2021年10月19日(火)
不定期連載の記者コラムとなる『暁の勇者』。紙面やウェブサイトに書ききれなかった出来事などを担当記者がお届けします。今回は19日に初登板を果たした石田旭昇選手(文3=東筑)についての記事を掲載します。
『石田旭昇の笑顔は、法大に昇る朝日となりうるか』
10月19日の慶大1回戦で初登板を迎えた石田旭昇(文3=東筑)。サイドスローから多彩な変化球を投げ分ける投球スタイルで、大きな爪痕を残した。
首位慶大相手に大量11失点と、投手リレーが機能不全に陥ったこの日の試合。「テンポのいいピッチングで流れを変えよう」。その一心で最終回のマウンドに上がった。点差が開いていたこともあって、「あまり緊張はしませんでした」と石田。先頭の渡部遼人に四球を許すも、続く新美貫太にはフルカウントから7球目を内角に収め見逃し三振。3番・下山悠介に初球を右中間に運ばれ1死一、三塁のピンチを招いたが、4番・正木智也を右飛、5番・橋本典之を空振り三振に抑え後続を許さなかった。最速136㌔の直球と、自慢の変化球を操り2奪三振。上位打線相手に堂々の投球でイニングを締めた。
2年春は開幕前にけがをするなど、これまでリーグ戦での登板はなかった。「自分の中で変化が欲しかった」という動機から一時はアンダースローに転向するも、心機一転「今までやってきたサイドスローが一番」と投球スタイルを戻した。その経験を生かし、下半身のウエートトレーニングに力を入れるなどして自身の武器に磨きをかけた。昨季からはベンチ入りを果たし、ブルペンで調整を重ねる日々。着実に試行錯誤と準備を重ねてきた石田に、この日ようやく夢の神宮での出番が巡ってきたのだ。
初登板を振り返り、「無失点で切り抜けたことはよかったのですが、フォアボールを出してしまったのが反省点」と反省を欠かさなかった石田。それでも、マウンド上で目立ったのは彼の笑顔だ。訊けば、それも自身のアピールポイントの一つだという。神宮のマウンドで輝く背番号15の笑顔が、法大に昇る朝日をもたらすきっかけになるのかもしれない。