2021年12月21日(木)
オンライン取材
【サッカー】4年生特別インタビュー④ 田部井涼&佐藤大樹&陶山勇磨 編
約1カ月前、法政大学体育会サッカー部の2021シーズンが終了しました。夏には総理大臣杯を制覇し、日本一を達成。リーグ戦やインカレなどのタイトルは逃したものの、最後まで懸命に戦い抜きました。そんなチームを支えたのは、15人の4年生でした。激動のラストシーズンを終え、最後のインタビューを実施。4年間を振り返り、ピッチ内外での思い出を語っていただきました。
今回はMF田部井涼、FW佐藤大樹選手、DF陶山勇磨選手 編です。
田部井涼(横浜FC内定)&佐藤大樹(町田ゼルビア内定)&陶山勇磨
―まずは、4年間で印象に残っている試合を教えてください
田部井:僕が一番印象に残っている試合は、3年生の時の#atarimaeniCUP決勝の東海大学戦です。今年の総理大臣杯の決勝と迷ったんですけど、東海大学戦の悔しさが大きかったので、この試合を選びました。あの大会は、ずっと試合に出させてもらって、良いプレーができていたんですが、結局緊張や切羽詰まった中で、何をするべきか整理できていなかったのが顕著に出た試合でした。自分の弱さを感じた試合でしたし、あの試合が原動力となって4年目はやれたかなと思います。
佐藤:大臣杯の決勝です。あのような大舞台で点を決めることができたのは、人生でも初めてで、日本一にチームを導くことができたという意味でも、記憶に残る試合です。緊張感のある試合で、点を決めるというFWの役割が果たせた印象的な試合になりました。
陶山:自分は2試合あって、一つは総理大臣杯の決勝。自分がピッチに立って全国大会で優勝するのは初めての経験でした。決勝は自信に溢れていたし、正直負ける気がしなかったというか、チームとして絶対勝てるという雰囲気があったので印象に残っています。もう一つは、今年のリーグ2節の流経戦です。自分は大学から左サイドバックをやっているんですけど、試合で手応えを感じることが無くて。初めて左サイドバックを選んで良かったなと実感することができた試合でした。
―法大で一緒にプレーして印象に残っている選手は
田部井:先輩だと、上田綺世選手(2019年途中退部・鹿島アントラーズ)は、一緒にアフタートレーニングをしながらコミュニケーションを取る中で、こういう人が代表に行くんだなというのを見せつけられました。群を抜く決定力があって、最初は感覚でやっている選手なのかなと思っていたんですけど、全部自分の経験から導き出されたプレーをしているんだと分かり、刺激になりました。あとは、関口正大選手(令3年卒・ヴァンフォーレ甲府)はキャプテンとして、リーダーシップの取り方は自分とは真逆なんですけど、天性の根っからのキャプテンと出会えて見習うことが多くありました。最後は同期の松井蓮之。ダブルボランチを組むようになってからは、お互いに刺激を受けて、また与えながら、濃い2年間を過ごしました
佐藤:僕はやっぱり上田綺世選手です。同じポジションの選手として、身体能力もあって、賢さもある一級品のプレーを間近で見ることができたのは自分の財産になりました。上田選手を超えるためには、まだまだ足りない部分が多くありますし、これからも吸収していきたいと思います。あとは、同期からも大きな影響を受けました。同じポジションであれば中井、(飯島)陸、(田中)和樹とか。サッカーもそうですけど、考え方がそれぞれ違って面白くて、競争しながらモチベーションになりました。涼とか蓮之もボランチ目線でアドバイスをくれたり。同期にはお世話になりましたし、この同期で良かったなと今はしみじみと感じています。
陶山:自分は先輩で2人います。一人は関口正大くんです。地元が新潟で一緒なんですけど、ずっと中学生くらいからライバルチームにいて、名前は知っていました。まさか同じチームになるとは思わなかったですけど、そういう縁もあって仲良くしてもらいました。ッカーに対する悩みも聞いてもらいましたし、ピッチで一緒にプレーしながら学ばせてもらいました。もう一人が、左サイドバックの高木友也(令3年卒・横浜FC)。自分が左サイドバックを始めた時から、スタッフから(高木を)手本にしろと言われてきたし、自主練も一緒にさせてもらって、アドバイスをもらうようにもなって、目標にしていました。
―グラウンド外での思い出はありますか
田部井:僕は佐藤大樹くんとの思い出しかないです(笑)。お互いあまり友だちがいないので、4年生になっても部屋に行ったりしていました。何の目的も無く、コンビニとかに行っていたんですけど、それが無くなると思うと寂しいです。それ以外にも同期とはご飯を食べにいったりもしましたけど、特に大樹と遊んでいました。
―佐藤選手は田部井選手と過ごした時間はどうでしたか
佐藤:結構きつかったですけど(笑)。
田部井:いやいやいや(笑)。
佐藤:4年生の中では、涼とよく一緒にいましたね。今振り返ってみると、楽しかったなと思います。サッカー以外のことも話して、いろいろ考えさせられました。けがをした時に落ち込んでいるのも間近で見ていたし、調子の良い時も見ていたし。
陶山:自分は高校時代からオフをあまりサッカー部の選手と過ごしていなくて、全く無いわけじゃないですけど、一人で過ごすことが多かったです。それでも学年会は楽しかったですね。自分はもともとあまり飲みの場とかに行かないんですけど、そういうところで普段とは違う姿を見ることができて、意外な一面を感じました。
―長山監督は選手から見てどんな人ですか
田部井:一言でいうと『勝負強い』ですね。そういった部分をたくさん学ばせてもらったし、自分を伸ばしてくれたと思います。勝負へのこだわりをピッチ内外でここまで要求できる人はなかなかいないですし、感謝しています。
佐藤:一人一人の選手の特徴をしっかり見れているのはすごいと思います。あれだけの大人数をいろいろな面から見て、評価する軸を持っている。練習から試合に使って結果を出させる難しい仕事で、あれだけの結果を残せるのはすごいなと思います。FWは特にゴールという結果が一番大事ですけど、それ以外にも役割も含めて評価をされるかどうかで試合に出れるかどうかが決まります。練習から厳しい環境でできたのは、4年間を通じて感謝しています。
陶山:いろんなところを見てきましたけど、一言で表すと『情熱的』ですね。試合中もよく声を出して背中を押してくれます。印象に残っているのは、「ミスした選手をピッチの中の選手は責めるな」という言葉です。ポロっとそんなことを言っていた時は、そういう背負い方をするんだと印象に残っています。
―今シーズンは井上コーチが指揮を執っていましたが、変化はありましたか?
田部井:指導者として同じ人はいないと思いますし、もちろん指導方法は違います。カズさん(長山監督)は、どちらかというと選手に自由にプレーさせるタイプで、立ち位置などの話はあまりせずに、お互いの長所を出し合いながらというところに指導者として重きを置いている方です。平さんはとてもサッカーを勉強していて、最適解を知っているというか、自分たちの特徴を出すためのコーチングは勉強になりました。立ち位置とかの工夫は平さんから学ばせてもらいました。
佐藤:戦術的な部分で多く指導してくれました。自分たちの考える量も増えますし、4年間を通して今年がサッカーのことを考える時間が多くなりました。平さんも現役時代はFWだったので、FWとしての考え方も教えてくれましたし、学ぶものがありました。チームとしても、1年間を通して、システムを変えながらどういうサッカーをするかを具体的に示してくれました。サッカーについて吸収するものがあったので、感謝していますし、この経験を無駄にしないで頑張りたいです。
陶山:自分も2人と近いんですけど、頭を使ってサッカーをすることを学びました。平さんは監督とは真逆くらい、戦術面を深く追求する方でした。練習でも頭を使うメニューが増えたし、その中で一人ではできないこともあったのでコミュニケーションも増えました。ボールや人の動きにも正解があって、上手くいかなかった時に立ち返る場所ができた。今は立ち位置が悪かったから上手くいかなかったとか、自分のボールを運ぶ位置が悪かったからミスになったとか、平さんの指導から自分にとって学べた、プラスになった部分です。
―大学サッカーで得られたものは
田部井:たくさんありますけど、大学サッカーでプレーする選手は後がないので、就職するにしろ、プロに行くにしろ、最後のステージであることには変わりありません。そんな覚悟を持った選手が4年間という決して短くない時間で人生を懸けてサッカーをしているので、どの大学にも熱量を感じますし、それが大学サッカーの強度を生み出しているんじゃないかと思います。天皇杯でガンバ大阪に勝った時も、大学サッカーの強度が間違っていないし、魅力だと感じました。サッカー人生を懸けている選手とプレーできることは、価値のあるものだと思いました。成長できた部分は、自分を知れたことが大きいかなと思います。レベルが高いからこそ、自分を理解しないと上にはいけないと痛感させられた環境だったので、法政の同期を含め、みんなに感謝しています。
佐藤:(高卒で)プロになれなかった選手や、ここで成長しないとプロにいけない選手が集まっているのが大学サッカーです。その中で、貴重な経験を多く積むことができました。サッカーもそうですし、ピッチ外でも、多く人数がいる中で自分の考えていることが本当にあっているのかとか、他の人の考えとの違いを考えることが多くありました。それは社会で活躍するためにも大切ですし、成長できた部分かなと思います。関東1部はレベルが高いし、最近は大卒でJリーガーになる選手も増えてきました。親など、周りの支えがあるからこそプレーできていると思うので、感謝を忘れてはいけないなと感じました。
陶山:感謝する幅が広がったなと感じています。学連やマネージャー、トレーナーなど、高校時代は知らなったサッカーに関わる裏側の仕事を知ることができましたし、自分自身も経験することができました。高校までも感謝しながらやってきてはいましたけど、特に大学1年の時には、裏で支えてくれている人の存在を知って、自分がプレーできているのは当たり前じゃないなと感じました。あとはプロを目指す選手が多く集まる場所ですし、特に自分の同期はピッチ外でもサッカーにこだわっている人が多かったので、刺激をもらいました。他の大学を見ていてもすごいなと思うし、自分にはまだまだ足りないところがたくさんあるなと実感しました。自分を客観的に見て、判断することができるようになったと思います。
―最後に、同期の皆さんに向けて一言お願いします
田部井:感謝の気持ちが全てです。嬉しい時も、苦しい時も、いろんな感情を共に過ごせるのは最後だと思うんです。プロの練習に実際に参加してみて、もう個人競技に近いなと感じました。学生スポーツとして目標に向かって、同じ熱量で努力するというのは人生でも無いんじゃないかなと思いますし、その仲間がこのメンバーで良かったなと思います。みんなでかけがえのない時間を過ごせたことは幸せだったなと感じます。ただ、僕たちはここで終わりではありません。もっともっと高みを目指していける存在だと思うので、感謝で終わるのではなく、ピッチの中や社会に出てからも歴代最強だったと証明できると思います。お互いを刺激し合える存在でありたいです。
佐藤:この同期じゃなければ今の自分はいなかったなと思います。4年間やり続けたことが、プロ入りに繋がったと思うので、感謝しなければいけません。それぞれ違う道に進みますけど、場所が離れていても、どんな立場でも刺激し合える関係でいたいです。
陶山:この巡り逢いに感謝しています。自分は出会いに関して、これまでの行いに関わらず、節目の出会いは運だと思っています。この同期に巡り合えたのは、すごいことだなと感じています。だからこそ、感謝しているし、大好きだし、これからも繋がりが続けばいいなと思います。法政は自分たちが1年生の時にインカレ優勝して、黄金時代の幕開けか、っていう見出しが新聞に載ったんですけど、結局そこから2年間タイトルが取れなくて、今年やっとタイトルは獲れましたけど、目標としていた5冠には届きませんでした。大学時代に伝説を作ることはできなかったですけど、これから先で、自分たちが活躍して、やっぱりあの代はすごかったねと語られるような仲間でありたいです。
(取材・宮川昇)