【水上スキー】「本当にラストの機会なので」チーム一丸で男女アベック優勝へ 声を重ねて挑んだ3日間【前編】

第71回 桂宮牌 全日本学生水上スキー選手権大会 特集企画

一人の部員が競技を終えるたび、滑り終えた選手と応援していた部員たちが互いにエールを送り合う。

「アベック優勝」

特に3日間で何度も聞こえた言葉だ。声を張り上げ続け、最終日には出なくなるほどだった。

部員たちから話を聞くたびにアベック優勝はチームの悲願なのだと伝わってきた。

滑走の様子 沼井琴音(社4)

全員の声で作る大きな渦

私が会場に到着すると、男子スラロームの開始直前だった。各大学が滑走する選手に大声援を送っていた。
その迫力になかば気圧されながら法政大学の部員たちを発見した。

主将の戸谷圭太(グロ4)は、こちらに気づくと自ら名乗った。「よろしくお願いします!」。そう言って手を差し出された。一瞬で部が持つ雰囲気に引き込まれた。

滑走の様子 倉田航佑(デザ3)

高速の滑走

スラロームは水上に置かれたブイを外から回る競技で、途中で転倒したり回れなければ記録はそこまでとなる。引っ張る船のエンジン音が響き、遅れて岸に波が打ち付けられる。そうやって颯爽と選手が現れる。

法大1人目の椿宗泰(文4)は次々とブイを攻略。6つ攻略するごとに速くなるボートは時速58キロに届いた。

椿は「緊張するのはわかっていた」と切り出し、「それを踏まえて楽しんで、自分がやってきたことを信じた」と明るく語った。

根付く文化

椿が陸にあがると、部員が集まってきた。何が始まるのだろうと思った。そう思ったのも束の間、部員たちから「いいぞいいぞ法政」と大声が上がった。

「お前はやったぞ」といえば椿が「俺はやったぞ」と返す。

やがてエールが終わると次の滑走者の戎井友晴(法3)と椿がハグ。戎井は涙を見せた。

「師弟関係ですね」

そう椿に教えられた。

戎井、さらに次の清水陽仁(理工4)が滑走を終え、男子スラロームは団体2位だった。
早朝の女子トリックは団体優勝している。好位置につけていた。

エールを送る部員たち

チームを変えた急成長

合間にOBの方と話を聞く機会があった。

「5年前までビリで20人しか部員いなくて最下位戦線だった」
今では部員は60人。このインカレには170人ものOBが応援に駆けつけたという。

「急成長中」とは聞いていた。それでも、わずか5年前まで最下位を争っていたとは想像もつかなかった。

そのチームが今、確かに優勝を狙える位置にいた。

数年で部員は3倍に増えた

「男女アベック優勝」

エールは、一部の選手だけに送られるものではなかった。
最後の滑走が終わり、日が傾き始めても、その声は変わらず会場に響いていた。

特に何度も聞いたのは「アベック優勝」。

なぜ「アベック」にここまでこだわるのだろうか。

聞くと「今年が学連において男子と女子が別で戦える最後の機会で、アベック優勝できる本当にラストの機会なので」と森陽耶 (経3)が教えてくれた。

「絶対勝ち取りにいきたい」

その思いは森一人のものではなかった。多くの部員が同じ目標を口にしていた。

遠ざかる目標

しかし、2日目は苦しくなった。男子トリック、女子スラロームともに団体2位。成績は決して悪いものではない。それでも、特に男子団体では慶大などのライバル校に差をつけられていた。

悔しさを見せた齊藤菜奈美(人3)

「男子団体の優勝はかなり厳しい」

そういう声も聞こえた。

チームの雰囲気も厳しくなるのではと思うと、自然と部員へ話を聞く足が遠のいた。しかし、どうにもそういう気配は感じられない。

部員たちの表情も、声の大きさも、初日とほとんど変わっていなかった。

(後編へ続く)

(記事:山田竣矢)

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