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【空手】第60回全日本大学空手道選手権大会 帝京大の壁を破れず…集大成はベスト8

空手

【空手】第60回全日本大学空手道選手権大会 帝京大の壁を破れず…集大成はベスト8

第60回全日本大学空手道選手権大会
2016年11月19日(土)、20日(日)
日本武道館

春の東日本大会準優勝に続き、関東大会も準優勝と大躍進を遂げてきた法大空手部。そんな彼らの1年の集大成となる全日本大会が開催された。
準々決勝までは無理をせず、1ポイントを大事にして確実に勝つという戦略のもと、着実に勝ち上がる。迎えた準々決勝の相手は帝京大。力を出し切るも、春より強くなった敵には歯が立たず敗退。ベスト8で大会を終えた。

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悔いが残らない戦いを繰り広げた

試合結果

回戦  対戦校   結果 成績 
二回戦  慶應義塾大学  ○1-1(ポイント制勝ち)

先鋒 花車 △1-1
次鋒 小野田 △2-2 
中堅 岡本 △1-1
 副将 宇野 ○3-1
 大将 林 ●1-2 

三回戦  中京学院大学 ○2-1

 先鋒 花車 ○4-0 
 次鋒 谷沢 ●2-3 
  中堅 宇野○2-0 
副将 岡本 △0-0
 大将 小野田 ○1-0

四回戦 国際武道大学 ○3-0
先鋒 花車 ○1-0
次鋒 岡本 △0-0
中堅 宇野 ○2-1
副将 小野田 ○1-0
大将 谷沢   –
準々決勝 帝京大学  ●0-3   先鋒 花車 ●2-10

次鋒 宇野 ●2-3
中堅 小野田 ●0-8
副将 岡本  -
大将 谷沢    –

戦評 

 1回戦はシードのため2回戦からの出場となった法大。2回戦の相手は慶大。 先鋒の花車勇武(国4)は相手との牽制状態が続く緊張感のある試合を展開する。1-0とリードしたまま終盤へ。このまま試合終了かと思われたが、試合終了間際に相手にポイントを奪われ引き分けとなる。次鋒の小野田守徒(文4)は1-2とリードを許す苦しい展開。なんとか終盤に追いつき引き分けに持ちこんだ。
中堅の岡本洸(生命3)も均衡した展開で1-1と引き分け。3人連続で引き分けという重苦しい雰囲気の中登場したのは宇野勇気(理工1)。すると宇野が積極的な攻撃をみせ、3-1で勝利する。対象の林康平(スポ4)が1-2で敗れたものの、ポイントで勝利し、3回戦進出を決めた。
 
 3回戦の相手は中京学院大。昨日の重苦しい雰囲気をどうにか変えたいところだ。先鋒の花車が4-0とチームに勢いをもたらす。次鋒戦を落としたものの、中堅の宇野が見事な突きで勝利を収める。副将戦は引き分けとなり、迎えた大将戦で小野田が意地をみせ、勝利。
 
 4回戦では国際武道大と対戦。先鋒の花車は両者隙を見せない緊迫した試合展開に。厳しい展開の中、渾身の突きが決まり1-0で勝利する。次鋒戦は引き分けとなり、中堅の宇野。幸先よく2点を先取し、試合を優位に進める。しかし、相手に反撃を許し1点差に。なんとか耐えぬき副将にバトンタッチ。副将の小野田もなかなか得点を奪うことができない。なんとかもぎ取った1点を必死に守りきり、準々決勝進出を手にした。
 
 準々決勝の相手は因縁の帝京大。関東学生団体で苦渋をなめた強豪だ。今大会の目標であるベスト4に向け、また関東のリベンジマッチとなったこの試合。どの選手も意気込んで試合に向かった。しかし、気持ちとは裏腹に帝京大の強さをここぞとばかりに、見せつけられる。先鋒の花車は普段と戦法を変え、積極的に攻めていく。しかし、相手の突きが連続で炸裂する。結局2-10という大差での敗戦となった。次峰の宇野は接戦に持ち込む。リードされる展開の中で、自ら蹴りや突きなどで仕掛けていく。終盤に得点を奪うものの一歩及ばず、2-3で敗れた。後のない法大の中堅は小野田。ここまで法大を勝利に導いてきた頼れる4年生。しかし、高校の後輩であり、世界でも活躍する相手に全く自分の空手をさせてもらえない。
1ポイントも奪えないまま、相手がどんどんと得点していく、そしてついに0-8で万事休す。試合終了となり、今大会が終わった。
 
 結果はベスト8。昨年の結果を上回り、健闘したと言えるであろう。また、今大会で4年生は引退となる。関東、東日本で準優勝という輝かしい結果を残してくれたこの世代の魂は、次代へと引き継がれていく。そのためには卒業する4年生の穴を埋める新たな力が必要だ。より速く、より強く。スピードを磨いたその先に、全国の猛者たちを打ち破るチャンスが訪れる。歓喜の瞬間に向かって。全国に告ぐ。本物の力を持つチャレンジャー法大が大学空手界を必ずや席巻してみせる。(石川大悟)

 

監督・選手コメント

手嶋重忠監督

―今大会を振り返って
4回戦までは1ポイント差でもいいから慎重に勝っていこうという話をしていました。勝ち上がったのはこちらの考え通りに進めたからかなと思いますね。残念だったのは準々決勝ですね。帝京戦は考えを全部入れ替えて、思い切っていこうと。悔いの残らないように自分の得意な技で攻めていこうという考えでした。
 
―ベスト8という結果について
実力通りかなと思います。帝京大が春と比べてすごく強くなっていたので。
 
―今大会の目標は
ベスト4ですね。だから帝京大戦に勝てればいけたんですよただ、やはり実際やってみて、帝京大がものすごく強くなっていたので、あれは勝てないですね。実力の差かなという感じですね。
 
―慎重に戦う戦略とのことですが、慶大戦をポイント差で勝ったことも想定内ということでしょうか
慎重な戦い方で強引に攻めることないよと言っていました。どの試合も焦ることなく戦えていたのでそれは良かったですね。反対に相手から取られることもなかったですし。慶大戦をポイント差で勝ったのも予定通りですね。長年慶大と戦ってきて、本番になると底力を発揮するチームということは分かっていたので、油断すると取られることがあると思っていました。だからフルメンバーで手を抜くことなく慎重に臨みましたね。試合前の練習時間が短くて若干硬さがあったのもありますけども。
 
―チームとしての調子はいかがでしたか
良くもなく悪くもなくかな。関東から思っていたよりは伸びなかったですね。3年生以下がもうちょっと伸びてほしかったですけど、授業との兼ね合いもあってなかなか練習時間が取れなかったですから。4年生は力を出し切ったと思います。だからここまでが限界だったんでしょうね。
 
―今大会に向けてやってきたことは
一人ひとりに言ってきたのは、最後だから悔いが残らないように自分の得意な技を磨きなさい、ということだけですね。その上で戦略は、チーム戦だから無理してすぐに勝とうとせず、接戦で勝ち上がっていこうという考えでした。
 
―関東大会後はスピードが課題とのことでしたが、この大会ではいかがでしたか
帝京大戦以外ではうちがスピードで勝っていたと思いますね。だからこそ強引な技がなくても勝ち上がれたんだろうと思います。無理なことをしてけがをするのではなくて、最後の数秒で勝つということは、スピードがあるからできることですから。慶大戦の岡本なんかが良い例ですよね。あれは上段突きが2回抜けて相手の中段を食らったから、「こっちも中段だ」という指示で中段が決まりましたから。あれはすぐに対応できるスピードを持っていたからですね。
 
―その場面はチームとしての戦い方が見えた瞬間だと感じました
そうなんですよね。他の大学のOBなんかからも「遠くで見ていても法政の試合は分かるようになった」と言われるんです。他の大学は力任せで勝ったり負けたりしている中で、法政のつないでチームで勝つという戦い方は、はっきりしていて特徴的なんだと思いますね。選手たちも自然とそういう戦い方ができるようになっていましたね。
 
―敗れた帝京大戦について
今、法大の戦い方という話をしたんですけど、そう思わせておいてここで急にギアを変えて最初から思い切りやるというのが帝京大戦の作戦だったんです。いつもと違う戦い方というなかで花車も前に出て戦っていたし、頑張ったんじゃないかな。それで勝てればよかったんですけどね。負けたのはやはり自力の差かな。限界まで出し切っても帝京大には及ばなかったですね。だから今は選手たちにも悔いはないと思いますよ。
 
―では、良い締めくくりができたということですか
そうですね。悔いは残っていませんよ。このチームではやれるだけやって、それがここまでだったということなので。それ以上は望めないです。
 
―この1年を振り返って
春のスタートダッシュが良かったですね。それが全てだと思います。去年の幹部交代から次は絶対に決勝に行くぞ、と宣言して、選手たちは冬も実家に帰らなかったんです。3月まで2回合宿をして、そこで力がついたと思いますね。その勢いで春先に勝てたので、選手たちのやる気も上がってきたんじゃないかな。ただ、その伸びは夏を超えて関東大会まででしたね。そこからもう一つギアチェンジできれば良かったんですけど、できなかったのは実力です。関東までが限界でしたね。
 
―それでも関東、東日本と快挙を成し遂げてきた選手たちについてはいかがですか
良くやったと思いますね。去年の幹部交代から本当に良く頑張りました。その一言に尽きます。
 
―次のチーム作りについて
もう一回原点に戻って、一から作り直しかな。今年の4年生を踏み台にしてステップアップするんじゃなくて、またゼロから積み上げていこうと思っています。ミーティングを重ねて、一人ひとりとしっかり話して立て直ししないと来年は難しいかなと思いますね。
 
―来季に向けて
ずっと4年生3人と1年2人の調子が良くて、中間の学年が上がって来づらい状況だったので、もう一回基礎から作り直していこうかなと思います。元々素材は良い選手が集まっていますから。
 
―応援して下さったファンに向けて
いつも応援して下さってありがとうございます。最近はOBの方もたくさんいらして下さって、本当にありがたいと思っています。今後もよろしくお願いいたします。
 

 

花車勇武

―今大会を振り返って
自分たち4年は最後の大会だったので、最後の試合に出た4年は自分と小野田しかいなかったですけど、思い切りできたと思います。結果、ボコボコにされて負けてしまったんですけど、今までは引いてばかりだったのが前に出て戦えたので、すっきりしたという感じですね。あとは後輩たちに任せて頑張ってもらいたいと思います。
 
―ご自身の調子はいかがでしたか
自分は調整も上手くできて調子は良かったですね。結構前で取れてるポイントが多かったと思います。最近の試合は引いてしまってOBの先輩方にも注意されていたので、その点では良かったです。
 
―ベスト8という結果について
ベスト8はここ数年でも何度かとっているので、それ以上を今回は目指していました。結局いつも壁となる帝京大に負けてしまったので、そこを破れなかったことは悔しいですね。
 
―敗れた帝京大戦を振り返って
部員で直前に話していたのは、相手は後ろに強い選手が控えているから前半で勝負を決めないといけないという作戦でした。ただ、先頭で出た自分がああいう負け方をしてしまった時点で結構勝負は厳しかったと思うので、先鋒として主将として自分が取らないといけなかったなと思いますね。
 
―この4年間担ってきた先鋒というポジションについて
監督が決めるんですけど、「お前が流れを引き寄せてくれ」という意味で使っていただいていたと思います。先鋒が後ろを盛り上げていかないといけないと思いますし、そこでストレートで負けとかになるとチームの勝敗に関わってくるので、自分自身は絶対に先鋒で出たら負けられないという思いで臨んでいました。次に先鋒になる人にもこの思いは受け継いでもらいたいですね。
 
―この4年間を振り返って
一言で言うと、あっという間の4年間でした。自分は1年生のときからレギュラーとして使ってもらっていて、先輩からは思い切りやればいいと言ってもらったので思い切りやってきたその延長戦上で、気付いたら4年生として引っ張る立場になっていました。
 
―主将として見たチームはどんなチームでしたか
正直、自分が主将に任命されたときはやっていける自信がなかったんですけど、幸い、同期が自分のことをものすごくフォローしてくれて、みんなが主将のように引っ張っていってくれたので、本当にやりやすかったですね。後輩たちもついていきやすい良い環境が同期のおかげで作れたんじゃないかと思います。
 
―支えてくれた同期へ伝えたいことは
頼りない主将だったかもしれないですけど、同期のみんなのおかげでこの1年間上手くやってこられたんじゃないかと思います。本当にありがとうございます、と伝えたいです。
 
―後輩たちに期待することは
今年は関東、東日本で準優勝という結果が残せたんですけど、帝京大と法大にはまだ明らかなレベルの差があると思います。引いてばかりではなくて前で取れる組手を、今の3年生を中心にやってほしいと思います。
 
―今年1年の大躍進について
自分がチームに呼びかけていたのは、オンオフをはっきりさせろということです。遊ぶときは遊ぶ代わりに、練習にきたときはしっかりやってほしいと伝えてきました。その積み重ねが結果に反映されたんじゃないかと思います。
 
―1年間応援してくれた方々へ
いつもOBの先輩方がバックアップしてくださって、すごく心強かったです。一つの組織としてしっかりまとまっている大学だなと客観的に見ても思うので、本当に感謝しかないですね。選手の力だけではなくて、そういう面もあって今年の躍進につながったと思うので、今まで大きな応援をありがとうございました。
 
 

小野田守徒

―今大会を振り返って
結果は悪かったですけど、学生生活の最後の公式戦ということで自分の力は出し切れたかなと思います。
 
―ベスト8という結果について
もうちょっと上に行けたかなという思いはあります。でも最後に帝京大と戦えて、去年よりは上のベスト8に入れたのは良かったかなと思いますね。
 
―今大会に臨む上での調子はいかがでしたか
関東と体重別のときは調子悪かったんですけど、この一週間前の合宿で上手く調整できたので自分の中では良い調子でできたんじゃないかと思っています。それでも最後はボコボコにやられてしまったので、それは実力の差なんだと思います。
 
―帝京戦は関東大会のリベンジともなりましたが
自分は中堅だったので、後ろの2人に回したかったですね。ただ相手は自分の高校の後輩で、世界でも活躍してるのも知っていますし、そういうところから弱気になっていた部分もありました。もっと積極的にいければ良かったかなとは思います。
 
―この4年を振り返って
手嶋監督のもとで4年間練習してきて、技術はもちろんですけど人としても成長できたんじゃないかと思います。本当に毎日が充実した良い時間だったと思いますし、良い仲間とも出会えたので意味のある4年になったと思います。
 
―特にラストイヤーの今年は大躍進の1年となりました
六大学戦から始まって、今年は決勝に行こうという話をしていたので、最後は優勝したかったですね。でも、東日本、関東と2位で全日本もベスト8とそれなりの結果は残して来年につなげられたと思うので、ここから後輩たちが頑張ってくれればと思います。
 
―4年間一緒にやってきた同期へ伝えたいことは
やっぱり本当に感謝しかないのでありがとうと伝えたいですし、引退しても関係は続いていくと思うので、これからもよろしくと言いたいです。
 
―後輩たちに期待することは
今年の主力が3人居ますし、サブメンバーにも良い選手がたくさんいるので、来年も決勝に行って優勝を狙う力は十分あると思います。地道に練習を頑張って、今回だめだったところを自分たちが伝えてあげたりしながら良いチームになってくれればと思います。
 

フォトギャラリー

  • IMG 5433 R悔いが残らない戦いを繰り広げた
  • IMG 5468 R4年 小野田
  • IMG 5439 R4年 花車主将
  • IMG 5589 R4年 林
  • IMG 5504 R3年 岡本
  • IMG 5545 R1年 宇野
  • IMG 5515 R来季は岡本が最上級生として引っ張ることになる
  • IMG 5780 R帝京大戦後の選手たち
 

 

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