【硬式野球】秋季リーグ振り返りインタビュー⑮~中山大輔アナリスト~
中山 大輔 アナリスト
ーーアナリストになったきっかけは
正直な話、2年生の後半からアナリストになったのですが、その時に野球で芽を出すことができないと自己分析をして。今後もなあなあに過ごすよりかは、誰も経験したことがないような事をして、試合に出られないなりにもチームのために貢献したいなという想いや、選手とは違った観点で野球が見れるからと考えた結果、アナリストになりました。
ーー家族とはどのような話をしたか
特に自分のお父さんが野球が好きで、自分も野球が好きだったのですけど、両親が大学まで野球をやっている事をうれしがっている中辞める事を伝えるのは苦しかったのが正直なところです。ただ、野球を辞める申し訳なさよりも新しいことに挑戦する気持ちの方が強かったので、プロセスを話したら結果としては背中を後押ししてくれました。
ーーアナリストの仕事内容は
仕事内容大きく分けたら二つあると思っていて。一つは自チーム分析。もう一つは他チーム分析があります。自チームを分析して足りなかった事を伝えていくことと、野球にはもちろん相手がいるので、分析した上でこういう投手にはこういう打ち方。こういう打者には、こういう所に投げて、打たせてアウトを取る。みたいなイメージで伝えています。
ーーアナリストで苦労したことは
アナリストとして活動している中で、選手が自発的にデータを活用してくれるようになるということが最終目標だったのですけど、そこまでの道のりに困難を感じました。(最初は選手がデータに関心を示さなかったのか)悪いことでは無いとは思うのですけど、野球が上手い選手は中学、高校と自分の感覚に頼っていた部分があって。ただ大学になると能力が凄い選手が集まってさらに高みを目指すことになるので、やはり感覚だけじゃ勝ちきれない部分があるのかなと思っています。そういう中で頭一つ抜け出すために、データを駆使してもらいたいなといったことが伝わることに苦労しました。
ーー自分自身の野球に対しての考えは変わったのか
自分も結構高校までは野球に自信があって、ただ大学は通用しなかった。なんでかなって考えた時に、頭を使って野球をしていなかったなと思っています。もし今の考え方で選手に戻るとしたら、例えば紅白戦の打席だったら自分のタイプに合わせた配球をしてくるだろうなと考えることができるし、守備だったらこの打者ならデータ通りならこの辺りを守ればいいかなと考えることができる。そういった野球の見方が出来たと思います。正直、もう選手ではないのでこのような考え方は活かせる機会がないのですけど、頭を使えばいくらでも見方は変わると感じました。
ーーファンでもデータを使って野球を見ることに魅力はあるのか
例えばプロ野球で『打率』という指標があって、結構わかりやすい指標なので、『打率が高い打者=いい打者』という風潮が今までずっとあります。ただ、『打率』はすごく上振れする指標なのです。首位打者に、『あれ、こんな選手いたっけ?』と思ってしまう選手がなることもある。そんな指標です。そこから、一概にいい打者とは言えないのではと考えた結果OPSなど新しい指標が出てきて、それを見てみるといい選手がずらっと並んでいたりする。このように自分が当たり前だと思っていたことが、データを活用すると、もしかしたら自分とは違う考えが理にかなっていると気づけるかもしれない。そこがデータの魅力かなとおもいます。
ーー今季を振り返った印象は
前にも挙げた選手にデータを使いこなしてもらうという目標が、このリーグ戦では達成できたのではないかとおもいました。というのも、今季はアナリストとして選手にアドバイスすることを少なくしたものの、選手自らがシフトを引いて失点を防げることができました。これは自分の目指していた姿だなと感じました。やはり言われたことをやるのではなく、選手がグラウンドで感じることはデータより価値があると思うので。データを駆使しつつ自発的にコミュニケーションをとって守備でアウトにする事ができたことはよかったとおもいます。
ーー今季の課題点は
全体的に、投打の噛み合いが今季の課題だなと思いました。春の法大の野球は、投手陣が打者を抑えている中で、打者が点を取れずに、結果としてロースコアで負けてしまう展開が多く、秋は打者陣が奮起してくれて、最低限の点数は取れたものの、投手陣がなかなか粘りきれない試合が多かった。そこが上手くいかなかったなと思います。
ーーよく相談する選手はいるか
エースの篠木(健太郎、営4=木更津総合)選手とは個人的なやりとりも多くて、神宮球場のトラッキングデータを使って今日の真っ直ぐの最速や、手首の角度が◯度以上の時の玉持ち、球種、エクステンションを段階ごとにまとめて送って欲しいと言われることもあります。データを使う観点から見ると、1番は篠木選手なのかなと思います。
ーー監督とはどのような話をしたか
今季前半に声をかけてくれる事が多かったです。六大学の投手において法大と明大以外の選手は結構似てるなという印象があって、外丸(東眞、慶應3年)選手だったり、伊藤(樹、早稲田3年)選手、小畠(一心、立教3年)選手のような変化の小さい変化球を、コーナーに投げ分けて、ボール球を打たせて取るタイプの投手が多い。そういった中で、それらの投手の結果球の球種は何なのか話し合いました。例えば、さっきコーナー投げ分けて打ち取っていると話しましたけど、意外とこういう場面では真っ直押してくるよねみたいな話をして、ストライクゾーンを9分割した図を使ってこういう場合もあるんだねみたいなコミュニケーションはとっていました。
ーー注目している選手はいるか
今日フレッシュリーグで投げていた小森(勇凛、キャ1=土浦日大)投手に期待しています。トラッキングデータやラプソードで投手の投げる球の回転数や変化量をみることがあるんですけれど、その中で小森選手の投げる落ち球がすごくて。塙(雄裕、令6年度卒=現日本製鐵鹿島)さんを彷彿とさせる球を投げる点で面白いなとおもいます。篠木選手や吉鶴(翔瑛、営4=木更津総合)選手も投げないような球で、初めてみた時はびっくりしました。まだルーキーなんですけど、データ目線では結構注目できるのではとおもっています。
ーー今後はどうするのか
正直データとあまり関わらないと思うのですけど(笑)。でもデータ分析を通じて、自分にはそういったことが意外と向いているのかなって思えたので。そういったつながりは今後もあると思います。六大学の応援も行きたいですけど、変な口出しはせず、後輩の思うようにやってほしいなとおもいます。
ーー監督への想いは
自分自身今までいろいろな監督とプレーしてきた中で、今までは指導者との距離を感じていました。でも大島監督はフレンドリーに話しかけてくれますし、一回聞いてくれた上で、『これはいいよ』とか『ここは違うんじゃない?』とか言ってくれた監督だったので、すごく自分としてもいい意味で監督じゃないような野球を教えてくれる何ですかね…(師匠的なポジションか)そうですね。監督って固いイメージが自分の中であって。というよりかは野球の大先輩のようなイメージで接してくれました。
ーー同期への想いは
同期は本当に仲が良くて。スポーツ推薦とそれ以外で寮が分かれているのですけど、そういったことも全く関係なく4年間過ごしてきた。チームメイトも大好きです。今後自分を含めみんな別々の場所にいってしまうけど、例えば大阪行ったら大阪で活躍している同期がいるし、九州に行ったら九州で活躍している同期がいて、もちろん関東には関東で活躍している同期がいる。どこに行っても活躍がみられる点で自分は幸せだなと感じています。
ーー後輩たちへの想いは
アナリストの後輩には、大変な事、新しい事をしないといけないし、人数もなかなか揃わない時があるかもしれないけれど組織として小さな一歩でもいいので発展させてほしいです。選手には、来年も相手チームは手強い存在だと思うけど、自分たちの野球を確立して、それを信じて最近は遠のいているが日本一を目指して悔いないように過ごしていただきたいと考えています。
ーー大学4年間振り返ってどうだったか
単純に野球を続けてきてよかったなということが前提にあります。というのも、自分の大学生活は失敗が多かったと思います。試合にはなかなか出ることが出来ないし、そういった中で活躍している同期たちもいる。きつい経験があったが、チームが日本一になれるために自分はどう動けば良いのか考え、実際に監督に言ってアナリストになって。こういった中で自分で何か物事を考えて挑戦してきた4年間というのがすごく自分にとって自信になっているし、『データなら俺に任せろ!』といったチームでのポジションも確立できました。自分の行動が自身になった4年間だと思います。
(取材:加納正義)
中山 大輔(ナカヤマ・ダイスケ)
経営学部4年2002年8月21日生まれ
神奈川県出身・法政ニ
169cm・64kg
硬式野球部の写真はスポーツ法政新聞会の公式インスタグラムにも掲載しております。ぜひご覧ください。
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