第94回関東大学サッカーリーグ戦 第22節 法大ー早大
2020年12月19日(土)
前節は4得点と攻撃陣が爆発し連勝を飾った法大は、負ければ全国大会出場の可能性が消滅する大一番に臨んだ。相手は試合前の時点で2位につける難敵・早大。序盤から試合の主導権を握ると24分、飯島陸(経3)が先制点をあげる。前半終了間際に早大に退場者が出るなど、法大優位のまま試合を折り返すと、後半にも78分に服部剛大(社4)が追加点を奪い3連勝。活動再開後の無敗をキープし、見事全国大会出場を決めた。
試合結果
トータル試合結果
2 法政大学 |
1 | 前半 | 0 | 0 早稲田大学 |
---|---|---|---|---|
1 | 後半 | 0 |
試合スタッツ
時間 | 経過 | 大学 | 選手名 | 得点経過 |
---|---|---|---|---|
24分 | 得点 | 法大 | 飯島 | 1-0 |
60分 | 交代 | 法大 | 竹本→服部 | |
72分 | 交代 | 法大 | 飯島→佐藤(大) | |
78分 | 得点 | 法大 | 服部 | 2-0 |
83分 | 交代 | 法大 | 平山→大塚 | |
88分 | 交代 | 法大 | 長谷川→陶山 | |
93分 | 交代 | 法大 | 田部井→宮本 |
スターティングメンバー
背番号 | ポジション | 選手名 | 学部・出身校 |
1 | GK | 中野小次郎 | 経済4・徳島ヴォルティスY |
3 | DF | 高木友也 | 経済4・法政二高 |
2 | DF | 城和隼颯 | 社会4・柏レイソルU18 |
31 | DF | 森岡陸 | 現福4・ジュビロ磐田U18 |
23 | DF | 関口正大 | 現福4・新潟明訓高 |
6 | MF | 松井蓮之 | スポ3・矢板中央高 |
14 | MF | 田部井涼 | 経済3・前橋育英高 |
7 | MF | 竹本大輝 | 経済4・成立学園高 |
9 | MF | 平山駿 | 経済4・三菱養和SCY |
10 | MF | 長谷川元希 | 現福4・大宮アルディージャY |
15 | FW | 飯島陸 | 経済3・前橋育英高 |
サブメンバー | |||
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12 | GK | 近藤壱成 | 経済2・ジュビロ磐田U18 |
5 | DF | 宮部大己 | 経済4・法政二高 |
16 | DF | 陶山勇磨 | 現福3・帝京第三高 |
30 | DF | 市川侑生 | 現福2・浜松開誠館高 |
19 | MF | 宮本優 | 現福3・清水エスパルスY |
28 | MF | 佐野陸人 | 現福2・清水エスパルスY |
11 | MF | 服部剛大 | 社会4・横浜FCY |
32 | FW | 大塚尋斗 | 社会2・矢板中央高 |
20 | FW | 佐藤大樹 | 経済3・北海道コンサドーレ札幌U18 |
試合後順位表
順位 | 大学名 | 勝点 | 試合数 | 勝-分-負 | 得点/失点 | 得失点 |
1位 | 明治大学 | 48 | 22 | 15-3-4 | 47/20 | 27 |
2位 | 早稲田大学 | 44 | 22 | 14-2-6 | 48/21 | 27 |
3位 | 順天堂大 | 38 | 22 | 12-2-8 | 38/34 | 4 |
4位 | 桐蔭横浜大 | 37 | 22 | 11-4-7 | 39/31 | 8 |
5位 | 法政大 | 30 | 18 | 8-6-4 | 32/24 | 8 |
6位 | 駒澤大 | 29 | 19 | 9-2-8 | 38/37 | 1 |
7位 | 立正大 | 27 | 21 | 8-3-10 | 33/36 | -3 |
8位 | 国士舘大 | 26 | 20 | 8-2-10 | 29/32 | ‐3 |
9位 | 慶應義塾大 | 26 | 22 | 7-5-10 | 23/29 | -6 |
10位 | 筑波大 | 22 | 20 | 6-4-10 | 25/38 | -13 |
11位 | 専修大 | 20 | 20 | 6-2-12 | 31/54 | -23 |
12位 | 中央大 | 9 | 22 | 2-3-17 | 27/54 | ‐27 |
後期リーグ途中経過
節 | 日付 | 対戦校 | 結果 | 会場 |
12 | 10月10日 | 順天堂大 | △1-1 | 非公表 |
13 | 10月17日 | 慶應義塾大 | ○2-0 | 非公表 |
14 | 12月9日 | 明治大(延期分) | △0-0 | 非公表 |
15 | 12月22日 | 専修大(延期分) | 非公表 | |
16 | 11月7日 | 筑波大 | 延期 | 延期 |
17 | 12月25日 | 立正大(延期分) | 非公表 | |
18 | 12月28日 | 駒澤大(延期分) | 非公表 | |
19 | 12月15日 | 桐蔭横浜大(延期分) | 〇4-2 | 非公表 |
20 | 12月6日 | 中央大 | 〇4-3 | AGFフィールド |
21 | 12月12日 | 国士舘大 | 〇1-0 | 非公表 |
22 | 12月19日 | 早稲田大 | 〇2-0 | AGFフィールド |
マッチレポート
この試合に負ければ全国大会出場の可能性が潰える法大は、リーグ優勝への望みを勝利でのみつなげる早大との対戦となった。両チームともに負けられない一戦で法大は前節で4点を先取し大勝したスタメンを変更せずにこの試合に臨んだ。
法大は序盤激しいチェックを受けながらもボールを保持しゲームの主導権を握るが、ラストパスが合わず好機を点につなげることができなかった。守備面では、ボールを奪われた後の早大のカウンターに手を焼いたが、8分にCBの森岡陸(現福4)がピンチの芽をスライディングで摘むなど決定機を生かさせないゲームの入りとなった。スコアが動いたのは24分、MFの松井蓮之(スポ3)が中盤でボールを奪い、ドリブルで突破しFW飯島陸(経3)の裏抜けに合わせたスルーパスを送る。飯島はこのパスをアウトサイドでコントロールし、冷静に早大GK山田晃士との駆け引きを制しゴールネットを揺らした。しかしこのあと25分過ぎから早大に押し込まれる展開となり、守りの時間帯が増えるも点を与えない守備で難を逃れた。前半終了間際にはデュエルの激しさによる一触即発の事態から早大の丹羽匠が退場という結果となり、そのまま前半を終えた。
後半は49分に早大の素早いパスワークからピンチとなるもゴールポストに助けられ、同点弾の危機を凌ぐことから始まった。しかし、その後は数的優位を生かして法大ペースで試合が進み、54分と59分にMF竹本大輝(経4)から好機が演出されそれぞれMF長谷川元希(現4)と飯島がシュートを放った。その後法大は60分にMF服部剛大(社4)、71分にFW佐藤大樹(経3)を立て続けに交代で投入させ、追加点を取りにいく。62分に交代直後の服部が起点となり、飯島、DF関口正大(現4)とつなぎチャンスを生み、枠を捉えたシュートを放ち、続けて78分には服部自らボールを運び、ボランチの田部井涼(経3)に預け、長谷川にパスがつながった後に再びボールを受けボレーを左隅に決めてチームに追加点をもたらした。その後は、81分に早大FW梁賢柱にシュートを放たれるもGK中野小次郎(経4)が飛びついてセーブし、ゴールを割らせなかった。攻守ともに奮闘し、早大に流れを渡さずに安定したゲーム展開で2-0の勝利を収めた。
この試合に勝利したことで、コロナウイルス自粛明け後の無敗を継続するとともに他大学の結果から全国大会出場が決定した。近年は2018年に全日本サッカー選手権大会、総理大臣杯の二大会で優勝を収め、天皇杯でもベスト16に残るなど「カップ戦の法政」と言われるような成績を収めている。今後は22日に専修大学、25日に立正大学、28日に駒澤大学と対戦する。連戦が続く日程となっているが強敵早大を下した勢いそのままに連勝を重ね、日本一を奪還する法大に期待したい。
(記事/撮影・根本舜平/磯田健太郎)
選手コメント
長山一也監督
ー今日の試合を振り返って
勝利でしか全国大会への出場権を得られなかったので、勝ち点3を取るところと、早稲田さんにはちょうど開幕戦に負けているので、リベンジをしようという話をして試合に臨みました。
ー早大の印象は
勢いがあるチームというか、得点を取った後も畳みかける力や、団結力がある印象ですね。
ー今日の試合に向けて準備したことは
相手(のシステム)がアンカーを置いているので、どうスペースを使っていこうかとコーチたちと準備してきて、あとは自分たちのサッカーというのは最下位明けからできていたので、その良い状態を維持して試合に入りました。
ー飯島選手の最前線起用がここ2戦見事にはまっています。飯島選手の良さはどのようなところにありますか
背後への抜け出しの感覚を持っているので、今日も実際1点目のシーンは裏への抜け出しからのゴールで、彼の良さが出ましたね。トップ下で起用することがこれまでは多かったのですが、彼をより生かせるポジションはもう一つ前かなというところで、最近は最前線で、点も取ってくれています。
ー服部選手もゴールを決めました。
(リーグ戦は)就職活動の場なので、アピールしてこいと送り出しました。今日のミーティングでも、まだ(プロに)決まっていない4年生もいる中で、全国大会に出れば注目されると思うので。仲間のためにも今日は絶対に勝とうという話はしましたね。タケ(服部)は数字残しましたし、引き続き頑張ってほしいですね。
ー連戦が続いていますが、長山監督から見て欠かせない選手はいますか
守備の選手、(中野)小次郎とかは軸になっていますが、特に4年生は外せない選手になってきたと思います。他には松井蓮之(スポ3)がずば抜けて良くて、あのポジションでは大学ナンバーワンといっても良いのではないかってくらいの実力になっています。ボールを取るところで、アンカーとしての力強さは元々ありましたが、今日はフィニッシュにも絡んできたので、すごく法政にとっては欠かせない選手かなと感じます。
ー新型コロナウイルスによる自粛があったにもかかわらず、チームの状態はとても良いように見えます。自粛前と後でなにかチームで変わったことはありましたか
精神的なところですね。最初の緊急事態宣言で活動ができない時と、今回の自粛と2回(活動の中断が)されると彼らも相当なショックやダメージがあったとは思いますが、そこからどのようにプラスに持っていくかという話をできましたし、それを苦しいときや上手くいかないとき、また上手くいっているときに、「これ(サッカーができること)が当たり前じゃないんだ」と、落ち着いてサッカーができて結果につながっているように感じます。
ー自粛期間中に特別にやられたことはありますか
大学の保健体育センターの方が再開に向けて研修もしてくれましたし、活動理念やいろいろなことを考え直す時間を取っていただいて、ステークホルダーの皆さんの裏にはどんな方がいて、どんな迷惑をかけたんだと考え直す時間もできました。逆に言ったら応援してくれる方々がこれだけいるんだということを実感できる時間があったので、その期間は彼らにとって原体験を養う時間になったのではないかなと思います。シーズン前から理念や意識については彼らに話してはいたのですが、クラスターが起きて、このような経験をしたことによって、「こういうことだったのか」と実感をもって彼らの中に落ちていったのではないかなと。実際にリアリティーをもって考えるようになったので、それ(考えること)がサッカーと直接関係があるかといったらそうではないかもしれませんが、考え方がでてきたことが、今の結果につながっているのではないかなと思いますね。
ー近年カップ戦といえば法政というところがありますが、全国大会に向けての意気込みをお願いします
自分で言うのもなんですが、やってるサッカーは大学のなかでも上の方にいると思うので、大学サッカーの素晴らしさを伝える意味でも、うちが良いサッカーをして全国に(大学サッカーを)広めないといけないと勝手に思っています。そういう意味でも、全国の舞台で実力を発揮したいです。今年のスローガンで「奪還」をかかげてやっていますので、そこを目指してやっていきたいですね。
ー次節に向けて
連戦は続きますが、コンディションを見ながらチーム全員で準備して、誰が出ても勝てるように全国大会につながる試合をしていきたいです。
飯島陸
―今日の試合を振り返って
この試合を勝たないと全国大会出場をできないという条件があったので、そこはすごく意識していました。自分も4年生ともっと一緒に試合をしたいという思いが強いので絶対勝ちたいなと思ってゲームに臨みました。
―今回は1トップでの出場だったが、トップ下での出場時とのプレーへの考えに変化はあるか
トップ下となるとやっぱりフォワードとの関係をよく見て自分が下もしくは間のスペースでボールを受ける役割が多くなりますけど、1トップになった時は自分の長所でもある裏抜けなどを生かしてさっき言った蓮之や涼からボールをもらう動きやサイドハーフとかセンターバックにも要求してボールをもらうという役割ができると思っています。
―コロナによる自粛明けについては
正直コロナになってしまったことはきつくて。チームとしても落ち込んだ状況になってしまったんですけど、まぁ落ち込んでいてもしょうがないんで個人としてもチームとしても切り替えて元々全国大会出場が目標だったのでそこに向かって自分たちでコンディション作りをすることができました。それができたのでリーグ再開ができたのかなと感じています。
―今日勝ったことで全国出場が決定したことについては
今年タイトルを何もとれていないのでチーム全体としてもタイトルを取るっていうことを目標としているので日本一に向けて意識して頑張っていきたいです。
―次戦に向けて
専修も今4連勝ぐらいしてて勢いに乗っているのでその勢いを跳ね返すくらいのサッカーをしたいです。自分たちは多分最高で3位くらいしか取れないと思うんですけどできるだけ上の順位をとれるようにしたいです。
田部井涼
―今日の試合を振り返って
勝つしかなかったので、チームで強い思いを持って試合に入れました。
―早大の印象は
組織として強いというか、個々の能力ももちろん高いですが、つなぎ合わせる部分や、守備組織の成熟度は、関東リーグの中でも上の方にいる印象はありました。ですが、それよりも自分たちがどうするかが大切だと思うので、そこに意識を向けられたのがこの試合は大きかったかなと思います。
―今日の試合に向けて準備したことは
守備ブロックが固まると簡単には崩せない相手だったので、練習から速攻、カウンターの所を特にやりました。1点目も(松井)蓮之が球際に勝って持ち上がって、(飯島)陸が決めたシーンでしたが、練習通りの形になったので、そこで少し自分たちのやってきたことに自身が持てた瞬間だったのかなと感じました。
―多くの時間でボールを保持しましたが、どのような狙いを持ってボールを動かしましたか
狙いとしては縦パスや展開を狙っている中で良いパスも出せましたが、もう少しできたかなというのが正直なところです。ボールを持っているだけの遅攻では流れを相手に持って行かれると思っていたので、2点目は自分から(相手にとって)怖いところに入れて、点につながったのでよかったなとは思っています。『かじ取り』としての役割をもっとやっていきたいですね。
―無失点で抑える試合が多いですが、守備ブロックの成熟度についてはどのように感じていますか
球際の厳しさなどについては、チームで厳しく言われていて徹底できていて、それをコーチだけでなくセンターバックのふたりが言ってくれているので、「やらなきゃ」と思えますし、前線の守備があってこそだと思うので、チームとしての共通意識はできています。
―田部井選手が今思い描くボランチとしての将来像はありますか
自分の特徴としては、キックや背後へのボールだとは思うのですが、(松井)蓮之と組んでいるので、彼の良さを理解して、自分の中に落とし込もうと思っています。彼とはタイプが違うというか、違った色があると思うので、蓮之の長所を自分のものにしていく意識をもって練習に取り組むところを大事にしています。思い描く将来像は、上手いだけではなくて怖いボランチというか、攻守において怖さがあるボランチになることは意識してやってきたので、まだまだシーズンは続くので、これからも取り組んでいきたいです。
ー次節に向けて
連戦が続きますが、次を落としたら「法政この程度だね」と言われてしまうので、全国大会に向けて、ここから落として良い試合はないと思います。自分の成長のためにも一つ一つ積み重ねるしかないので、良い準備をして臨みたいです。