KOSUKE KITAJIMA CUP 2021
2021年1月22・23・24日
東京辰巳国際水泳場
現在は4月の五輪代表選考会に向けた大事な強化期間。今大会は代表を狙う400m個人メドレーの強化の一環として捉え、平泳ぎと背泳ぎの単体レースに出場した。平泳ぎではコンスタントに自己ベストに迫るタイム、そして200m背泳ぎでは日本選手権の参加標準記録を突破する好タイムをマークし確かな手応えを掴んだ。今後はまず、来月に行われるジャパンオープンの400m個人メドレーで好成績を目指す。
宮本選手 結果
種目 | 順位 | タイム | 備考 |
---|---|---|---|
100m平泳ぎ 予選 | 5位 | 1分01秒22 | 決勝進出 |
100m平泳ぎ 決勝 | 5位 | 1分01秒15 | |
200m平泳ぎ 予選 | 3位 | 2分11秒81 | 決勝進出 |
200m平泳ぎ 決勝 | 6位 | 2分13秒74 | |
200m背泳ぎ 予選 | 2位 | 2分01秒33 | 自己新 |
200m背泳ぎ 決勝 | 3位 | 2分00秒58 | 自己新 |
200m個人メドレー 予選 | 2位 | 2分01秒23 | |
200m個人メドレー 決勝 | 2位 | 2分00秒48 |
記事
届きそうで届かない偉大な背中。東京五輪代表に向け、宮本の前には『萩野公介』という大きな壁が立ちはだかる。だが、宮本の東京五輪への思いは本気だ。日の丸を背負うと決めた。だからこそ、謙虚に、一歩ずつ、確実に歩みを進めている。今大会でも宮本は確かな成長の跡を示した。
宮本はバタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の4泳法を1人で100mずつ泳ぐ400m個人メドレーで代表の座を狙っている。その勝者には「キング・オブ・スイマー」の称号が付く。まさに競泳の花形種目である。「400m個人メドレーで五輪を狙う以上は4泳法全て強化していかなくてはならない」。代表獲得のために、一寸の甘えさえも許されないと自覚しているからこそ、この冬場は徹底的に自分自身を追い込んでいる。「12月の日本選手権が終わってからは、弱点であるバタフライの強化に重点を置き、ベースとなる自由形の練習も行ってきた」と話す。今大会も強化の一環として平泳ぎと背泳ぎの単体レースに挑戦。その真剣な眼差しの先にあるのはキング・オブ・スイマーであることは間違いない。
確かな成長と大快挙
初日は「大会で泳ぐことが久しぶりだった」と語る100m平泳ぎに出場した。予選では「気持ちよく泳ぐことを意識した」と言いながらも自己ベストに迫るタイムをマーク。決勝ではさらに記録を縮め「安定してベストに近い記録をマークすることができ、平泳ぎのスピードが付いてきている」と自身の成長に目を細めた。
「思わず『よっしゃあ』と声が出た」。2日目の200m背泳ぎで叩き出した2分00秒58というタイムは良い意味での想定外だった。日本選手権の参加標準を上回る好記録に「このタイムは相当自信になりました」と喜びを表現する。また「個人メドレーに繋がるレースができた」と泳ぎを振り返り、新たな自分の強みを見出すことができたに違いない。
代表入りへのイメージ
最終日の200m個人メドレーでは萩野に後塵を拝する結果に終わったが課題は明確だ。「バタフライが他の選手よりも劣ると言いますか、前半のタイムがもう少し速くなれれば」。これまでのレースはどれも、萩野をはじめとするライバル選手が前半のバタフライで大きくリードし、宮本が後から追っていくという展開。それを「背泳ぎで他の選手に追いついて、平泳ぎで離していくというレースをしたい」と勝利の方程式をイメージする。武器である平泳ぎで “追い付く” のではなく、”逃げる” 。そんなレース展開が可能となれば代表入りが大きく近づいてくる。
2月4日からは五輪会場である東京アクアティクスセンターで「ジャパンオープン」が開催される。ターゲットはあくまでその先の日本選手権であるが「400m個人メドレーで好記録を出して4月の代表選考会に繋がるようなレースをしたい」と意気込む。ここまでの冬季練習の成果がどのような形で現れるのか非常に楽しみである。
(記事:根本 成)
インタビュー
宮本一平
ー 冬場のトレーニングは納得のいく練習を積めていますか
僕自身にとっては、この冬場は4月の日本選手権に向けた強化期間として捉えています。この前までは法政のプールで練習させてもらったり、今はナショナルトレーニングセンターを使用させて頂いたりと、良い環境の下で良い練習が積めています。去年の4月から6月頃にかけてはコロナの影響もあり気持ちが乗らないことがありましたが、その頃の練習内容と比べるとかなりいいのかなと思います。
ー 日本選手権後には自分の武器をもっと強くしていきたいと話していました
自分の武器である特に平泳ぎの強化はしていますけど、やはり自分の弱点であるバタフライがライバル選手と比べても劣っていると感じていて、日本選手権が終わってからはバタフライの強化に重点を置いて練習をしていました。あとは、ベースとなる自由形の強化もしつつという感じでした。400m個人メドレーでオリンピックを狙う以上は4泳法全て強化していかなくてはならないという中で、今回の試合では背泳ぎと平泳ぎでいい結果を出すことができたので自信になりました。
ー このあとはジャパンオープンを控えていますが、今大会はどのような位置付けでしたか
今大会は400m個人メドレーでオリンピックを目指している中での強化を行うものとして捉えていました。平泳ぎの強化として100mと200mの両方に出場したり、また200m背泳ぎにも挑戦してみました。
ー 調整は特に行っていなかったのですか
そうですね。レースの数日前までは普通にトレーニングをしていました。今回出場したのは短い距離の種目でしたので少しスピード系の練習を直前に入れて臨みました。
ー 初日の100m平泳ぎでは1分01秒15というタイムをマークしました
100m平泳ぎに関しては、大会で泳ぐことが久しぶりだったので気楽にレースに臨めたのかなと思います。その中で、大学1年の時に出した1分00秒99というベストタイムを更新できればとも考えていました。ベストを塗り替えることはできませんでしたが、予選が1分01秒2で決勝が1分01秒1ということで安定してベストに近い記録をマークすることができたので、平泳ぎのスピードが付いてきているなと実感しました。
ー 予選から全力で臨みましたか
100m平泳ぎに関しては、他の選手のレベルも高くなっているので、流したりはしないで、ただその中で気持ちよく泳ぐことを意識していていました。予選から1分01秒2が出せたので平泳ぎの感覚はいいのかなと思います。
ー 200m背泳ぎは2分00秒台の好記録でした
このタイムは相当自信になりました。まず長水路の200m背泳ぎの自己ベストが元々2分06秒でした。持ちタイムとしてはそこまで速くはなかったので、予選を泳いでみないと、今実際にどれくらいのタイムが出せるのか分からない状態でした。周りの人からも200m背泳ぎに出ることは驚かれて、2分04秒台を出せたら決勝に残れるのではというような話をしていました。僕自身も決勝には残りたいなという気持ちで予選を泳いでいたのですが、タッチをして記録を見たらまさかの2分01秒台が出ていて、思わず「よっしゃあ」と声が出てしまいました。決勝はレジェンドの入江さんの隣で泳げたことも良かったですし、全力で泳いだ結果、2分00秒台という好記録を出すことができたのでうれしかったです。実は小学校4年生くらいまで背泳ぎをやっていた時期もありました。また、一緒に練習している内藤良太選手とは練習で変わらないタイムをマークしたり、時には勝ったりすることがあるので、そういったことを踏まえると出してもおかしくないタイムだったのかなと思います。ただこのタイムは日本選手権の参加標準も切るタイムだったので本当に自信になりました。
ー 個人メドレーにも繋がる手応えはありますか
200m個人メドレーにしても400m個人メドレーにしても、一つ課題としてバタフライからの背泳ぎでテンポを落としてしまうところがあり、そこを上げられたらいいなとは思っていました。それが今回、背泳ぎ単体のレースに出場して、コンスタントに好記録が出せたことは大きいです。非常に個人メドレーに繋がるレースができたのかなと思います。
ー 3日目の200m個人メドレーのレースを振り返っていかがですか
ベストを出したかったなというのが正直なところです。予選も決勝も萩野公介さんの隣でしたけど、200mであろうと勝っていきたいなという気持ちがあります。メインは400mですが、やはりスピードも付けて200mでも派遣標準に近いタイムを出したいと考えているので今回は少し足りなかったのかなと思います。
ー 具体的にどのあたりが課題として挙げられますか
バタフライが他の選手よりも劣ると言いますか、一番の課題は前半のタイムがもう少し1秒、2秒速くなれればいいなと思っています。僕の武器である平泳ぎのところで萩野さんに追いついても、最後の自由形で疲れて負けてしまうというのが今回のレースにも現れていたので、前半で離されないように、もう少し速く入るということが課題ですね。
ー ジャパンオープンに向けて修正していく部分はありますか
前半を速く入ることは重要なのですが、ガツガツとテンポよく泳いでしまうと力んでしまうので、400mの泳ぎ方と言いますか、バタフライを楽に速く泳いで、背泳ぎで他の選手に追いついて、平泳ぎで離していくというレースをしたいです。
ー ジャパンオープンに向けて、今週から来週にかけて調整をされるのですか
今週は距離も泳ぎつつ、来週にかけて調整をかけていく予定でいます。
ー 水泳部としてもこの大会が新年最初の大会となりました
先週あたりから、大学のプールが工事で使えなくなり、学校練習組は短水路のプールを使わせて頂いている状況です。短水路での練習に変わって、今回は長水路でのレースということだったので、感覚的に難しかったと聞いています。ただ、その中でも何人かベストを出した選手もいました。学校練のキャプテンを務めている竹鼻も今回自己ベストを出しましたし、僕自身はこれからもみんなの刺激になれるような結果を出し続けていきたいです。そして僕の背中を見てチームの状態が上がって欲しいなと思っています。僕自身が学校で練習していないので部員となかなかコミュニケーションが取れていないのですが、今後はもう少し状態を気にかけたり、アドバイスができればいいなと思います。
ー ジャパンオープンの目標は
ジャパンオープンは初日に400m個人メドレーがあるので、そこで好記録を出して4月の代表選考会に繋がるようなレースをしていきたいと思っています。12月の日本選手権は不甲斐ない結果に終わってしまったので、ジャパンオープンという日本の中でも大きなイベントでしっかり結果を残して、法政大学の中でも頑張ってる選手がいるんだぞというのをアピールしていきたいです。