そのために今、練習をしているところです。

―インカレまで少しの間が空いていますが、どのようにしてモチベーションを保ってきましたか
藤田:やるべきことは何かというのを改めて考え直しました。寮からリンクまで走ってきたりなど、今までやっていなかったことを取り入れて練習量を増やし、陸トレも再開しました。リーグ戦が終わってから短い間ですが、常にインカレへの意識を途切れないように工夫してきました。

―寮からリンクまではどのくらいの距離があるのですか
藤田:6kmです。

―今年は練習量を増やしたりしてチームを変えようとしてきましたが、結果は変わらず5位ということについてはどう感じていますか
吉田:思うようなチームの姿には少しずつ近づいてきてるのではないかなと思います。でも、中央に勝てたのに慶應に勝ちきれなかったりなど、普段の生活でやるところとやらないところのメリハリができていない点が秋リーグでは響いてしまった気がしました。なのでトレーニングや試合の意識だけでなく、普段の行いから見直すことでより良いチームになれるのではないかと。まだ向かっている途中です。
藤田:釧路入ってからもっとハードにやっていきますし、ここでやるのは土台作りとして身体をまた作り直していく期間でした。釧路に入ってからも、ギリギリまでトレーニングを続けることで、絶対に効果は出ると思っています。

―監督はシュートが少ない、ゴールを狙う気持ちが低いなどと仰っていましたが、その点を自分たちでも感じていましたか
間山:他の大学に比べてシュート数がすごく少ないので、普段の練習からシュートを心がけていました。シュート数が少ないのは致命的ですが、逆にシュート数を増やせば点数につながって勝てる可能性が増えると考えると、弱点が見えている分修正しやすいと思います。シュートを打っても単発で、リバウンドを拾えないのも課題です。分かってはいるんですけど、難しいです。
藤田:極論は自分が全部止めれば勝てるんですけど、そういうわけにもいかないので…。法政の選手はできない人の集まりではないですし、技術云々ではなくコミュニケーションがより取れれば、もっと良くなるのではないかと期待しています。

―先制点を取られてしまった試合はそれを引きずって、そのまま負けてしまったことが多い印象があります
磯田:試合の流れや展開と勝敗との関係については、厳介が全てデータにしてまとめてくれています。リーグ戦後からは(データを)出して終わりではなく、みんなに周知することをやってきました。パワープレーを生かしきれてないことなど、データにして出すことによって改めて実感できました。
藤田: 自分たちがどのような時に勝てて、どのような時に負けてしまったかの傾向が理解しやすくなり、意識も変わったように思えるので感謝しています。データ化して目に見えるようにすると全然違います。

―GKとしてその辺りの実感はいかがですか
藤田:先制点をとられてしまった試合は負けているのが現状ではありますが、自分としては焦りも何もないです。1点取られたら自分はそれ以上失点しないようにして、みんなに1点返してもらえばいい話ですしね。ただ、そういう後ろめたいときにいかにかかっていけるかが、インカレでは一発勝負なので重要になってくると思います。
間山:1点取られても、取り返したときチームもすごく盛り上がりますね。入れられたあとに入れ返すのは燃えますし、1.5点分の価値を感じます(笑)

―データにしてまとめているのは今年からですか
磯田:昨年から吉田くんがやってくれています。目に見えるものがあるのとないのでは全然違いますね。

―新ルールになってから走る時間が増え、運動量が多くなったと思いますが、法政のホッケーとしては有利に働いていますか
磯田:法政はもともと走るホッケーを売りにしていましたし、それを有利に使えるように練習して対応はできました。ただ、相手も対策は取ってくるので、結局目に見えるような変化はすぐには見られなかったです。
藤田:でもそういうときに生きてくるのが慎也の足なので。
間山:任せてください。ダンプすれば全部とれるので、自分が全部とってきます。

―釧路ではどれほど練習する予定ですか
磯田:リンクが2回、陸トレ1回の計3回を毎日です。

―リーグ戦を終えた時点で自分たちに足りないと感じているものは
間山:得点力…失点もですね。得点が少なくて失点が多いという根本的なところにあります。致命的だね(苦笑)
藤田:生活態度にムラがあるのが試合結果に響いたのは本当に反省しましたし、みんなで話し合いました。
吉田:でも反則数が減っているのは明らかです。秋リーグでも昨年よりも10個ほど反則が少ないんですけど、やっぱり足が動くことによって焦りが減るから、反則数も減っています。まだ点数には結び付いてないですが、しっかり結果になってきている気がします。

―互いのプレーをどう見ていますか
磯田:間山は1年のころからのスピードスターだからね。チーム一です。
間山:要するに足が動かなかったら終わりなんですけどね(笑)
磯田:インカレのときは間山の足に注目です!厳介は司令塔。3セット目という一番失点をしてはいけないセットでセンターなので。
藤田:磯田くんはチームの雰囲気をすぐに察して盛り上げるのが得意なので、チームとしてはすごく必要な存在です。
間山:拓丸は止めてくれるから安心してプレーできます。
吉田:朝寝坊さえしなきゃなぁ(笑)
磯田:セーブ率も秋2位だからね。
間山:やるときはやる男だよ、みんな。

最高の結果を

―インカレは準々決勝の明大との試合が一番の鍵になりますが
間山:そうですね。明治を意識した対策はある程度はあります。でもさっきも言ったように、根本的な点をまず意識することが一番だと思っています。失点を少なくすることや、得点力をあげること、リバウンドを拾うこと、などですね。
藤田:全てにおいて相手を上回れば勝てる、それだけですよね。
吉田:あとは一発勝負なので運をどれだけ引き寄せられるかというね。

―8年連続ベスト8止まりということについて
藤田:優勝しようと言って8年経っているわけですし、何か足りないところに気づけないと始まらないですよね。そうでないと、この壁は壊せない。なので、なぜ負けたかを話し合ったりする機会を設けて、みんなで考えるようにしています。自分たちにとっても、1年から4年まで全てベスト8では悔しいですし、誇れるものではないので最高の結果を残したいです。

―インカレの開催地・釧路市にゆかりはありますか
吉田:出身が釧路の人はいないですけど、キャプテンの佐々木と小原とは高校時代釧路で決勝もしていますし、その土地でまたやれることに対してなにか思うところとかあるんじゃないですかね。

―卒業後も競技には関わる予定はありますか
磯田:まずは卒業できるかどうかですけどね(笑)やっぱりやめるのは難しい。どうしてもやりたくなってしまうと思うので。社会人としてやったりだとか、子供たちに教えたりだとか、そういう形で携わっていきたいですね。あとは店でスケート磨くとか(笑)間山は社会人としてやるのが決まっています。
間山:社会人でてっぺん目指します。

―インカレに生かしていきたい自分のアピールポイントを教えてください
磯田:僕の場合はチームのみんなのモチベーションを上げたり、試合のプレー以外になってしまいますが、ムードメーカーとして最後までやっていきたいです。
藤田:自分は諦めない気持ちですね。執念深く、自分の色をしっかり出していきたいです。
吉田:自分勝手なプレーではなくて、チームを思ったプレーをしていきたいです。身体張ったり、自分が犠牲になってでもパックを止めたり、目立たなくてもいなくてはいけない存在になりたいです。
間山:自分の仕事は点を取ることなので、スピードを生かして、インカレではチームで一番点数を入れて、MVPを取ります!

 (取材:大森麻子)

プロフィール

#35 GK藤田拓丸(ふじた たくまる)
法学部4年 東北高出身
174cm・73kg レフトキャッチ

#19 FW磯田祥平(いそだ しょうへい)
文学部4年 北海高出身
171cm・74kg レフトハンド

#10 FW間山慎也(まやま しんや)
経営学部4年 清水高出身
173cm・75kg ライトハンド

#11 FW吉田厳介(よしだ げんすけ)
人間環境学部4年 東北高出身
172cm・77kg レフトハンド

大会展望―2冠の明大、強豪中大を撃破せよ!

 春の関東大学選手権、秋のリーグ戦ともに5位というここまでのシーズン。春は3年連続の5位に終わったものの、GWSで敗れるという紙一重の差での5位。サマーカップでは2年ぶりの準優勝とチームは成長し続けているかに思われたが、リーグ戦では不完全燃焼の2季連続5位となった。
 5人そろえば圧倒的な力を発揮すると言われた昨季のチームに比べて、今年はそれほどの勢いはない。リーグ戦の総得点は昨季から22点減少。チャンスで決めきれないなど、1点が遠い展開が目立った。しかし、上位セットの顔ぶれは「4強」に引けを取らない。1セット目の小原日向(営4)と木戸啓太(営2)は攻撃の起点で、チームの得点に欠かせないライン。そこへ攻撃力も兼ね備えるDFの佐々木祐希(営4)が入るといった勢いのあるセットだ。第2セットは先日のU20世界選手権に出場した松本力也(人2)をはじめ、リーグ戦でチーム最多タイのゴール数を決めた西口開羅(法1)、ジャンプアップに優れた横山恭也(営3)などといった得点センスのある選手がそろう。今年の勝ちパターンはロースコアに持ち込むこと。インカレでも同様の展開で勝利をつかみとりたい。

 1、2回戦を順当に突破すれば、準々決勝で待ち受けるのは明大。春と秋を制した今季2冠の強敵だ。毎年優勝候補に挙げられながらも頂点から遠ざかっていたが、春に6大会ぶりとなるタイトルを獲得。リーグ戦も8季ぶりの優勝と、ついに殻を打ち破った。強みはエース・大津晃介や大椋舞人らを中心とした厚みのある攻撃。スピードとスキルを兼ね合わせたタレント豊富な選手層で3冠を狙う。強力FW陣を封じ、いかに点を与えないかが勝負の行方を左右するだろう。一方、リーグ戦で完封勝利は一度もなく、つけ入るとすればそのディフェンスか。
 準決勝の相手は中大が濃厚だ。今季は春秋ともに2位に甘んじたが、昨季2冠の強豪。抜きんでた存在であることに変わりはない。とりわけ鈴木健人、ゴール、ポイントの2冠を達成した古橋真来、星龍之介といった強力ラインを擁する第2セットの得点力は脅威。正確なパスワークから繰り出される攻撃と、冷静沈着な守護神・小野田拓人を中心とする鉄壁の守りにつけ入らなければ、勝利は見えない。特筆すべきはやはり守備。リーグ戦の失点は1試合平均1.4点と非常に堅い。法大が勝利した1次リーグの対戦もスコアは2―1。ロースコアに持ち込めるかが鍵を握るだろう。

 法大と反対側のブロックでは昨季インカレ王者の早大、東洋大に加えて西の雄・関大の三つ巴が予想される。早大はリーグ戦では1次リーグ首位も、後半は上位校に1勝もできずに失速した。東洋大は2大会ぶりの出場。突出して得点を稼ぐ選手はいないが、チームに徹したプレーが持ち味だ。秋も粘り強い戦いで最終節まで優勝争いに加わった。関大は2年前の準優勝が歴代最高成績であり、関西勢初の頂点を目指す。

 長年立ちはだかるベスト8の壁だが「僕らの代でそれを払拭することができたら一番幸せ」と石橋智輝(法4)。前回はGWSの末に敗れて準決勝進出を逃し、選手は氷上で涙に暮れた。今年こそ壁を打破し、法大の歴史に新たな1ページを刻むことができるか―。今年のチームの集大成となる最後の戦いは、まもなくフェイスオフを迎える。(熊谷優)

フォトギャラリー

  • 4nen2左から藤田、吉田、磯田、間山
  • fujita p守護神・藤田
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  • mayama間山
  • yoshida吉田
  • 4nen4年生集合!
  • chuo1悲願の優勝なるか(写真:1次リーグ中大戦)

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